凪の気分を ~先輩の妹が何だかしつこい上に周りの女子もおかしくなってきたような~   作:冴木甲士

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第163話 プレイボーイ

「まあ劇のことはもういいや」

 いいのか。まあこれ以上感想を求められても困るから俺もいいけど。

「じゃあお化け屋敷行こ!」

「どこの?」

 葵がツッコミ。うん、普通の学校だったら多分1~2クラス程度しかないだろうから選択肢なんて基本ないんだろうけど、ウチの学校は特別なんだ。

「全部で6個ぐらいあるんだが目星は付けてるのか?」

「いや特に」

 あっけらかんと奈央。

「一番近くのでいいんじゃないですか」

 適当だな深央。この姉妹普段から深いこと考えずに生きてるのかな。

「何かすごくバカにしてません?」

「いや。何かあまり深いこと考えずに日常を送ってるのかと」

「やっぱりバカ扱いじゃん!」

 おお、何か急に熱が上がってきたな奈央。

 

「胡星先輩も人のこと言えてないですよ」

 ほう、葵。それはどういう意味だろう。

「葵さんも先生のことには詳しいんですか?」

「半年も見てきてると嫌でもね……」

 ため息を吐く葵さんよ。そうしたいのは俺の方だよ。

「まあとりあえずはどこ行くか決めましょ。あまり時間も余裕はないんだし」

 奄美先輩、年長らしくこの場を取り仕切る雰囲気。普段はドジなのにやけにサマになってる。

「そうですね。で、奄美先輩はどのお化け屋敷に」

「一番近くの二年六組のでいいんじゃないかしら」

 言ってることが深央と一緒ですね。つまり無限ループになってません?

 

 

 深央と奄美先輩が同意見となり、他の人達もこだわりがなかったのでひとまず二年六組の方へ向かうこととなった。

 面子は俺・奄美姉妹・岸姉妹の5人だが、なかなかに変わった構成だと思う。ひょっとしたら初めてか?

「昨日はどの出し物回ったんだ?」

「まあ、お化け屋敷は行きましたね」

「やっぱお化け屋敷か……」

「あんなにあったら、そりゃあね……」

「私もこの高校で出す側と見る側をこれでもかと経験したわね……」

 奄美先輩が年季の入った発言。この高校に入ると文化祭の思い出はお化け屋敷が一番人気になりそう。

「やっぱ六組行くのやめるか?」

「いや、別に」

「他の出し物も結構個性的なの多いみたいですし、まずはお化け屋敷を順当に楽しむでもいいと思いますよ」

 うん。ついさっきも奄美姉妹と俺でそんな個性的な出し物を見たばかりだしね。何でこの高校文化祭をまともにできないの。

 

「あ、あの、奈央さんですよね!」

 とここで通りすがりの女子生徒が登場。

 内履きの色からして奈央と同じく一年と思しき彼女は、奈央に目を輝かせんばかりの勢いで話し掛けてきた。

「うん、そうだけど」

「さっきの劇、見てました! とってもカッコよかったです!」

 どうやら観劇を通じて奈央のファンになったらしい。

 今の奈央は男装も解いて普通の制服を身に纏った姿。

 つまりは普段のギャルっぽい格好なわけだが、そう考えるとさっきの劇での凛々しさとのギャップがすごいな。

 

「ゴメン、ちょっと外すね」

 とその女子を連れて少し遠くに移動する奈央。動きが完全にプレイボーイ。いや実際のプレイボーイがこんな感じなのかは知らんけどね。

「すっかり人気者ですね」

「ひょっとして昨日もこんな調子だったのか」

「ええ、劇が終わったらこうやって奈央が話し掛けられるように」

「その調子だとお前も男からナンパされてそうだな」

 男役の奈央が女からモテるんであれば当然ヒロインやってた深央も同じように男からモテそうなものである。

「……どうでしょうね」

「へー、大変そうだね」

 何かニヤニヤする葵。劇とか関係なく男が近寄るコイツにとってはお仲間が増えた感覚なんだろう。

「貴女ほどではないと思いますよ」

「ふーん」

 深央、葵、何か不穏な流れになってないか?

 

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