東方学園録~百合とニコ厨と妖怪達~   作:八紅星香

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2 『境界の長いスキマを抜けると、そこは幻想郷でした』

なんだかぐにゃっとしたザ・混沌みたいな通路を電車に乗って(この物体必要なのだろうか)ぐんぐんと進んでいくあいだ、私は紫さんから詳しい校則や詳細、規則等を聞いていた。

 

序でに受け取った生徒手帳。そこに書かれた校則の一つ。ちらと見た瞬間に目に飛び込んできたその文章は、他の学校では考えられないような、言ってみれば「常識に囚われない」校則だった。

 

『校則 第3条 この学校では恋愛、不純同性交遊を推奨する』

 

 最初に見た時の感想は「…これ何処の薄い本?」だった。いやガチで。

だって普通あり得ないでしょ?エ○本とかで何回かみたことはあるけど実際無いでしょう?

・・・まぁ。こんな学校があることや、「八雲紫」が目の前にいること自体あり得ないことなのだからこういったことも・・・うん。あるに違いない。

 

 それに私的には大歓迎だし。百合とか百合とか百合とか。

 

重要なことなので3回言いました・・・なんちゃって。

 

「・・・八鹿。着いたわよ? 何をボーッとぶつぶつ呟いているの」

 

紫さんに肩を揺り動かされて現実世界に戻った。どうやらトランス状態で色々と妄想してしまっていたようだ。

 

「す、すみません・・・ ちょっと楽しみすぎて」

 

「変な人ねぇ・・・ まあいいわ。此処に着いてからは貴方の担任に案内させるわね」

ため息を吐きながら私の荷物ごとスキマに消える紫さn・・・って消えるのっ!?

 

一人になった電車内。いつまでも居ても仕方ないので外に出る。

 

――一歩出たそこには、幻想があった。

 

白く美しいまるでアニメの世界のような校舎に噴水。煉瓦が敷き詰められた校舎には授業中なのか人っ子一人通っていない。

 

まさに私立の金持ち高校って感じの建物だった。こんな所に庶民が通って良いのだろうか、と思えるレベルに整備されている。

 

「うーわー・・・」

 

そんな声にもならない感じの声を上げてただただ呆然としている私に、後ろから声が掛かった。

 

「お前が七代八鹿か。少し遅れてしまってすまないね」

 

中性的で人を安心させるような声。振り向くとそこにスラリとしたお姉さんが立っていた。

ただし、七つの美しい毛並みの狐の尻尾付きだったが。

 

間違いなく、幻想郷最強の妖獸、八雲紫の式。尻尾もふりたい東方キャラランキング堂々の第一位(私調べ)。

 

九尾の狐、八雲藍である。

 

好きなキャラなので内心嬉しいのだが、流石にはしゃいだら引かれそうなのでそんな事をおくびにも出さない様に気をつけつつ彼女の問いに答える。

 

「いえ、大丈夫です。貴方が私の担任の先生なのですか?」

 

「そうだよ、紫様…じゃなかった、理事長直々のご命令だ」

 

学園内ではゆかりん、理事長呼びがデフォルトなのね…

次からはそう呼ぶとしよう。

 

「それじゃあ教室まで案内します。ついでに貴方がもらった特典についても話をしておきましょう」

 

そう藍様…いや、先生と呼ぶことにしよう。藍先生はふさふさの尻尾を翻し校舎内へ歩いて行く。

慌ててついて行く私。頭の中には一つの疑問が。

 

『特典』とは一体なんぞや?

 

まさかハワイ旅行とかじゃないだろう。能力とかだろうか…?

