(自称)先生の超親友兼連邦生徒会副会長、紫青ライラ 作:ふしあな
お ま た せ
周年ガチャ大爆死して萎え落ちしてました……
ま、まあ天井といえど2人とも入手したし?
………わりぃ。やっぱつれぇわ(爆死作者書き文字)
今回も狐祭り!……口調とか合ってるか怪しいけどここは多めに見てくれると嬉しいかも…
これ絶対(口調)違うくね?となったら密かに誤字脱字で教えてくれると幸いです。
「ライラでいいですよ。……ええ、先生。上手く使ってくださいね?」
ライラが微笑み、握手した瞬間。
まるでその瞬間を待っていたとばかりにライラを中心に放たれた重圧。先生はそれを謎の悪寒と感じ、チナツとユウカはそれを重圧であると感じ恐怖と畏怖に身体が支配され、スズミとハスミはこれが先生に向けられた明確な殺意である事を分かり、即座にその体で先生から殺意の方向の射線を切った。
「……………はぁ」
その中で、1人。ライラだけがその殺意に覚えがあるのか一瞬白けた顔をしてその方向に目を向ける。少し遠く肉眼では目を凝らしても朧げにしか見えない瓦礫の上で黒基調の和服を着て、狐の面を付けたアイツが立っているのだろうとライラは苦々しい顔で納得した。
その名は【彼岸の厄災狐】狐坂ワカモ。ライラにとっては一番手を焼いた不良である。一体ワカモの何に琴線が触れたのかライラの前に何度も、何度も立ちはだかり戦いを挑んでくるバーサーカー。途中から愛とかなんだか戦いながら叫んでいたが、殺し愛はノーサンキューである。ライラはピュアな純愛派なのだ。
勿論、そんな事を考えていると目の前から見間違いでなければ少し前に更生させたかつての不良たちがこちらに気がついたのか襲い掛かろうとしてきた。衣食住の面倒を見、各個人と何度も面談を繰り返しその子に合う学校に斡旋したりしたというのに(勿論受け入れる側にも生徒数が増える=連邦生徒会からの援助も増えるという利点がある)まさかまた不良に返り咲いているとは、それほどにワカモのカリスマ性が優れているのかと思うと少し妬きそうになる。
「陣形!戦闘準備!!」
「“…っ!みんな行ける?”」
ライラが声を張り上げ、ユウカたちの混乱から意識をこの場へと引き戻す。少なからず空気に呑まれていたであろう先生が真っ先に戻ってくるとは、ただでさえ高かったライラから先生への評価は更に鰻登りの様に昇っていく。
ライラの掛け声と先生の指揮。その二つと少女たちの戦闘の練度も相俟って、陣形は即座に形成される。ライラとユウカが一番最前列に出て、スズミが中距離から支援する。ハスミは先生の一番近くで護る役だ。回復できるチナツは少し離れたところで身を隠してもらっている。何故かライラが一番前に出ることに全員が何か言いたげだったが、ライラは知らぬふりをした(原因:病院服)
だがつべこべ言っている暇はない。もう目の前まで敵は来ている。
初めての戦闘に先生が喉を鳴らしたその時だった。
「………げぇ!副会長!?」
「ウソでしょ!?」
「えっ、まってそれは聞いてない……」
目の前の不良たちが一斉に銃を下ろして両手を上げたのは。
今から派手な銃撃戦になると思っていたのに、まさか不良たちの方が戦意を挫かれて投降するとは流石のライラも先生も見抜ける訳がなかった。
「“ど、どういうことかな……?”」
「わかりません……ですが、」
先生の慌てふためく声色に、ユウカが考える。
よくよく考えてもおかしい。先ほどまでの不良のやる気とは打って変わって副会長がおそらく不良一人一人の名前を呼んで今の学校はどうだ?とか聞く足元でその名前を呼ばれた不良たちが正座している姿と言い、不良やスケバンの象徴であるマスクやヘルメットをいとも簡単に取り外す(不良たちの象徴の様なモノだから例え気絶させられても取ることはない)姿と言い、まるで既に不良から脚を洗っていたのでは無いかという疑いがユウカの中にはあった。
「……えーっと、つまりこれはワカモに唆された。と」
「はい…副会長を蔑ろにしている連邦生徒会をぶっ壊すいい機会だと……」
