真剣狩るなのは   作:kouji

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管理局の依頼

今日は久しぶりに依頼でこっちに来ている。

 

先日ある依頼が来た。何でもかなり進行した癌の治療用に「腫瘍フィッシュ」を用立ててほしいそうだ。管理局からの依頼だが、士郎さんからどうしても、と頼まれたので店を休んでこっちに来ていた。

 

まあ、士郎さん起っての希望、と言ったが、実際はなのはちゃんが頼んだのが真相だと桃子さんに聞かされた。

 

流石に進行状況などなど診察しないことにはということで管理局のあるミッドに行ったが、案内されると、行き先は病院は病院でも犯罪者が収監される病院に案内された。

 

ココでの立場は「管理外世界」の「治療師」で「特別協力官」とかなんとか。

 

患者はかなり進行した癌で、余命はもって数ヶ月。かなり無理をしていたようで地球より進んだ医学をもつミッドでも手術は無理なようだ。

 

強制的に眠らされているようだが「アリ・・・・・・ア・・シア。」と言葉がもれていた。詳しいことはさすがに機密だろうから聞かないが、患者は

 

 

プレシア・テスタロッサ(59)女性 魔導師 

 

 

この情報だけでも口にしないよう注意を受けた。奴(やっこ)さんは結構なことをしでかしたらしい。

 

さて、ココまで進んだ癌だとそれなりの数と質を用意しないといけない。しかも早急に。癒しの国ライフで購入はかなり難しい。進行を遅らせるために仮死状態にするように手配してもらう。

 

「ちょっといいかい?」

 

珍しい人からお呼びがかかる。なのはちゃんがお世話になったって言うクロノ・ハラオウン執務官だったか?

 

「初めまして、クロノ・ハラオウンです。よろしくお願いします」

 

さすが執務官ともなると、若くとも確りしたモノだと思う。軽く自己紹介。

 

「どうだろう?彼女はどうにかなりそうかい?」

 

「ええ、もう少し進行していたら流石に体力的なもので無理でしたが、今ならなんとか」

 

「そうか・・・・」

 

「どうかしたんですか?」

 

「いや、彼女は重要な参考人でね」

 

そういうと複雑そうな顔をして「フェイト・・・・」と呟きながら行ってしまった。

 

 

 

 

 

さて、癌治療用の「腫瘍フィッシュ」となると、行き先はIGO(国際グルメ機構)の運営するビオトープに行かなければならない。腫瘍を食べるものなど流石に自然界にいない。あれは人の手によって生み出されたものだ。

 

マンサム所長に話を通しておかないと、と考えつつIGOへ向かった。

 

「え?ハンサムだって?」

 

「いえ、誰も言ってませんが・・・・・」

 

お馴染みのやり取り後、許可をもらったが余計な頼みごとまでされてしまった。

 

気を取り直し、ビオトープに向かう。このビオトープは人工の海を造り、そこに多種多様な生き物が住んでいる。捕獲レベルのアベレージはレベル5から始まり最高は60までになっている。

 

今回の獲物「腫瘍フィッシュ」は「温泉鮫」とセットになっている。普段は「温泉鮫」の体内にいるが「温泉鮫」が海面に出て背中の穴に温泉をためている間のみ外に出る習性な為、小型の「温泉鮫」を見つけ、尚且つその体内に「腫瘍フィッシュ」の有無を確かめないといけない。

 

ミルクを吹き上げる「ミルクジラ」を横目にさっそく捕獲にとりかかる。

 

専用のデバイスから「酸素の葉」を取り出し海へダイブした。

 

海の中には「いかまぐろ」やら秋刀魚、アジなど季節問わず様々な魚介類がいる。遥か遠くで潮を吹いたのはきらきら光る「純金クジラ」だろうか?

 

目的の「温泉鮫」はもっと深い所か、運がいいなら海面に出ていることだろう。今回は時間が無いということで餌を用意した。これである程度確立はあがるだろう。

 

 

 

 

「大丈夫か?フェイト」

 

「クロノ・・・・・」

 

数日前、プレシアの容態が悪化してからと言うもの、フェイトは塞ぎこんでしまった。あれだけひどい扱いを受けても彼女にとってはプレシアは母親ということなのだろう。

 

「大丈夫」なんて言ってはいるが眼の下にはうっすらと隈ができていて、痛々しい印象をあたえた。弱弱しい笑顔もその一因となっている。

 

それに、プレシアは今「仮死」状態で面会をすることもできない。だからといって彼に依頼したことはフェイトに話すことはできない。

 

