【ブルーアーカイブ×永い後日談のネクロニカ】永い後日談のアーカイブ【TRPGリプレイ風】 作:黒ネギ@ハーヴィニスト
「………ん」
誰かの声がする
「………ちゃん」
とても聞き慣れた声…その筈なのに
「お……ちゃん」
ひどく、懐かしい気がして
「ごめ……さい…」
…なんで、泣いてるの?
「ごめん…なさ……」
…なんで、謝るの?
「わたしの…わたしのせいで…………ちゃんが………」
泣かないで…謝らないで…
「わたしのせいで…!」
だって…
謝らなければいけないのは、私の方なんだから
―――
「うぅ…―――っ!?」
不意に意識が覚醒し、目を見開く。
(今のは…夢?)
何か、大切な夢を見ていた気がしたが、その内容が思い出せない。
(ここは…?)
上体を起こし、辺りをキョロキョロと見渡す。
(何ここ…?)
屋内…それも、窓一つない部屋のようで、どうやら自分はベッドで寝ていたようだ。
(何でこんな所で…?)
どうして自分がこんなところで眠っているのか、まるで覚えていない。それどころか、記憶そのものがまったくはっきりしない。
(寝ている場合じゃないのに…早く、探しに行かなくちゃ…)
…探す?何を?記憶がまったくはっきりしないのに、なぜ自分はそんなことを考えたのだろうか?
(…うう…ダメだ、頭が回らない…いい、とにかく、まずは周りを調べよう。)
頭をブンブン振り、改めてあたりを見渡す。周りには…ベッドが3台。自分が寝ていたベッドと隣り合うように並んでいる。
(何でこんなにベッドが…?)
よく見ると、他のベッドにもそれぞれ誰かが眠っている。
(…起こさないように出て行こう…。)
まだ朧げな意識のまま、ベッドから起き上がろうとする。
(うおっ…っとと…)
ベッドから立ち上がろうとして、ふらついてしまった。とっさに隣のベッドに手をつき体を支える
…寝起きにしても、どうにも体が動かしにくい。まるで自分の体じゃないかのようだ。
(…起こしちゃったかな?)
恐る恐る、ベッドで眠る人の顔をのぞき込む。
「…え?」
視線の先にある物を見て思わず声が漏れてしまった。
視線の先に眠っていたのは、自分と同じくらいの少女だった。
ただし、その姿はまるで生きた人間のそれではなかった。
パッと見てもわかるくらい、明らかに生気のない青白い肌。頭には毛深い動物の耳が生えている…いや、違う。明らかに『縫いつけられ』ている。極めつけに、口には機械的な牙が生えて…いや、これも、『取り付けられ』ているというのが正しかった
ただの死体ではない。明らかに悪意あるものが弄んだ形跡が、その子の体の随所にみられた。
(うそ…なに…これ…?)
思わずベッドから距離を取る。残り2つのベッドに眠る人も同じような目に合っているのだろうか?
と、そこでふと疑問が沸いた。
何故自分はこんなところで眠っていた?
何故自分の体なのに動かしにくい?
何故記憶がほとんどない?
何故自分はさっきから『明かり一つない部屋ではっきりと視界を確保できている?』
そして何よりも、引っ掛かっているものがある。頭にではない。物理的にだ。
声が出せない。口に、正確には口から喉にかけて『何か』が取り付けられている
一体何が?
その答えを明示するように。
どんっ
いつの間にか壁まで後退していた。振り返った所にそれはあった。
姿見だ。
先ほど見た少女と同じ青白い肌、
その全身に入るつぎはぎの縫い目、
そして、口に取り付けられていた…用途不明の器具。
そこに映っていたのは、見知ったはずの自分の姿ではなく。
変わり果てたゾンビの姿の自分だった。
―――