ハイスクールD×D《MASKED RIDER RYUKI》   作:ライダーマスク

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Life7.5:生徒会/イッセーの魔法

【イッセーSIDE】

 

 

 

 

レダとリアス部長が俺を巻き込んだ空中戦をした翌日の放課後。

 

俺は部室のソファーでだらけていた。

 

「あー、酷い目に遭った」

 

「大丈夫ですか?」

 

「体力は問題ないけど、精神的に参った」

 

あの後3時間もレダに咥えられたまま空中ジェットコースターを味わった。

 

しかも、俺を奪おうとリアス部長は滅びの魔力をレダに向ってバンバン撃ってきて冷や冷やした。

 

俺はリアス部長を半眼で見る。

 

「そ、その…ごめんなさいね?」

 

「リアス部長の気持ちはわかりましたが、あれはあれで暴走しすぎです。色々と経験してきた俺ならいいですが一般感性をもった元人間だったら引かれていますよ?」

 

「は、はい……」

 

「まあ、リアス部長の気持ちは嬉しいですがレダの言う事や、今後のリアス部長のキャリアを考えるとそう簡単には行かないので、その辺りはリアス部長が解決していってくださいよ?」

 

「え、でも…」

 

「あのですね? 俺の正妻はレダなんですよ? そしてグレモリー家次期当主のリアス部長が側室って悪魔の政界的にまずいんじゃないですか?」

 

「そうだったわ……」

 

そう、ライザーの一件以来リアス部長が俺に惚れている。

 

俺はリアス部長を口説いた覚えはないけど、魔法使いの知人曰く「無自覚異性墜とし」って言われているからどっかでリアス部長の好みにヒットしたんだろうな。

 

俺としてもリアス部長の想いは真摯に受け止めるつもりだけど、正妻ポジはレダが絶対に譲らないからな。ていうか、正妻ポジに関しては知り合いの魔法使いと、その魔法使いの知り合いや、側近の騎士一人が狙ってるし。

 

そんな状況で、悪魔の政界で有名なグレモリー家次期当主兼魔王の妹で在るリアス部長が側室なのは体裁的にまずい。

 

そこらをリアス部長が自分で解決しない限りは、俺はリアス部長と異性としての付き合いを受け入れる事はしないことにした。

 

この事は、昨日の夜リアス部長にも話して不満そうだったけど「自分の将来を投げ出すような人とは付き合いたくない」っときっぱり言って納得してもらった。

 

「うふふ…初めてみるリアスの恋に悩む顔。良いですわね」

 

「部長はそう言った事は今までなかったからね」

 

「…リアス部長の貴重な様子」

 

「もう! みんなして私をイジらないで頂戴!」

 

木場達もリアス部長を良い感じにからかっている。

 

なんか姫島先輩だけ、俺に視線をちょくちょく向けてきているけど何かあるのかな?

 

「あぅ…私も後れを取らないようにしませんと…」

 

アーシアはリアス部長に対抗心を燃やしていた。

まあ、其処らへんも察してはいるけどリアス部長と同じ理由であえて踏み込まないようにしている。

 

「そういえば、前々から気になっていたけどイッセーは魔法が使えるのよね?」

 

「ええ。なにか気になるんですか?」

 

「そうね。私が知っている魔法使いに見せてもらった魔法とは全然違う魔法だったからね」

 

まあ、悪魔なら魔法使いと縁があるよな。

 

「同じウィザードタイプとして、私も気になりますわ」

 

「僕もかな。結構珍しい感じがするしね」

 

「…兵藤先輩の力の秘密。気になります」

 

「私もです!」

 

木場達も俺の魔法に興味津々だった。

 

そうだな…ここらで俺が魔法使いの知り合いに教わった知識と技術で生み出したオリジナル魔法の解説でもしておくか。

 

俺はその説明をする為に、リアス部長にホワイトボードを用意してもらい早速解説を始めた。

 

「んじゃ、まず魔法についてどの程度まで知っているかだけど―――姫島先輩、魔法はどんなものですか?」

 

「そうね。異形世界の一般的な認識では悪魔や異形の力、果ては神の起こす奇跡を解析し独自の理論と術式、方程式で人間が扱えるような形でできうる限り再現した超常現象を起こす技術ですわね」

 

