オレが魔法少女になったと思ったら、幼馴染も訳ありだったと知った不具合   作:社畜だったきなこ餅

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お ま た せ(色んな意味で)


狐と偽装夫婦?とドラゴン

 

 

たっつんと偽装結婚する事になってから、時間はあっという間に過ぎていった。

その間もたっつんは何か色々調整があるとか言って学校には来なかったけど、心配事がなくなったオレは特に何も問題なかった。

 

なんか田中とかがめっちゃ浮かれてるとか言ってきたけど、そんな事はない。多分。

 

 

「よし、行くぞ旭」

 

「応!だけど魔法少女の姿じゃないと何かまずいのか?」

 

「あそこは一部を除いて人間向きではないからな、そっちでいてくれた方が俺も安心できる」

 

「そっか」

 

 

たっつんの部屋のリビングで、オレは魔法少女に既に変身完了しており……たっつんもシュヴァルツフィーダーの状態になってる。

戦闘準備完了状態じゃないと危ないとか、どんな魔境だよたっつんの親父さんの領域って。

 

 

「そう言えばぴゅんぴゅんは今日はいないのか?」

 

「おう、なんでも魔法の国に今回の事報告に行かないといけないとかボヤいてた」

 

「アイツも苦労してるな、ともあれ往くぞ」

 

 

ふとマスコット的ナマモノであるぴゅんぴゅん不在な事に気付いたたっつんがオレに尋ねるが、オレが返した言葉になるほどなどと返すと。

たっつんは右腕をかざして部屋の中にオレ達が潜れるぐらい大きな魔方陣を展開する。

 

そしてたっつんはオレを左腕で抱えると魔方陣へと飛び込み……次の瞬間にはオレ達はたっつんの部屋のリビングとは異なる場所にいた。

その場所は地面が見えない大空が広がっており、その中に複数の浮島のような大地が浮いている。

 

 

「おー!すっげーーー!」

 

 

今まで見た事もない光景に思わずはしゃぎ、無意識に狐尻尾を振ってしまう。

まるで某天空の城みたいな、要塞のようでありながらも凄い豪勢に作られた巨大な城が建てられた一際大きい浮島を中心に、周囲に様々な建物が建てられた島々が浮いている。

この光景だけでもSNSに上げたら、すごいバズりそう。

 

 

「はしゃぐな、落ちると危ないぞ」

 

「えーー、でもこんなの見せられたらわくわくするしかねーじゃん!」

 

 

翼を広げて羽ばたいているたっつんは、オレが落ちないよう左腕だけじゃなく右腕も使ってオレを抱き抱え始める。

ふにゅり、と音を立ててたっつんの逞しい腕がオレの胸に触れた時に思わずどきりとしたが、凄い安心感を感じるのでそのままオレは身を委ねる事にした。

 

 

「……でもさたっつん、気のせいかあの城とか大地とか周囲にある建物めっちゃ崩れてるところねえ?」

 

「…………なんでだろうな」

 

「その長い沈黙が全て物語ってるぞたっつん、もしかしてだけどたっつん大怪獣みたいな暴れ方した?」

 

「壊そうとして壊したんじゃない、流れ弾だ」

 

 

やっぱりたっつん関係してるじゃないか。

良く目を凝らしてみると、色んな体色をしたドラゴン達が崩れた建物や大地の補修工事をしてるのが見える。

 

だけどなんでだろう、気のせいじゃないレベルで周囲にめっちゃドラゴンが飛んでる。

 

 

「次期当主様だ!」

 

「腕の中にいるのは、噂の婚姻相手か?」

 

「あんな小さい娘が好きだったなんて、次期当主様も変わり者だ」

 

 

気のせいじゃなかったわ、周囲を飛び交うドラゴン達めっちゃオレの事喋ってたわ。

ちなみに何故オレが彼らの言葉がわかってるかと言うと、エレクが今後必要になるだろうからとか言ってくれた腕輪のおかげだったりする。

 

コレをつけてれば、ドラゴンの言語がわかるようになり此方の言葉が相手に伝わる代物だとか。翻訳こんにゃく(腕輪)だな!

