ある日の放課後、学校のある場所で悟は女子生徒と一緒にいた。その理由は…直ぐに分かった。
「好きです! 付き合って下さい!」
告白だった。女子生徒からすれば勇気を振り絞った告白。いや、告白なら必ず勇気は振り絞るものだ。悟の返事は……
「気持ちはとても嬉しいんだけど、ごめん…」
「そっか…もしかして、誰か好きな人がいるの?」
悟は女子生徒の問い掛けに困ったように笑顔で返していた。
告白が終わり、悟がその場から離れようとしたら…まゆとユキに出会していた。
「猫屋敷さん!? ユキちゃんも、なんでここに!?」
「あの、違うの! 決して盗み聞きするつもりじゃ…」
「私達は忘れ物を取りに来ただけ。あなた達のやりとりを聞いたのは、たまたま…成護はどうかしらね」
「え?」
悟が振り向くと後ろにいた俺に驚いていた。
「悪い。のんびりしてたらつい…」
まさか俺も告白の場面に遭遇するとは思ってなかった。
「全部聞いてた?」
「うん…こういう事、よくあるの?」
「時々だよ…」
「それ全部断ってるのね。いろはが好きだから?」
「兎山君は、気持ちを伝えないの?」
「犬飼さんを、困らせたくないから…それに、今の関係が壊れるのも嫌だし…」
関係が壊れるか……確かに悟といろはの2人の関係を見ると…今まで通りにいかない感じもするな
「まぁ、そういうことを考えずに告白した人もいるけどね」
「あはは…」
「ユキ、今日は冷たくない?」
「まゆを放って昼寝してる貴方が悪い」
確かに…それは申し訳ないと思ってる。言い訳もする気がないのでまゆにしっかりと謝罪をする俺だった。
教室に戻ろうとしているといろはとこむぎの2人が楽しみにしている感じで帰ろうとしていた
「随分急いでるね。何かあるの?」
「うん!今日はね。ケイジくんが来るんだ~」
「ケイジ…くん?」
嬉しそうないろはを見て、悟は固まった。
「うん!私、だーい好きなんだ!」
「なんだ!」
「えーっと、それって…」
「うちのお客さん。いつも忙しいから、なかなか会えないんだよね!」
「ねー!」
「ちなみに、どんなところが、す、好きなの?」
まゆ、それ…聞く必要あるのか?何か余計に悟へのダメージが……
「ケイジ君はね、すっごーくカッコいいの!」
「カッコいい…」
「頭が良くって、頑張り屋さんで、足もとっても速いんだ!」
「そんな人間いるの?」
「もしかして…兎山君、ライバル出現だよ! やっぱり、いろはちゃんに…」
「まゆ、楽しんでる所悪いけど、悟が…」
「いくら足が速いって言ったって、今現在、人類の最高速度は約45キロ…これを超える…」
「兎山君! しっかり! 戻ってきてー!」
「良かったら、みんなも家に来て! ケイジ君を紹介するから!」
「「紹介!?」」
まさかの紹介…と言うかこれもしかして……とりあえず悟とまゆはいろはの誘いを断るのであった
断るのであったが、やはり気になっていろはの家のドッグランに来ていた。
「で、なんで隠れるの?」
「その、心の準備が必要というか…緊張しちゃって…」
「ケイジ君、待ってよー!」
いろはの声が聞こえ、俺達は塀の隙間から覗き込むと男の人がいた
「あの人が…」
「カッコ良くて、頑張り屋さんで、足が速い…」
「ハアハア…もう、ケイジ君、はしゃぎ過ぎだよ!」
「大好きないろはちゃんに会えたからね! 大目に見てよ!」
「いいいい、今、いろはちゃんの事、だ、だ、大好きって…」
悟が焦るのは分かるけど、まゆも焦ってるのは何でだろうな?2人を応援してるからか?
「ニャー!?」
すると突然ユキが叫んだ。塀の隙間には犬の顔が…
「ケイジ君、どうしたの?あ! みんな来てくれたんだ!」
「ケイジ?」
俺達が来ていることを知ったいろはは俺達にケイジくんとその飼い主を紹介してくれた
「紹介するね! ケイジ君と、飼い主の圭一さん!」
「「ケイジ君と、圭一さん?」」
「圭一さん。こちら、まゆちゃんと悟君とユキちゃん!」
「こんにちは!」
「「こんにちは…」」
話を聞くとケイジは嘱託警察犬を目指しているらしく、訓練を積んで試験に合格すれば、ペットとして飼われている犬でも警察犬として働く事ができるらしい
「なるほど…だから、頑張り屋さん…良かった…」
悟が安堵するが…
「そうでもないんじゃない?」
「え?」
ユキはそう言って視線をいろはと圭一に向けた
「新しい散歩コース、探してたよね? 海風公園の遊歩道、すごくピッタリだよ!」
「あ、そこ、気になってたんですよね!」
親しげに話す2人…悟の目からはその2人は……
「馬が合うみたいね」
「ボク、今日はこれで…」
悟からすれば2人の姿は見ているのが辛いみたいだな
「え!? あ…じゃあ、私も…またね! いろはちゃん!」
「うん! またね!」
「ワンワーン!」
俺達はいろはたちと別れ、悟の後を追い掛けた。
まぼろSide
買い物を済ませ、家に帰ろうとする中、ある気配を感じ取り、私はその気配の主に声をかけた
「何か用かしら?」
「あら?気が付いていたのね」
私の前にノーヴが現れた。やれやれ、まさか襲撃してくるとはね
「こっちは買い物帰りなんだけど?」
「ふふ、そんなの関係ないわ……さぁ始め……」
互いに戦闘態勢に入ろうとした瞬間、不意にある声が聞こえた
成護Side
悟に追いついた俺達。まゆは悟を呼び止めた
「兎山君、待って!」
「ごめん…見てたら、どうしてもモヤモヤして…」
「ジェラシーね」
「兎山君、告白しよう!ずっといろはちゃんの事を思ってきたんでしょ? 言葉にしなきゃ伝わらないよ!」
「でも…」
「いいの!? いろはちゃんが他の誰かと付き合っちゃっても!」
まゆの問い掛けに悟は悩むことなく…直ぐに答えた
「それは…嫌だ…」
「決まりね。戻りましょ」
「え?」
「先手必勝。あの圭一とかいう人に取られる前に告白するの」
「そんな…急には心の準備が…」
「大丈夫! こわくない、こわくない!」
「まゆが言うなら、間違いない」
「うんうん!だって、私、結んで紡いで繋がる世界の、キュアリリアンだもん!2人の仲も結びたい!」
まゆ…楽しそうだな…まぁ良いんだけどな。うん
「気持ちはすごく嬉しいんだけどな、何て伝えたらいいのか…」
「そういう時は、経験豊富な先輩達に聞いちゃおう!」
「ん!? ニコ様!?」
いつの間にかやって来たニコ様。一体いつから話を……
「話は…」
「聞かせてもらったわ!」
更に姉さんとノーヴが俺達の前に現れた。いや、なんで?
姉さんとノーヴは互いに顔を見合わせ……
「私は人の恋話ほど楽しいものがないと思ってる」
「愛を与えられずにいた私も、人の恋ほど好きなものはないわ!」
互いに頷き合い、熱い握手を交わした。何だろう?人の恋を応援したい奴しかいないのか?俺の周りには……
感想待ってます!