オレが魔法少女になったと思ったら、幼馴染も訳ありだったと知った不具合   作:社畜だったきなこ餅

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前回の掲示板回で水深30mプール云々と書きましたが修正しました。
やけくそじみた盛り方だけど、普通に30mプールって事故発生案件過ぎた故。


ドラゴンとプールと狐

 

 

梅雨が明け夏が到来した季節の休日。

魔法少女とやらになって女体化するという珍奇な運命を背負った幼馴染と俺は、最寄りの駅まで徒歩で向かっていた。

 

 

「早く車とかバイク欲しいぜー」

 

「少なくとも旭は免許を取らない方が良いな、すぐに事故を起こしそうだ」

 

「たっつん、それ酷くない?」

 

 

降り注ぐ日差しにあちーなどと言いながら旭は手で自身を仰いでいる。

彼……今や彼女となった幼馴染は身長150cmに届かない小柄な体格だ。

女体化したことで縮んだのかと思ったが、何でも身長の変化はなかったらしい。不憫な幼馴染だ。

 

 

「知ってたかたっつん、谷間とか下乳ってめっちゃ蒸れるんだぜ」

 

「……暑いのはわかったから谷間を見せつけるな谷間を」

 

 

人をからかうような笑みを浮かべながら、旭は自身の胸元を軽く引っ張ってオレに見せつけてくる。

身長差からちょうど覗き込むような形になったオレは、旭の豊満な胸元に視線を吸い寄せられる前に急いで目を逸らした。

 

俺は旭が男に戻りたがっている事を知っているし、俺自身もまた男に戻った旭と子供の頃のようにはしゃいで遊び回りたい。

しかし、恥ずかしながら何と形容すればよいのか、いや正直に内心を吐露するならば。

 

今の旭の外見は俺の好みだ、タイプそのものと言っても良い。

しかし肝心の旭は子供の頃と変わらないどころか、自身が男であるという感覚で接してくるからたまったものじゃない。

さっきの行動と言動にしてもそうだ、このアホは自身がどれだけ蠱惑的で男の欲情と視線を集めているのか欠片も理解してない。

 

 

(たっつんが協力者みたいになってくれて助かるぴゅん……)

 

(貴様も苦労していたんだな)

 

 

脳裏に届く、旭を魔法少女にしたぴゅんぴゅんの声に俺は労いの念話を送る。

こいつは俺の幼馴染である旭を魔法少女にし、危険な戦いに巻き込んだという怒りは確かにある。

 

しかし、しかしだな。

女扱いすると途端に不機嫌になる旭に配慮しながら、それはもう苦労して旭をフォローしてきてくれたという事実を聞かされた以上俺はコイツを嫌いになれなかった。

更に言えば旭は膨大なソウルパワーとやらを持ってはいるが、繊細な制御が苦手で念話とかそういう技術が全く使えず……その結果ぴゅんぴゅんは直接旭に話しかけるしかできないらしい。

 

 

「そう言えば聞いてくれよたっつん、この格好変じゃね?」

 

「むしろ似合っているが。どうかしたのか?」

 

「そ、そっかー……いやな、プールの優待券くれた友達とかに水着見に行くついでに服も見せられたというか着せ替え人形にされたというか……」

 

 

俺がぴゅんぴゅんと念話し、思考に没頭する中唐突に問いかける旭。

彼女の言葉に、俺は改めて旭に視線を送る。

 

旭の恰好がどんなものかと言えば、上は肩を露出したキャミソールで下は短パンのようなパンツスタイル。上下ともにゆったりとしたデザインだ。

特別可愛らしいとか男を誘惑するとかそういう様相はないが、しかし施されたレース構造等に造りとセンスの良さが見て取れる。

旭を着せ替え人形にしたという友達も苦労しただろうな、こいつの性格的に女の子女の子した格好は断固拒否するだろう。

 

 

「い、いや別に心配とか不安とかそういうんじゃねーからな?勘違いするからな?」

 

「わかってるよ旭」

 

「その顔全くわかってねーだろたっつん!」

 

 

いつものように中身が殆どない言葉の応酬を交わしながら俺達は最寄りの駅につく。

時間に対して路線の本数が多いとは言えないが、時間に合わせて駅に来たのでほどなく電車も到着するだろう。

 

