(自称)先生の超親友兼連邦生徒会副会長、紫青ライラ 作:ふしあな
どうやら勘違いしていらっしゃる人も多いようなのでここでもう一度明言しておきます。
本作の主人公、紫青ライラは転生者ですがブルーアーカイブというゲームに関する記憶は一切持ち合わせていません。ご理解のほどよろしくお願いします。
アビドス地下の名称について多くの意見ありがとうございます。
幾つかこれが良さそうなのを使わせていただきました。なんか設定がマイルドで澄んだ青春版メイドイ◯アビ◯と化してきた……これじゃあもうメイドインアビドスだよ。メイドインアビドス。
それでは続きです。どうぞ
そんなこんなあり、特に大きなアクシデントも無くアビドス高校の駐車場までたどり着いた。車両は少なく場所も疎らに置かれてある為、どこにでも止められるのをユメはわざわざ入り口のところまでまた見事なドリフトをキメながら着いた。
「昔は車を入れるだけで一苦労だったのになぁ……」
「あれ?ライラ君知らないの?人は成長するんだよ」
「その上達するまで付き合わされたのが私なんですけどね……」
本気で酔いっていうモノを感じましたよ…と小さく疲れた声で呟くホシノの顔を見ると思い出し酔いでもしたのか顔が真っ青になっているのを見てライラは柄に似合わず“マジかよ”と口にしてしまった。アビドス最強ですらダウンさせたかもしれないユメ先輩のハンドル捌きって一体……と思ったが、よくよく考えればユメ先輩が車に乗り始めた時、轢き逃げアタックが出来ますよとか言ってキャッキャしてたのはライラとホシノである。
そうしてユメの運転の荒さで起きた懐かしのトラブルや、運転が上手くなるまでにホシノやノノミが真顔になったりした(ちなみにシロコは野生化してしまったらしい)思い出話に花を咲かせながらようやくアビドス砂漠探掘委員会の扉を開く。
「ただいまー!!」
「今戻りました」
「……お邪魔しまーす」
満面の笑みで扉を大きく開くユメの後をホシノとライラが入っていく。
そこにはノノミやシロコ、そして先生が居なかったが机の上にはピッケルと幾つかのロープやカラビナなどがズラリと並べられて整理されていた。
アビドス砂漠の地下には既に遺跡となって久しい大規模な建物の跡にも入る事がある。ホシノレベルになるとビル数階程の高さでもヘイローの護りによって無傷だがそれ以外や採掘したオーパーツなどを運ぶために、ロープや滑車など決してメンテナンスを欠かしてはならないアビドスの生命線である。
「「先輩たちおかえりなさい」」
そこにはロープの耐久を確認していたセリカが片手を振って3人の帰りを迎える。その横ではアヤネがセリカの確認した結果を紙に記入しているみたいでボード片手に手を振る。あくまでライラもアビドス生として扱う2人の態度には確かな親愛と先輩への尊敬があった。
「……後ユメ先輩とライラ先輩はこっちに」
「ひぃん……」「はい……」
だがそんな空気は束の間、黒い笑みを浮かべたアヤネがユメとライラを手招きする。間違いなく今回の入れ違いの一件についてこってり絞られると分かった2人はすごすご…とアヤネの後ろをついていくのだった。
「じゃあ私が代わりにセリカちゃんを手伝おうかな」
「ホシノ先輩ありがと。大分終わってるから後少しよ」
そんな2人を助けるわけでも無く、ホシノはアヤネがほったらかしにした記入欄にペンを向けてセリカの確認を待つ。2人を見捨てたわけでは無いのだが、何故かアビドスでは末っ子の後輩の方がしっかりしているだけで。
「ん、こっち」
「逸れないでくださいね〜?」
ユメの運転でライラたちがアビドス高校へ向かっている間、シロコ率いる先生たちがたどり着いたのはとある大教室。だけどそこに行くまでに張り巡らされた鉄線や机や椅子で積み上げられたバリケードで護られているのを見ると、簡単には辿り着けない形状になっているんだなと先生は理解する。
「ようこそアビドスの宝物庫《マンジェット》へ」
今までとは空気感が違うと先生は理解させられた。他の教室はドアが開けられているというのにこの部屋の周辺の扉も窓も閉め切られ、重厚な二重扉が待ち構えている。まず部屋に入るとそこには巨大な石柱が立っていた。光が少ないところだと言うのに白く、金色に輝くその先端に行けば行くほど細くなっている石柱は一目見て神秘的だと分かる代物であった。
「先生もお目が高いですね〜」