彼は大丈夫だといったが保障はできかねる。今の彼女に希望を持たせ、それがだめだった場合今度こそ彼女は壊れてしまうだろう。

 

今できるのは根拠の無い「きっと大丈夫」の一言を言うことだけだった。

 

 

 

 

 

「ちょ!?暴れるなコノ!」

 

数箇所に餌を撒くこと数時間。魚にクジラに、亀、海蛍、おいおいおいおい、餌に寄ってきた魚に「ワーナーシャーク」までやってきやがった。

 

「って!?こっちに気づきやがった!」

 

急いで海上へ離脱を図る。捕獲レベル53の「ワーナーシャーク」と海の中で戦闘など御免だ。できなくは無いが正直、面倒だ。

 

海上へ出ると同時にデバイスからノッキング銃を出す。素手で押さえつけノッキング。鮫肌が痛い。

 

駄賃代わりに歯をいただく。ついでに海蛍も捕獲。うちの店のアクアリウムに一匹欲しかったところだ。歯はあとで買い取ってもらおう。

 

よし!

 

結論から言うと、あっさり「温泉鮫」は捕獲できた。ぶっちゃけ餌は全然関係ない。海面にいた。あっさり居た。餌、意味なかった。

 

「ふっ・・・・・・」

 

かなりむなしい。

 

しっかりと「腫瘍フィッシュ」も確認がとれた。納得いかず、一時間ほど海岸で「スウィーツサンゴ」をぽりぽりと齧っていたが、いつまでもそうしているわけにもいかずマンサム所長へ挨拶に行く。

 

「え!?ハンサ「言ってません」・・・そうか」

 

相変わらずのやり取り。ついでに「ワーナーシャーク」の歯をかなり安く買い取ってもらう。頼まれた生態系の調査レポートはあとで出すことを話しミッドへ急ぐことにする。

 

 

 

 

「オーライ、オーライ!」

 

銭湯の風呂並みに大きい水槽が運ばれる。中には「温泉鮫」が入っている。

 

流石に病院内ではなく、管理局の施設のひとつを使っている。現場ではプレシアさんが水着を着て女性職員と待っているそうだ。

 

現場に到着し、プレシアさんを「温泉鮫」に入れる。今回は意識はあるようだが、なにかぶつぶつと呟くだけで眼に力が入っていない。死んだ魚のような目をしている。

 

「アリシア」という単語を永遠ぶつぶつと。これは果たして治療する意味があるのかと・・・。

 

仕方ないので女性職員と会話を交わす。名前はエイミィさんだそうだ。一時間が経ち、一回目の治療が終わる。「腫瘍フィッシュ」たちも、それほど多くの量は入らない。

 

また明日の治療の時に、と言ってプレシアさん達は病院に帰っていった。

 

 

 

 

 

「すごい・・・・」

 

「確かに腫瘍の数も大きさも違う」

 

私、エイミィ・リミエッタはクロノ・ハラオウンと共に、プレシア・テスタロッサの治療に関してのレポートを作成していた。

 

あの魚の治療は、正直言って眉唾物と思っていた。今のミッドの医療でどうにもならないものが管理外世界の、しかも魔法も無い世界の物だと知り効果は期待していなかった。

 

コノ分なら、後数回の治療で完治するだろう。ふと、フェイトちゃんの顔が浮かぶ。はたしてこの結果はあの子のこれからに、プラスとなるのだろうか?

 

クロノと私はプラスになるように、と心から願うことにして、レポートの作成にかかった。

 

 

 

 

 

さて、今回コレが最後の治療だ。プレシアさんもエイミィさんも「温泉鮫」の背で湯に浸かっている。

 

流石に気になり、今回初めてプレシアさんに話しかけてしまった「アリシアって子がどうかしたのですか?」と。

 

そこで急に下を向きぶつぶつと言っていたプレシアさんが初めてこちらに眼を向き、ぽつぽつと喋りだした。

 

「アリシアは私の娘。あの事故で死んでしまった・・・・・まだ五歳だったのに。死んでしまった・・・・いえ、私が殺したようなものよ」

 

そう言って泣き出してしまった。

 

「あぁぁぁぁ・・・・そうよ、死んでしまった。そして・・・・フェイト・・・・アリシアの代わりに・・・ち、違う・・・あの子は、本当はアリシアの妹になるはずだったのに・・・・あぁぁぁぁ!!!!」

 

「お、落ち着いてください!」

 

「あぁぁぁあぁぁぁぁ「シュコン!」ぁぁ・・・・・・・」

 

ふう、と一息。ノッキングの要領で軽く眠ってもらった。

 

