東方学園録~百合とニコ厨と妖怪達~   作:八紅星香

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1 『外来人の少女』

 合格100%だと先生に太鼓判を押された高校を滑り止めと共に落ちた。

確かに勉強せずに東方とか東方とかニコ動とかばっかやってたけど小学生でも受かると言われている馬鹿高校だぞ?笑えちゃうね。

そして何故か受験した覚えもない高校から合格したという通知が届いた。

その名は――

 

――「幻想学園」。

 

「マジかよ…… 明らかにゆかりんの仕業だろ」

謎の合格証とともに送られてきた入学案内を見てぽそりと呟く。

『地底冥界人間妖怪の山。入り乱れて学園生活してみませんか?』というキャッチコピーの小冊子には、明らかに幻想郷の人間に向けられているであろう注意事項とか、『人肉食べ放題!』などというおぞましい言葉が記されていた。

 

 ……まあ、内心飛び上がりそうなくらい嬉しいのだが。

だって幻想郷の少女たちに会えるんだよ!? 嬉しくないはずがない。とりあえず私は嬉しい。

一つ懸念するとすれば食糧としてあちらへ運ばれることだけど、仮にも『入学案内』と言う名の届けが届いていること出しそれもないか。

 

というかここに行くしかないのだ。一浪したくなければ。助け船だと私の両親は暢気に狂喜乱舞してるし。

そんな事を考えながら資料へと目を落とし、残り一週間となる入学前の心構えを整えることにした。

 

 

 そして来る入学当日。寮と自宅を選べると聞いた私は迷わず寮生活を選択し、無駄にでかい荷物とともに廃線となった駅で電車を待っていた。

昨日来た手紙にここから電車が来ると記してあったのだ。

今更ながら悪戯なんじゃ、と不安に思いつつ荷物を下に降ろした私の目の前を

 

――一陣の紫色の風が奔った。

 

名前は覚えていないが、八雲紫のスペルカード、廃線「ぶらり廃駅下車の旅」に出てきた電車、それも妖しい紫色にカラーリングされた物が私の前に『忽然と』現れた。線路を走ってきたのでもなく。

 

目を丸くしてその場に立ち尽くす私。その前に、人がふわりと降りてきた。

 

 絹糸のように美しい金髪に、妖しい雰囲気を醸し出す謎めいた紫目。艶やかな陶器のように滑らかな白い肌。中華風の白い衣装に身を包み、内心が全く解らないような笑みを浮かべる少女。

 

スキマ妖怪、八雲紫。通称ゆかりん。幻想の賢者。BBAは禁句。

 

断片的な情報が私の頭をグルグル巡る。もしかしたら混乱しているのかも。

 

 そんな私をちらりと一瞥。何かが面白かったのか彼女は少女らしい笑みを浮かべた。

そして、綺麗でよく通る声で云うのだった。

 

「ようこそ、幻想学園へ。貴方はたった一人の外来人枠に選ばれました!」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そんな彼女が紫とともにスキマで学校に着く間、幻想学園は外来人の話で持ちきりだった。

 

 「大体霊夢や私くらいの歳らしいぜ」

そう椅子に膝立ちして背もたれに手をかけ自分の席の後ろ、博麗の巫女、博麗霊夢に話しかける魔女服の少女、霧雨魔理沙。共に今年入学したばかりの一年生である。

 

 入学式を終えて、今は転校生を待つ間の自由時間。どの生徒もがやがやと友人と話をしたりしている。

 

「そうなの……? 外来人らしいけどどんな子なのかしら。まあ紫のことだからこの学園に馴染めるような変人なのでしょうけど」

話しかけられた霊夢はそう気怠げに答え、辺りを軽く見回す。

 

 チラと見ただけでも此処の面子は相当強烈だ。博麗の巫女、普通の魔法使いや風祝など。鬼や天狗までいる。

 

「それにしても勇儀は絶対教師役だと思ったんだが…… 何故?」

 

相手に倣うように見回した白黒が正直言って学生という職業自体が似合ってない気がする一つ角の鬼を見ながらぼそりと呟いた。

 

「体育教師候補だったらしいけどカリキュラムに普通の妖怪が耐えられないだろうって……。あと本人の強い希望ね」

 

「『パルスィと一緒が良い』ってか?」

深いため息をこぼす霊夢とは対照的に野次馬的な笑みを浮かべる魔理沙。

 

「全く嫉ましいにも程があるってものよ。橋姫が妬まれてどうするんだか……」

 

そう言い捨て霊夢はさらにため息を重ねる。いくら博麗の巫女と云ってもまだうら若き乙女なのだ。恋人くらいは欲しいのだろう。

 

「私が恋人になってやろうか?」

 

にへらっと冗談めかしてそう言う白黒の頭を容赦なく殴った後、「あんたにはアリスがいるじゃないの。というかあんたと恋人とかこっちからお断りよ」と言い捨てて霊夢は自棄になった不貞寝を始めた。

 

――外来人入学生、七城八鹿(ななしろようか)がこの教室に入ってくるまで、あと30分。

 

 

 

 

 

 

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