「そうですね。その魔法の起源はどういったものがあるか―――木場、わかるか?」

 

「占いやおまじないが起源だよね」

 

「その通りだ。魔法には黒・白・召喚・精霊・ルーン文字式など様々な体系があり、現在一般に使われている魔法の多くは、マーリン・アンブロジウス(この世のクソ野郎)が編み出したものが原型とされるな」

 

「…なにか含みのある言い方ですね」

 

「ああー、塔城ちゃん。それは忘れてくれ」

 

本音というか()()()()()()()()()()()()()()()()()()を思い出して愚痴ってしまった。

 

「さて、その魔法だけど今じゃ、悪魔の手を離れて変貌し続けたことで悪魔では再現できない力まで生み出されているため、魔法使いの間では特に評価されないが悪魔にとっては有用な技術であるという事例も存在する。ですよね、リアス部長?」

 

「ええ。私達悪魔は正規の魔法使いからもたらされる技術で発展もしているわ」

 

「そんな便利魔法だけど、使うには実力以外に必要なものがある―――アーシア、わかるか?」

 

「えーと…あ、才能です!」

 

「その通りだ。その影響で才能、実力主義が強く、基本的にはそれぞれが選んだ分野の研究に一生を捧げるのが大半だ。ちなみに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「「えぇぇぇ!?」」」」」

 

皆が声に出して驚いた。

 

まあ、そうなるよな。

 

「だったら、イッセーが使っている魔法は?」

 

「そう、そこがミソなんですよ。さっきも言った魔法は進化と変化を続けています。俺はその変化と進化しが生み出した独自の魔法を使っています。その名は―――六式体刻魔法(ろくしきたいこくまほう)です」

 

「どういった魔法なんでしょうか?」

 

姫島先輩が質問してきた。

 

「大雑把に言えば術者が専用に作り上げた六つの独自魔法を体と精神、そして魂に直接刻印する様に刻んで、体を動かす感じで使えるようにした魔法です」

 

「魔法を体と精神、しかも魂にまで刻むって危ないんじゃないかしら!?」

 

「ええ。普通はやりませんが俺はこうでもしないと魔法が使えない……というよりかは自分が開発したこの魔法に特化した才能を持っていたんですよね」

 

俺に魔法を教えてくれた魔法使いの知人も驚いていたよな。

 

なんで、魔法の才能がないのに自分自身が開発した魔法の才能を持っているんだ!?ってね。

 

「そんなわけで、俺は俺に魔法を教えてくれた魔法使いの知人と協力して体と精神、魂に魔法を六つ刻んで習得しました。例えば、六式体刻魔法壱式―――天駆(てんく)

 

俺は天駆を発動して空中を重力を無視するかのように縦横無尽に歩いた。

 

「宙を歩いている…しかも逆さまだったり真横だったり…」

 

「俺のよく使う魔法である六式体刻魔法壱式・天駆。この魔法はあらゆる場所に俺が歩きたい空間に見えない地面と向けたい地球の重力を発生させる魔法だ。これは体に刻んである」

 

「飛行とは違う感覚……いえ、異形の飛行能力や飛行魔法よりも凄い技術ですわ…」

 

「魔法難易度は最上級クラスね…」

 

姫島先輩とリアス部長が感想を漏らす。

 

「いや、この魔法は()()2()()()()()()()()()()で、これがなかった時は空中戦が不利だったんですよ」

 

「龍騎の姿では飛べないんですか?」

 

「そうなんだよ、アーシア。あの姿は戦闘能力は良いけど飛べないのが難点なんだよな」

 

ほんと、この魔法を習得できるまでは空中戦が苦手だった。

 

レダに乗せてもらって戦える時は戦っていたけど、場所が狭いとレダが満足に飛べなくて苦戦する時もあった。

 

「まあ、これ以外にも修行の時に見せた魔法もある。六式体刻魔法弐式―――覇甲(はこう)

 

俺は両手と両足に覇甲を纏った。

 

「これも天駆と同じ体に刻んだ魔法です。見た目通り近接戦を強化したり、籠手と具足からそれぞれ割り当てた属性攻撃魔法を放ったりします」

 

「修行の時は具足から氷と雷の属性を使っていましたね。割り当てたという事は籠手と両足で使える属性が違うんですか?」

 