「連邦生徒会の建物の破壊にしか手伝わない契約で……」
「なんならぶっちゃけ連邦生徒会が困ってもざまぁ!としか思えない訳でして〜」
どうやら話を聞いていると今この場に集まった不良の大半は元々ライラに更生させられて改心し、今の環境で頑張っている一般生徒に過ぎなかった。だが改心させられたと言われても元不良の気性の荒さが治るとは言わない。不良たちの恩師であり、尊敬するべき聖人である副会長が貶められていると聞いた瞬間。各地の少女たちは示し合わせた様にマスクをしてヘルメットを取り出し暴れているのだと言う。今のキヴォトスの治安が荒れている原因が非常によく分かる。
「副会長がいるって!?」
「ふん!副会長がこんな場所に来られるはずがないだろう!」
「もはやこれまで……なら!!」
勿論、暴徒と化したスケバンたちが副会長の一言で治められるのなら、副会長の偉業に不良たちの更生が乗るはずがない。特に前方に出ていたスケバンやヘルメット団たちは今回の馬鹿騒ぎにはあまり興味が無かったからか、すぐに退いたのに対して、今こちらに向かってきている不良たちは副会長がその場に居ると分かっていながらも一華咲かせようと立ち向かってくる。
「“…っ!みんな!”」
「戦闘開始!!」
あまりに潔い不良たちに気が動転しながらも、真っ先にユウカたちに危機を伝える先生の姿は確かにキヴォトスで生徒を率いるほどの素質もあるのだとライラは同じ様に声を上げてから前線へと進みながら感心する。
「我が瞳、我が腕は全てを貫く!」
「怒りも悲しみも……全部因数分解してやるわ!」
ライラが瞳を閉じて祈る様に拳銃を上に向け、手首を反転させた瞬間。その後ろからユウカが掛け声と共に青いバリアの様な身体全体を覆う青いシールドが展開される。銃弾を受けないユウカに最早スケバンたちなんて敵にはならない。
ライラの支援を受けたユウカのシールドは生半可な攻撃ではびくともしないしシールドの展開時間さえも伸びている。
その後ろから撃ち漏らしを埋める様に精密なハスミの狙撃が、路地裏から強襲してくるスケバンたちをスズミの手榴弾が沈め、傷を負いながらも前線に立つライラの回復をチナツが行っている。
(………なるほど、軍師としての適性もあるのか。)
先生の指揮による狙撃などのライラとユウカだけでは埋まらない穴を埋める攻撃はまるで、痒いところに丁度当たる様だとライラは思った。支援を行いながらも俺たちが先に行き過ぎない様にも考えている先生は“優し過ぎるが”軍師としての力量も感じ取った。
これは感覚的な話になるかもしれないが先生の指揮があるだけで、数段実力が上がっている様に感じるのも無理もない話だ。チームに明確な頭脳役が居るだけでここまで違うのかとライラは真っ先に先生の恩恵の良し悪しを考えついた。
「……この音は?」
「気をつけてください!巡航戦車です!!」
進んだ先で待ち構えていたのは、少し塗装が剥がれていながらも立派な戦車であった。その名をクルセイダー1型…トリニティの制式戦車と同じ型である。大方不法に流通させたモノでありどこかのPMCから不良たちが買い上げたのだろうと考える。
「言うならガラクタみたいなモノ!」
「壊してしまっても問題ない!諸々については目を瞑る!!」
壊してしまっても良いですかね?というユウカのライラへのチラ見の視線を前にライラは問題ないと頷く。破壊した時にできたゴミや何処からの流通など場合によっては非常にめんどくさくなるが今ここで発砲される方が危険だとライラはまた数枚増えた書類(この一件の始末書)を幻視しながらも破壊に向かう。
もういっそ仕事が増えるのならバラバラに解体してしまった方が気分爽快だと戦車に近づいたその時だった。後ろから一発の弾丸が戦車を貫き爆発四散させたのは。
「ビ、ビューティフォー」
「流石ですね……」
その弾丸こそハスミが放った一撃である。いくら相性的に優位だからとはいえ一発で巡航洗車の砲身をぶち抜き炎上破壊させるなどその実力は学園最強格と言ったインチキを除いて十分上澄みだろうとライラは少しだけ驚きながら納得する。