こんなことになるとは。しかも機密事項だと思われる話の尻尾がちらちら覗くお話を聞いてしまった。

 

エイミィさんの視線が痛い。もう物理的な質量をもっているんじゃあないかと。

 

「私はプレシアさんを病院へ連れて行きます。後のことはハラオウン執務官の指示に従ってください」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、エイミィから話は聞いた。・・・今から話すことは独り言だが・・・・コノ建物内で聞いた話しは他言無用だ」

 

そういって話し始めた。

 

簡単に説明すると、プレシアさんは過去の実験で娘を亡くし、代わりにクローンを創ったが、当たり前だが、亡き娘ではないと苦しんだ挙句、絶望して発狂、犯罪を犯し今に至る。と言うことらしい。

 

重い。思いが重い。流石に犯罪に関しては詳しく話さなかったがアリシアちゃんに関しては話してくれた。

 

今現在、病院の地下施設で今もポットの中に入っているらしい。死んだ直後の状態を維持し続けているらしい。

 

うむむぅ・・・死んだ直後ならもしかしたら・・・アレがてに入ったのなら救えるかもしれないなぁ。しかし、口には出さない。アレは手に入るかわからないし、手に入ったとしても伝承通りの効能をもっているかもわからない。

 

しかし、アルハザードよりは信憑性があるかもしれない。

 

ここで話は終わり。クロノ執政官も仕事があると帰ってしまった。

 

 

 

 

数日後、プレシアさんの経過を診ると言う口実で病室に居る。

 

癌の病巣は完治。血色も良いとは言えないが悪くも無い。精神状態は・・・・・眼に狂気は無い。しかし生きる気力と言ったものもない。

 

今は病室に二人きり。少し話しかけてみようと思う。コレは偽善と言われそうだが知ったこっちゃないので。

 

「今から言うのは独り言なんだが、先日、管理局内でフェイトと言われる子を見たんだが若干疲れたような顔をしていた」

 

ピクッと反応する。食いついたなぁ。と心の中で思う。

 

「しかし、母親の病気が治ったと聞いたらしく今日は笑顔を見せていたなぁ」

 

ここで室内の雰囲気がふわっと軽くなった気がした。プレシアさんもこっちに耳を傾けているようだ。

 

「あと、近々裁判があるらしい。ジェルシードがどうとか耳にしたなぁ」

 

「知り合いの子がフェイトちゃんとお友達らしくてなぁ、なにやらビデオレターを渡すと言ってたなぁ」

 

ピクピク。

 

 

 

(まだあの子は私を母親だと思ってくれているのね・・・・・)

 

「あと、近々・・・・」

 

(裁判・・・あの子は軽く済むでしょう。私がすべての元凶なのだから)

 

「知り合いの子が・・・・」

 

(あの子にも友達と呼べる子が出来たのね・・・・今更母親のようなことを思ってもね・・・・)

 

「コノ子なんですが良い雰囲気でね?いいパートナーになるんじゃあないかなぁ」

 

(フェ、フェイトにパートナー?さ、流石にまだ早いんじゃあな、ないかしら!?)

 

「でもなぁ、あの子犯罪者でしょ?あんまり関わってほしくないんだよなぁ」

 

「あ゛ぁ゛?」

 

「・・・・・これで独り言はお終いかなぁ」

 

(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「プレシアさん。あなたの体は完治しています。これからは体に気をつけてください。あと、お顔がスゴイ怖いですよ?では、お大事に」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで依頼は終了。代金をいただき店に戻るとしますか。

 

 




以上!どうでしょうか?誤字脱字、報告は感想まで!
コノ物語は一部捏造、作者の妄想が含まれております。原作を知らない作者はこれが精一杯です。ご容赦ください。







お・ま・け

「失礼します」

「あ・・・・・」

「・・・・・人形が何の用かしら?」

「ッ!?」

「あなたに言いたい事があって無理を言ってここに来ました」

「そう・・・・・で、なにか?」

「ッ!・・・・私は確かにアリシアではなかったかも知れないけれど・・・・私はあなたのプレシア・テスタロッサの娘のフェイト・テスタロッサです!!」

「そう・・・・・はぁ・・・・本当に馬鹿ね。こんな最低の母親なんてさっさと見捨てればいいのに」

「グスッ・・・・それでも私にとっての母さんは一人だけだから・・・・・」

「そう・・・・」

「勝手にしなさい」

「え?」

「今更母親面するなんてできないわ。ただ・・・・アリシアではない。でも、確かに私の娘ね・・・・・」

「ッか、母さん。グスッあぁ!あぁぁぁぁぁ・・・!!!」

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