「ア”〜…今日も疲れた…」
季節は夏。時計は6時半を指しているくせに外はまだまだ明るい。
炎天下の下校庭のトラックを数時間ぶっ通しで走る、なんて単純で、なんて苦しいことだろう。
うちの高校の陸上部は毎年1回は大会でトップ5をとっており、中学の頃より遥かに熱気や本気度が違う。
文化部に入ると全体的にクラスでの評判が地味になるから運動部に入った俺みたいな奴にはキツイ部だ。
まずはネクタイを解きその次にYシャツを脱ぐ、ベルトを外しズボンも脱ぎ少しの涼しさにしばらく浸ったあと、部屋着を着る。
完全にOFFモードの完成だ。
俺の足は一切の迷いがなくベットへと向かった。
今日は課題がない上に明日は朝練がない。
幸せを幸せのままにしたい俺はなにかに引っ張られたかのようにベットへと落ちる、堕ちる。
炎天下の中疲れた体、顧問の厳しいお小言を受けた心、涼しい部屋、落ち着いた空間。
こんな俺がベットへと倒れ込んだらどうなると思う?
答えは簡単、
「Zzz…」
眠る以外ありえないだろ。
✡
「…ぁ?」
白い光の包まれ思わず目を開ける、口からは腑抜けた声が出る。
「どこだここ…」
景色は先程の自分の部屋とは一転、今いる部屋はまるで映画で見るような外国の牢獄だ。ベットは固く、部屋一面が鉄製で廊下側の壁はお手本のような鉄格子となっている。俺自身はどうやらオレンジ色のツナギを着ている
ガチでどこだココ。
「…夢か?」
それ以外ありえない、寝ている間に移動しているだなんて夢遊病か明晰夢しかありえないはずだ。
「最近見た映画の影響だなこれは」
夢は過去にあったことや見たことなどが影響してくる、つまりこの牢獄は先週の土日で見た映画が影響して出てきたのだろう。あの映画は面白かった、特に最後のあの展開は_
[朝食の時間になりました、Dクラス職員の皆様は直ちにサイト-19、第■食堂へ]
「!!」
廊下からノイズ音がする放送が俺の耳を突き刺した。それと共にカチャという音がした、鍵が空いたのだろうか?
今の放送は何だ? Dクラス職員?サイト-19?第■食堂? どれも映画の中でも日常生活の中でも聞き覚えがない。
向かい側の牢屋や隣の牢屋から俺と同じような少し褪せたオレンジ色の服を来ていた。
とりあえずついていけばどうにかなるだろうと思った俺は、冷たく太い牢の扉を内側に開く。
廊下に出ると蛍光灯の明かりが不規則に点滅していて、どこか不安を覚える。牢屋は数え切れないほどにはズラッと並んでいた。
他のDクラス職員?は映画で見たまんまのいかにもな感じの厳つい人が多かった、そんな中俺は、周りより遥かに小さい。傍からみたら弱っちくか弱く見えるだろう。
後ろからの視線が裁縫針のようにチクチクと刺さる、痛い、苦しい。
✡
しばらく止まらなかった足が止まる。どうやら目の前の扉の先が第■食堂のようだ。
扉の前ではサバゲーで見るような防護服を着ている人が3,4人ほどいる。
やはり夢。刑務所でサバゲーのようなガッチリ防護服を着ている人がいるだなんて夢しかありえない、大体は多分警察官が着るようなものを着ているだろう。
俺の前のやつはどうやら手首を見せている、そこには数字の羅列が書かれている…タトゥーか?
「次のヤツ来い」
どうやら手首を見せればいいらしい、とりあえず横入りをしてくるやつはいなかったから防護服を着ている人の前で袖をまくり手首を見せる、そこには前と同じような数字のタトゥー…3351?
「よし、入れ」
防護服を着ている人は紙に、何か書いた後そういった。
どうやら問題はなかったらしい、何を書いたのだろうか?
「広…」
食堂内は東京ドームよりは小さいがかなり広い。そして人数もかなりいる。
席は多分自由だろう、映画ではそうだった。適当にすぐそこの空いている席に座る。
机の上にはもう既に料理が置かれてい…
うわ、不味そう。
なんだこの…なんだ?
色が不味そうすぎる、ドロドロしている上になんか少ない。これを朝から食べるのか???
映画で見た料理はもうちょっとまともだったぞ?
