アイがストーカーに刺されて死亡して一年後、苺プロは激動の変化があった。
斎藤壱護社長の失踪、妻の斎藤ミヤコはアイの子供であるルビーとアクアを引き取って育てることを決めた。
だがそれだけでなく、プロデューサーAはミヤコが事業撤退を考えてたアイドル課に待ったを掛けた。
解散に関しては問題ないが、アイ抜きでドームライブを成し遂げると言い出したのである。
ミヤコとしてはAがしがみついているのではないかと思ったが、Aの目論見は別の計画書を見せられた。
「ドームライブ開催という実績が本当に必要なのA?」
「ええ。二代目B小町を結成する為に必要です。その為に今のB小町メンバー達でドームライブ開催まで行う必要があります」
ミヤコは一年で結果を出しなさいという無茶振りを出した。
自分達の悲願であるドームライブ開催をアイ抜きで出来るとは思わなかった。
しかしミヤコの予想を裏切りAは文字通りB小町メンバーだけでドームライブ開催まで成し遂げて解散させた。
B小町メンバーの中には解散に抗議する者達もいたのだが、Aはミヤコ社長との取り決め通り解散させた。
そうして新しい二代目B小町を集める計画にAは動き出した。
そんなAにミヤコは親心からアイドルを目指すルビーを推薦したのである。
そうしてAはアイの娘である星野ルビーと邂逅する。
金髪に赤い宝石の様な瞳を持つ少女でアイを思わせる面影がある。
因みにプロデューサーAは星野ルビーがアイの娘とは斎藤夫妻から知らされてないのだが、原作知識として知っていたが知らない振りをしていた。
そして挨拶を交わした後にルビーはAに夢を語るが……
「アイみたいなアイドルになりたい!」
「嘘ですね」
「え……」
プロデューサーの言葉に固まるルビー。
「今の言葉を口にした途端に熱量が下がった。憧れは後付けで本来の理由じゃないようですね」
「ちょっとA!何を言ってるの!?」
「織姫と彦星……まるで会いたくても会えない大切な人と会う為にアイドルを目指そうと思ってる。違いますか?」
「!?」
Aの言葉にルビーは図星を突かれる。
何故ならルビーがアイドルになりたい一番の理由は大好きな『せんせー』と呼べる愛しい人と出会う為だからだ。
「君がアイドルを口にした時に感じた熱量の残滓からそれを読み取れました。アイドルに必要な要素で人を突き動かす一番必要な熱量は本音からしか生まれない。貴女が本心で語れないならアイに並ぶ才能を秘めてる君であっても承諾しかねる」
「!?」
「A……言いすぎと言いたいけど、随分とルビーを見ただけで買っているのね」
「ルビーさんから才能は感じ取れました。だから私がルビーさんを引き入れるなら2点改善を求めたい。一つ目は今言ったトップアイドルを目指す本音の熱意を知りたい」
「もう一つは何なのかしら」
「覚悟を……"アイと並ぶ"ではなく"アイを超える"トップアイドルになる覚悟が欲しい」
「!?」
「本気なのA!?」
Aの言葉に驚愕するルビーとミヤコ。
しかしAはそんな二人の驚愕にも動じずすぐさま事実を告げる。
「既に候補は二人います」
「!?」
「一人は自分こそが一番可愛いと太陽のように周囲を照らす魅力を持つ少女。もう一人は深海を思わせる位に全てを飲み込みながらも安息を与える女性。彼女達は俺がスカウトする際に約束しましたよ。アイを超えるアイドルになってみせると……」
「なっ!?」
その言葉にミヤコは驚く。
何せ苺プロにおいてアイとは神格化レベルで凄まじいカリスマを持っていた。
アイが抜けたB小町でドームまで導いたプロデューサーであるAがそこまで言う素質を持つ子を二人もスカウトしたと言うからだ。
「今はまだ才能の原石故に未熟ですが、才能とトップアイドルを目指す熱量があるならば可能です。そして君も同じ才能を持つが、アイを超えられるわけが無いと自分で蓋をしています」
「そ、それは……」
アイみたいなアイドルになりたい。
そう口にしてもアイを越えたいとは一度も口にした事は無かった。
「アイドルを目指す理由は拘らない。恋だろうが金だろうが、夢だろうが結構。トップアイドルを目指す熱量が本気ならばね」
Aは二代目B小町に欲するのはアイを超えうる才能と覚悟を欲していた。
そして仮に才能を満たしていても覚悟の無い者が悪影響を与えるのを考慮して今のB小町に入れるのは避けたかった。