だがそんな驚きと納得は束の間。
ライラの背筋に走った一瞬の感覚と警戒。まるで野生動物にも等しいその危険への勘にライラは逆らうことなく銃口を向けるべき先へ向けるのだった。
────────そこに立っていたのを、何と称するべきだろうか
「………いたのか」
「ええ。いましたよ。ずっと、ね……」
『赤』『緋』『朱』『赫』……【厄災】がそこには立っていた──────
『………それは本当なんだな?』
もはやこのキヴォトスに本当の意味でスケバンや不良と名乗る生徒たちは減っているのだろうとワカモは感じている。だがそれが悪い事ではなく極めて良い事であるとワカモも分かっている。
極一部を除いてスケバンや不良と名乗るまで身を堕とすには相応の理由がある。学校から見放されて行き場を失い、世の中を1人では生きていけないから群れとなる。そして学校から見放されるということは身分を失うのにも等しい。そんな存在を拾い上げる人なんている筈もないから手っ取り早く奪う…略奪の道に走る。たった一度でも転げ落ちてしまえばそのまま転落するしか道は無かった。
『……だけど信用できるのか?』
『いや。話に筋は通っている』
だがそんな道に一つでも、たった一つでも救いの手が差し伸べられたのならどうだろうか。他人から奪って、蔑まれて、厄介者としか思われなかった不良たちに今一度更生の機会が与えられたのなら。
そんな彼の救済は、見事に実を結んだ。
不良やスケバンと名乗っていた多くの少女たちはそのマスクをヘルメットを下ろし真っ当な学籍と居場所を掴み、今やスケバンの集まりやヘルメット団の多くは学外の仲良しグループや互助会程度にまで落ち着いた。
『最近あの人の姿を見ないと思ったらそういうことっスか』
『おのれ…卑劣な連邦生徒会め……!』
物資やお金だけではない。その身で言葉と心を尽くして救ってくれた人に、恩義や尊敬、信仰を向けるのはなんら不思議な話ではない。……だからこそワカモの話は非常によく効いた。
曰く、副会長はその活躍を妬んだ連邦生徒会に貶められてその地位を奪われてしまった。現に毎日姿を見せていたはずの副会長の音沙汰は無く、混乱が起きようとも連邦生徒会はなんの音沙汰もないではないか。
『そう。これはつまり連邦生徒会への復讐です』
『………そうか、そうか』
これがウソだろうが本当だろうがどちらでも良いとワカモは身振り手振りで集まったスケバンや不良たちに訴えながら考える。例えウソだろうと副会長が姿を見せていないのは事実だし、本当だとしたら副会長の金魚のフンである連邦生徒会を引き摺り下ろせる良い機会だと何処の学校も思うだろう。この混乱を治めるために副会長が出てきたとしてもワカモにとってはリベンジマッチになる。
『………分かった。私たちは何をすれば良い?』
そうして熱狂したこの部屋に溢れる義憤。自分たちの恩人を貶めた連邦生徒会への怒りに燃えた集団が出来上がった。自分たちを正義だと思っている怒りに指向性を持たせるのはそう難しい話ではない。
おそらくこの噂は瞬く間にキヴォトス全土に広がるだろう。ただでさえ連邦生徒会への疑いの目を向けている現状に投下されたウソと断定し難い噂はすぐにでも小火から山火事になる。
そしてこの火事を鎮火できるのは副会長が出てくる以外方法が無いのだ。
つまり…どう足掻いてもワカモの目的は達成される。
そうしてその日がやってきた。
ある意味、ワカモの想像を超えた事態へと転がりながら。
(……ああ、なるほど)
狙ったのはどうやら連邦生徒会が色々と物資を秘密裏に入れているビル。D.U.地区でも郊外にあるそのビルは立地的にも連邦生徒会が使うにしてはあまりにも不自然な行動に、何かあるとワカモは睨んでいたが。
