凪の気分を ~先輩の妹が何だかしつこい上に周りの女子もおかしくなってきたような~   作:冴木甲士

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第164話 的外れでも

「お待たせ」

 奈央がこちらに戻ってきた。奈央と話していた女子は満足したようによそへ行っていた。

「あれ、もういいのか」

「うん、大丈夫」

「てっきり声を掛けてきた女子と二人で文化祭デートする流れに持っていくのかと思ってたんだが」

「んなわけないだろ」

「いつもならそうしてるはずなんですがね」

「おいアホ妹何こんな戯言に乗っかってんだ」

「私達に遠慮することはないんですよ」

「ないから」

 相変わらずな岸姉妹のじゃれ合いを見る。お前ら実は仲いいだろ。

 

「まあまあ、二人とも」

「ホントこの双子ケンカ好きなのね」

 いや貴女達姉妹も人のこと言えてないですよ。俺の誕生日のときとかテスト勉強のときとかで空気悪くなったことあったでしょ。

 そんな人のこと言えない奄美姉妹に宥められ、奈央がバツの悪そうにしつつも

「それよりお化け屋敷行くんでしょ。早くしよーよ」

 と目的地へ急かす。いやお前のせいで足止めされたんだけどね。

 

 

 しかし、この双子の人気ぶりを改めて実感させられる。

 中学のときから見目いいとは思っていたが、高校に入ってそのよさを保ったまま成長し、さらには今日の劇でもメイクでバッチリ仕上げたその姿はなかなかに見応えあった。劇の途中で黄色い声が上がるのも頷ける。

 さっきも葵と話したように劇のストーリーはお世辞にも大したものとは言えなかったが、深央と奈央の二人が主演だったからこそ好評を博したのは疑う余地もなかった。一般のコンテンツでも主演の人のファンだから視聴するって人は少なくないだろうしやっぱ主演って大事だよね。

 この双子、球技大会のときにも男に告白されたっぽいし高校にてこれだけ男女からモテるとなると、中学の頃にコイツらを主人公にと見込んだ俺の判断は的外れでもなかったのかもしれない。今となっては意味ない話だが。

 

 

 さて、お化け屋敷に着いた。

「とうとうここまで……」

「歩いて5分ぐらいしか経ってないんですが」

 ムダ話をしてたらここで奈央が、

「ねえ、2人ずつに分かれて入らない?」

 なんて提案をしてきた。

 

「なぜ?」

「1つの教室でやってるから5人一斉に入るには狭いし、怖い雰囲気もそんなしないじゃん」

 まあ、それもそうなんだろうが俺としてはさっさと済ませたいので一斉の方が楽だな。

「その方がいいかもね」

「私もさんせーい」

「奈央に賛同するのは何ですが……まあ」

「お前だけ一人で行けば?」

 またも双子でケンカになりそうな可能性を秘めつつも、俺以外は賛成側。これじゃ反対してもしょうがないな。

 

「わかった」

「それじゃ決まり! それで早速だけど、奄美先輩は誰と組みたいとか希望あります?」

 てっきりグーパーで決めるかと思いきや、最初は先輩に配慮するのか。悪くない心掛けだな。ぜひともその調子で普段の俺にも配慮してくれ。つまり関わらないで。

「え……そうね……誰でもいいんだけど……」

 この場にいる全員を順に見回した後、奄美先輩は曖昧な返事をした。

 まあ、この人ならそう言いそうだ。内心では葵との組み合わせは嫌がってそうだな。

 

「それじゃ胡星さんは誰がいい?」

 って俺にも聞くのかよ。

 俺は少し考え、

「それなら奄美先輩と組めれば」

 と答えた。

 

「え」

「あら」

「え……」

 奈央、深央、葵はそれぞれ意外と言わんばかりの反応をした。いや奈央は自分で聞いておいてその反応はおかしいだろ。

 

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