現在ルビーの育成方針編を久し振りに制作中ですけど、色々他作品ネタの技術混じるから好き嫌い分かれるかも。
好敵手は強い方が燃えるよねと思って有馬かなの設定組んでたらとんでもないモンスターになってしまった。
これでアイとかフリルには及ばないとか嘘だろ……
いや、あいつら人間じゃないから別に問題ないか(投げやり)
時系列的にはルビー加入前のお話になります。
有馬かなと関わった同世代及び後輩である歌手や俳優は誰もが口にする。
『人を妬まぬ者は運が良いだけだ。神々の寵愛を一身に受けた者を知らないだけ。全てを焼き尽くす程、強烈で鮮烈な太陽の如き存在に……』
有馬かなは褒める時、本人が頑張った事しか褒めない。
それは勤勉な者達にとっては救いであり、希望である。
だが同時に運で勝ち取った者や、才能で大した苦労もなく上達した者達には絶望だ。
現に有馬かなに初対面で褒められた者達は勤勉故に壁にぶち当たっても努力の方法と身に着けた自信故に乗り越え大成する者が多い。
逆に褒められなかった者達は、何れも壁にぶち当たっては乗り越えられず挫折して芸能界を去る。
その結果を見て目敏い者達は有馬かなが初対面で勤勉かつ一芸に秀でた者を見抜く目を持っていると知り、活用する。
かなの目に止まった者達に目を向けて指導すれば有能な者になりやすい。
だからこそ、上司達は有馬かなに褒められなかった者達は見込みが薄いのだとチャンスを与える機会を減らしてしまう。
そうして出来上がったのが初対面で褒められなかった者達は芸能生命すら終わらせられる"緋色の絶望"と畏怖された異名が出来上がった。
「有馬かなです。本日はよろしくお願いします」
とあるドラマの撮影現場において礼儀正しく挨拶をするかなとは対照的に撮影現場に参加したスタッフ達や俳優達に緊張が走る。
『ひ、緋色の絶望だ……』
『この人が"緋色の絶望"と呼ばれている人……』
『映像で見るよりも綺麗だ……』
『馬鹿野郎!?お前、そんな生半可な気持ちで撮影に望んだら俳優人生詰むぞ……あの人との撮影で何人の新人俳優達が俳優生命終わったと思ってる……』
ざわざわと騒ぐ新人俳優や新人スタッフ達。
殆どが恐れるように冷や汗や目を合わせないようにしている。
何せとある大手芸能事務所の男性アイドルユニットグループで10名近くいた内、かなが褒めた3名だけが残り……話題にすら出さなかった7名は挫折や不祥事など様々な要因で引退したという事実がある。
その大手事務所社長が震え上がったのは言うまでもない。
何せ自分が見込んで集めた男性アイドルユニットの中から本当の"玉"に当たる存在だけを見抜いて褒めたのだから。
そんな事が複数回起これば芸能事務所でかなが褒める事が大成するかの宣告紛いで噂されるのも無理は無いだろう。
そしてかなが出演すると周囲は彼女の才能によってパフォーマンスを引き出される。
彼女の演技は太陽の如き情動による熱を周囲に与える。
『何だよこれ……今までよりも一番上手く演じられてる……』
『演技な筈なのに……どうして設定上の敗北シーンなのに胸が痛むんだよ……』
『こんなに楽しいなんて……こんなの俺は知らない……』
今回のドラマはとある部活動の試合シーン。
かなは主人公のいる部活動のマネージャーをしているメインヒロインの役柄でしかない。
だがその役柄一つで撮影現場に参加していた俳優達は本当に撮影シーンの役柄をしているかのような情動を与えたのである。
勝利した主人公チームのメンバーは勝利による歓喜を、
敗北した敵チームは敗北からの悔しさの絶望を……
自身だけでなく周囲の感情とパフォーマンスを強制的に引き上げてしまう事もかなが"緋色の絶望"と呼ばれる所以の一つである。
多くの同世代の者達は絶望する。
自分と同世代に決して届かない高みへと君臨する有馬かなという競争相手に。
彼女の前では2択しかない。
上と認めて恭順するか、認めず対抗するか。
だが認めず対抗しようとした秀才達は何れもかなの成長速度に実力差を突き放され絶望する。
一部例外は
有馬かなを逆恨みして包丁を持って刺そうとしてきた者もいた。
『こういう事止めてよね。人殺しなんてなりたくないの』
かなは突き向けられた包丁を親指と人差し指だけで容易く掴んで止める。
まるで壁に突き刺さったかの如く二本指だけで包丁の刃先はピクリとも動かない。
『殺傷沙汰とかうんざりなのよ。……はい、返すわ』
かなは掴んだ包丁を飴細工のように曲げる光景を見せられて、襲撃者は言葉を失う。
