凪の気分を ~先輩の妹が何だかしつこい上に周りの女子もおかしくなってきたような~   作:冴木甲士

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第152話 効率的

 文化祭が近くなり、準備中の学校が賑やかになってきた。

 俺のいる二組は今年もお化け屋敷をやることに決まり、本日はその準備。

 去年と同じ要領で道具をセットしていくだけなので前よりは楽に作業ができた。

 

「黒山君の作った道具、どれもすごいクオリティ高いね」

 俺の隣で作業していた春野が完成した小道具の一式を見てそう評価した。

「そうか?」

「その道のプロになれそう」

 加賀見、文化祭の出し物の小道具を用意するプロって何なんだ。どこの誰がそれにお金を払ってくれるんだ。

「でもホントすごいよねー、これ」

 日高が俺の作った、火の玉の模型を手に取ってしげしげと見つめる。お、鑑定してくれるのか。いくらで買い取ってくれるのか楽しみだ。

「去年の準備でも見たけど相変わらず器用なんだね」

 そう言えば安達とは去年でも一緒のクラスで一緒に準備したんだっけか。

 

 二年二組の教室では道具を準備する班が、どっかから調達されてきた材料をもとにせっせとお化け屋敷用のセットを作成していた。

 俺だけでなくなぜか安達・加賀見・春野・日高も揃って同じ班に振り分けられており、さらになぜか今は俺のすぐ近くで作業をした。

 いやお前ら特別なイベントぐらい他のクラスメイトともっと交流しろよ。

 春野と日高は俺達以外とも交友をちょいちょい取ってるしお手のものだろ。

 安達と加賀見も基本閉鎖的なのは知ってるけどこのときぐらいは違う人達との交流にチャレンジしないと本当に交友広げるチャンスなくすぞ。

 そんなことが頭をよぎったが、コイツらはもう聞く耳持たないだろうなと思って最近は口に出すのもやめている。これが諦めってことなのかな。いや去年の冬ぐらいでとっくに諸々諦めは付いていたんだけどさ。

 唯一の救いは面倒な後輩三人も自分達のクラスの文化祭準備に追われて今この場にいないということぐらいか。

 

 

「……ところでこの機会だから決めておきたいんだけど」

 加賀見が周りの、安達・春野・日高・俺に聞こえる程度の声で呼び掛ける。

 俺達の周囲は準備に追われ作業の話やら息抜きの雑談により喧噪が生まれており、大して周りには届かないであろう。

「どうしたの?」

「今年は回るグループどうしよっか」

 何だそんなもの。

「ウチのクラスで当番決まってるんだからその時々に空いてる奴ら全員で回る、でいいんじゃないのか?」

「……アンタは誰かと二人で回りたいとか特にない?」

「いや、できれば一人で回りたいが」

 二人で、という部分にろくでもない予感が走ったので即座に否定する。

「アンタの場合一人にすると校舎裏で時間潰しそう」

「バカな。さすがにもったいないからラスト1分になったらどっか出し物に行くさ」

「出し物に辿り着く前に終わっちゃうと思うんだけど……」

 春野さん時折おずおずとだけどツッコミするよね。コイツらと付き合い長いからノリに慣れてきたと言われればもっともなんだけど、女子四人でいるときは他三人がそういう役回りなだけに珍しい気分になるよ。

 

「私も黒山と同じ風に考えてたんだけど、どうかした?」

「それでもいいんだけど、去年も同じ感じだったし今年はもうちょっとバラけても新しいと思う」

 ん? 誕生日のプレゼント選びと似たような流れか、これ?

「四人以上予定が空いてたら二人または三人のグループに分かれる、て感じでいくのはどうかなと。で、できるだけそれぞれで違う出し物を巡って特に面白いと思った分を私達全員で情報共有。そうすれば効率的に楽しめるかも」

 効率的に楽しむ、ねえ。娯楽に効率を求める考えは正直俺にはピンと来ない。

 しかし加賀見は前の文化祭でそこそこ評価がアレな出し物に当たった苦い経験から少しでも改善したいと思ったのかもしれない。アレ今年もやってるのかな。

「どう? ムリならムリでもいい」

「うーん……」

「ちょっと考えてもいい?」

「私も、少し時間ちょうだい」

 日高・春野・安達は揃って保留。一人ぐらい加賀見の提案に反対するのが出ると思ってたが、加賀見の意見に一理あると思ったのか即却下みたいなことになってないな。予想外だ。

「黒山は?」

「俺はどっちでも」

 かく言う俺も特にこだわりはなかった。加賀見と一緒にならないチャンスも出てくるけど一緒になったときの密度の濃さ考えると結局一長一短だし。

 




再び予約投稿ミスして通常投稿
次話の投稿は 2026/2/20(金) の予定です。

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