治安維持のために動くヴァルキューレも会長・副会長の手足とも名高いSRTもあまり動きを見せない辺りでワカモは自分の勘を疑ったがどうやらこちらに向かってきているひとつの車の中から姿を見せたヘイローを持たない大人の女性と、幾人かの生徒たちが。勿論それだけなら別にワカモの興味を引かなかった。そう、その後からひとつの影が近づくのが。
(あなた様は…やはりっ、想像を超えてくれる)
たなびく透き通った光を反射する青。少し感じる気力は衰えているが、それでもその力の光は遠く離れていてもワカモの目を焼き尽くすと同時にこの“茶番劇”の終幕の火蓋が切って落とされたのを感じた。
誰よりも前にと飛び出るその姿は見せるだけで味方の士気を上げ、敵の戦意を挫く。それもまあ今回ばかりは逆に戦意を煽るだけだ。負けると分かっていても、副会長がこんな事絶対に望んでいなくても今はもう退けなくなったのだから不良たちが出来るのは優しく副会長にぶっ飛ばされるだけだ。
調達した巡航戦車を壁に、ワカモは悠々自適に歩く。
まるで愛しき人に駆け寄るかの様な気軽さで、因縁の2人はようやく再開した。
「………いたのか」
「ええ。いましたよ。ずっと、ね……」
───────麗しく咲き誇るは、血染まりの彼岸花
怪しく揺らめく、その着物の裾。お面を被っていると言うのにその視線が、ライラだけを見ていると分かるほどの強く、重く、粘つく様な殺意にも似たナニカ。黒い椿が付けられた狐のお面には、大きなヒビが入りまるで雷が走ったかの様な跡になっている。
「………あれが、」
「【彼岸の厄災狐】……」
その瞬間、その場に揃った少女たちに緊張が走る。
明確に感じる格の差。自分たちが知っている、所属している最強と名高い生徒の前に立ったかの様な喉の奥から渇く感覚。どう足掻いても勝算が生まれないほどの明確な格上。
「……お久しぶりですわね、ライラ様」
「ああ……君も壮健そうで何よりだ」
そんな少女たちの緊張とは裏腹にライラとワカモは軽口を叩き合うかの様に、互いに挨拶を始めた。先ほどの殺意とは遠くかけ離れた弾む様な声色のワカモと和やかに話すライラ。このまま終わる…筈もなく
「では、やりましょうか」
「そうだな。今一度矯正局に叩き込んでくれる」
まるで今日の天気を話すかの様な気軽さでワカモが銃を構え、ライラがリロードと同時に銃口をワカモに向けた。殺意とは程遠いほど落ち着いていたのは束の間、もうすでに2人の視線からは火花が散り、いつでもぶつかり合ってもおかしく無いほど空気が張り詰める。
誰かが息を呑んだ瞬間。
二つの発砲音と共に、戦いの狼煙が上がった。
ワカモの放った弾丸をライラは紙一重で回避する。勿論、それをワカモは分かっているのだろう。わざと反動を殺さず浮かんだ銃口の先に取り付けられた銃剣をライラに向けて力強く振り下ろす。
その剣先は間違いなくライラを袈裟斬りにする軌道だ。だがそれを見越していたのかライラはその軌道の丁度頭上でグリップで弾く。ジャストガード或いはパリィと呼ばれるその弾きは一瞬、ワカモの動きを止める。その隙を見逃すほどライラは甘く無い。
ワカモの頭を狙った一発の銃弾。ライラは避けられると見越した上で更にワカモへと近付く。近距離戦闘から至近距離戦闘へと戦況は動き、互いの動きにも差が出てくる。
ライラはまるで惑わすかの様に手足を自由自在に動かし、ワカモに反撃の隙を与えないつもりなのだろう。そんなライラの撹乱にワカモはどうにか受け流すのが精一杯な様子に、勝っているのはライラだと思うのはまだ早い。
「………」ニィ
「……………」
受け流している間にも、この隙を待っていたのだろう。
ライラの技が緩んだ瞬間、ワカモは自らのフィジカルに任せてライラへと突っ込んできた。最早殺人タックルと言っても過言では無いその速度と威力の当て身は一瞬にしてライラの優位を刈り取っていく。
それを何度繰り返したのだろう。互いに攻守が入れ替わる様は見事な演舞を見ているかの様な空気になるが実際に戦っている互いにとっては膠着したこの状態はよろしく無いのだろう。
「…互いに動きの読み合いですわね」
至近距離からライラを引き離し、ワカモは取り外した銃剣を構えながら語る。
