わんだふるぷりきゅあ!混ざり合った獣たち   作:水甲

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68 古い日記と演劇の手伝い

成護Side

 

ある日のこと…

 

「ああ…一体どうしたらいいの?」

 

「なぜ、そんなに悩んでいるんだい、狐崎部長?」

 

「我がわんにゃん中演劇部が、アニマルタウンの演劇祭に出るというのに!」

 

「どうしても劇に出てほしい人が、イエスと言ってくれないの! 猫屋敷ユキさん!」

 

「「演劇部に入部して下さい!」」

 

「嫌よ」

 

ユキは演劇部の勧誘を受けていたけど、何だあの勧誘は?

 

「ユキ…」

 

「ここまでやっても演劇の素晴らしさが伝わらないなんてね…」

 

うちの学校の演劇部って中学生の演劇コンクールで優勝した事があって、アニマルタウンの演劇発表会にも招待されるほど。そんな部活に勧誘されるのは名誉な事だけど、ユキからしたら興味がないようなものだよな。

そんな話をしているとクラスメイトの烏丸が声をかけてきた。烏丸は悟にあるものを渡した。それは古い日記……

その日記は150年前に書かれたものらしい。悟曰くもしかしたら狼の事が分かるかもしれないとのことで、烏丸に頼んだみたいだった。

悟は日記を開くとページは所々破れており、更に古い文字で書かれている所もあるが、悟は読める部分を読み始めた

 

「4月5日、遠吠山に野草を摘みに行った帰り、狼に出会う。石が足の上に落ちてきたらしく、怪我をしていた。薬草を貼って治療した後、水を汲みに川へ向かったが、戻った時には、もう狼はいなくなっていた。無事だといいが…7月9日。魚釣りをしているうちに夜になり、迷ってしまった。途方に暮れている私の前に、あの時の狼が現れた。狼は、まるで、付いて来いと言うかのように、私の前を歩いた。その狼に付いて行くと、私は、知った道に出る事ができた」

 

「助けてくれた人だって気付いてたのかな?」

 

「そうかもしれない。狼は賢いと言われているからね」

 

「犬も賢いよ!」

 

「そうだねー、賢いねー」

 

「その狼は、辺りに住む狼達の頭領だった」

 

「とーりょーって?」

 

「ボスって事だね。私は、その狼に…ん? ……と名付け? かすれてて読めないな…9月25日、今日も私達は遠吠山の山頂で過ごした。彼の言葉は分からなくても、その瞳や仕草で、私を友人だと認めてくれているのが伝わる。共に風に吹かれるこの時が、何よりも幸せだ」

 

「狼と仲良くしてた人が、ずっと昔にいたんだ!」

 

「私といろはみたい! ねえねえ、続きは?」

 

「うーん…古い字で書かれている部分も多くて…烏丸さん、この日記、少し借りてもいいかな?」

 

「もちろん!」

 

「ありがとう!」

 

「続きが読めないか、調べてみるよ!」

 

「ありがとう、悟君!」

 

「この日記、誰が書いたのかな?」

 

「昴という人みたいだよ」

 

「昴…」

 

この日記……何か色々と気になる部分が多いな。とりあえず悟が解読するのを待つべきだけど……

 

「これだわ…狼と人間…種族を超えた友情…下りてきた! 下りてきたわ!」

 

「狐崎さん、まさか…」

 

「新しいお話を書くわよ! 狸原君!」

 

「ええーっ!?でで、でも、もう準備する時間が…」

 

「狼って、物語の中だと悪く描かれがちでしょ?『3匹の子ぶた』とか『赤ずきんちゃん』とか! でもでもでも、アニマルタウンの狼は違うの!フフ…ウフフフフ…」

 

「狐崎さん!」

 

何か変なスイッチ入ったまま去っていく演劇部部長……アレ大丈夫か?

 

「役に立てたのなら、良かった…のかな?」

 

「昴と狼の頭領、友達だったんだね!」

 

「でも…この後、どうしたのかな…」

 

確かに……ザクロたちの言葉を聞く限りだと、彼処まで人間に恨みを持つのは……それに…ライフ達は何故……

 

 

 

 

 

 

 

次の日、また演劇部部長が俺達を訪ねてきた。

 

「みんな! ジャジャーン!」

 

「ええ!?」

 

「もう完成したの?」

 

「狐崎さん、ノッてる時は早いんだよな…」

 

「ねえねえ、何てお話なの?」

 

「『狼王ウルフェン』よ!狼の王・ウルフェンと、平凡な村人・プレアデス。2人の厚い友情が世界を救う、ファンタジー冒険活劇!」

 

「でも、今からこれを練習するとなると…」

 

「ギク…時間も人手も全然足りないのよね…」

 

「衣装だって作り直しだよ…」

 

何か不憫になってきたな。まぁこの場合……

 

「良かったら手伝おうか?」

 

「いいの!?」

 

いろはが手を貸したくなるわな

 

「うん! 狼と人間が仲良しのお話、私も見てみたいから!」

 

「私も!」

 

「良ければボクも!」

 

「わ、私も…」

 

「ほ、本当に?」

 

「劇の衣装って、前から興味あって、普段は着ないようなお洋服も作れるし…」

 

「すっごく助かる! 家庭科の授業でまゆさんが作るもの、いつもすごいし!ユキさん。まゆさんが作ってくれる素敵な衣装、着たくない?」

 

「ユキ…ユキが着てくれるなら、すっごくすっごく頑張るから!」

 

「着たいよね!」

 

「頑張って作るよ!」

 

「はぁ…仕方ないわね…」

 

『やったー!』

 

何だかんだユキも演劇を手伝うことになった。

 

「ユキさんは、ウルフェンに変身の力を与える森の女神役よ!」

 

「神秘的でユキさんにピッタリ!」

 

「これは最高の劇になるわよ!」

 

「はい! 犬役には自信あります!」

 

こむぎが自信満々に手を上げたけど、これ、犬の出番あるのか?

 

「でも、犬の出番は別に、な…気付いたら、こむぎちゃんの頭をなでていた…なんて自然な演技力!」

 

「恐ろしい子犬…」

 

「演技というか…」

 

「アハハ…」

 

「分かったわ! お話の中に子犬を登場させましょう!」

 

「ワンワーン!」

 

話がまとまり、劇の準備が始まるのであった。




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