 

 

「暇竜どもが」

 

 

たっつんは若干苛立たしそうにしながら、周囲を飛び交うドラゴンを振り払うように飛ぶ速度を上げるとあちこちが崩れつつも修復工事が進められてる巨城の広場に降り立った。

既に様々なサイズや形状をしたドラゴンが待ち受けている事に少したじろぐオレであるも、ドラゴンの集団の中から一人のドラゴンが出てくる。

 

そのドラゴンはひらひらしたローブを纏った黄色い鱗を持った、蛇のようなドラゴンで体の大きさは周りのドラゴンと比べても特に小さいドラゴンだった。

何故だろう、初めて会うドラゴンなのに初対面の気がしない。

 

 

「思ったより早いお付きでしたね、親愛なるお兄様」

 

「エレクか、根回しは済んでいるか?」

 

 

(あ、やっぱりエレクかこのドラゴン)

 

 

「勿論ですとも親愛なるお兄様、さぁ旭様……いえ敬服すべき義姉様もどうぞこちらへ」

 

「お、おう」

 

 

誇らしげにたっつんとオレを先導するエレクに、周囲のドラゴンから嫉妬と憤りの視線が向けられているのがなんとなくわかる。

半端モノとか酷い扱いされてるって前にちらっと聞いたけど、マジでエレクってドラゴンからの扱い良くなかったんだな……。

 

あ、特に忌々しそうにたっつんやエレクを見ている紅いドラゴンに、エレクめっちゃ挑発的な顔して嘲笑ってる。

ドラゴン状態でもわかるぐらいだから、多分めっちゃアレ煽ってんだろうなエレク。

 

一方たっつんはいつも通りというか、向けられる畏怖や敬意の視線に動じてる様子がない。

オレへの視線は、値踏みするようなというか侮るというかあんまり良い感じがしない視線が多い。

 

 

「わっ!?」

 

「行くぞ、アサヒ」

 

「う、うん」

 

 

そんなことを考えてたら、たっつんがオレを強く抱き寄せて左腕で担ぎ上げる。

慌ててオレは落ちないようにたっつんの首に手を回し、体を密着させる形になってしまった。

 

なんだろう、たっつん何かめっちゃ覚悟完了してる気がする。

 

 

「すげぇ広い、というかでかいな」

 

「ドラゴン向けの建築だからな、どうしてもでかくなるみたいだ」

 

 

この内部でも激闘があったのか、一部の壁面や柱に罅が入ってるのを見つつたっつんに問いかける。

なんだろう、こう、お姫様抱っこってわけじゃないんだけど凄い大事にされてる感があってこそばゆいから、ついつい言葉が多くなってるのを感じる。

しかしそうやって話しながらたっつんに運ばれてる間に、目的の場所へと到着したらしい。

 

 

「偉大なる次期当主様、お待ちしておりました。父上がお待ちです」

 

「兄貴か、アンタまで出てくるとは思わなかったよ」

 

「我輩や弟妹が勧めた美姫に見向きもしなかった次期当主様が自ら選んだ花嫁を連れてくるとあれば、出迎えない理由はありませんとも」

 

 

めっちゃ凄い装飾や彫刻が施された扉の前に立っていた、黄金色の鱗と立派な翼をもつドラゴンがうやうやしい仕草でたっつんに礼をしている。

そしてオレを値踏みするような視線を向けつつも、広場で感じた悪意ある視線はない。

 

どうしよう、偽装結婚ってバレたら洒落にならない気がしてきた。

あ、エレクさりげなくたっつんの背中に隠れてる。あのエレクにも苦手な存在あるんだ……。

 

 

「良くやったぞ愚ぶ……弟よ、不出来で半端モノであった貴様だが次期当主が花嫁を連れてくる手助けを出来たとあれば、蜥蜴を軽んじる者も減るだろう」

 

「……立派な兄上に褒められて、僕も誇らしいですよ」

 

 

めっちゃ傲岸不遜に言い放つお兄さん、そしてめっちゃどうでも良さそうに返すエレク。

うーん、複雑な家族事情が垣間見えるが気になってしまう。

 

 

「あのー、質問いいです?」

 

「なんでしょう?花嫁殿」

 

「もしかしてだけど、エレクってお兄さんと同じお母さんから産まれた弟さん?」

 

 

オレが小さく挙手しながら質問すると、お兄さんは気分を害した様子もなく質問に答えてくれる。

たっつんが特にオレを止める様子もない事から、問題のある話題でもないらしい。

 

 

「ええその通りですとも、しかし愚弟は偉大なる父上と母上の血を引いておきながら虚弱で小賢しい矮竜でしたからな。吾輩も心配しておったところです」

 

「なるほど……」

 

 

何となくだけど、このお兄さんめちゃくちゃ尊大で言葉も選ばないけど心からエレクを心配してたんだろうな。

問題はエレクがその心配を受け取れるというと、そういうわけでもないって感じか。

いやでも、こんな兄ちゃん居たらやだなオレ……。

 

なんか一言言ってやりたくなったから口を開こうとするが、その時扉が重苦しい音を立てて開き始める。

 

 

「ふむ、どうやら父上への謁見準備が整ったらしいですな。それでは我輩は失礼します」

 