「良いところに気がついたな、アーシア。そう籠手は火・雷・闇…皆で言うところの魔属性の三属性。具足は氷・風・光の三属性が扱える。攻撃に関してイメージしたモノを脳内に技として設定してそれぞれ攻撃として撃ち出すって感じだ」

 

「ということは、籠手で氷・風・光とかは使えないのかしら?」

 

「ええ。そこまで便利にすることは出来ませんでした。なので、格闘技術や技を洗練させてなんとかしてます」

 

「…それでも、十分規格外すぎます」

 

「うん。やってることは凄まじいね」

 

「兵藤君だからこそできる魔法。オリジナリティーがあって羨ましいですわ」

 

塔城ちゃん、木場、姫島先輩がそれぞれ感想を漏らす。

 

「ええ。私はあわよくば教わりたかったけど内容を聞く限り無理そうね」

 

「まあ、魔法使いの知人曰く「この魔法は私とイッセー以外は使えないね」って言っていましたから」

 

「そうなのね。その魔法使いの知人は気になるけど、それ以上詮索するのは失礼だしやめておくわ」

 

「ありがとうございます」

 

そんなこんなで、俺が扱う六式体刻魔法の解説は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

俺の六式体刻魔法の解説を終えてから少し経った後、ここに数人の悪魔が来る気配を感じた。

 

オカルト研究部以外に悪魔がいるとなれば、あの人たちだな。

 

すると、部室の扉がノックされた。

 

「どうぞ」

 

リアス部長は来客が誰か知っているのか、自然な形でノックに返事をした。

 

「失礼します」

 

女性の声が聞こえると同時に部室の扉が開かれると、そこから7人の女子と一人の男子が入って来た。

 

「ここに来るなんて珍しいわね―――ソーナ」

 

リアス部長が眼鏡をかけたショートボブヘアーの女子生徒に話しかけると、その人は眼鏡を一度クイッと上げてた。

 

「ええ、リアス。私も新しい眷属を迎え入れたので紹介をしようと思いまして。リアスも新しい眷属に噂の仮眷属の紹介もしていただけると」

 

「そうね。イッセー、アーシア、この人達が誰かわかるわよね?」

 

「はい。確か生徒会執行部の方々ですよね?」

 

「そして、学園にいるリアス部長率いるグレモリー眷属以外の悪魔ですよね?」

 

「やっぱり気づいていたのね。ソーナが実名をもじった和名を使っているのに」

 

「まあ、気配とかで」

 

「流石ね。とりあず二人とも、ソーナ達に自己紹介をして頂戴」

 

リアス部長の指示に俺とアーシアは立ち上がり、リアス部長がソーナと呼んでいる女子の前に立った。

 

「初めまして。リアスさんの僧侶のアーシア・アルジェントと申します。改めてよろしくお願いします!」

 

「はじめまして、アーシアさん。学園では支取蒼那(しとりそうな)と名乗っていますが、本名はソーナ・シトリーといいます。リアスと同じく上級悪魔で、シトリー家の次期当主でもあります。学園生活に不満はないですか?」

 

だよね。

 

魔法使いの知人にも聞いたけど「その名前のもじり方は絶対にシトリー家の関係者だよ」って言っていたし。

 

「はい。皆さんとても親切な方ばかりでもったいないくらい楽しく過ごさせてもらっています」

 

「そう言ってくれると学園生活を管理していく者として嬉しいです。なにかあれば気軽に生徒会に相談に来てくださいね」

 

「はい!」

 

流石生徒会。

学園生活を始めて間もないアーシアに的確なフォローを入れている。

 

「それで、貴方がリアスの言っていた仮眷属ですね? 噂はよく聞いています―――駒王学園の番長こと兵藤一誠君?」

 

「それを言わないで下さいよ…」

 

「私は褒めているのですよ? 私たちは悪魔故に人と人とのいざこざに介入しにくく、生徒たちの学校内外での問題―――主に他校の絡みの問題を貴方が解決してくれたのですから」

 

「アハハ…」

 

そう、俺はリアス部長やオカルト研究部のメンバーとは違ったベクトルで学園で有名になっている。

支取会長じゃなくてシトリーさんが言っていた[駒王学園の番長]という名前で。

 