「常にトップを狙う者とそうでない者…その僅かな気持ちの差は上を目指す際に大きく響きます」
「勿論、他の大手事務所に移るのでも別のアイドル課を立ち上げるのだって構いません」
「馬鹿言わないでA。今のウチの事務所にそんな余力はないし、貴方という実績も実力もあるプロデューサーでない限りは新しく立ち上げるつもりはないわ」
「では悪いですがルビーがアイドル課に入るのは一旦保留でお願いします」
Aはしゃがんでルビーと目線を合わせて口にする。
「アイを越えるアイドルになる覚悟が出来たら来ると良い。既にスカウトした二人は君の先を歩いているから勝つ気があるなら早めに決断するのをオススメします」
そして数日後、ルビーはAにアイを超える宣言をした事でアイドル課の門を開くことになる。
そしてレッスンを受けているメンバーの元にルビーを連れて行くと見知った人影を見てルビーは、あっと叫ぶ。
何せ目の前にいたのはかつてアイが生きていた頃に出会った同世代に当たる少女、有馬かな。
そしてその異名を……
「あ、重曹を舐める天才子役!」
「10秒で泣ける天才子役よ!……いやもう別にいいわね」
ルビーの言葉に一度は反論するも、過去の栄光を引き摺る必要性を感じないと判断したかなは訂正する必要性が無いことを自覚する。
「このクソプロデューサー、新しいメンバーが入るって言ってたのはまさかこの娘なの?」
「そうですよかなさん。君達と同じくアイを超えうる才能を持つ一人です」
「この娘がねぇ……」
「え、何?ジロジロ見て……」
かなから凝視されてルビーは思わず身を引く。
「不服ですか、かな?」
「別に。私やMEMをスカウトして自分ですら自覚してなかった才能を開花されたクソプロデューサーだから信じるわよ」
「新手のツンデレ?」
かなの態度にルビーが思わず口にした言葉にかなはため息を吐く。
「アンタもクソプロデューサーのトレーニングを受ければ分かるわよ。自分ですら自覚してなかった才能を引き出して、コンディションからアイドルに必要なスキルすら問答無用で引き上げられる化け物っぷりをね」
「ハハハ……いやぁ、私も最初は信じられなかったけどねぇ。ヘタウマだった歌唱力まで引き上げられちゃったから信じるしかないよねぇ」
「あ、MEMちょだ!」
かなの言葉に同意したのは同じ二代目B小町のメンバーであるMEMである。
かなの直後にAがスカウトし、アイドルのレッスンをこなしながらもユーチューバーもやっている永遠の18才である。
「言っておくけどクソプロデューサーに関して信頼も信用もしてるわ」
「光栄ですね」
「けど尊敬はしてないわ」
「!?」
「分かりやすく言えばこのクソプロデューサーは、どんな灰かぶりだろうが才能さえあればシンデレラにしてしまう怪物よ」
かなはルビーへ向けて宣言する。
「私達の理想ですら通過点に過ぎないとでも言うかのように高みへ引き上げてくるわ。昨日の自分なんて2秒で忘れて切り替えないと置いてかれるわよ」
そして始まった初回のレッスンでルビーは思い知る。
自分がトップアイドルを目指すに当たって出遅れている事を……
歌唱力、ダンスといったアイドルの項目において息切れすることなく完璧にこなす二人をうつ伏せになりながら見上げるルビー。
(トップを目指す者とそうでない者の違い……まさかこんな形で思い知らされるとは思わなかった)
アイを越えるアイドルになると誓い、アイドル課への道を踏み入れたルビーだが、ルビーが決断を下す前からスカウトをされトレーニングを積み重ねてきたかなとMEMに出遅れているのを実感する。
そして絶対的な自信に裏付けされた技量。
もし仮にアイと出会う前なら推しにしたいと思わざるを得ないレベルで二人は既に高みへと至っていた。
「今はまだ積み重ねてきた分のブランクがあるだけです」
「!?Aさん……」
スポーツドリンクをルビーの顔の近くに置きながら、Aはルビーの内心を読み取ったかのように口にする。
「今回基礎トレーニング前に同じ練習をさせたのは、自身の未熟さと超えるべき壁を知る為です。目標が分かった方が燃えるでしょう?」
「私、別に熱血系じゃないんだけど……」
「ルビーさんに熱血系を求めてるわけじゃありませんが、彼女を越えるだけの熱意は持ってもらう必要があります」