それは…つまりは地力の差。ライラとワカモが同じ条件で戦ったのなら間違いなくライラが不利だ。これは両者とも分かっている。
「根比べなら、負けるつもりは無いが?」
なら何故、ここまでライラはワカモと渡り合えているのか。それはひとえに至近距離から離れなかったからだろう。銃という遠距離武器があるのにわざわざインファイトで戦う物好きは少ない。だからこそライラに地力の差を埋めるアドバンテージが生まれる。
もつれ合いながら進むその戦闘は、互いに致命傷を与えることも出来ずに時間だけが経っていく。そうすると次第にワカモの表情から笑みが消えていく。まるで期待していたものがまだ出てこない様な癇癪にも近い怒りがワカモの内側から込み上げて、その不審が確信に変わった瞬間、ワカモの怒りは弾けた。
「……待ってくださいまし」
「どうした?」
少し離れたところで、ワカモは銃を下ろしてライラに語りかける。
そんなワカモにライラも銃を下ろして話を聞こうと首を傾げる。
「何です?それ。手加減ですか?」
「そのつもりは無いが?」
怒りと共に吐き出したその不満はワカモにとって耐えられないモノだ。
まるで見向きをする価値さえも無いと言わんばかりの手加減。あの日の輝きを汚されているかの様な不快感。最高級ディナーに泥でも入っていたかの様な耐え難い屈辱。
「では左は?」
「ああ…左は置いてきた」
そう。本来のライラの戦い方は左右の拳銃を同時に使う2丁拳銃の戦い方だ。ホルスターに片方だけしまったり、ミスディレクションで左右を入れ替えたりする手数で圧倒する戦い方が彼だというのに、その要である銃が一本だけでライラの永遠の宿敵(ワカモの自称)に勝てると本気で思っているのか。
その瞬間、ワカモはキレた。
「ざっっっっっけんじゃないですわ!!」
足踏みしながら怒りを隠せないワカモ。
ただでさえ手加減されていると分かったのに、その上でそもそも縛りプレイに舐めプされていた様なモノだ。こればかりはワカモの怒りに同情できてしまう。
「……はぁ。二丁無くて私に勝てるとお思いですか?」
「さぁ?……ただ」
瞳孔ガン開きのワカモの殺意にさえもライラは涼しげに笑いながら手元の銃をリロードして、ワカモに構える。
「思いつきを勝算で語れるかよ」
「………嘘ですわね」
犬歯を剥き出しにして笑うライラに、ワカモはまるで冷めたと言わんばかりの表情でライラの言葉が嘘である事を見抜いた。ライラの作戦の中で思いつきというのは存在しない。とても緻密に“失敗”さえも考慮に入れて組み立てられる彼の戦い方に勝算という曖昧なモノを語るはずがないとワカモは信じていた。
「とてもつまらないウソ……いらっしゃるのでしょう?あの小狐たちが」
「なんだ。バレたならしょうがない。」
なら劣勢であるライラがそこまで強気に笑う理由とは…考えれば簡単だ。
ライラの絶対な僕にして、剣にして盾。彼の命令だけを聞き、彼にしか従わない忠実な猟犬。
その名前も……FOX小隊。
キヴォトスでも有数の戦闘特化の小隊でありながら、唯一の副会長直属執行官である。
「サイン4。…コン」
「……!!」
ワカモの推理が正しいと言わんばかりにもう隠しているのは無駄だとライラは、狐を模した手印の照準をワカモに合わせて呟く。その言葉はフォー。つまりはFOX小隊の中で4番と呼ばれる少女…その役割は狙撃手である。
その実力は非常に高く壁一枚隔てた先から正確な狙撃をするのは勿論、足場が不安定な空中からでも落下しながら目標を射抜くことさえも可能なほど。この場は多くのビルに囲まれているビル街とだけあって、どこから狙撃されるか分かったモノではない。それでも射線を切ろうとワカモが身を翻したその瞬間だった。
瓦礫の中から、黒色とピンク色の影がワカモを強襲したのは。
「………っ!?あなたたちは……!!」
「【彼岸の厄災狐】」「副会長の命を受けて」
