モテモテなあいつを親友ルートに引きずりこむ。   作:小魔神

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第3話

 キンコンカンコン。

 1日の終わりを告げるチャイムが教室に響き渡る。

 

 全くどうして、午後の授業っていうのは長く感じるんだろうな。特に今日は午後の授業が現国・数学・英語っていうトップクラスにしんどいラインナップだったのも原因だとは思うけど。

  

 とにかく、セナとの約束もあるし帰る準備をしないとな。あいつ、こういう時めちゃくちゃ早く集合場所にいるからし、あんまり待たせるのも悪い。

 

 とにかく、さっさと荷物を纏めるとするか。俺はちゃんと復習をするタイプだからな。置き勉はNGだ。

 

 そうやって、そそくさと帰ろうとすると、本当に珍しく背後から声をかけられた。

  

「ねぇ、ちょっといい? あなたって桔梗さんとどういう関係なの?」

 

 えーと、こいつはクラスメイトの木本だったかな? なんせ、普段はボッチだから名前が覚えられていないんだよな。本当は色んなボッチエピソードを語りたいところだけど、生憎今日は時間がない。

 せっかく話かけてくれた木本にも申し訳ないけど、ここはさくっと切り上げさせてもらおう。

 

「昔からの友達だよ。そんなこと聞いてどうするんだ?」

 

「ちょっと気になって。いつも桔梗さんとお昼食べてるよね」

 

「あいつは優しいからな。ボッチの俺にも構ってくれるんだよ」

 

 本当にいつも助かってます。ここにはいないけど改めて心の中で感謝しておくぜセナ。

 

「え?」

 

「じゃあ予定あるからこれで」

 

 それだけいって席を後にする。今日に限ってはすっとんきょうな表情を浮かべている木本に構ってる暇はないんだ。

 

 この時間ならあいつをそこまで待たせることもないだろう。ギリギリセーフってやつだ。

 

 

 

 

「すまん、待たせたな」

 

「こっちも今来たとこ」

 

 の割には鬼のようにL○neを送ってきてただろ。怖いから既読は付けなかったけどな。

 

「相変わらず早いな。で、何か注文はしたのか?」

 

「ううん、まだだよ。コウは何食べる?」

 

「せっかくならモノクロスイーツでも食べとくか。このケーキセットにしようかな。お前はどうするんだ?」

 

 1200円かぁ。まぁ、たまにの贅沢だと思えば許容範囲だな。2時間バイトすればお釣もらえるし。何より600円のコーヒーだけ頼むよりは何となく割安にも感じるしな。

 

「じゃあ私もそれにしようかな」

 

 

 

 

 運ばれて来たのは名前に違わない白黒のケーキとコーヒー。器を含めて本当に白と黒の二色しかないんだな。

 

「なんか、普通だな?」

 

 決して美味しくないわけじゃないんだ。ただ、想像を全く越えてこないだけというか。

 個人的には高い金を払ってまで頼むものではないと思ってしまうな。

 

「やっぱりコウも思った? まぁ結局モノクロスイーツなんていうのは見た目に重きを置いているからね」

 

 なんか妙に毒吐くなこいつ。あんまりキツイ物言いはしないやつなんだけどな。まぁその割には皿の上のケーキは既に跡形も無いけど。

 

「でも、ここの雰囲気は好きなんだ。何と言うかお洒落だし落ち着くというか」

 

「ふーん、そういうものなのか。まぁこういうカフェは回転率が悪い分、商品価格が高くなるらしいからな。長く滞在できる空間を作るのも大事なんだろ。存在意義がなくなるからな」

 

 聞いた話によると、こういう店とコンビニのコーヒーの原価はほとんど変わらないらしいぞ。コンビニの商品の中でもコーヒーっていうのは特に原価が高いものではあるらしいけど驚きだよな。

 

 まぁ、目の前のセナは俺の言ったことなんて全く聞いてない様子で、周りをキョロキョロ見渡したかと思えば、ニヤニヤとした笑みを浮かべて話しかけてくる。

 

「で、コウ。周りを見て何か思わない?」

 

「ん? やたら同じ制服の奴らが多いな。このカフェってそんなに流行ってんのか」

 

 そういう情報すらボッチの俺には落ちてこないんだよな。小さい頃は高校生になったら毎日友達と遊んでいる姿を想像していたのに現実は残酷だよなまったく。

 

「そうみたい。有名なデートスポットになってるんだって!」

 

「ふーん。言われて見ればカップルぽい奴らもちらほら見えるな」

 

 別に悔しくなんてないからな。無理に平静を保っているわけでもない!