Aがやって来た事でかなとMEMも集まって来た。
「スポドリ持ってきたってことは休憩なの?」
「いえ、ガス欠のルビーはともかく二人は息切れすらしてないから続行です。洗練させるのが先決です」
「分かったわ。地獄に落ちなさいクソプロデューサー」
「アハハ了解。プロデューサー」
かなとMEMは同意してレッスンを続ける。
既に二人はレッスンに耐える為の体力作りは出来ており、トップアスリート並みの体力を持ち合わせているからか、まだまだ疲労を見せない程にレッスンを続けられている。
「まずは体力を付けます。理由は分かりますか?」
「うん……レッスンに耐える体力が足りてない」
「ええ。自分の現状と理想のギャップを把握し、それを補う為にレッスンや努力をする。地道に感じるかもしれませんがそれがトップアイドルを目指す上で必要になる」
ルビーの顔にタオルを被せる。
本来ならば突然そんな事をされれば困惑するだろうが、ルビーはAの気配りに感謝した。
今は自分の未熟さを思い知った事で出た泣き顔を見られたくないからだ。
「泣いても構いませんよ。その涙も乗り越えた時に君を成長させるのですから恥じる事はありません」
「……泣いて嘆いても変わりません。だから乗り越えるだけです」
「良い覚悟ですねルビーさん」
「っ!?撫でるなぁ……」
タオル越しに撫でるのをルビーは口では抗議しても受け入れたのであった。
「ルビー、Aはどうなんだ」
「そうだね。少なくとも実力と実績、信念に置いて信頼出来る人だとは思う」
レッスンのない休日。
自宅で柔軟運動をしているルビーにアクアは声を掛ける。
アイドルになるのに身体作りが足りてない事から柔軟運動を日課にしていたのである。
そしてアクアはプロデューサーAを警戒していた。
アイを殺したとされる父親に復讐すべく情報を集めていたのだが、プロデューサーAが関わりがあるのではないかという疑念が拭えなかったのと、ルビーやミヤコに言ったアイを超えるアイドルを作るというのに懐疑的だからである。
「アイは金輪際現れない一番星だ。アイを超えるアイドルだなんて現実的じゃないな」
「そうかなぁ……私はそう思わないけど……」
「!?」
アイを軽視したかのような発言にアクアは驚愕する。
何せ限界オタクと呼べる程にアイを溺愛していたルビーはアクアと同じだと思っていた。
「ル、ルビー?」
「どうしたのアクア?」
「Aの言ってた言葉を信じてるのか?」
「そうだね。少なくとも私もママを超えたいと思ってるし、他のメンバーの二人もママに並ぶ逸材だと思うよ」
「そんな馬鹿な……」
アイは特別であり、彼女を超えるアイドルなど現れはしないと考えてたアクアからすれば信じられなかった。
アイに並ぶ逸材という二人もいるという事。
そしてアイを超えたいというルビーの発言にも……
「私はAさんに言われるまで気付けなかった。ママは誰にも真似出来ない輝きを持っていた。けれど本当は憧れてしまえば超えられない事から目を逸らしてた……」
勝ちたいと願いつつ、心の底では負けて欲しくないと願うから。
そして少なくともアイを超えてやると自分より先に進んでいる二人と渡り合う為には変わる必要があった。
「ママに憧れるのはもう止める。私自身の夢の為にトップアイドルになる」
ルビーの瞳には闘志が宿り、エゴイストとしての輝きを持っていた。
「Aは……ルビーに何をしたんだ……」
その変化にアクアは戸惑いを隠せない。
ルビーがアイドルになるのは反対だったが、苺プロでやるならばと受け入れた。
だがたった数カ月、それだけでルビーがこうも変わるのかと変化を受け入れられていなかった。
※アクアはルビーがさりなだと気付いてないので、Aによって自分がトップアイドルになるというエゴイストにされたことで困惑している。
プロデューサーA
…ルビーにアイを超えろと諭してB小町に引き入れた。
ルビー
…アイに憧れるのを止めて夢の為にトップアイドルを目指したエゴイスト。
アクア
…アイを殺した父親をする復讐者。アイに近い存在であるAに疑念とアイを超えるアイドルを作るという事を信じていない。
今回のルビーの言葉にショックを受ける。
二代目B小町とAのR18√興味あるか?
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