「兄貴も出ると思ったが、違うのか?」

 

「父上からの厳命でしてな、我輩は勿論弟妹達の出席も許可されておりませぬ。行くぞエレク」

 

 

扉の前から退いてそのまま立ち去ろうとするお兄さんに、たっつんも意外そうに声をかけるが。

どうやらたっつんの親父さんとの面談は、限られた人物のみで行われるらしい。

 

正直オレもたっつんもエレクの機転を少し頼りにしてたが、彼の同道は許可されないようだ。

お兄さんは尊大な態度を隠そうとせずに、しかし凄くわかりにくいレベルでエレクを嘲りの視線から隠すように歩いていった。

でもお兄さん、エレク多分その配慮気付いてないどころかめっちゃ怯えてます……!

 

 

「心配するなアサヒ、いざとなったら今度はクソ親父を全殺しにしてでもお前を逃がす」

 

「そ、そこはせめて8割殺しぐらいにしてあげて?たっつん」

 

「次期当主様、父上はまだ前の戦いで喪失した右目と片翼と左足の治療が終わってないので。殴るときは手加減をお願いします」

 

 

何か覚悟を決めたらしいたっつんの放った言葉に、流石に目の前で父親殺しを見たくないオレはたっつんに思いとどまるよう懇願する。

ついでにお兄さんから告げられた言葉に、たっつんはガチ目に親父さんをボコった事を理解するオレなのであった。

 

 

 

そして、とうとうたっつんの親父さんとの対面が始まる。

オレはたっつんに抱き抱えられたまま、開いた扉の奥にある広間へと連れられていくと……。

広間の奥にある巨大な玉座には、全身傷塗れな上右目には痛々しい傷跡が残されている巨大なドラゴンがそこにいた。

 

 

「ふん、ようやく来たか。万能感に酔いしれていたクソガキが」

 

「おう来たぞクソ親父、そのまま傷が悪化してくたばってたら最高だったんだけどな」

 

「たっつん、言い方、言い方……!」

 

 

そして開幕からフルスロットルな岩塩かと思うぐらいの言葉の応酬に、思わずたっつんの腕の中から突っ込みを入れるオレ。

しかし、親父さんの残った左目がギョロリと擬音を建てる勢いでオレへと向けられる。

 

 

「貴様がクソガキの花嫁とやらか、ふん。魔法少女とはな……」

 

 

親父さんはそう呟くと、愉快そうに喉を揺らして笑みを漏らす。

なんだろう、凄い探るような感じは受けるんだけど言葉ほど拒絶されてる感じがないのが不思議。

 

 

「おいクソガキ、この小娘には貴様の事情は伝えたんだろうな?」

 

「ああ、そうじゃなかれば連れてはこない」

 

「そうかい、なら儂がとやかく言う事はねえ」

 

 

そしてあっさりと認められた、やったぜたっつんお別れ問題クリアだ!

しかし次の瞬間、親父さんはとんでもない爆弾を放り投げてくる。

 

 

「貴様らの部屋は用意してある、折角だから夫婦仲でも深めると良い。次期当主の血を引く子は一刻も早く増える方が都合よいからな」

 

「おいクソ親父」

 

「なんだクソガキ?家族となった花嫁なのだろう? 夜を共にする事など何一つ問題なかろうて。それとも何か?夫婦と言うのは嘘だったとでも言うつもりか?」

 

 

試すように、心から愉快そうに笑みを漏らしながら親父さんは告げてきた。

やべぇよやべぇよ、偽装結婚大作戦めっちゃバレてんじゃん。

 

たっつんなんて、もう親父さん殴り倒して誤魔化してしまおうかとか考え始めてるぞ絶対。

いや、待て考えろオレ、考えるんだ。

 

 

閃いた!!

 

 

「いいじゃんたっつん、お言葉に甘えようぜ? いつもみたいにすればいいじゃん」

 

 

そういう関係だという事を匂わせてゴリ押す!コレだ!