由来は色々あるけど、松田や元浜の覗きや変態行為の防止から学校内でのけんかの仲裁。

学校外では他校の男子や不良達が女子生徒をしつこくナンパしたり、男子達はカツアゲされたりしている所を止めたりなど。

 

一回病院送りにして、警察と先生にこっぴどく叱られたなぁ~。

なんか、両親は褒めてくれたけど。

 

俺としては、余りそう言う感じで呼ばれたくないんだよな…恥ずかしいし。

 

「しかし、驚きましたね。ゲームを見て知ったとはいえ噂の龍騎士が学園の生徒でしかも後輩ですもの」

 

「え…生徒会長も見ていたんですか?」

 

「ええ。これでもシトリー家はグレモリー家と長年の付き合いですし、私とリアスは幼馴染ですから。もちろん私の眷属―――新人以外の生徒会メンバーも見ていました」

 

ソーナさんと男子以外は俺を見て意外そうな表情をしていた。

 

まあ、勢力長(魔王)クラスの実力者が学生だなんて普通は思わないしな。

男子の方は何の話だ?って顔をしている。

 

多分、ソーナさんが言っていた彼女側の新人はアイツだな。

 

「さて、私の方も紹介しましょうか―――サジ、自己紹介を」

 

「はい、会長!」

 

元気よく返事をした男子は前に出て自己紹介を始めた。

 

「グレモリー眷属の方々はじめまして。この度ソーナ・シトリー様の兵士として悪魔に転生した二年の匙元士郎です。よろしくお願いします!」

 

匙の自己紹介にリアス部長はソーナさんがアーシアの自己紹介と同じような感じで返した。

 

「よろしくお願いします、匙さん。同じ新人悪魔同士頑張っていきましょう!」

 

「よろしくな、アーシアさん! 可愛い人が同期ってのは嬉しいよ!」

 

アーシアと匙は軽く握手を交わした。

 

なんか、匙を見ているとエロがない昔の自分を見ている感じだな。

出来ればアイツには俺みたいな経験はせずに、まっすぐ生きて欲しいな。

 

そして、アーシアとの挨拶を終えた匙は俺の方に向くと―――

 

「アンタが噂の駒王学園の番長だな。実力はリアス部長や会長以上の実力を持っていると聞いた。ぱっと見俺よりも弱そうな感じがするぜ」

 

「初対面でいきなりぶっこんで来たな…。まあ、そう思うのはお前の勝手だけど……」

 

「なんだ、その余裕は? やるか? 俺は悪魔の駒を四つ消費した兵士だ。最近、悪魔になったばかりだが神器も扱える。人間のおまえなんかに負けるかよ」

 

なんか滅茶苦茶挑発されてない!?

 

まあ、普段の俺は上級クラス以上じゃないかぎり強いって感じられないほど普通な感じって知り合いとか、今まで相対してきた敵とかによく言われたな。

 

ライザーに関しては勝ち続けたプライドとか慢心でそう言うのが機能してなかったんだろう。

 

でも悪魔の駒四つってことは、少なくとも騎士と僧侶以上で戦車以下。

木場とアーシア以上にポテンシャルがあるって事は、宿している神器も上位かもな。

 

「匙、いくら転生したての新人悪魔でも無礼が過ぎます」

 

「ですが、会長。こいつは学園の問題児をかばったりしている奴なんですよ。中学時代でもそうとうヤンチャしていましたし、学園生活態度は良いとしても裏ではとんでもない事を……」

 

「彼がその様なことをしていないのは、彼が噂されている内容やリアスとの活動で証明されています。そして、貴方は兵藤君に楽勝で勝てると思っているようですが間違いレベルで済まされない勘違いをしていますよ」

 

「え、それって単に会長とリアス先輩がえこひいきをしているだけじゃ…」

 

匙の返答にソーナさんはため息をついて、他のメンバーもやれやれと頭を抱え、俺にごめんねっとジェスチャーを送っていた。

 

いいよ、こういうのは強者の覇気?みたいなのを普段から出せない俺が悪いから。

出す気もないけどね。

 

「ここまで信じられないのであれば仕方がありません。兵藤君、無礼を承知で悪いですが少しだけ力を貸してもらっても良いでしょうか?」

 

「力って何をですか?」

 