その石柱はアビドス砂漠の一番最深部から見つかったモノなんですよ〜と誇らしげに胸を張るノノミ。この石柱…オベリスクというこれはアビドス生全員が数ヶ月を掛けて発掘したオーパーツ以上の遺物。謂わば聖遺物と言っても過言では無い代物だと輝かしい瞳で見上げる。
「ん。アビドス砂漠の下はおよそ三層で区切ってる」
そんなノノミの解説にシロコが追加で口を開く。もはや地下迷宮と化しているアビドス砂漠の地下は大雑把に三つの階層に振り分けて探掘が続けられていると解説する。
「第一階層ドゥアト」
ここはその多くが砂に沈んだビルなど打ち棄てられてあまり時間が経っていない所が殆どである。そのため、比較的多く出土されるのは欠片や壊れたオーパーツが殆どでたまに昔の授業教材や弾薬が残っていたりする場所である。
「第二階層の名前は〜アメンテスって言うんですよ〜?」
この辺りから、昔の一番栄華を誇っていた時代の建物の残骸などが占める様になる深さである。ここから摩耗したオーパーツなどや秘伝ノートが出土される様になり、昔の遺物や書物、旧型のロボットの残骸など…ライラとの交易品は基本的にここから発掘していると言う。
「……そして現状分かってる限り最後なのが第三階層ネテル=ケルテト」
と言うのも、この先は水没していて道が続いていても進むことが出来ないのだ。だからこれ以降どうなっているのかは現状分からないと言うので探索を後回しにしている。そんな中、あのオベリスクは不幸にも第二階層に空いた第三階層までの穴から見つかった代物である。
「“…………すごいね”」
何処からか取り出した地下の地図を指差し解説するシロコとノノミの言葉を噛み締めながら、先生はそのアビドスの地下の深さと神秘性に圧倒される。ここまで精密な地図で描かれていると言うのに、地下の更にその先はまだ未知の領域であるという広大さ。前人未到の世界がこうもあるのだとただ先生は感動するかの様に肩を震わせる。人は本当に感動した時、言葉にはならないのだと目を輝かせながら口数少なくその地図をじっと眺める。
「先生には分かってもらえると信じてた」
「シロコちゃん探掘大好きですもんね〜☆」
そんな先生の輝く瞳にまるで同士よ。と言わんばかりに首を縦に振るシロコの姿にノノミは笑みを浮かべながらシロコの頭を撫でる。シロコの趣味は探掘と言ってもいいほどこの活動にのめり込んでいる。シロコの天性の才能とも言っていい鼻の良さはこのアビドス砂漠の探掘作業では決して何物にも代え難い才能である。だがそれでもシロコが探掘が好きな理由はやっぱり……
「ん……だって、憧れは止められない」
一言で言い表すのなら“ロマン”
純粋に愚直なまでにアビドスを愛しているからこそ、シロコは闇の先を恐れない。それに強いて言うのならシロコが探した先は必ずと言って良いほどお宝…売れるモノが出てくるのだ。金稼ぎになって、趣味にもなるシロコにとって探掘はパラダイスと言えるだろう。
「やっぱりシロコちゃんは可愛いです☆」
「もっと撫でて。嬉しい」
そんな可愛いシロコにノノミは感激するかの様に頬擦りしながらシロコを撫でる。まるで大型犬の様なシロコだが頭上の耳が嬉しげに跳ねているのを見ても然もありなん。尻尾も生えていれば全力で左右に振っているかもしれない。
「“みんな仲が良いんだね”」
「今のアビドス生は7人しか居ませんからね〜」
「“え?……7人?”」
はい。ユメ先輩にホシノ先輩とライラ先輩。私とシロコちゃんとアヤネちゃんとセリカちゃん!そうノノミが指折り数える横で先生はライラはウチの子だよと主張しながら考える。学校の広さに対してあまりにも少なすぎる生徒数…つまりアビドス高等学校にはアビドス砂漠探掘委員会しかないと言うことになる。
「“この学校にはこの委員会、だけ?”」
「そうとも言いますね☆」
「うん、みんなは居なくなったって聞いてる。借金で」
そんな先生の驚きの呟きにノノミもシロコも同意する。それが正解だと言わんばかりの態度にシロコの衝撃の一言で更に先生の脳内は驚愕に包まれる。借金?その辺りの話はライラからも聞いたことのない。いやむしろ、ライラさえも知らないのか。そう聞こうと先生が口を開いた瞬間だった。
「“借金?……ねえ、それって……”」
「あっ!先生、ユメ先輩たちが帰ってきたみたいです〜!」