一瞬たじろぐたっつん、しかしすぐにオレの意図を察したのか親父さんへ視線を向ける。

 

 

「ああ、そうさせてもらうよクソ親父」

 

「ほう? 食事は部屋に持って行かせる、話は以上だ」

 

 

たっつんの言葉に、オレの気のせいか親父さんは一瞬虚をつかれた様子を見せるが心から愉快そうに口角を吊り上げてる。

しかしすげえなドラゴン、厳つい見た目だけどめっちゃ表情豊かで見てて飽きない。

 

 

そんなこんなで。

 

 

「いやー、なんとか乗り切ったなたっつん!」

 

「ああ、そうだな……」

 

 

オレとたっつんは案内された部屋の中で、運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら和気藹々と話をしていた。

周囲に誰か潜んでないかはたっつんが確認済みなので安心だ。

 

ちなみにたっつんは人間形態になっており、オレも魔法少女から元の恰好に戻ってる。

あの状態でい続けるのは疲れるからね、しょうがないね。

 

 

「お袋さんは元気なのか?」

 

「ああ、だがクソ親父の寵姫扱いで……今妊娠しているんでな、息子の俺でも気軽に会えない」

 

「お、おう、そうか」

 

 

(そう言えばたっつん、親父さんとお袋さんが仲睦まじいから戻ってきたとか言ってたけど。アレはガチだったんだな)

 

 

料理名も良くわからないけど、味が凄いし見込んでいる肉や野菜にスープを旨い旨いと味わうオレ。

材料が何かわからないのが気になるが、何とかこの味を再現できないか考えてしまう。

 

 

「だけど不思議だなたっつん、あんな巨体のドラゴンばかりなのに人間向けの食事も出るなんて」

 

「エレクみたいな竜も多いからな」

 

「なるほどなぁ」

 

 

疑問が一つ解けたので、そんな具合に互いに難所を乗り越えた緩んだ空気が流れる。

そして異変が訪れたのは、そろそろ寝るかーってなった時である。

 

なんか、妙に体が熱い。暑いじゃなくて熱い。

それはどうやらたっつんも同じらしく、オレに背を向けたままベッドに腰掛けた状態で微動だにしない。

 

 

「うぁーー、なんだこれ、なんかすげぇ変な気分だ。ふわふわする」

 

 

めっちゃ広いベッドの上で思わずゴロゴロするオレ。

体全体がぽかぽかするけど、同時に臍の下の奥辺りがなんかすげぇ疼いてもやもやする。

 

 

「クソ親父……やりやがった、あの野郎やりやがったなぁ……!!」

 

 

一方たっつんは微動だにしない姿勢のまま、地獄の底から響くような声で呪詛を漏らしている。

もしかしなくても、オレ達は何か一服盛られたらしい。

 

 

「やべぇよたっつん、助けて、なんか熱いのにたっつんにひっつきたくてしょうがない」

 

「……離れろ旭、今はちょっと、本気でまずい」

 

 

ゴロゴロしてたオレは起き上がると、たっつんの背中に抱き着く。

たっつんにくっついてると凄く安心すると同時に、へその下の疼きが少しだけ収まるけど今度は何か変な多幸感が満ち満ちてくる。

オレはその感覚が命じるままに、メイドさんが用意してくれた薄手の寝間着一枚隔てた奥にある胸をたっつんへ押し付ける形になりながら、たっつんに抱き着く。

 

たっつんはうわ言のように離れろ、今は落ち着けと繰り返すが途中からその言葉が止まると。

オレへと向き直り、オレの肩を掴んでベッドへと押し倒してきた。

 

 

「旭」

 

「あ」

 

 

真正面の至近距離から見つめ合うオレとたっつん。

たっつんの瞳には葛藤とか申し訳なさとか欲望がめっちゃ渦巻いてるのが見て取れると同時に、そこまで来て漸くオレは自分が何をやらかしたのか気付いた。

 

オレだって高校生になる直前、魔法少女になる前までは一般的な男子だったのだ、男の欲望的なものは大体わかってるし。

何なら家の机の引き出しの奥には、捨てるに捨てられてないお気に入りのエロ漫画が何冊もある。

だからこそ、たっつんが今欲望と友情の狭間で苦しんでるのが理解ってしまった。

 

 

「いいぜたっつん、折角だから楽しもうぜ……!」

 

「旭、お前はそれでいいのか……」

 

「しょうがないだろここまできたら、だけど優しくしてくれよな? 流石のオレもその」

 

 

こう言うのは初めて、と言おうとしたところでオレはたっつんに強制的にキスでその先を言えなくなった上。

今まで我慢していたうっぷんを晴らすかのように、この日ケダモノになったたっつんにめっちゃ体を貪られた。

 

 

 

 

 

 

 

詳しくはオレの名誉のためにボカすが、文字通りたっつんはオレを寝かしてはくれないどころか。

起きた後も色々あった末に、ようやくまともに動けるようになったのは昼になってからだった。

 




ちなみにクソ親父こと親父さんは、偽装夫婦で乗り切ろうとしてるの普通に看破してました。
だけど嫁取りしようとしないどころか、無理に進めると半殺しにしてくるDV息子が邪険にしない女子連れてきたので、これは手助けするしかねえ(愉悦半分好意半分)ってなりました。
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