モテモテなあいつを親友ルートに引きずりこむ。   作:小魔神

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第1話

 突然だけど、俺の友達はモテる。

 中性的な顔立ち、華奢な体格、それでいて立ち振舞いにも品がある。そりゃあ、周りの連中も放っておかないわけだ。

 

 それに気づいたのは中学生の時だ。幼馴染みのこいつと遊んでいると、どうも周りに人が寄ってくるようになった。その中には当然こいつ目当てのやつもそれなりにいて、そいつらを含めて遊んでいる内に周りには白い目で見られるようになり、ボッチとなったわけだ。

  

 当然、俺からしたらあまり面白くはない。だけど友達であることに違いはないわけで、脚を引っ張るような真似はしたくない。

 

 そんな俺が導きだしたのがこれだ。

 

「お前を親友ルートに連れてってやる」

 

「どうしたの藪から棒に」

 

 一緒に弁当を食っていた友達、もとい桔梗セナはキョトンとした顔でこっちを見る。相変わらず可愛い顔してんなこいつ。

 

 ちなみにこいつが俺とお昼を一緒に食べてくれるのただの善意だ。こいつはともかく俺はボッチなので、一緒に食べてくれないと教室の隅か便所で寂しく食べることになる。

 それを汲んでかクラスが違う今でも、こいつは律儀に俺の教室に来てくれるってわけだ。

 

 俺としても大変ありがたいことなので何としてもこれを続けてもらいたい。

 

「いや、お前だけモテて俺がボッチになるっていうのは嫌だからな。それなら、お前が恋愛にかまけている暇がない程、俺が連れ回すことにした」

 

「いやいや、自分がおかしなこと言っている自覚ある?」

 

 苦笑いを浮かべながらセナは言う。

 いや、俺も変なことを言っている自覚はある。だから正論を突きつけてくるのは止めてほしい。

 でも、今の俺はそんなことじゃへこたれない。 

 

「俺がおかしいのなんて昔からだ、今さら気にするな。それに何より、お前しか友達がいないんだ。付き合いが長いんだから知っているだろ」

 

「自信満々にそんなこと言わないでよ。で、友情ルートってなに?」

 

「お前、恋愛ゲームとかやったことある? まぁないだろうから説明すると、あぁいうゲームは特定のキャラクターが攻略対象になっていて、デートしたりなんだりで新密度を深めてエンディングを迎えるわけだ」

 

「まぁなんとなくイメージは分かるけど」

 

 分かるんかい!? 

 絶対、お前には無縁のゲームだろ。お前なら恋愛シミュレーションじゃなくて、現実で恋愛を楽しめるだろうに。あぁいうのは俺みたいなやつが楽しむもんなんだよ。

 

 まぁ、分かるっていってもそこまで詳しいわけじゃないんだろうけどな。

 

「で、親友ルートっていうのは、それらのキャラクターを無視し続けることで入る特殊ルート。要はバッドエンドだな」

 

「バッドなの?」

 

 セナの眉がピクリと動く。これはこいつの不機嫌なときのサイン。

 顔が良いやつほど凄むと怖いって言うけど、今のこいつがまさにそれ。というかどこに機嫌が悪くなる要素があったんだ。

 

「そりゃ特定のキャラクターと仲良くなるゲームで、それが達成されていないからな」

 

「ふーん。まぁ何でもいいけど。要はコウが遊んでくれるってことでしょ?」

 

 頬杖をつきながらいつもより低い声でセナが言う。いやだから何にイラついてるんだよ。

 とはいえ、言っていること自体は間違っていない。

 

「まぁそうなるな」

 

「なら今までと変わらないんじゃない? さて、それじゃお昼休みも終わるし教室に戻るね!」

 

 さっきとは違った甘ったるい声でセナが言う。まぁ、こいつの機嫌が直ってなりよりだ。そもそもどこで機嫌が悪くなって、どこで良くなったのかも分からんかったが。

 

「あぁ。今日もありがとうな」

 

「はいはい。それじゃあまた放課後ね」

 

 あっという間に弁当箱を片付けたセナは手をヒラヒラと振って教室を後にする。

 

 さて、午後の授業まではあと5分。周りからの視線を痛いほど浴びつつ寝たふりをする。はぁ、あいつと同じクラスだったらよかったのにな。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 4月の最初はクラスが違うことにイラついてたりもしたけど、今になって考えるとクラスが違ってよかったかも? 

 

 だって、お昼を食べるって言うのが特別なイベントみたいになるからね。

 

「お帰りセナ」

 

「お帰りって、ただお昼食べてただけだよ」

 

 出迎えてくれたのは新山ミズキ。中学からの友達だ。コウとは違って私は友達はかなり多い方だとは思うけど、その中でも仲良しと言えるのミズキと数人くらいだ。

 

「そんなにニコニコして何も無かったってことは無いでしょ。もしかしてなにか進展したの?」

 

「よくぞ聞いてくれました!」

 

 ニヤニヤとした表情を浮かべるミズキ。鬱陶しいと思うときもあるけど今日の私は気にしない。むしろ自慢したい気持ちで一杯だ。

 

 何て言っても、デートに誘われたからね! いや、他の子と恋愛する時間も与えないほど連れ回すって告白なのでは。まさかついに恋人の関係? ヤバい、テンションあがる。これからはあんなことやこんなこともできるってことだもんね!?

 

「ちょいちょい、自分の世界に入らないで。一体何があったのよ」

 

「そうそう、聞いてよミズキ」

 

 そうして今日のことを洗いざらい全てミズキに伝える。途中ミズキの顔がゲンナリしていたような気がしないでもないけど、まぁミズキも思春期だし羨ましいんだろうね。

 

「いやセナ、それって告白じゃないんじゃない?」

 

「ふ、ミズキ嫉妬は恥ずかしいよ?」

 

 でも恋人持ちを羨むのは女子高生なら当然か。しかも相手がコウだしね。ミズキは中学から一緒だしその魅力も分かっているしなおさらだと思う。

 

「いや、嫉妬とかじゃなくてさ。まぁ嫉妬でもいいんだけど」

 

「なに、コウを狙ってるの?」

 

 思わずミズキを睨み付けてしまう。

 ミズキは私ほどじゃないけど魅力的な女子。まずないとは思うけどコウが浮気する可能性もある。

 

「いやいや、狙ってない狙ってない」

 

「は? コウに魅力が無いっていうの?」

 

 いやいや、コウを狙わないってどういうことよ。あんなに魅力のある人間なんて少なくてもこの学校にはいないって言うのに。

 

「面倒くさいなぁこいつ。というかあの子が悪いのかも?」

 

 

 

 

 

 

 

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