自身の人生を投げ捨てての一矢すらもかなにとっては、指先で捻じ曲げられる程度の些事でしか無いと言うのを文字通り経験させられた。
『これが……緋色の絶望……』
襲撃者は自身の心がポキリと折れる音がした。
そんな有馬かなは……
「ふっざけんなぁ!何が緋色の絶望よ!何で初対面の相手を褒めなかっただけでこの世の終わりみたいな顔してんのよ!家族とか友人とかならいざ知らず、自分の事まともに知らない奴から褒められなかったから絶望するとか馬鹿じゃないの!」
「そもそも他人の評価気にしてんのも馬鹿らしい!他人から駄目だって言われたら簡単に諦めるって言うの!?本当にやりたいことなら周りから駄目だって止められてでもやりたいから夢なんでしょ!?神頼みのように縋るんじゃ無いわよ!馬ァ鹿!!」
「荒れてるねぇ…」
「荒れてますね」
撮影現場を終えて事務所に帰って来たかなはAに膝枕されながら愚痴を吐いていた。
因みに見慣れた光景だからかMEMも慣れた対応をしているのは余談である。
「緋色の絶望って芸能界から完全に化け物扱いされてるのに、かなちゃんの人気って凄いよね」
「視聴率を気にする監督や視聴者には怖さとか関係ありませんから……因みに今期の視聴率トップ3に入るレベルで高いですよ」
「本当だ。かなちゃんが出演する作品って感情揺さぶられるの多くて見ちゃうんだよねぇ」
「ありがとねMEM。それもこれもクソプロデューサーが私へ身に付けさせたエフォートアイのお陰よ!」
MEMにお礼の言葉を言いつつもAのおかげと忌々しそうに言うかな。
エフォートアイとは英語の「effort」をカタカナ表記した言葉で、日本語では「努力」を指す物を見抜く目である。
つまりかなにとって周囲の人間の努力を数値として見抜ける審美眼を後天的に身に着けたということである。
「その割には嬉しそうじゃないねぇ」
「当たり前よMEM。こんなの持ってたら逆に恋愛が出来なくなるわ!」
「お、おう……それ乙女としては結構致命的だね」
何か不穏な事を聞かされるんだろうなぁと身構えるMEM。
「例えばイケメンがいたとするでしょ?」
「うん」
「身だしなみや体型維持の運動とかの努力してるのが分かるのよ」
「良いことだよね」
「それと一緒に交渉力とか薬物知識とかの努力数値も高いのよ」
「ん?雲行き怪しくなったねぇ」
「気になってAに調べてもらったら、新人の女の子とかを誑して違法薬物に手を染めさせるクズ野郎だったわけよ」
「うわぁ…それは酷い」
「要は良い努力だけじゃなく、悪い意味での努力も見えちゃうわけよ」
「それは確かに見たくないなぁ」
MEMの言う通り、人は綺麗な部分を見たいし信じたいのだ。
どんな格好良い相手でも悪趣味や奇行を見れば百年の恋だって冷めてしまう。
格好良いイケメンでも動物虐待とかDVとか一般的に悪い事してるのを見てしまえばときめかないのは自然な事である。
「でもかなちゃんって恋したいとかあったかな?気になる人でもいるの?」
「いや私としては責任取らせる相手は決めてるから別に恋したいってわけじゃないわ。まあ乙女としてはときめく相手と出会って見たいとは思うけど……」
「そうだよねぇ。やっぱり劇的な恋愛とか憧れるよねぇ」
「そういうものなんですね」
「あ、クソプロデューサー撫でる手は止めないでよ。今日はいっぱい私を甘やかしなさい」
「分かりました」
Aはかなの望むままに撫でるのを継続する。
かなが愚痴を吐く際はこうして甘やかすと決めているAは手慣れた手つきで頭を撫でていた。
その光景を見てMEMが羨ましそうな視線をチラチラと向けているのは余談である。
「MEM、言っておくけど死ぬ気で努力するなんて言葉は使っちゃ駄目よ。本当に努力出来る人は、自分の限界を知ってるから死ぬ気でなんて口にしない。結局は地道に積み上げてくしか無いのよ」
「でも限界を超えるって言う言葉とかあるよね?」
「努力の限界を超えてどうするのよ。努力ってのは夢を叶える為の手段であって、目的じゃない。オーバーワークは身体を壊すだけで治療や療養期間を考えればマイナスよ」
「じゃあかなちゃんはどうしてるの?」
「人の三倍の密度で練習して、休みはきちんと取る。クソプロデューサーから最初に教わった事よ」
かなは撫でられる手へ頬に寄せてスリスリとさせる姿から、目に見えてだらけきっていた。
「極論言えば練習や努力とは詰め込めます。但しそれに比例して精神的疲労やモチベーション低下に繋がりやすい」
「ねぇMEM知ってる?密度を詰め込み過ぎた努力って、吐く、失神、心停止の順で難易度が上がるの。因みに私は一度失神して悔い改めたわ」