 

そうして二人が着いた先は教室ではなくなんだか広い空間だった。

どうやら空間調整がなされているようで奥が見えない。

 

「それじゃあ軽く弾幕出してみて」

 

「無理です」

軽くジャンプしてみて、みたいな軽い口調で言う藍先生に向かって私は真顔で答えた。

なして。 いきなり無茶ぶりぶっ込まないで欲しい。こちとら外の世界のひよっこである。無理に決まっておろう。

 

「大丈夫大丈夫。弾幕を撃てるようになることも特典の一つだから。イメージしてみて」

クスリと笑われながらもそう促され、一番好きなキャラの弾幕をイメージしてみる。

 

広い部屋に大輪の花が咲く。どうやら成功したようだ。

 

そう、私がイメージしたのはゆうかりんこと風見幽香。旧作の頃から私は彼女が一番のお気に入りなのだ。但し実際に会いたくはないけど。

 

「…うん、大丈夫だね。じゃあ、あの的に向かって小さい弾を撃って」

 

彼女は私の弾幕を見ると満足げに頷いてふっと現れた的を示した。

遠すぎて何が書いてあるのかは分からないが東京フ○ンドパークみたいな感じになっている。

 

そこへ私は毎度おなじみ、私的には大妖精のが一番印象に残っているクナイ弾を撃ち込む。

昔からダーツとか得意な方だったので弾は見事に真ん中を射貫いた。

 

「お見事。今ので君のもう一つの特典が決まったよ」

そう言いながら彼女は手をパチンと一つ叩く。すると一枚の羊皮紙が私の手にすぽっと収まった。

 

広げると達筆な文字でなにやら書いてある。どうやら術式…って…!?

 

「ちょっ、藍先せっ…!?」

 

急に手に持った羊皮紙がまばゆい光を放った。溜まらず目を閉じた私の目には、うんざりとした顔の藍先生が焼き付く。

 

――そして、目が覚めたとき、私は「1-A」と書かれた教室への廊下へ立っていた。

 

「目が覚めた? ごめんね、また理事長が… 取りあえず時間がないから運ばせてもらった」

まず目に飛び込んできたのは藍先生の顔(アップ)。心配そうに私の顔を覗いている。

どうやら気絶してしまっていたようだ。というかまた紫か…。結局特典ってなんだったのか。

 

聞いてみたけど藍先生からは適当にはぐらかされてしまった。曰く、「嫌でも教室入ったら分かる」だそうで。

 

不安だ。何か埋め込まれたんだろうか。ス○イヤーズの人操れる石とかか?

それはないか。後自分で言うのもなんだけどネタ古くね?

 

「取りあえず私が呼んだら入ってきなさい、大丈夫。ちょっと人間じゃなくなっただけだからすぐ馴染めるよ」

 

混乱状態真っ最中の私にそんな声を掛けて先生はドアの中へ入っていく…自動ドアなのかよあれ。河童の技術か?

 

と言うかあの狐今人間じゃなくなったとか言ってなかったか… 間違いなく妖怪化だな。うん。

問題はどの妖怪になったかという点。個人的には天狗だったりしたら嬉しいんだけど…。何しろ幻想郷には多くの「その他」、一種一人の種族が居るわけで。見当なんて付くわけ無い。見る限り羽生えたりとか尻尾生えたりとかはしてないみたいだし。

 

まあそれより一番今気になるのは中の様子だ。磨りガラスになってて中は窺えないが声は何とか聞き取れる。どうやら朝のHRの最中のようだ。

 

ざわざわと喧噪が聞こえる。声を聞くのは当たり前だが初めてなので誰が誰だかは全く分からないが「~だぜ」とか聞こえてくるから魔理沙は居るのだろう。ちゆりかもだけど。

 

「さて、君たちも聞いているとは思うけど… 外来人の子が今到着した。入っておいで」

 

八雲藍先生からの連絡事項は終わったらしく、どうやら私の紹介へと場は移ったようだ。

 

正直私が今なんなのか分からないし不安で一杯、としか言いようがないのだが取りあえず呼ばれたからには出て行くしかない。

 

はい、と短く返事をして一歩前へ進む。自動ドアを超えて教室へ。

 

きゅっと小気味の良いローファーの音と共に前に向く。ニッコリ笑顔も忘れずに。

 

しかし、その笑顔は3秒後には崩れ去ることになる。

 

「…鬼?」

という河童、河城にとりの恐縮した声と共に。

 

 

 

 

 

 

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