 

「そう言えばさ、俺最近電車に乗ってねーんだよな」

 

「ソレはなんでだ?」

 

「……痴漢にめっちゃ遭うんだよ、尻触られるわ。酷いヤツだと後ろから胸鷲掴みにしてきやがる」

 

 

ぼそりと呟く旭の言葉の真意を聞けば、出てくる不快な輩の行為の話。

痴漢行為を働いた輩は全てその場で叩きのめして駅員に突き出したらしいが、それでも乗るたびにほぼ確実に会うから最近は電車も使ってないそうだ。

 

 

(運がよかったな痴漢、もし俺がその時その場にいたら貴様の息の根を物理的に止めていたぞ)

 

(たっつんソレ言葉の綾ぴゅんよね?ガチで実行しようとしないぴゅんよね?)

 

 

怒りを堪え、旭に気取られないよう浅く深呼吸しながら強くそんなことを考えるとぴゅんぴゅんから念話で突っ込みが入る。

どうやら殺意と思考が強い余り、念話として思考が漏れてしまったようだ。気をつけねば。

 

 

「お、電車来たな。乗ろうぜたっつん」

 

「ああ、しかし人が多いな。休日だからしょうがないかもしれないが」

 

 

到着した電車に乗り込む俺と旭だが、満員と言わずともそれなりに人が乗り込んでいる。

車両の仲は冷房が強く設定されているのか暑苦しいという事こそないものの、自由に身動きが取れるとも言い難い数だ。

 

目的地まで車両入口反対側の扉は開かないそうなので、俺は旭の手を引いて進むと反対側のドア脇に旭を立たせる。

 

 

「どんどん人乗ってくるなぁ、たっつん大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

駅に着くたび人が増えるも、俺は人込みと旭の間に防壁のように立つことで彼女が潰されないようにする。

問題があるとすれば旭と真正面から向き合う形になり、可愛らしい顔立ちと豊満な胸が同時に視界に入る事ぐらいだが……。

 

苦難など母さんを連れてドイツに行ったときに、異母兄弟姉妹やクソ親父を相手に激闘を繰り広げた時にこれ以上ないぐらい味わっている。

この程度の事を耐えるなど造作もない。

 

 

「うわっ!」

 

「ぐ、ぬぅ」

 

 

しかしその瞬間大きく電車が揺れ、俺はびくともしなかったが旭がよろめき俺の体にぶつかる事で彼女の豊満な胸が強く押し付けられる。

この程度の苦難、造作もない。造作もないのだ。

 

 

「わ、わりぃたっつん。大丈夫?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「ソレ大丈夫じゃないときに言うヤツじゃん」

 

 

大きく胸が変形するほど押し付けられ、思考が我ながらしょうもない方向に行こうとする中旭が謝りながら慌てて離れる。

咄嗟に返答する俺であるも、動揺してるのを気付かれたのかジト目を向けられた。

 

 

(旭は親友で元男、旭は親友で元男)

 

(たっつん、マジで申し訳ないぴゅん。ぴゅんぴゅんはとんでもないモンスターを作り出してしまったぴゅん……)

 

 

内心でクソ親父を無限に殴りながら自身へ言い聞かせると、ぴゅんぴゅんが詫びの念話を入れてきた。

こいつも旭の無自覚行動に苦労してるんだな、本当に。

 

 

「駅に着いたな、降りるぞ」

 

 

何とか気を取り直し、俺は旭の手を引いて満員電車から降りる。

 

 

「へへへ、久しぶりに痴漢に遭わずに済んだぜ。ありがとなたっつん!」

 

「……旭、その無防備さを少しは直さないと本当に大変な事になるぞ、お前」

 

「えー?」

 

 

心の底から快適だったと言わんばかりに言い放つ旭に、俺は思わず頭痛を堪えながら呟く。

このアホはマジで自身の見た目と体型を考慮してねえ、なまじ普段から鏡などで見ているからかそれとも愛らしい魔法少女と自身を比べて問題ないと思っているのか。

どっちが正解かは定かではないが、とにかく無頓着すぎる。

 

しかし気を取り直そう、プールで物理的に頭と体を冷やせば少しは俺も落ち着く筈だ。

 

 

「いやー、楽しみだなプール!」

 

