オレが魔法少女になったと思ったら、幼馴染も訳ありだったと知った不具合   作:社畜だったきなこ餅

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沢山感想もらえたので更新します。

ちなみにマジカルアサヒこと旭の体型は、雌ドラフ体型です。
そんなのが男友達の距離感で詰めてくる飛び道具みたいな生き物。


狐と友達とドラゴン

 

 

オレが閃いた電撃的な可能性、たっつん魔法少女説が爆裂四散。

何とも言えない恥ずかしさに悶えるオレであるが、何とか気を取り直してたっつんへと問い掛ける。

 

 

「じゃあさー、たっつんは何でこのボケナスの声聞こえたんだよー?」

 

「……すまない、ソレは言えない」

 

 

口を尖らせて問い詰めるオレであるも、たっつんは逡巡しながらオレの質問への回答を拒否した。

 

 

「……どーしてもか?」

 

「どうしてもだ」

 

 

ぢー、と視線がビームになる勢いでたっつんを見詰めるもたっつんはオレから目を逸らさずに返してくる。

 

 

(懐かしいなー、そう言えばたっつんがドイツに行くって時も。詳しい理由聞いても今みたいに決して言わなかったよなぁ)

 

 

「ならしょーがねーや、だってたっつんあの時と同じ顔してんだもん」

 

「ごめん」

 

「謝るなって、家庭の事情とかでオレに害が及ぶのかもしれないんだろ?」

 

 

オレの言葉に頭を下げるたっつんに対し、気にするなと笑いながら返す。

あの時と違って魔法少女になったオレならちょっとやそっとは問題じゃないが、たっつんが言いたくない事を無理に聞くのも何か違うと思ったからな。

 

少し空気が重たくなったので、何か話題を変えられないかオレは必死に頭を巡らせる。

こういう時こそ空気を読まないボケナスの出番だとあいつに視線を送るが、あのボケナスたっつんに怯えてまたベッドの下に逃げ込んでやがる。仕えねえ!

 

 

(あ、そうだ。良いの閃いた)

 

 

「そう言えば話変わるけどさ、最近謎のドラゴンがちょくちょく助けてくれるんだよ」

 

「あ、ああ。SNSで見たがそうらしいな」

 

 

唐突な話題変換に戸惑ったのか、たっつんは顔を強張らせつつもオレの言葉に同意を示す。

 

 

「すっげぇ強いしかっこいいんだよ、怪人とかワンパンで仕留めてさ。ワンパンだぜワンパン!」

 

「そ、そうか」

 

 

思い出せばすぐに脳裏に蘇るあの圧倒的強さと頼もしさ、ついついオレの言葉にも熱が籠もるのがわかる。

何かたっつんが恥ずかしそうにしてるが、なんで恥ずかしそうにしてるのか不明だ。

 

 

「だけどさぁ、名前がみょーに気取ってんだよな。シュヴァルツフィーダーとかさ、かっこつけすぎだと思わね?」

 

「……あ、ああ。そうだよな、うん、そうだよなぁ……」

 

「? なんでたっつんが凹んでるんだよ」

 

「気にするな」

 

 

オレが肩を竦めてそんなことを言えば、なぜか肩を落とすたっつん。なんでよ。

 

ともあれなんであれ、今日はそんな具合にぐだぐだと駄弁って解散となるのであった。

 

 

 

そしてたっつんに魔法少女バレしてから、数日後の放課後。

オレを含めた魔法少女の合計4人は喫茶あずきに集まり、魔法少女会議と言う名のお茶会を開いていた。

今回の議題、それは……。

 

 

「第一回、黒いドラゴンさんは何者だろう会議ー!」

 

「いえーい、ですわー!」

 

「……わーー」

 

「いや、そんなノリノリでやるもんじゃないだろ」

 

 

これまでに二回怪人を屠った黒いドラゴン、シュヴァルツフィーダーについての会議だ。

ただこの会議はシュヴァルツフィーダーを倒すとかそういう物騒な会議じゃない。

一回目はオレ達の危機に駆け付け、二回目は怪人が出現した直後に仕留めて被害を出さなかったことから敵とは見ていないのだ。

 

じゃあ、どういう事かと言えば……。

 

 

「シュヴァルツフィーダー、でしたっけ? すこぶるハイカラな名前ですわね!」

 

「……旭が聞いた名前と、SNSに上がってた動画で名前だけはわかったけど」

 

「正体、いったい何なんだろうね?」

 

 

そう、オレ達はシュヴァルツフィーダーが一体どこからきてどこへ飛び去ってるかすら不明なのである!