「私の匙と兵藤君で一対一の模擬戦をお願いします」

 

ソーナさんの突然の提案に、この場にいる全員が驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって旧校舎裏の広場。

 

周囲に影響が出ないようにと、万が一の為の人除けの結界が張られており、広場の中央には俺と匙が対峙し、旧校舎側のベンチではリアス部長達とソーナさん達生徒会が観戦する形を取っていた。

 

「ハンッ! こんないい機会滅多にないからな。ここらで俺がお前よりも上だって証明して、少しは格の違いを見せてやるぜ」

 

うわ…匙の奴凄いやる気だな。

 

まあ、悪魔になって身体能力とか上がって神器にも覚醒しているからそうなっちゃうのかもな。

 

でも、そんなんじゃこの先生きていく事は難しいし、下手すれば悪魔の社交界で問題起こしそうだ。

 

「ソーナさん。本当に良いんですか?」

 

「はい。彼は悪魔に転生し神器に覚醒して少し増長しています。ここらで本当の強者である貴方と戦って異形世界がいかに広いか教えてください」

 

「そうね。彼には厳しいけどここでいろいろと教えてあげないとソーナに迷惑がかかっちゃうもの。イッセー、アーシアがいるから遠慮なくやっていいわよ」

 

リアス部長、俺が遠慮なくやると匙はアーシアの治療が意味ないほど……ていうか言葉通り体が残らないほど瞬殺しちゃうので出来ませんよ。

 

「チッ…。リアス先輩ならともかく会長にまでちやほやされやがって! 気に食わねぇな!」

 

匙はキレながらも構えを取った。

 

なんか、リアス部長とソーナさんの言葉でやる気出ちゃっているよ…。

 

ここまで来たらやるしかないか……とりあえず、リアス部長達以上に力を加減しないとな。

 

俺も構えを取る。

 

「これより、匙元士郎と兵藤一誠の模擬戦を始めます。双方準備は?」

 

「いつでも」

 

「はい!来い―――黒い龍脈(アブソーブション・ライン)〕!

 

匙がそう言い放つと、左手にトカゲを模した手甲が顕現した。

 

なるほど、ドラゴン系神器か。

しかも、かの五大龍王の一角である黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)の力の一部が封印された神器か。

 

そういう意味では兵士の駒四つ消費は妥当だな。

 

「双方の確認が取れました。それでは―――始め!」

 

ソーナさんの開始の合図と共に匙が神器である黒い龍脈から怪しげに光るラインを俺に伸ばしてきた。

 

俺はそれを回避、匙がギリギリ捉えられるスピードで接近し同じ加減でパンチを放つ。

 

「うぉっ!?」

 

匙は驚きながらも素人な動きで回避、そのまま後方に飛んで俺との距離を取る。

 

「なるほど、会長やリアス先輩が言うだけの事はあるようだな…。だけど、その程度の実力なら俺にも勝機はあるぜ!」

 

匙はそう言いながら、俺との距離を詰めて殴りかかって来た。

 

悪魔の身体能力で威力は人間以上だけど、動きが素人で格闘に至っては塔城ちゃんの方やライザーの戦車の方が遥かに上だな。

 

俺は匙を分析しながら、匙から繰り出されるパンチやキックをあえてギリギリで回避していく。

 

「畜生! なんでギリギリで避けられているんだよ!」

 

匙は攻撃が当たらずイライラしはじめる。

 

うーん、なんで匙は近接攻撃に混ざって黒い龍脈を使って拘束や鞭のように攻撃してこないんだろうか。

 

俺が持っている文献じゃ、黒い龍脈はラインを繋いだ相手の力を吸い出すことが出来る。

 

でも、そういった力を使う気配がないな。

 

もしかして…神器の力を把握出来ていない?

