凪の気分を ~先輩の妹が何だかしつこい上に周りの女子もおかしくなってきたような~   作:冴木甲士

176 / 176
第176話 劇の意味

 文化祭が終わり、二年二組の打ち上げが行われているファミレスにて、安達・加賀見・日高は同じテーブルに固まり雑談していた。

「……黒山とリンは結局来なかった」

「まあ昨日今日と働いたり遊んだりしたしね。体調崩すこともあるよ」

「でもリンちゃん大丈夫かな……」

「黒山がいるなら大丈夫でしょ」

 日高は春野が仮病であることを知っていた。

 何といっても前もって黒山と春野が二人になるよう仕向けた張本人である。

 だからこそ、安達と加賀見に対しては勘繰られないように気を付けていた。

 

「黒山君といえば、あの劇ってやっぱそういうことだよね……」

 あの劇、が指す出し物について日高も加賀見も安達とすぐ同じものを連想した。

「うん、まあ……」

「あまり説明はしたくないけど、ナオミオにはそう見えたってこと」

 あの劇こと岸姉妹が主演を張っていた無題の劇は、黒山をモデルにした男が主役の一人だった。

 そうなるともう一人の主役である女子は、岸姉妹がモデルだろう。双子にしなかったのはあまり忠実にやり過ぎると関係ない人まで実際にあった話がもとだと感付かれたくなかったからかもしれない。

 

 そして、あの劇が黒山の件をもとにしているのなら「周りにいる複数の女の人」とは紛れもなく自分達を指していたのだろう。

 あんなの、どう見てもハーレムものの要員達にしか映らなかった。

「男子一人に女子複数人だからね。事情をろくに知らない人にはそう見えるんじゃない?」

「発想が単細胞」

「あんまり気持ちのいいもんじゃないけどね……」

 加賀見の辛辣な感想に日高は思わず笑いそうになったがこらえた。

 安達の方もあの劇のあの演出には思うところがあるようだ。

 

「まーあの劇で客の目を引くための誇張した演出ってだけかもしんないし、あんま気にしなくていーんじゃないの?」

「……うん。所詮劇は劇。ナオミオも悪意があったわけじゃないと思う」

「うん……」

 あまり劇の話題を続けてもいろいろ考えそうになるため、他の文化祭の出し物はどうだったかなどの話題に移った。

 

 

 葵が自宅にて黒山との通話を終えた直後。

「……アンタ、いつになったらベッドから降りるの」

「えーもうちょっとだけ」

 葵は雛の部屋のベッドで寝転んでいた。

 寝転びながら、黒山と通話していた。

 当然、雛には筒抜けだった。

「黒山君も今日は疲れてるだろうからほどほどにしときなさい」

「はーい」

 黒山のことで注意しつつもさっきの通話を止めなかったのは雛もそれなりに黒山の様子が気になるからだろうな、と葵は思った。

 

「それにしても、奈央ちゃんと深央ちゃんのあの劇って何を伝えたかったんだろうね」

「さあね」

 奄美姉妹も日高達と同様、あの劇のモデルはすぐ見抜いていた。

「単にネタがなくて自分達のエピソードを引っ張っただけかもしれないし」

「うーん」

 その線も否定しないが、別の意図もある気がする。

 ただあったとしても黒山への当てこすりとかその程度の軽い理由という感じもした。

 つまり、あまり気にしていても仕方ない気もした。

 

「次に大きい行事はクリスマスかな」

「ん……まあ、ぱっと浮かぶのはそんぐらいかな。」

 少し思案顔になった雛がそう答えた。

「それがどうか……って黒山君と出かけるんだっけ」

「うん、そう」

 今のところはその予定だ。

「……まあ、楽しめるといいんじゃない?」

「うん、お姉ちゃんにもお土産買ってくるよ」

「要らない」

 (きた)る聖夜に向けてそろそろスケジュールをちゃんと組んでおこうか、と葵は検討に入った。

 




最新話の投稿のペースについて2~3日に1回に変更したいと思います。

また、次話以降は人を選ぶかもしれない展開が続く見込なので、ご留意いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする(作者:烏丸英)(オリジナル現代/恋愛)

尾上雄介は、ある日の休日にクラスメイトの七瀬ひよりが幼馴染の江間仁秀を問い詰めている場面に遭遇する。▼実は二人は一年前からこっそりと付き合っていたのだが、仁秀は同じ時期に他の女子とも付き合い、ひよりに二股をかけていた。▼開き直った仁秀から最低な言葉を浴びせられ、傷心のままにその場を飛び出したひよりを放っておけなかった雄介は、彼女を追って話をすることに。▼この…


総合評価:3683/評価:8.13/連載:426話/更新日時:2026年03月30日(月) 07:30 小説情報

貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。(作者:はめるん用)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

いつの間にかウマ娘の世界に転生した貴方は、何故か身に付いていたチート能力を駆使してウマ娘のトレーナーとなり大金を得て好き勝手に生きることを思い付きます。▼そして、いざトレーナーの資格を獲得し、これから中央トレセン学園で面接が始まるというタイミングで貴方は気が付いてしまいます。▼「そもそもチートあるんだから、わざわざトレーナーになって働かなくてもよくね?」▼さ…


総合評価:90732/評価:9.2/連載:223話/更新日時:2026年05月06日(水) 21:14 小説情報

転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする(作者:popoponpon)(原作:ブルーアーカイブ)

いろんな娯楽はあるけど前世の娯楽もこの世界で楽しみたい!ということでTS転生したけど諦めずに自分の好きなものを作っては皆で遊んだり、本編に絡んだりしてくる女の子、夢見モルフォのお話。


総合評価:14336/評価:8.79/連載:240話/更新日時:2026年08月04日(火) 12:00 小説情報

家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~(作者:水瓶シロン)(オリジナル現代/恋愛)

「ぎゅって、して……?」▼「構ってくれないと闇落ちしちゃうよ……?」▼ 高校入学を機に一人暮らしを始めた『御守望』は、青春を勉強とバイトに費やすような限界貧乏生活を送っていた。▼ 幼くして両親を失っている望が頼れる人は、田舎に住む祖父母くらいだが、なるべく負担は掛けたくない。▼ そのため、睡眠時間を犠牲にして死に物狂いで勉強することによって好成績を維持し、入…


総合評価:4864/評価:8.73/連載:89話/更新日時:2026年07月03日(金) 12:07 小説情報

TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA(作者:佐遊樹)(オリジナルファンタジー/コメディ)

悪役令嬢にTS神様転生して実は善人だけど追放されるRTAの様子を配信しようとした。▼気づいたら金!血筋!権力!女!女!イケメンヤンデレ!暴力!暴力!暴力!って感じの異世界ライフを送る羽目になっていた。▼そういう感じのお話。▼小説家になろう様とのマルチ投稿です。▼一迅プラス様にてコミカライズ連載中です。▼エンターブレイン様より書籍版が発売中です。


総合評価:46840/評価:9.1/連載:196話/更新日時:2026年04月25日(土) 19:23 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>