「そうだな、優待券をくれた友人とやらには今度お礼を言わないといかん」

 

「いや気にしなくて良いと思うぜたっつん、もしかするとどこかでオレ達を見てるかもしれん」

 

 

駅から数分も歩けば、最近オープンしたばかりの大型屋内プール施設が見えてくる。

ちょっとしたテーマパーク並に広い施設でオープンしたばかりと言う目新しさもあってか、かなりの人入りだ。

 

一方で旭は優待券をくれたという友人が隠れてないか周囲をきょろきょろと見回している。

その際旭に視線を向けていた周囲の男達が慌てて視線を外しているが、どうやら目的の人物は見当たらないらしい。

俺も気取られない程度に気配を探るが、いかんせんこちらに注意を向ける人間が多いからか俺の方でも特定に至らない。

 

 

「じゃあ着替えたらここのベンチで集合な!」

 

「更衣室から近いここか、わかった」

 

 

施設内マップを見ながら集合場所を旭と打ち合わせし、一旦別れると俺も男性更衣室へ足を踏み入れる。

かなりの人だが幸いすぐに空いているロッカーを見つけたのでその中に持ってきたバッグを入れると、持ってきた水着に着替え上から防水性のパーカーを羽織る。

 

施設に入る前に物販品購入用金額をチャージしたリストバンドを手に着けつつ更衣室から出ると、集合地点のベンチへと向かう。

人が多いが、俺は周囲より背が高く目立つから旭もすぐに見つける事が出来るだろう。

 

 

「あのーお兄さん、おひとりですか?」

 

「キャー、すっごい体!」

 

 

独り旭を待っていると、知らない女性の声に呼ばれてそちらへ視線を向ける。

ショッキングピンクの水着を身に纏った女性二人組のようだ、はしゃぎながら人の体に触れようとしてきて不快なので身を引いてその手を躱す。

戦いの果てに俺の体は確かに鍛えられた、出来ていた傷跡も今日に備えて消してあるから問題はないはずだが。

 

 

「人を待っているんでな、他を当たってくれ」

 

「えー!いいじゃないですかー!」

 

「そうですよ、お友達も一緒に楽しみましょう?」

 

 

全力で近付くなと圧を放つが女性二人組は気づいてるのか気付いてないのか、ぐいぐい来る。

いい加減鬱陶しいので、強めに言って追い払おうと考えた時。

 

 

「わりーたっつん!待たせたー!」

 

「来たか旭、気にする……」

 

 

プールでも使える防水性の小さな肩提げ式バッグを揺らしながら、水着を身に纏った旭がこちらにかけてくる。

いつもは肩口辺りまで伸ばしてる髪は泳ぐときに邪魔にならないようにするためか、軽く上に上げて止めており。

 

彼女の豊満な胸を包み込んでいるのはビキニ仕様の水着で、下に着用している水着もまた太腿が露わになっていて眩しさすら感じる。

女性っぽくない格好を好まない旭であるが、そんなものを着用しているのは水着を一緒に選んだ友人の手によるものかはたまた彼女の胸が収まるサイズの水着が他になかったのか。

どちらにせよ、一瞬絶句した俺に旭は気まずそうに笑う。

 

 

「やっぱ際どいよなこの水着、友人がどうせなら一番似合うのを選んで差し上げますわ!とか言うから断れなかったんだけど……」

 

「き、気にするな旭。似合っているぞ」

 

 

いつも以上に周囲から男の視線が旭に集中している事に気付くと、俺は羽織っていたパーカーを脱いで旭に羽織らせる。

こいつの性格からするとパーカーぐらい意地でも用意しそうだが、なかった辺り友人の入れ知恵か何かだろうか?