正直腹は空いていないし食べたくない。食べたら腹を壊しそうだ。
しかもなんだこのケーキ、朝からケーキはキツすぎるだろ…
でもまぁ、ケーキだけはまともだ。うまそうではある。これだけ食べておくか。
先に座っていた奴らはもう既にこの不味そうな料理を口に含んでいた、どうやら席についたものから食べていいらしい。
「い、いただきます…」
もしかしたら味はまともかもしれない、味は…
そうおもいスプーンの4分の1ほど掬い口に流し込む。
うん、クソ不味い。
すぐそこにあったプラスチックのコップを手に取り水を飲み干す。不味い、不味すぎる、人が食べるものじゃないだろコレ。
日本の料理と外国の料理は味が全く違うのは理解しているが、それでも限度があるだろって言いたくなるほどには不味かった。
もう二度と食べたくない。
こんなに不味いとケーキが不安だ、見た目は良いが味が終わってる可能性がある。
でも見た目は本気で美味そうだ、一口食べてダメだと思ったら食べるのをやめよう。
フォークで一口サイズに切って口に運ぶ、香りは甘い。
コップを掴みながら何回か咀嚼する。
うん、美味い。
美味いぞコレ。
さっきとは大違いだ、美味すぎる。
甘すぎる気がするが全然美味い、外国のものはカロリーが多いっていうしこういうことなんだろう。
これなら全然食べられる。
もう一口、もう一口と次々に口の中に運ぶ、ケーキだなんて誕生日やクリスマス以外食べないものだからきっと舌もこの味を求めてたのだろう、俺自身ケーキはかなり好きだ。
おかわりとかできないのだろうか、できないか、
しかし、味覚も感じれるだなんて凄い明晰夢だ。
今までこんな夢見たことがない…
数分で食べ終わると周りからかなり見られているのに気づいた、やはり小柄だからだろうか、人種も周りと違うし。
それにしても、ケーキ美味かったな、やっぱりもう一個食べれないだろうか。
試しですぐそこの扉の前に立つ防護服の人に聞いてみる。
「あの、すみません…そこの扉の前で立っている防護服を着た人…」
「…なんだ」
「あの、ケーキもう1個おかわりできないですか?」
俺がそう言うと周りの奴らは体ごとガッツリ俺の方を見た。
え、もしかしておかわりは学校の給食のデザートと同じように戦争が起きるものなのだろうか?
「あ、いや、できないならいいんですけども…」
「…いや、大丈夫だ、少し待ってろ」
「あ、はい…」
なんだか気まずい空気が流れる、なんだこの、なんだこれ なんでこんなに気まずいんだ。
「おい、あいつまじかよ…」
「狂ってるんじゃないか?」
「よくこんなのをおかわりできるよ…」
周りから声が聞こえる、でもなんて言っているかわよくわからない。
でも悪口言われてることはわかる。
頼むから早く来てくれ、もしくは早く夢を覚まさせてくれ。なんで夢の中でもこんな気まずくならなきゃいけないんだ。
気まずくてつい視線を壁に移してしまう。
「…うん?」
壁の下、地面の上にはなにか見慣れないものが2つ"いる"…あれはなんだ?
色はオレンジと黄色 形は涙?雫?の形、中心には青い目がそれぞれ1つある。
なんだあれ。
こちらを見ていたので試しに手を振ってみる。
すると警戒しながらもゆっくり近づいてくる。
「うわ、動いた」
正直置物だと思ってたから動くなんて思っていなかった。どういう原理で動いているんだ。
俺の足元まで来る、目は、俺を捉えている、なんか猫みたいだな。
試しに撫でてみる。
この目の前の物体2つはなんの抵抗も見せずに大人しく撫でさせてくれた、かわいいなコイツらなんか。
そしてまた試しにオレンジ色の方を持ちあえげてみる。あ、下に車輪みたいなにがある、これで移動してたのか。
あまり長時間持ちあえげるのはなんかダメそうだと思ったためすぐに降ろす。
そうすると両方がいきなり勢いよく俺の周りをぐるぐると回り始めた、え、なんか不機嫌にさせた今?やっぱ持ち上げるのがダメだった??
「え、ごめんごめん、嫌だったよね落ち着__」
そこまで言うとうなじに一瞬的な痛みがあった、すると体全体に重みがやってきて瞼が自然とさがる。
自然と後頭部から地面に倒れてしまう、視界には先程の防護服を着た人が俺のことを見下ろしていた。
「D-3351がSCP-131-A、SCP-131-Bと接触しているところを停止完了。D-3351に目立った外傷はなし、直ちにSCP-131-A、SCP-131-Bをサイト-19の■■に移動開始する」
瞼が完全に下がり、なにか黒いものに向かって防護服の人は喋っているのだろうか。もう音も聞き取りづらい…。
✡
「あ?」
窓から差し込まれた微かな朝日で目が覚める。
どうやら夢から覚めたらしい。なんだったんだあの夢。
「…インフルエンザにかかったときの夢?」
そうとしか思えない、しかし体調は大して悪くない、でもあんな1つ目の生き物人生で一度も見たことがないぞ。
というか、最後のあれ、もしかして麻酔でも打たれたのか? なぜだ…
というか、ケーキおかわりできなかったな…
「うん? 待てよ?」
そういえば昨日寝る前に風呂に入ったか?歯は磨いたか?晩飯は食べたか?
「ヤッベェ!!!!!!!!」
その後俺は急いで朝シャンをし歯を丁寧に磨き朝ごはんをしっかり食べた、遅刻はしないと思ったはなぜかその後お腹を壊してしまい学校にはありえないほど遅刻した。その上後頭部には軽い痛みがあるし首の後ろにはどこか違和感が生まれているのに気づいた、寝違えたのだろうか。
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1つ目の生き物(2匹)↓
http://scp-jp.wikidot.com/scp-131
甘くて美味いケーキ↓
http://scp-jp.wikidot.com/scp-871