狩人と電脳歌姫   作:ガチタン愛好者

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啓蒙

”暗きもの(蒙)が啓かれる”、つまり”知識”を得て、”真実”を知ることを指す。だが、世の中には知らない方が良い真実は山ほどある。好奇心は猫をも殺すという言葉があるように。



VTuberのガワと中身について多少の言及があります。苦手な方は第二話だけスキップしてください。


第二話~啓蒙~

「着きました。ここですよ」

 

「ふむ」

 

連れてこられたのは事務所。ガラスにデカデカと"HOLOLIVE"と書いてある。

 

「私や他にも何人かがこのホロライブに所属しています。詳しい話は中でしましょう。他の人には聞かせられない話もあります」

 

「分かった」

 

 

 

★★★

 

 

 

入り口をくぐり、受付を顔パス&少しの会話で狩人とフブキは突破する。渡された"来訪者"の札を首から吊るして狩人が案内されたのは応接室。

 

「すぐに上の人呼んでくるので待っててください。YAGOO居ると良いけどあの人忙しいからなぁ。アポ無いし…」

 

ぼやきながらフブキが退室し一人となる狩人。これがヤハグルの地下牢であれば抜け出したが明らかにそういう雰囲気ではない。どちらかと言うとカインハースト程ではないが礼儀を求められそうな雰囲気にさしもの狩人とて好奇心に蓋をする。

 

「私ですかぁ?」

 

「今動けて知識があるのはのどかさんだけなんです。YAGOOは不在みたいですし、えーちゃんは…ね」

 

「はいぃ、頑張ります…」

 

狩人の鍛えられた聴覚が何やら困っている様子を聞き取る。だがあくまでも自分は招かれた客。座して待つ。すると程なくして

 

「失礼します。お待たせしました。ホロライブスタッフの春先のどかです。今社長は不在でして、私が代わりにお話しさせていただきます」

 

入室しペコリと一礼。狩人も狩人の一礼で返し、互いに座る。始まったのは狩人にとっては未知の世界であるここの常識や守るべきマナー、そして狩人にとっては馴染み深い概念についてだった。

 

 

 

★★★

 

 

 

「ひとまずマナーとかについてはこれくらいですかね?」

 

聞かされたのは常識やマナー、だが、狩人にとっては普通の連続だった。大まかに纏めると

 

・外では不用意に武器を見せて持ち歩かないこと(見せなければ大丈夫)

 

・いきなりなにもしてこない人に危害を加えないこと(何故か念押しされた)

 

・むやみやたらに物を壊さないこと(人に危害を加えない以上に念押しされた)

 

・○人はご法度であること。死んだ人間は甦らないこと(何故か青い蝶が一瞬見えた)

 

などなど、この狩人にとっては特段気にすることはない(温厚だから)が、一般的な狩人には注意すべきだ、そう感じた狩人は自由になったら最初の明かりの側に手記を残そう。そう決意した。そしてそれの後にのどかが話し始めたのは今までの物事の根幹に関わることだった。

 

「狩人さんでよろしかったですね?あなたは…」

 

「”啓蒙”をご存じでしょうか?」

 

嫌と言うほど知っている。狩人は即答した。

 

 

 

★★★(前書きの忠告パートはここからです。さぁ、引き返したまえ)

 

 

 

「今まで常識など話してきましたが、この話とここに来るまでで違和感がありませんでしたか?」

 

「違和感…」

 

思い返す。自らが最初に目覚めたときの格好…回りの反応…日本と呼称されるこの土地の文化…纏めた狩人は一つの気付きを得た

 

「なぜ、私や白上フブキは普通に受け入れられていた?」

 

色々聞いた。この土地では黒髪黒目が一般的であると。そこから外れた風貌は多少なりと好奇の目に晒されると。だが、自分やフブキが外を堂々と闊歩しても何も起こらなかった。フブキはともかく、武器を吊るした初見のはずの自分がだ。それへの回答は今までの違和感が瓦解するものだった。

 

「啓蒙、私たちがそう呼んでいるものがあります。あなたの知っている啓蒙と差異があるかもしれませんが、所謂見えているのに見えていないものが見えるようになる。それがなんであろうとも」

 

「私の知る啓蒙とほぼ同じだな」

 

見えているのに見えない。哲学的な話だがヤーナムでは日常茶飯事だ。だがそれは人が見ない方が良いと判断し、本能的に目を逸らしているものだ。故に啓蒙が高まるとそういったものが否応なしに見えるようになる。そして発狂しやすくなり、鎮静剤と友になる。

 

「この世界はですね、色々な方々が次元を超えてやって来るんです。でもその人たちはこの世界に認知されない。勝手に人々の常識に当てはまった姿を宛がわれるんです。だからこそ外で交流しようにも本当の姿として認識されない…私とか一部の人には見えるみたいですけどね」

 

「ふむ…」

 

「そんな方々を保護し、特殊な機材を用いてありのままの姿でこの世界と交流できるようにする。それがホロライブ、ひいては数多存在するVTuber事務所の共通目標なんです!」

 

目を輝かせて力説するのどか。それはスタッフとしての信念か、それを見た狩人は

 

「貴公、良い目をしているな。緊張は解けたか?」

 

「あ!いえ、そんなことは…」

 

「良いことだ。折れない信念を持つものは尊い。なんであろうとも…」

 

脳裏に浮かぶは悪夢に生きた男。少し個性的ではあったが彼もまた信念を貫いていた。他にも血族狩りを自称する男もいた。彼らは恐らく誰よりもあの世界で満ち足りた生き方をしていただろう。

 

「で、色々教えてくれた貴公は私に何を望む?」

 

「実は…それは私の口からではなく…」

 

言い淀むのどか。するとおもむろにドアが開き

 

「ここから先は私が話しましょう」

 

「貴公は!?」

 

ドアから入ってきたのは隠し切れない上位のオーラを放つ一人の男。穏やかな笑みを浮かべたその男は普通の人間が見れば好青年といったところか。だが狩人には違って見えた。確かに目に映るのは好青年。しかし

 

「カバー株式会社代表取締役社長、谷郷元昭です。よろしくお願いいたします。狩人さん」

 

彼の後ろには無数の精霊(軟体生物)が見えていた。




あなた方は認知できていないだけ、脳に瞳を得れば変わるのでしょうか?
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