ワカモの左右から放たれる無慈悲なクロスフレイム。この技をワカモはよく知っている。互いが互いの弾丸に当たるほどの距離を詰めてきているというのに、全く恐れる事なく前に、前に進むその姿には殺意も害意もなく、ただ敬愛する主の標的を排除することしか考えていない冷徹な意志。
「「鎮圧する」」
「FOX1、FOX2……血塗られの狂狐がっ!?」
コードネームはFOX1、そしてFOX2。誰よりも真っ先に主に仇なす敵に喰らいつく2人の狐がワカモを追い詰める。まるでその動きは2人でひとつの軌道を描いているかの様な一方的な射撃。決して逃さない主に、そしてこの後ろで護る同士たちの手間は掛けさせないとばかりの連撃はワカモを仰け反らせる。
「………お待たせしたわ。我が主人」
「……FOX3か。良い、今まで寝ていたのは俺だ」
そんな後ろで、盾を持った金髪に狐耳をした少女がライラに跪く。
親愛と、友愛と信仰と、尊敬と。まるで神を見るかの様な瞳と甘く蕩けた声でその少女はライラに遅れた事を謝罪する。そんな少女の姿と微かに匂う硝煙の臭いからこの少女たちは今まで何処かで不良やスケバンの鎮圧をしていたのだろうなと分かる。
自分と同じぐらいの社畜…というより命令していなかったら常に治安維持のために出ていく様な勤勉な子達だ。そのくせ自分の命令にしか従わないこの子たちが1ヶ月以上休みなしで考えているとなると本気でこれが終われば休ませようとライラは密かに心の中で決めた。
「今回の目標は鎮圧ではなく、撤退させる事だ。」
やれるか?というライラの視線を前にFOX3…クルミはその言葉を待っていたとばかりに花が綻ぶかの様な明確な好意と、愛欲を込めた笑みで返事をする。
「ええ。お任せください。……あなたの猟犬である事を証明するわ」
「お久しぶりですね!FOX小隊!別の地区で鎮圧していると聞きましたがっ!」
「ぬかせ【厄災】。主の手前、その様な些事に時間を割くモノか」
多少手傷を負いながらも全く応えている様子がないワカモの姿にFOX1と呼ばれた少女、ユキノは忌々しげにワカモを睨む。
ワカモが言っていることは一部正しい。
今の今までFOX小隊は発生していた混乱の鎮圧に向かっていた。それも1ヶ月休みなしでキヴォトス全土を駆け回る少女たちの姿はどこか鬼気迫ったモノだと、その姿を見た他の生徒たちは語っている。では何故、少女たちはそこまで執拗に治安維持を行うのだろうか。
答えは単純明快。キヴォトスが副会長のモノであると心の底から信じているからだ。だからこそ少女たちはキヴォトス内で秩序を過度に乱す存在を許しはしなかった。それも一度は彼に救われて起きながら、連邦生徒会が気に食わないという理由で暴れ回る存在など特に許し難い、主への冒涜である。と
「FOX1、落ち着いて。【厄災】相手に突っ込むのは愚策でしょ?」
今にでもワカモに噛みつこうと鋭い目を向けるユキノを手で制するのはFOX2と呼ばれた少女、ニコである。FOX小隊内でのサブIGL(頭脳役の様なモノ)を務めるニコは非常に冷静に現状を考える。……その姿を側から見れば、冷静に怒り“狂っている”と言わんばかりの眼圧と声色だが、ニコの脳内は非常に冷え切っていた。
副会長の指揮ありきの5人でようやく【厄災】というケダモノを下ろせる。
それは逆に言い換えると…このままでは逃してしまうという可能性だ。
「ふふふ……」
「………なに?」
だがそんな風に悩むニコの思考を読んだのかワカモはまるで嘲るかの様に嗤う。
その笑いが妙に挑発的で、この後の言葉が何であれ自分の激怒を誘うと分かっていてもニコは聞かないという事は出来なかった。
「……いえ。そうやって奥手だからあれほど近くにいて未だ主従関係なのでは?」
「「………殺す」」
揶揄う様なワカモの一言。ただでさえ副会長を雌の目で見る輩が多い現状で、最も副会長に信頼と信用を受けているのがFOX小隊であることは誰が見ても分かることなのに事実は、1人虚しく名前を呼びながら自涜するしかない少女たちにめちゃくちゃ効いたどころかクリティカルヒットであった。