 

何か釈然としないが、良いモノを見れたという欲望は否定できないのでその友人には幸あれと祈っておこう。

 

 

「うっわ、すっげーでけーなこのパーカー」

 

「それなら肌も隠れるし回りやすいだろ、行こうか」

 

 

袖余りになったパーカーに旭がはしゃぐ中、俺は彼女の手を引いて歩幅を考慮しながら歩き始める。

先ほど俺にしつこく言い寄っていた二人組もおとなしくなっているので、騒がしくなる前に退散するのが吉だ。

 

 

「たっつんたっつん!飛び込みやろうぜ!」

 

「やめておけ、お前は確かに運動神経は良いがあの高さはさすがにまずいだろう」

 

 

水深5mのプールと高い飛び込み台を指さしてはしゃぐ旭を押し留める。

コイツは確かにアホで成績は良くないが運動神経だけは良い、だがそれを差っ引いてもあんなものをさせるわけにはいかない。

 

 

「たっつん割と過保護だよなー」

 

「お前が考え無しすぎるんだよ」

 

 

折衷案として流れるプールに入り、施設係員の案内の元二人用のビニルボートに乗り込む。

乗った後に気付いたが、二人用のビニルボートに乗ってるのはカップルだけだった。

 

 

「おー、すっげぇ!きもちいいー!」

 

 

思わず気まずくなるんじゃないかと思う俺を他所に、旭は無邪気にはしゃぎ時折跳ねて顔にかかる水に歓声をあげていた。

今俺は心の底から、こいつがアホでよかったと実感している。

 

なんであれ変に意識して、関係性が壊れる事だけは俺もしたくないから。

 

そして流れるプールから出れば、次は波が出るプールへ移動する。

 

 

「波が出るプールで遊ぶなら、素直に海へ行く方が楽だと思うのだが」

 

「わかってねーなーたっつん、こういうプールで波を楽しむからいいんだよ!日焼けもしないし」

 

「そうか」

 

「日焼け止め塗ったりとか面倒なんだぜ?背中とか友達に塗ってもらえばいいけど、呼んでもないのにチャラ男が群がってくるし」

 

「そこまでは聞いてないぞ旭」

 

 

旭は旭で女の子になって色々苦労を抱えているらしい。

だが旭よ、お前は思い違いをしている。

 

 

「へーい彼……ひぃっ?!」

 

 

何かしらで俺が少し離れた瞬間、軽薄そうな男は欲望を丸出しにしながら旭にちょっかいをかけようとしているぞ。

その都度ごとに、軽く殺意を込めて睨んでやれば顔を青くして腰を抜かし這いつくばって逃げていくから旭は気付いてないようだが。

 

 

(だが睨むだけで逃げるとか、見た目通り覚悟も何もない軽薄な連中だな)

 

(たっつん、小動物どころか野生動物すら眼光だけで殺せそうな殺意を堅気に向けといて考える言葉じゃないぴゅん)

 

(心臓止まるほどの殺意を込めてないから問題ないだろう)

 

(その発想出てる時点でたっつん正気じゃないぴゅんね?)

 

 

ぴゅんぴゅんから念話で突っ込みがくるが、死人が出ていないから問題はなかろう。

俺は正気だ、何もおかしい事なんてない。

 

 

「なーなーたっつん、アレ乗ろうぜアレ!!」

 

「あ、ああ」

 

 

何か目新しいモノや出店を見るたびに俺の腕を取って引っ張り、自覚してるのか無自覚なのか知らんが豊満な胸を押し付けてくる旭に思うところがないわけじゃないが俺は正気だ。

俺が正気だと自身を定義したら、正気という事だ。我思うが故に我あり。

 

 

(どこからどう見ても正気じゃないぴゅん)

 

(黙れ小動物)

 

 

念話でぴゅんぴゅんからの突っ込みに返しつつ、俺は旭に引っ張られて彼女が興味を示した大型のウォータースライダーへ向かう。

子供向けから大人向けまでいろんなコースパターンのあるウォータースライダーのようだ。

 

とりあえず旭に何かあってはいけないから優しいコースパターンに並ぼうとしたが、旭は俺を引っ張って一番激しいコースパターンの列に並ぶ。

そう言えばコイツ、絶叫マシーンとか大好きだった。

 

 

「へへへ、楽しみだなたっつん!」

 

「そうだな」

 

 

色々言いたい事はあるが、心から楽しんでいるのがわかる旭の表情に俺はそれ以上言えなかった。

そうしてる間に列は進み、俺達の番が来る。

 

 

「じゃあ先に彼氏さんから行って下さい、彼女さん受け止めをお願いします」

 

「ばっ?!たっつんは彼氏とかそんなんじゃ」

 

「わかった」

 

「たっつん!?」

 

 

