初めに一つ問おう。生きていて一度でも死後の自我について考えた事があるだろうか?俺はある。
今のこの世の中、所謂『転生モノ』と呼ばれるものが多く生まれた。それ故に、俺は死後に自我がどうなるのかがやけに気になった。......まぁ、色々考えたが、結局それらはどれも違った。何故そんなことがわかるかって?......そんなもの、自分も死んで、転生という結果に終わったからだ。
今世の俺はどうにも特異な存在であると、即座に理解した。何故なら、この世界は『ブルーアーカイブ』の世界だからだ。
ブルーアーカイブ、通称ブルアカとは、千を超える数の学園が集まった学園都市『キヴォトス』を舞台に繰り広げられる、学園×青春×物語RPGだ。このゲームでは主人公は『先生』という立場として、多くの生徒と交流を深めていく。
ここで俺の特異性その一、俺は生徒である。このブルアカというゲーム、生徒は全員女の子である。それ故に、俺が先生ではなく生徒としてここにいることが既におかしい。ちなみに学校は『トリニティ総合学園』である。泣きたい。
キヴォトスにおいて、生徒と扱われる存在にはある特徴がある。それは、頭の上に浮かぶ光輪、『ヘイロー』と呼ばれるものがある事だ。例に漏れず、俺にもそれはある。しかし、このヘイロー......何か、変......なのだ。この違和感をどこぞのフィジギフの様にこれでいいと流せれば良かったのだが、この違和感はずっと俺の中に居座り続けた。この違和感について思考をめぐらせ続け、鏡の前でずぅーーーーっとヘイローを見ていたことで、違和感の正体がわかった。なんとこのこのヘイロー、大きさと色が微妙に変化し続けている。大きさはまだわかり易かったが、色に関しては本当に微妙だった。具体的に言うと、RGB値R90 G115 B227がR100 G125 B237になったくらい微妙だった。むしろなんで気づけたのかわからない。これが俺の特異性その二だ。
ここまでこの世界の事をざっくりと思い返しながら俺の特異性を挙げてきたが、次が最後にして特におかしな点だ。
俺の特異性その三。それは───────
──────俺の身長が140cm程から一切伸びていないことである。
いや待ってほしい。ふざけてなんていない。今世の俺は今年で17になる高校二年生の男子だ。それにも関わらず、どうしてこのようなところで身長が止まるのか?前世の俺は170cmはあったというのに。どこぞの呪霊曰く、人の肉体は魂の形に引っ張られるとの事だったが、どうやらそうでは無いらしい。
俺の魂は前世の170cmの形をしているはずなのに......。
とまぁ、俺の特異性は理解していただけただろうか。そもそもブルアカに男の生徒はいない点を除いたこの特異性、何かしらの意味があると思いたい。
さて、話を唐突に変えるが、転生してブルーアーカイブという世界に来た俺は何をすればいいと思う?原作のキャラと関わる?ストーリーに介入する?それともストーリーを傍から鑑賞する?うん、どれも良いだろう。だが俺は、この世界でただ普通に生きたいのだ。一般人である俺から見て、治安が最悪なこの世界で、どれだけ元々暮らしていたような『普通の生活』が送れるのか。それを試したい。
これは俺が、このキヴォトスで平穏な日々を送る物語──────!
「だから!だから来たくなかったんだよ!こんな掃き溜めに!」
「すみません、すみません!こんな事になるなんて思ってなかったんです!」
「今まで何回こんな事になってんのか忘れたのか!?このペロロ狂いが!」
「なっ、酷いです!ペロロ様と呼んでください!」
「そこかよ......ああクソっ、どうしてこんなことになってるんだ─────!」
平穏な日々なんて、送れるわけが無いのだよ。この世界では。
身代金目当ての不良どもから逃げながら、俺は平穏な日々へと想いを馳せる。現実逃避しないとやってられない。
「七望さん強いですよね!?なんで反撃しないんですか!?」
「このペロロ狂いが!ここがどこか忘れたのか!?」
「あっ、そうでしたね!後でペロロ様に謝ってくださいね!」
これは俺、七望ネムリが平穏な日々を送る物語......否、平穏な日々を目指す物語である─────!
「とりあえず阿慈谷、後で殴らせろ!」
「なんでですか!?」
本当に平穏な日々は、手に入れられるのだろうか......。
変な終わり方ではありますが、とりあえず一旦ここまでで......。
次からちょっと進めますね......。