 大体、学生の本分は勉強なんだぞ。きっとここにいる連中はそこを忘れているに違いない。

 

 とにかく、目の前のセナだけはそっちの方にはいかせない。こいつにはずっと俺の横で弁当を食べて貰わないといけないんだから。

 

「そうだよね!」

 

「なんでテンション高いんだよお前」

 

 まさか、デートの前の予行演習で俺と来たわけじゃないよな? いや、あり得るな。この前もどこぞの誰かがこいつに告白したみたいな話が、休み時間寝たふりしている時に聞こえてきたからな。

 

「なぁ、セナ。一応聞くけど、お前って付き合っている相手とかいるの?」

 

「えー、気になるの?」

 

 なんだその気持ち悪い笑顔は。これが恋人持ちにのみ許される優越の笑みってやつか。

 

「まぁ一応な、一応」

 

「ふーん。まぁそういうことにしておいてあげる。でも安心して今のところそんな人はいないよ」

 

「はぁーーー。よかったよかった」

 

「ちょ、ちょっとちょっと」

 

 勢い余ってセナの肩をバシバシ叩いてしまった。まぁ、許せ友よ。危うくこいつが次のステージに進んじまったのかと思っちまったよ。

 

「よし、今日は俺たちの友情の記念に俺が奢ってやるよ」

 

「は、はぁ?」

 

 1200円で安心が買えるなら喜んで出すさ。これで貸し1つだからな。

 まぁ、こいつは何が気にくわなかったのがさっきまでの笑顔が引っ込んで、いかにも不機嫌な様子だけどな。

 

 

結局、この後もこいつの機嫌は戻らなかったのか終始重い空気が流れていたのはきつかった。

 ようやく向こうから話かけてきたのはカフェを出てからだ。

 

「ねぇ、コウ。今週の土曜日は暇だったりする?」

 

「ん、どうした」

 

「いや、ちょっとカフェでは悪いことしちゃったから。土曜日ゲームセンターでも行こうよ。奢るからさ」

 

 機嫌が悪い自覚はあったんだな。こいつが自分からゲーセンに行こうなんて言ってくることは珍しい、つまり迷惑を掛けたとは思っているわけだ。別にそこまで気にしてはないんだけど。

 本当なら、こいつのためにもこの申し出を受け取りたいところなんだけど、そうもいかないんだよなぁ。

 

「悪いな、土曜はバイトなんだよ」

 

「まだあのバイトやってるの?」

 

 このバイトを始めたのは小学生のとき。もっとも小学生の時はバイトというよりタダのお手伝いみたいなもんだったけど。そういう意味で言えば正式にバイトを始めたのは去年からと言えなくもない。

 

「なんやかんや腐れ縁てやつだよ。お前もたまには顔だしてやれよ。あいつも喜ぶと思うぜ?」

 

 バイトと言っても、顔見知りの手伝いをするだけだからな。そんなに畏まったものでもない。昔をセナも何度か手伝いに来ていたこともあったけど、ここ最近はめっきり無いな。

 

「まぁ、そのうちね」

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

「失敗したなぁ」

 

 我ながら自分が幼稚過ぎて嫌になる。

 あんなことで拗ねて、コウにも気を遣わさせちゃったし。

 

「それに次の土曜日も忙しいっていってたし」

 

 つまりコウに次会えるのは来週の月曜日。日曜日はどうしても会えないし、これはしょうがない。できれば月曜日までこの気持ちを引きずりたくなかったんだけどなぁ。

 

「はぁ、、」

 

 

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