「そんなの聞きたくないよぉ」
「本人が望まなければやりませんよ」
望めばやる辺りが清々しいクソっぷりを発揮しているA。
MEMは今まで吐きそうになるレベルはあれど、乙女の尊厳として吐く行為は防いでこれた。
このストイック過ぎる先輩アイドル候補生であるかなは本気で頼んだんだろうと哀れみの視線をMEMが向けたのは言うまでもない。
「膝枕しましょうか?」
「ふぇ!?突然どうしたのプロデューサー!?」
「羨ましそうに見てたので。いや、委ねるのも良くないですね。私が膝枕したいので少しだけ付き合ってください」
「も、もう……仕方ないなぁ〜」
口ではやれやれ風に言ってるがニヤけながら答えるMEMは、かなの頭を乗せていないもう片方の膝に頭を乗せた。
「ふぉぉぉ、硬いと思ってたのに思ったより柔らかい!?どうなってるのプロデューサー!?」
「企業秘密です」
「気になるんですけどぉ」
低反発枕並の柔らかさという明らかに人体の神秘から逸脱した感触に戸惑うMEMだが、心地良さからそういう事もあるかぁと思考が流れてしまう。
勿論Aは別世界で身に着けた変身技能で、再現してるのである。
最近どっかのアウトローの頸が飛ぶ忍者漫画でも変身する異能を持つ忍者の長がいるのだからこれくらい普通でしょとAは割り切っているのは余談である。
「クソプロデューサー、三人目はどうするつもりなの?ぶっちゃけ私とMEMいれば充分じゃないの?」
「入る時に三人とは聞いてたけど、本当にかなちゃんレベルの逸材が来るのか疑問だよねぇ」
「三人目の候補はいますが、ハードルが高いですね。貴方達と同等の才能だけではまだ不足してます」
「どうしてよ?」
「これはうさぎとかめの例えになりますが、貴方達はトップアイドルになるまで成長を止めないうさぎだからです」
「それ亀に勝ち目無くない?」
「亀が怪獣ガメラ……手足を甲羅に引っ込め、その穴から強力な火炎を噴き出して空を飛ぶような怪獣ならうさぎに勝てますよ」
「最早、亀とは違う生き物よそれ……」
かなはジト目で言いながら答える。
因みにガメラを出してMEMはともかく、かなは何それという表情だったので例を上げる生物としては失敗だなと補足を付け足したのは余談である。
「貴方達と同格では追い付けないのでまだ不足です。そうなると後から入って貴方達以上の成長スピードで並び立てるだけの才能と努力が必要になります」
「それ普通に考えると私達の上位互換じゃない。そんな奴芸能界にいたかしら……駄目ね。少なくとも緋色の絶望呼ばわりしてる連中にはいなかったわ」
「かなちゃんはともかく私は無名からのスタートだったから、芸能界ではまだ活躍してないとか?」
「私だって天才子役と呼ばれてた栄光に縋って泥船に沈みかけてたんだからスカウト時期としては無名とあんまり変わらないわよ。そう考えると私達では思い付かない所から引っ張って来る可能性あるから考えても無駄ね」
「そうだねぇ〜」
かなとMEMは三人目への関心を捨てて、Aの膝枕を堪能していた。
どうせ加入して来たなら迎え討てば良いだけの話だと彼女達は理解しているからである。
「候補は三人いるんですが、誰を加入するか迷ってるんですよね。名探偵より人間観察と推理が上手い娘、対知能特攻持ちの異種生命体、殺意に目覚めるとアイドルを投げ捨てても報復に走る復讐者と問題を抱えてます」
「サスペンスの住人よねそれ。あれ、一人だけ人間扱いされてない娘いなかった?」
「うわぁ…全員おっかなさそう……」
Aの言葉にかなとMEMはドン引きする。
どう考えてもアイドルじゃなくてサスペンス世界の住人なのだから。
「人選は運も絡みますので、2人は追い抜かれる事のないように積み重ねて行きましょう」
「「はーい」」
休憩を終えて、かなとMEMはレッスンに戻ったのであった。
有馬 かな
…Aによる英才教育によって緋色の絶望と芸能界で畏怖される歌姫。
今回は俳優現場だけど歌手とかの撮影現場でもこんな感じである。
不知火フリル
…アイ亡き後に必ず芸能界に君臨するAが出会ってはいけない存在。因みにアイが生きてようが、有馬かなが本編で俳優として大成してようが彼女の人気は一切の曇りは起こらないレベルでファン達の脳を焼く。
本編でアイに匹敵する手に負えない傑物扱い。
アイが異種生命体ならばフリルの傑物扱いのテーマは"ニーチェの深淵"になる。
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