成護Side
ある日のこと…
「ああ…一体どうしたらいいの?」
「なぜ、そんなに悩んでいるんだい、狐崎部長?」
「我がわんにゃん中演劇部が、アニマルタウンの演劇祭に出るというのに!」
「どうしても劇に出てほしい人が、イエスと言ってくれないの! 猫屋敷ユキさん!」
「「演劇部に入部して下さい!」」
「嫌よ」
ユキは演劇部の勧誘を受けていたけど、何だあの勧誘は?
「ユキ…」
「ここまでやっても演劇の素晴らしさが伝わらないなんてね…」
うちの学校の演劇部って中学生の演劇コンクールで優勝した事があって、アニマルタウンの演劇発表会にも招待されるほど。そんな部活に勧誘されるのは名誉な事だけど、ユキからしたら興味がないようなものだよな。
そんな話をしているとクラスメイトの烏丸が声をかけてきた。烏丸は悟にあるものを渡した。それは古い日記……
その日記は150年前に書かれたものらしい。悟曰くもしかしたら狼の事が分かるかもしれないとのことで、烏丸に頼んだみたいだった。
悟は日記を開くとページは所々破れており、更に古い文字で書かれている所もあるが、悟は読める部分を読み始めた
「4月5日、遠吠山に野草を摘みに行った帰り、狼に出会う。石が足の上に落ちてきたらしく、怪我をしていた。薬草を貼って治療した後、水を汲みに川へ向かったが、戻った時には、もう狼はいなくなっていた。無事だといいが…7月9日。魚釣りをしているうちに夜になり、迷ってしまった。途方に暮れている私の前に、あの時の狼が現れた。狼は、まるで、付いて来いと言うかのように、私の前を歩いた。その狼に付いて行くと、私は、知った道に出る事ができた」
「助けてくれた人だって気付いてたのかな?」
「そうかもしれない。狼は賢いと言われているからね」
「犬も賢いよ!」
「そうだねー、賢いねー」
「その狼は、辺りに住む狼達の頭領だった」
「とーりょーって?」
「ボスって事だね。私は、その狼に…ん? ……と名付け? かすれてて読めないな…9月25日、今日も私達は遠吠山の山頂で過ごした。彼の言葉は分からなくても、その瞳や仕草で、私を友人だと認めてくれているのが伝わる。共に風に吹かれるこの時が、何よりも幸せだ」
「狼と仲良くしてた人が、ずっと昔にいたんだ!」
「私といろはみたい! ねえねえ、続きは?」
「うーん…古い字で書かれている部分も多くて…烏丸さん、この日記、少し借りてもいいかな?」
「もちろん!」
「ありがとう!」
「続きが読めないか、調べてみるよ!」
「ありがとう、悟君!」
「この日記、誰が書いたのかな?」
「昴という人みたいだよ」
「昴…」
この日記……何か色々と気になる部分が多いな。とりあえず悟が解読するのを待つべきだけど……
「これだわ…狼と人間…種族を超えた友情…下りてきた! 下りてきたわ!」
「狐崎さん、まさか…」
「新しいお話を書くわよ! 狸原君!」
「ええーっ!?でで、でも、もう準備する時間が…」
「狼って、物語の中だと悪く描かれがちでしょ?『3匹の子ぶた』とか『赤ずきんちゃん』とか! でもでもでも、アニマルタウンの狼は違うの!フフ…ウフフフフ…」
「狐崎さん!」
何か変なスイッチ入ったまま去っていく演劇部部長……アレ大丈夫か?
「役に立てたのなら、良かった…のかな?」
「昴と狼の頭領、友達だったんだね!」
「でも…この後、どうしたのかな…」
確かに……ザクロたちの言葉を聞く限りだと、彼処まで人間に恨みを持つのは……それに…ライフ達は何故……
次の日、また演劇部部長が俺達を訪ねてきた。
「みんな! ジャジャーン!」
「ええ!?」
「もう完成したの?」
「狐崎さん、ノッてる時は早いんだよな…」
「ねえねえ、何てお話なの?」
「『狼王ウルフェン』よ!狼の王・ウルフェンと、平凡な村人・プレアデス。2人の厚い友情が世界を救う、ファンタジー冒険活劇!」
「でも、今からこれを練習するとなると…」
「ギク…時間も人手も全然足りないのよね…」
「衣装だって作り直しだよ…」
何か不憫になってきたな。まぁこの場合……
「良かったら手伝おうか?」
「いいの!?」
いろはが手を貸したくなるわな
「うん! 狼と人間が仲良しのお話、私も見てみたいから!」
「私も!」
「良ければボクも!」
「わ、私も…」
「ほ、本当に?」
「劇の衣装って、前から興味あって、普段は着ないようなお洋服も作れるし…」
「すっごく助かる! 家庭科の授業でまゆさんが作るもの、いつもすごいし!ユキさん。まゆさんが作ってくれる素敵な衣装、着たくない?」
「ユキ…ユキが着てくれるなら、すっごくすっごく頑張るから!」
「着たいよね!」
「頑張って作るよ!」
「はぁ…仕方ないわね…」
『やったー!』
何だかんだユキも演劇を手伝うことになった。
「ユキさんは、ウルフェンに変身の力を与える森の女神役よ!」
「神秘的でユキさんにピッタリ!」
「これは最高の劇になるわよ!」
「はい! 犬役には自信あります!」
こむぎが自信満々に手を上げたけど、これ、犬の出番あるのか?
「でも、犬の出番は別に、な…気付いたら、こむぎちゃんの頭をなでていた…なんて自然な演技力!」
「恐ろしい子犬…」
「演技というか…」
「アハハ…」
「分かったわ! お話の中に子犬を登場させましょう!」
「ワンワーン!」
話がまとまり、劇の準備が始まるのであった。
感想待ってます!