バイバイベイビー   作:mikaon

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原作不介入、バイバイベイビー

 ウィスキーピークの再建は、新市長イガラッポイもとい、Mr.8によって着々と進められていた。

 流石、大国の護衛隊長をしていただけあって、統率力や人心掌握能力は見事である。

 特に、バロックワークス本社との予算の掛け合いにおいては、ウィスキーピークの地理的重要性を解き、復興予算として3000万ベリーを取り付けてくるなど、大活躍であった。

 

 俺はウィスキーピークの復興に日々忙殺されながら、これからの身の振り方を考えていた。

 つまるところ、どう死なずに生きていくか、ということである。

 

 原作におけるMr.9について思い出しておこう。

 登場するのは、主人公・麦わらの一味が、グランドラインに入った直後の、双子岬である。

 巨大なクジラ、ラブーンを食料として捕獲するための謎の男として、ミスウェンズデーと共に登場。

 ウィスキーピークにて、ミスウェンズデーが、アラバスタ王国の王女ネフェルタリ・ビビだと分かると、彼女を逃がすため、追手と戦い玉砕。

 その後は、扉絵で生存が確認されている程度のほぼモブキャラである。

 

 ワンピースの世界は、はっきり言って地獄だ。世界政府が支配するディストピアと言っても過言ではない。

 貴族の天竜人が支配する世界政府があり、その下に加盟国、さらにその下に非加盟国がある。

 加盟国は上納金を支払い、世界政府に属する海軍に守ってもらえるが、非加盟国は上納金を支払わないが自衛をしなければならない。

 ウィスキーピークの属している国は、非加盟国であるため、海軍は守ってはくれないのだ。

 まあここには理由があり、単純に、グランドラインの入り口に、海賊狩りの拠点を設ければ、それだけ賞金稼ぎでの儲けが美味い、という国側の考えがある。

 

 前線にいる俺たちも、国の中では裕福、というか一番金を掛けてもらっているのであろう。

 命を掛けて食い扶持を得る、兵士と言うのがしっくりくる。

 

 話を戻そう。

 俺が生き残るには、強者になるか、強者と共になるか、の二択である。

 

 まず原作の俺のポジションは、間違いなく弱者側である。

 そして原作と違うのは、俺が悪魔の実を食べていること。

 強者になりかけている、ということである。

 少なくても原作のMr.9は2300万の賞金首を倒せるようには見えなかった。

 故に原作より間違いなく強い。

 

 しかしそれはグランドライン前半の海だけの話。

 後半の新世界となれば、覇気も使えないモブと化す。

 というワケで、この場所からは出たくない。

 

 では次に強者と共になるか、という選択。

 幸いにも、俺にパートナーは、原作屈指のキーキャラクター、ネフェルタリ・ビビ王女。

 上手くいけば、麦わらの一味に潜り込むことも可能だ。

 

 しかし奴らは、主人公補正の名の下、無茶苦茶な旅をしている。

 俺はそれについていける自信は無い! 

 ただでさえ、天竜人を殴ったりして、国家予算並みの懸賞金をかけられているのだ。

 俺がその仲間になんてなってみろ! 命がいくつあっても足りんぞ!! 

 

 ここから導き出させれる結論は、こうだ。

 悪魔の実を駆使しつつ、上手く原作通りフェードアウトし、そのままウィスキーピークでそこそこ強い賞金稼ぎとして金を稼ぐ。

 ある程度金を集めたら隠居して、静かに暮らす。

 これしかない。

 

 原作に極力介入せず、フェードアウト。

 ともなれば、俺はこのゲルゲルの実をひた隠しにしなければならない。

 

「分かってるさ。アタシだって、悪魔の実をくすねたのがバレれば、罰則対象だ。誰にも言いはしないさ」

 

 ゲレッカ改め、ミスマンデーにはあらかじめ釘を刺している。

 こいつもまた、原作のネームドキャラだったとは。しかも俺の未来の嫁らしい。

 いやいや、幼馴染だから。そういうんじゃねえから。

 もしかしたら、この辺も原作とは違うのかもしれない。

 

 ともかく、ともかくである。

 俺は、バロックワークスで出世せず、現在の地位を守りながら、原作通りにMr.5に倒されることを目標に動こう。

 

「Mr.9、どうしたの? 考えこんじゃって」

「クエー?」

 ミスウェンズデーが怪訝な顔でこちらを覗き込んでくる。

 隣にいるのは、超カルガモのカルー。クソデカいカルガモである。

 

「いや……。なんでもない。それよりどうだ、このウィスキーピークは? もう町民とは打ち解けたか?」

「ええ。ここの人たちは、皆必死で生きている……。任務をする私の身も引き締まるわ」

 

 なんと殊勝な子だろうか。

 仮にも敵のアジトなのに、やはり原作に出てくるキャラは芯が強いな。

 

「バロックワークスの社訓は、謎だ。お互いの詮索はしない。が、俺のことを少し話そう」

 

 俺は、この地が故郷であること、ミスマンデーと幼馴染であること、そしてなんとか生き延びることが目標であることを伝えた。

 ミスウェンズデーはその話を真剣に聞き、時折激しくうなずいてくれた。

 

「ありがとう、Mr.9。貴方がこの町を大切に思っていることが良く分かったわ。私のことも少し故郷のことを話そうかしら?」

「いや、無理に歩調を合わせなくていい。話したくなったら話してくれ」

 どうせ、本当のことを話すわけにもいかないだろう。作り話を聞いたところでどうしようもない。

「ただ、俺がビジネス上、パートナーとして問題ないことを示しておきたかっただけだ」

 俺は手を差し出した。

 

「どうかよろしく、ミスウェンズデー」

「こちらこそ、Mr.9」

「クエー!!」

「いででで!!」

「こらカルーやめなさい!」

 

 握手をしようとした手が、カルーによってついばまれた。

 なるほど。たしかカルーは彼女のバロックワークス入りに反対だったんだっけ。

 だからポンコツを演じていたそうな。

 

「ごめんなさい、うちのカルーが迷惑を」

「いいさ。信頼には時間が必要だ」

 

 出鼻をくじかれたがまあ良いだろう。

 俺とミスウェンズデーは、新しく建てられた自分たちの拠点に入る。

 そしてアンラッキーズBOXと呼ばれる、本社からの郵便桶の中身を確認した。

 その中に、封筒が入っていた。新しい本社からの指令だ。

 

「さて、記念すべき我々の初指令が送られてきたぞ、ミスウェンズデー」

「中身を確認しましょう」

 

 

 

 指令:東の海にて、賞金稼ぎ、海賊狩りのゾロをバロックワークスに加入させよ

 

 

 

 俺は卒倒しそうになった。

 

 

 




続くかは未定。
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