都合よく聞こえた車のエンジン音。話はこれで終わりと言わんばかりに先ほどの部屋に戻りましょう☆と言うノノミに何も言わずに着いていくシロコ。この時、ようやく先生はこの学校が一筋縄では終わらない事を確信したと言う。
「先生!ご無事で……!」
「“うん、ライラも無事なら良かった”」
アビドス砂漠探掘委員会の部室。最初に先生が案内された部屋に帰ってきたらそこにはライラの姿と新たに見る2人が居た。先にライラと話を擦り合わせていくとどうやらライラは“アビドスの駅前”で待っておいてほしいというつもりであり、先生はアビドス高等学校集合であるという認識で進んでしまったらしい。
「俺の言い方も悪かったですけど……危ない所でした」
アビドス砂漠なんて一度道を間違えれば、相応の装備がないと中々抜け出すことの出来ない迷宮だと言う。幾ら特徴的な廃墟が立ち並ぶと言っても360°砂の世界に、思考を奪っていく様な暑さと渇きの前では生徒でも厳しいというライラのやけに具体的な言葉に先生は気になって聞いてしまった。
「“それはライラの実体験?”」
「そうですね。あの時はギリギリユメ先p……」
「「ごほん」」
先生の質問にライラは是と答えて昔話を始めようとしたその瞬間、その横にいたユメとホシノの態とらしい咳払いが聞こえた。どうやら話を2人の間で完結させないでくれという合図に流石のライラも黙り、2人の紹介フェーズに入ることにした。
「えーこちらアビドス砂漠探掘委員会の委員長、梔子ユメ……ちなみに先輩です」
「もー!それは言わないお約束でしょー!?」
緑髪に大きなアホ毛を傾けたその少女はライラの留年していると言う呟きに、反応しながらも先生の目の前に一歩出て頭を下げる。何処かムードメーカー的な姿を想像していたが、それだけではない姿を前に学校のトップを名乗るのには十分納得出来る。
「梔子ユメです。しばらくよろしくお願いしますね」
「“うん、よろしくね。ユメ”」
「………でこちらが副委員長のホシノ。小鳥遊ホシノ」
「………小鳥遊ホシノです。…………よろしく」
ユメと先生が握手したのを見計らってライラは横のホシノを紹介する。
ピンク色の髪に同じ様なアホ毛を揺らしながら、ライラの後ろに半分隠れながら挨拶するその姿に先生はアヤネたちと同い年ぐらいなのかな。と勝手に考えていたが、その後のライラの言葉で全部吹っ飛ぶ。
「ちなみに俺と同い年です」
「“あっ!そうなんだ!!”」
改めてよろしくと先生が挨拶するのをホシノが頷くのを見て、先生は考える。ホシノの髪型はポニーテールだが、ユメの髪型はバサっと広げ下ろした感じである。その差はあれど長髪には変わらず、どちらも同じ長さぐらいに揃えているのを見るとまるで姉妹の様にも見える。
とりあえず一通り挨拶を終えて……
話は少しずつ本題に入っていった。前回、ライラが探掘委員会に来て以降に発掘された遺物などの取り決め。アビドス砂漠地下(公式的には『ドゥアト』と呼ばれている)の詳細な地図の情報など。基本的な事柄から始まる。
基本的にドゥアト含めてアビドス砂漠には大きな野生の生命体は存在していない。だから探掘で気をつけるのは崩落や落盤など生き埋めにされるかもしれない可能性だけに注意していたら良い。と言うわけにも行かない。その理由こそがアビドス砂漠探掘委員会の頭を悩ませるドゥアト第二階層『アメンテス』にて度々発生する謎の現象。
「やはり【力場】対策は立てられないか……」
「はい。そもそも何故発生するのか自体不明ですから……」
「“………力場?”」
その区域内では普通のコンパスはずっと回り続ける様に狂い、自身の方向感覚も狂う。電波や通信などは遮断され、目に見えることも感じることも出来ず気がついたら砂漠の地下の中で遭難しているという恐ろしい現象…それをアビドス砂漠探掘委員会は【力場】と命名し、この対策にも本腰を入れている。
だが力場は悪いことだけではないのだ。
その力場の区域内にはより質の高いオーパーツが取れるなど、出る手段さえ確立しているのなら十分利になる場所である。……ただなんの対策も準備もしていない者が迷い込めばそのまま死んでしまうだけで。
「“……絶対に迷わせる罠みたいなモノか”」
「はい。とは言っても手段が無いわけではないんです」