 

 

「とりあえず分かっている事から整理しよう、まずは超強い」

 

「私達を簡単に吹き飛ばしたタコ怪人の触手を受けても、ビクともしない上に一撃で屠ってましたわよね」

 

「……しかも空を飛べる上瞬発力も飛び抜けている」

 

 

オレ達が列挙する内容を桜がテーブルの上に広げたノートに丁寧にメモを取っていく。

強い、硬い、早い!ってところに花丸をつけるお茶目っぷりだ。

 

 

「動画の声の感じ殿方ではなくて?」

 

「……声帯と性別が一致してると考えるのは、危険。もしかすると女性かも」

 

「そうだとしたら私のライバルですわね!いっぺん力比べ申し込みたいですわ!」

 

「……流石、マジカルゴリラ」

 

「マジカルモミジですわ!!」

 

 

全く進まない感じの内容も、桜は丁寧にメモを取っていく。

男性?女性???と走り書きしてるのが細かい。

 

 

「旭さんはどう思いますの?」

 

「はへ?そうだなー……敵じゃないのは間違いないと思うし、怪人とも何か違うんだよなぁ」

 

「……正義の不思議ドラゴン?」

 

 

椛から意見を求められるが、オレ自身建設的な意見を出す事も出来ず。

オレ達は考え込むあまり黙り込み、桜がノートにメモを取る音だけが響く。

その時、ふと何かに気付いたように桜はノートから顔を上げた。

 

 

「シュヴァルツフィーダーって、ドイツ語だよね……シュヴァルツは確か黒って意味だけど、フィーダーって」

 

「……羽って意味だったはず」

 

「という事は黒い羽って名前になるんだけど、凄いシンプルな名前だよね。シュヴァルツフィーダーさん」

 

 

桜の言葉にハッと気付くオレ達。

そして同時に、オレはシュヴァルツフィーダーが名乗った時に考え込んでいたことを思い出した。

 

 

「そう言えば、シュヴァルツフィーダーって名乗るとき……すぐに答えず、考えて名乗ってたな」

 

「と言う事は恐らくだけど、咄嗟に名乗った仮の名前なんだと思う」

 

「……という事は真の名前は別にある?」

 

 

オレが思い出しながら呟いた言葉に、桜は頷きながら推論を述べる。

若葉は考え込み思考に没頭し、難しい話についてこれなくなった椛は素知らぬ顔で砂糖とミルク増し増しなコーヒーを啜ってる。

しかしふと、何か思いついたように椛は口を開いた。

 

 

「もしかしてかっこいい響きだから名乗ってるとかではなくて?」

 

「その可能性も無いとは言えないけど……」

 

「……かっこいい名前に拘るぐらいなら、多分自信満々に名乗ってから出てくる」

 

 

これだ!という意見が出てこずオレ達は頭を突き合わせて悩むしかない。

 

 

(黒い羽、黒い羽……黒羽……たっつん?)

 

 

何か天啓じみた閃きが降りてくるが、いやまさかそんな事ないだろうと突拍子もない考えを頭から放り出す。

たっつんが人並外れた体力とか持ってるとはいえ、実は黒いドラゴンだったとかそんなの余りにもぶっ飛び過ぎてる。

 

 

「とりあえず今日はこんな感じかなぁ、もしかするとまたジャーク達との戦いに来てくれるかもしれないし。その時に聞こうよ」

 

「……賛成」

 

「考えすぎて煙が出そうですわぁ~」

 

「確かになぁ、多分敵じゃないってだけでも有難いわ」

 

 

(あ、そういえばついでってのもアレだけど。たっつんに正体バレしたこと報告しとこ)

 

 

たっつんが誰かに言いふらすなんてありえないけど、それでも魔法少女である事を知られたという情報は共有すべきだ。

万が一それで何かすれ違いとか起きたら洒落にならん、変に説明不足でギスったりするのは御免被る。

 

 

「あ、そうだ。先に謝っとくわごめん。 幼馴染に正体バレしたわ」

 

 

言うや否や3人へごめん!って謝るオレ。

突然のオレの発言に固まる三人、真っ先にその硬直から復帰したのは椛であった。

 

 

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

「ちょ、椛!声!声でかいって!」

 

 

テーブルに手を付いて勢いよく立ち上がった椛を慌てて宥めながら着席を促す。

幸いなことになぜか今日はオレ達以外に客がいないとは言え、店員さんがいる以上あんまり騒ぐのはまずい。

 

ちなみに仲間達には幼馴染にバレたと言ったが、その幼馴染ことたっつんが男であるとは伝えるつもりはない。

それはなぜか? 間違いなく面倒な事になるからである。

 