ブチギレたユキノとニコはその瞳を極限まで開き、ちょっとあまりお見せすることが出来ないまさに激昂と言って差し支え無い表情でワカモを潰そうと迫る。
その時だった。
後ろから1人の少女が声を上げたのは
「はいはい。落ち着きなさいそこの暴走機関車ども。」
「「……………」」
スコーンと暴走待ったなしの2人に空き缶をぶつけたのはFOX3と呼ばれた少女、クルミだった。呆れ返った表情で2人を見るその視線は非常に冷ややかなモノで激昂していた2人の熱を一時的に鎮めるにはちょうど良かった。
「【厄災】。ここらへんで手打ちにしとかないかしら?」
「………へぇ、聞きましょう」
だがそれはあくまで味方を、同じ主を仰いだ同志に与えられる慈悲であって敵対者にかける慈悲は無いと凍てつく冬の寒さの如き冷ややかな目でクルミはワカモを見る。
どいつもこいつも主に不埒な目を向けるだけでは飽き足らず、その身で主に対する情欲を発散しようとするのだから恐れ入る。同じ穴のムジナでは無いと否定する事は出来ないが少なくともこの【厄災】と比べれば自制出来ていると思う。
「ご主人…副会長はお前を撤退させる事を選んだわ」
「………………なるほど」
あくまで私たちFOX小隊は連邦生徒会副会長の代弁者であり、道具である。
そのスタンスを1、2に気に入っているクルミにとってその言葉に自分の意思は必要ないと最初から省いている。ライラが…自分が信じて敬愛するご主人様がこれ以上追撃しないというのなら、それに従うという従順性。
「では、ここら辺で退かせていただきますね」
よく飼い慣らされた猟犬…いや。猟狐だろうか。とワカモは思う。
しかもそれが自分から首輪を嵌めて手綱を差し出しお腹を見せて喜んでいるというのだ。自らを道具などとは笑わせる。結局のところ、あの猟狐たちも自らの情欲を満たす事しか考えていないのは見て分かるだろうに。
瞳の奥、そこにちらつく恋を知った少女の熱に溺れる様な眼差しに、恋の成就を知った女の…雌の顔。彼女たちの欲が抑え込めているのはひとえにその欲が現状、満たされているに過ぎない。…だがもしも、もしもだが。彼が彼女たち以外を重宝したのならその時、きっと彼女たちは耐えられない。
「………ふふふ。楽しみですわ」
これからの世界は、変わる。
きっと、私たちの想像を遥かに超えて
その時、貴方様と共に破壊と終末を愉しもう
新たな生徒さんがシャーレに加入します!▼
「紫青ライラ、シャーレ部長としてこれからよろしくおねがいしますね」
名前:紫青ライラ
所属:連邦生徒会(自称)元副会長/連邦捜査部シャーレ部長
年齢:17歳
誕生日:8月15日
身長:173cm
趣味:《好感度が足りません》
役割:サポーター/FRONT
撃種:神秘/軽装甲
市街地戦闘力:B
屋外戦闘力:S
屋内戦闘力:A
EXスキル:アナタのために、天秤は傾いた
コスト2/level.1
対象(任意)のキャラ一名に【状態異常・天秤の使徒】を付与(二十秒間)
【状態異常・天秤の使徒】が付与されている間、 EXスキルのレベルに+2を加算する(星5にて解禁)この時、更に攻撃力・会心ダメージを10.2%増加。
天秤はかの者の命を受けて傾いた
故にその力は彼を仇なすモノを退ける力である
ノーマルスキル:戦闘支援・追撃強化
Level.1
紫青ライラが攻撃時、一定確率でFOX小隊が現れて追撃(攻撃力の12.1%分)
例え彼が望まなくとも、彼の道具は彼を仇なすモノを赦すつもりはない
コンセプトとしては初期から使えるお手軽バッファー的な感じ?
圧倒的なぶっ壊れスキルは、最終章までに解禁的な感じです。アビドス編など大きな括りのストーリを読破していけばライラの神名結晶が手に入る…というところまで想像しました。まあ、あくまで妄想ですけどね。
ただ残念ながら2丁拳銃で戦う設定のライラに合う武器を探していても(その間およそ3日)なんかどれもパッとしなかったのでコメントでおすすめの武器を教えてくれると幸いです。