施設職員が促すまま俺はウォータースライダーを降る。

水流に導かれるままに俺は軽く三半規管を揺さぶられながらも、平衡感覚を喪う事なくコース終点であるプールに着水。

 

 

「なるほど、コレは下手な絶叫マシーンよりも壮快だな」

 

 

旭の無自覚な密着で茹っていた思考が、プール着水の衝撃と冷たさで落ち着きを取り戻していく。

 

 

(我ながらどうしようもない醜態を晒した、ここから先は俺に動揺はない)

 

 

思考しつつ段々近付いてくる旭の悲鳴交じりの歓声にそろそろ来るかと判断し、彼女を受け止める体勢を取ると勢いよく飛び出てきた旭が俺の体にぶつかり。

二人してプールにもんどりうって倒れ込む前に衝撃を逃がしつつ、彼女を抱き留める。

 

 

「ふひゃぁ!? へへへ、すっげー楽しかった!」

 

「そうか、それは、よかっ、た……?!」

 

 

小柄ながら柔らかい旭の感触にまた思考が茹りそうになるが、頭を振って冷静さを引き戻して彼女の体を見下ろすと。

 

旭の上の水着がどこかに消えており、桜色に自己主張している胸の先端の突起が丸見えになっていた。

咄嗟に俺はパーカーを羽織らせようと考えるが、パーカーはウォータースライダーに乗る前にスライダー入口に預けていてない。

 

 

「どうしたんだよたっつ……わ、わぁ?!」

 

 

咄嗟に旭を抱きしめて身を屈めてプールに首から下を隠しつつ、ウォータースライダーを降りてくる人物に当たらないよう注意しながら移動する。

ぴゅんぴゅんに水着の場所を探らせようとするが、パーカーと同じようにスライダー入口にぴゅんぴゅん入り鞄を預けているからそれもできない。

 

 

「あ、ご、ごめんたっつん。ありがとう」

 

「気にするな、それよりもプールの中に隠れていろ。職員にタオルを持ってくるよう頼んでくる」

 

「わ、わりぃ」

 

 

俺は目撃してしまった露わになった旭の豊満な乳房を思い出さないよう、自己を律ししながらプールの片隅へ旭を誘導する。

 

何のかんの言ってハプニングこそあったが、ここで終わっていれば夏の日の思い出の一つで終わっただろう。

しかし、俺と旭の関係性を大きく左右する事件が発生してしまう。

 

 

「ヒーッヒッヒッヒ!随分人間がたくさんいるッヒねぇ!ソウルパワー取り放題!!」

 

 

施設内部に黒いゲートが現れ、中からヒトデと人間を合体させたかのような怪人が現れたのだ。

コレが一人でいる時ならば、すぐにでも移動できるのだが……。

 

 

「くっそジャークめ、こんな時まで来るんじゃねえよ。たっつん、逃げるぞ!」

 

 

今は旭が一緒にいる、こいつも本当はさっさと変身して戦わないといけないのに俺を逃がすことを優先している。

彼女に正体を明かせられたらいいのだが、そうするわけにはいかない。

 

 

「掴まっていろ旭!」

 

「お、おう!」

 

 

俺は旭を抱き上げると、彼女の露わになっている胸が見えないよう注意しながらプールから飛び上がるとプールサイドに着地。

体に押し付ける形になった旭の胸の感触にどぎまぎしつつも、出現した怪人に人々が逃げ惑う間を縫って走り始める。

 

 

(とにかく旭を更衣室かどこか、人目につかないところへ運んでから俺も離れねば)

 

 

俺がドイツ……いや、クソ親父の領域からこの町に帰ってくる時につけられた条件がある。

俺は家族以外に正体を知られてしまったら、クソ親父の領域に戻らないといけない。

 

ドイツと旭や周囲には言っているが、一度戻ればもう俺は人間社会に帰る事はできないだろう。

ソレだけは俺は、何としても避けたかった。

 

 

 

 




【悲報】たっつん、割といっぱいいっぱい【無自覚TS魔性女の毒牙】
というわけでたっつん視点で水着回をお届けしました。

ちなみに旭は旭で、ギャルに言い寄られてたたっつんを見てめっちゃもやもやしてたりします。
めっちゃ積極的にくっついたり腕を引っ張ったのはその影響ですね。
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