先生はふと自身の持っているシッテムの箱とアロナならどうにかなるのではないかと思ったが電波さえも弾くというその力場にタブレット端末では厳しいかと思い直し、開きかけた口を閉ざす。……それに、この地での探掘家である冒険譚の主人公はあくまでアビドスの少女たちである。
「“というと?”」
「簡単なことです」
「ん、私が居る。」
そう考えているとアヤネの語る“力場を越える手段”について気になった。確かにその力場がどうであれ、そこに入ってそこから出てきた張本人が居なければ【力場】としての言葉にもならない。そんな先生の疑問と確信にライラの解説が入る瞬間、横からシロコが割り込んできた。
「臭いで大体わかるから」
「“……なるほど”」
シロコの鼻の良さはこの場の全員が知っている。先生からライラの残り香を感知したりした事や、お宝についての超人的な感覚などあるがその真価は力場の中で発揮される。シロコにしか判らない特殊な感覚…それを臭いと称したシロコだけが上下前後左右狂った感覚の力場の中で唯一、力場に迷う前に力場の存在を知覚し、例え迷い込んだとしても問題なく突破することが出来る。
だが勿論、そんなシロコありきの技能だけに縋る探掘委員会ではない。
多くの突破作戦を立てて、そしてその全てに失敗した彼女たちが出した決断は“遺物”の効果の恩恵を利用すると言ったモノだった。
「……力場の羅針だって一点モノですし〜☆」
「力場の羅針かぁ……」
オーパーツの中でも一点モノか非常に数の少ない、或いは特殊な使い道があるオーパーツを遺物と呼び秘密裏に収集・利用してきた。その中のひとつであるお椀状に窪んだ石の中心だけ鍾乳洞の様に細く盛り上がった先でグルグルと延々に回り続ける針で出来た遺物…通称【狂い針】と言う一見何の使い道もないオーパーツかと思われたが
「力場の羅針は力場内でのみ、その出口を指し示す羅針。謂わば“力場を突破するためだけの遺物”です」
アヤネの解説通り【狂い針】はアビドス砂漠地下…ドゥアトの力場内でのみ有力な効果を齎す遺物。逆に裏を返せば針が何処かの方向を指差した時点でそこは力場である事の証明だがそれは置いといて……
「現在は企業に貸しっぱなしでしょ?」
「そうだよ〜」
「“企業?”」
そんな【力場の羅針】はどうやらセリカの言葉によると企業に貸しているという言葉に委員長であるユメが同意する。生徒、学生とはおよそ対極にある言葉。そんな企業とは一体何の関係があるのか先生が問おうとしたその瞬間、一本の電話が鳴り響く。
─────────RIIING RIIIIIIING
「はい、こちらアビドス砂漠探掘委員会です。」
アヤネの作業机であり多くのモニターや書類が整理されている机に置かれた年季の入った固定電話からけたたましく鳴るベルの音が数回鳴り響いたところでアヤネが受話器を取る。
「はい……はい、では今から向かいますね」
「アヤネちゃん、なんて?」
今から向かうとだけ言って電話を切ったアヤネにホシノが問う。誰も心配していないが一応聞いておこうと言う空気に包まれているが今から向かうことが確定している様に少女たちは立て掛けていた銃置きから銃を背負う。
「どうやら面倒なことが起きた様で、来て欲しいとの事です」
「そっかぁ……じゃあ車出してくるね!」
どうやらその企業とやらからの電話。何か用事があると言う事で、ライラや先生も共に向かうのであった。
アビドス砂漠探掘委員会の秘密④
新しい遺物が発掘されるとみんなで出来る限りロマン溢れる名前を付けようと名前の案を出し合って会議しているらしいよ
アビドス砂漠探掘委員会の秘密⑤
遺物には幾つかの条件で“等級”と呼ばれるランク分けをしているらしい。
ちなみに四から一までに分けて設定している。
アビドス砂漠探掘委員会の解説① 〜【力場の羅針】編〜
名称:【狂い針】→【力場の羅針】
等級:3(使い所が無い)→1(非常に有用なモノ)
形状:まるでコンパス(文字や記号などの記載は無し)
来歴:発掘者は小鳥遊ホシノ。当初はただ針が回るだけの玩具だと思われたがその後の力場にて非常に有用な効力が確認されて満場一致で最高等級認定。現代は企業に貸し出されている。
こうなると各階層ごとのロケーションの命名や遺物の命名や効果などを考えないといけなくなって来たよ……
なんか良さげな名称やオリジナル遺物があればそれとなくコメントで教えてくれても良いですよ?
それでは執筆意欲に繋がるため感想、評価お待ちしてます。