過酷な世界を平穏に生きていく(予定)   作:Ask〈アスク〉

4 / 7
アビドス編3章を読み切ったので初投稿です。


どうにも逃れられぬものは確かにあるらしい

 アビドスの面々と銀行強盗した数日後、俺は何の悩みも苦しみもなく、まるで赤ちゃんのようにぐっすりと眠りにつく日々を送っていた。

 この平穏が続けばいい。そう思う中、なんとティーパーティから召集を受けたのだ。ちなみに俺は桐藤ナギサとも、聖園ミカとも関わりはない。百合園セイアとは多少関わりがありはしたが、彼女は現在、原作通り行方不明扱いだ。とにかく、今のティーパーティメンバーと俺との間には何もないのだ。

 気が乗らないため適当に景色を見ながら廊下を歩く。そしてティーパーティの部屋に着いた。

 ノックをして部屋に入る。

 

「失礼します。トリニティ総合学園高等部二年無所属七望ネムリ、召集に応じ参りました」

 

「召集に応じていただき感謝します。私はティーパーティの今期のホストを務める桐藤ナギサです。早速ですが、本題に移らせていただきます」

 

 桐藤ナギサはそう言うと、一度ティーカップに口をつける。

 なんともまあらしくない。個人的にはさっさと話が進むのでありがたいが、本来はここまで急いで本題に進むタイプでもないだろうに。

 疑いは人を変える、ということだろうか。今回の場合、いい意味ではないが。

 

「数日前、あなたはヒフミさんと出かけていたようですね」

 

「ええ、まあ」

 

「......単刀直入にお聞きしますが、何処で何をしていましたか?」

 

 ......なるほど、ファウストとジェイソン、そして覆面水着団のことはすでに耳に入っている、ということか。

 まあ適当に誤魔化せばいい。いくら権力が強かろうと、さすがに一生徒の行動履歴を遡ることなどできまい。

 

「そうですね、前に阿慈谷と出かけたときは......百鬼夜行に行きましたね。なんでも、ご当地ペロロなるものを集めたいとか言ってましたね」

 

「......どうして、あなたが付いていく必要が?」

 

「トリニティの生徒ってだけでよく誘拐されそうになるんですよ。阿慈谷はそこまで戦いに向いてないですし、誘拐されそうになれば抵抗も難しいでしょう。ですので、俺が護衛として付いていくわけです」

 

「なるほど......概ね理解しました。本日はお越しいただきありがとうございました。次に会うときは、もう少しゆっくり話せるといいですね」

 

「そうですね、次があるのであれば、俺も何か持ってきますよ。よく行く店のスイーツとか」

 

「そうですか......それでは、その時を楽しみにしておきますね」

 

 微笑む桐藤ナギサの顔を見て俺は部屋から出る。

 ああ、あれは完全にロックオンされたな。あんな下手くそな笑顔じゃあ本心を隠しきれていない。

 原作の知識があるからわかった、というわけではないだろう。きっと、誰が見ても何か追い詰められているように感じるだろう。

 ......にしても、追い詰められ過ぎじゃないか?原作だとここまで酷かっただろうか。

 まあ、それは置いておこう。どうせもう関わることなどないのだから。俺が何かできることもない。何かできるのは、この世界(ブルーアーカイブ)では『先生』だけなのだから。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 七望ネムリが部屋を出て、ここには桐藤ナギサが残された。

 聖園ミカは今はいない。どこにいるかなど、今は関係もない。

 百合園セイアは今も見つからない。突如姿を消して、どれくらい経っただろうか。

 桐藤ナギサは先ほどの言葉を交わした少年のことを考える。

 キヴォトス唯一の男子生徒。その存在はこの学園において、迫害の対象になった。しかし彼は折れず、今もなおこの学園にいる。それが今の彼女にとってはとても恐ろしいものに思えてならない。

 なぜそこまでされてここに留まるのか。もしかして、どうしてもトリニティでなければならなかった―――――?

 彼女の疑念は止まらない。ここからはただ、彼がトリニティにいる理由を都合よく解釈していくだけだ。

 彼は行方不明になった百合園セイアと関わりがあった。そして、桐藤ナギサ自身が気にかけている阿慈谷ヒフミとも親しい。

 平時であれば何も気にならなかっただろう。だが今の彼女にしてみれば、自身に毒牙が迫っていると感じられる。

 彼の存在により、彼女の状態は本来(原作)よりも酷くなっている。それがどのような歪みを生み出すのか―――――。

 それは、今はわからない。

 




アビドス編3章を読むためにあまねく奇跡の始発点も読みました。
シロコとシロコ*テラーの特殊勝利モーションの意味を理解して涙出ました。
あと、シュポガキのBGMめっちゃ好きです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。