 

「……旭、大丈夫なの?」

 

「うん、そこは大丈夫だ。あいつは絶対言いふらしたりしない」

 

「……それなら、いいんじゃない?」

 

 

めっちゃ騒々しい椛と異なり、ベイクドチーズケーキをもっしゃもっしゃと頬張ってる若葉は興味なさそうに告げる。

さすが理屈っぽいだけあって、この辺りドライで話が早くて助かる。

 

 

「うん、旭ちゃんがそこまで言い切れる人なら私も大丈夫だと思うよ」

 

「桜さんまで……いえ、みみっちいですわね!仲間が信じてる友人なら、私も信じるのが道理でしてよ!」

 

「……椛のその理屈、お嬢様的理屈ってより暴走族とかチーマーの理屈じゃない?」

 

「やかましいですわ!」

 

 

桜の発言を皮切りに、さっきまで騒いでいつつも心ではオレが認める友人なら大丈夫だと思っていたのか椛も同意を示す。

そしていつもみたいに若葉がいらん事を言うや否や、若葉と椛のじゃれ合いが発生するがいつもの光景だ。

 

 

(こいつらほんと良いヤツだよなぁ)

 

 

そんなことをしみじみ考えつつ、エスプレッソを一口啜り。

 

 

「もしかしてその幼馴染さんって、前に旭ちゃんと並んで一緒に歩いてた男の人?」

 

「ぶーーーーーーーーーーっ!?」

 

 

桜が投げ込んできた危険球が直撃、オレは勢いよく口に含んだエスプレッソを噴き出した。

幸いなことにエスプレッソ噴水は誰にも直撃しなかったが、オレの喉と心に致命的命中発生である。

 

 

「げほっ!ごほっ!? さ、桜一体何言ってんだよ?!」

 

「え?違うの?」

 

 

気管に入り咽たオレがせき込む中、桜はきょとんとした目を俺に向けてくる。

オレは慌てて駆け付けた店員さんから受け取った布巾で汚れたテーブルを拭きつつ、どうやってこの場を切り抜けようか思考を高速回転させる。

 

なんせさっきまでケーキに夢中だった若葉が爛々とした目でこっちを見てきてる、一刻も早くこの場から退避しないとそりゃもう面倒になる。

 

 

「……旭、詳しく聞かせて」

 

「そうですわー!」

 

 

(やばい椛まで参戦してきた?!)

 

 

本やら漫画やらを節操なく読み耽る若葉は、オレが言うのも何だが相当な耳年間だ。

しかも知識の供給源が偏ってるせいで、男女交際やら交流に対して変な拗らせた見方をしてやがる。

 

そこに思い込んだら一直線な暴走特級ゴリラこと椛が合わさった日にはどうしようもない!

何とか言い包め誤魔化そうとするが、興味津々好奇心大爆発の若葉と椛を退けられそうな言葉が思いつくことはなく。

桜へ助けを求める視線を向けるが、桜自身も好奇心全開であることから最早逃げ場はないのであった。

 

 

「……たっつんはただの幼馴染だよ。それもオレが男だったことも知ってるから、変な事は欠片もねーよ」

 

「……残念」

 

 

大きくため息を吐き、赤裸々に伝える。

言葉にして見たらこれだけの話なのだけど、なぜか言葉にするのが酷く恥ずかしく思ったのは何故だろう。

 

 

「え?でも旭ちゃんのパパとママも、旭ちゃんが最初から女の子だったって認識してるよね?」

 

「ああ、たっつんはオレが女になる前に海外に行っててな。ここ最近帰って来たんだ」

 

「き、帰国子女……お嬢様的に負けてられませんわ!」

 

「……安心してゴリラ、貴方はゴリラだから負けてない」

 

 

若葉の言葉に誰がゴリラか!と吠える椛を横目にオレは心の中で胸を撫で下ろす。

 

 

「……桜、旭が言うたっつんってどんな男の人だった?」

 

「え? そうだねー、背の高くてかっこいい男の人だったよ」

 

「ねぇ旭さん、本当の本当にただの幼馴染ですの? 私にだけこっそり教えてくれません?」

 

「だからちげーっての!!」

 

 

訂正、少し追及が緩まっただけで追及は終わってなかった。

結局この日はシュヴァルツフィーダーの正体とかそれどころではなく、オレとたっつんの関係について桜達に根掘り葉掘り聞かれて終わるのであった。

 




【悲報】マジカルアサヒ、アイデアロールでファンブル【ポンコツ魔法少女】
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