 

少しだけ確かめておこうか

 

俺は、匙がどの程度神器を使いこなせているか把握する為にわざと着地の隙を作って距離を取った。

 

「ハン! 隙ありだぜ!」

 

匙はそう言い放ちながらラインを伸ばし、俺の右腕を拘束するように接続した。

 

「おっと」

 

「これでお前の負けは確実だ―――吸収しろ!」

 

すると、俺の力が吸い取られるような感覚を感じた。

どうやら神器の能力は把握しているみたいだな。

 

「これが俺の宿した黒い龍脈の真骨頂! このラインで接続した相手の力を吸い取り俺の力に出来る! これでお前は弱くなり俺が強くなる!」

 

もう勝ったと言い放つ匙。

まあ、俺と同じ実力を持った黒い龍脈持ちだったら確かにヤバい状況だな。

 

でも、吸い取られる力は少なく、俺が魔法を使う為の力の自然回復量があるけどそれ以下、しかもラインの強度も感触的に弱い。

 

匙の力量はこれで全部みたいだし、そろそろ終わらせるか。

 

このまま黒い龍脈を使って覇甲からの綴雷(つづりいかずち)で倒すのが手っ取り早いけど、ソーナさんのオーダーに答えるなら、あの方法で無力化するのが良いな。

 

俺は早速実行に移す為、右腕に繋がれた黒い龍脈を力任せに千切る。

 

「え!? 副会長でも切断不可能なラインが切れたぁ!?」

 

なんか匙のリアクション、俺が龍騎のブランク体でディスパイダーに召喚した剣で斬りかかって、その剣が折れた時とそっくりだな。

 

懐かしさを思い出しながら俺は覇甲を発動。

 

力を具足の方に集中させて、そこから光属性の魔法を発動する。

 

「え、待ってなんだその力……しかもなんか俺の本能がその攻撃はヤバいって語りかけているんですけど!?」

 

「ああ。光属性の魔法だ。文字通り悪魔にとって特攻だぜ」

 

俺は周囲に展開されている結界がギリギリ耐えられる程度と当たらない限り影響が出ない出力の光属性魔法を具足で発動させる。

 

そして、本気のスピードで匙の目の前に接近。

 

「え…」

 

匙は呆けているが、俺はそのまま光属性魔法を発動させた右具足をハイキックの要領で繰り出す。

 

「覇甲属性魔法―――斬光(ざんこう)!」

 

「あ……」

 

匙は悪魔の本能で俺の攻撃で死ぬ事を察したか、一瞬にして絶望の表情をして小さな声を発する事しかできなかった。

 

そして、匙の首元ギリギリで俺が放った斬光を止める。

 

匙の背後に強烈な衝撃波が生み出され、そこにあった木々は全て綺麗に切断された。

 

「あ…あぁ……俺……生きて…る?」

 

匙は体を震わせ、俺に怯えるかのように見てきた。

 

「生きてるよ。流石に模擬戦で殺すとかしねぇよ。とりあえずソーナさんやリアス部長が言った事は信じてくれたよな?」

 

「あ、あぁ……」

 

冷や汗を大量にかきながらその場で座り込む匙。

 

そして―――

 

「勝負あり。勝者―――兵藤一誠君」

 

ソーナさんの宣言で俺の勝利が決まった。

 

 

 

 

 

 

匙との模擬戦が終了し再び部室に戻った俺達。

 

ソーナ会長と匙以外の生徒会メンバーは先に帰宅し、部室にいるのは俺達オカルト研究部メンバーとソーナさんと匙だけだ。

 

「匙、これでわかりましたね?」

 

「は、はい…。兵藤は俺よりも強かったです」

 

「ええ。それに最後の攻撃すら兵藤君は力を殆ど使っていません。そうですよね?」

 

「そうですね。ざっと力の1000分の1って所ですかね?」

 

「えぇ!? あの威力で1000分の1!? どうしたらそこまで規格外になれるんだよ!?」

 

匙が驚き、なぜか他の皆も無言で何度も頷いた。

 

なんか仲間外れにされている気分……ショックだなぁ。

 

「相手が兵藤君だからこの程度で済みましたが、他の方々だと良くてボコボコにされるか、下手すれば殺されて私や他の眷属にも迷惑がかかります」

 

「すみませんでした会長…。兵藤もいきなり喧嘩腰で言って悪かった! ごめん!」

 

「下僕の失礼は主である私の不始末でもあります。申し訳ありません」

 

「まあ、謝ってくれたならそれでいいので大丈夫ですよ」

 

こうして、少しだけ荒れた新人悪魔であるアーシアと匙、そして仮眷属である俺の顔合わせが終わった。




次回からエクスカリバー編です!

ようやく、色んなアドベントカードを出せるところまでこれそうです!
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