ハイスクールD×D《MASKED RIDER RYUKI》   作:ライダーマスク

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朱乃さんのトラウマ案件に独自解釈とオリジナル要素を入れています。
後、オリジナル展開があります。


Life9:巫女の葛藤

【イッセーSIDE】

 

 

 

 

ミカエルとの邂逅を終えた後、朱乃さんの用事を済ますべく、彼女が家として住んでいる宿舎部分の客間で一息ついていた。

 

「お茶ですわ」

 

「ありがとうございます」

 

うーん、結構ピリピリした空気の後に飲む暖かい緑茶は美味しいな。

 

急須で淹れたお茶が美味い。

 

「それにしても驚きましたわ。現天界のトップでありコカビエルよりも強者であるミカエル様を相手に臆するどころか、アルトリアさんの代弁者として毅然として抗議するなんて」

 

「俺は当たり前のことを言ったまでですよ。正直なところ、悪魔は時代に合わせ生き残るべく昔から変わろうとしているのに堕天使と天界・教会は変わる様子を見せない。俺としては三大勢力の中で悪魔以外の評価は低いので」

 

「そうなんですね。私がミカエル様の案内をしたのは心象が悪いでしょうか?」

 

「そこに関しては朱乃さんは自分の仕事をしただけなので気にしていませんよ。それにアルトリアやモルガンさんから、天使の大半は腹黒いと教わっているので」

 

「イッセー君は人間なのに天使を信じず、むしろ懐疑心を抱いく。普通なら天使を信じて私達悪魔や堕天使を怪しむのですが」

 

「そりゃ何も知らない一般人とかならそうですが、俺は今の異形世界を見てきています。悪魔はライザーの件はアレですが、悪魔として真っ当に生きる悪魔は約束と契約は絶対順守という信頼がありますから。その点堕天使は平気で裏切りますし、天使や教会は主の教えや神の威光で何でも免罪符にしますし」

 

俺がそういうと、朱乃さんは悲しげな表情をしていた。

 

恐らく堕天使に対して良い思いをしていない事だろうな。

 

ここは先手を打っておきますかね。

 

「まあ、俺が堕天使を信頼していないのは事実ですが、朱乃さんや知り合いの堕天使は信頼しているので安心してください」

 

「え…」

 

朱乃さんが呆気にとられた表情をしていた。

 

「コカビエルが朱乃さんに言ったバラキエルの娘。それだけで朱乃さんが堕天使か堕天使と他種族のハーフであることは察しています。そしてコカビエルに対しての反応で、貴女自身が堕天使の血を持っている事やバラキエルの事を嫌っている事も」

 

「私から話そうとしましたが、もうそこまで察しているんですね」

 

「まあ色々と経験しましたから。朱乃さんの出生については深くは聞きません。俺は朱乃さんを堕天使だけではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そう…。イッセー君は強いのですね。でも、自分が堕天使であることを隠して貴方と接するのは、私達をここまで導いてくれた恩人である貴方に申し訳ありませんわ」

 

朱乃さんはそう言いながら巫女服の背中の部分をはだけさせて、そこから堕天使の翼と悪魔の翼を出した。

 

そして、それと同時に襖ごしにある人が、空気を読んで話を立ち聞きし始めた。

 

俺はそれを察知した上で、話を聞き続けた。

 

「……イッセー君の察している通り。私は聖書に記されし“堕天使バラキエル”。そして日本にある五大宗家が一つの姫島家の血を引く人間の母である姫島朱璃(ひめじましゅり)の間に生まれた者です」

 

やっぱり五大宗家の姫島家の女性が相手だったのか。

 

顔も、かつてグリゴリ直轄の部隊である刃狗(スラッシュドッグ)と共に行動していた姫島家の女性と似ている。

 

まあ、向こうの方は朱乃さんと比べてキリっとしていたけど。

 

「母は直系でなくとも日本にあるとある神社で巫女をしていた娘でした。ある日、重傷を負い母がいた神社で倒れていたバラキエルを助けたことがきっかけで互いに愛し合い、その時に私を身ごもりました」

 

「ただ、姫島家もとい五大宗家は変わりつつあると言っても数年前までは強烈な選民思想集団。異形という存在を敵視している姫島家の血筋に異形の血が入れば当然、姫島家宗家は朱乃さんを殺しに来る」

 

「ええ、イッセー君のいう事が実際に起きてしまいました―――姫島家にとって私は汚点でした。ある日、父であるバラキエルが家を空けた時に姫島家や五大宗家の暗部が私を殺そうとし母が庇いその場で死亡しました。私が殺されかけた時に父が異変を感じて戻ってきたおかげで助かりました」

 

「つまり、朱乃さんは肝心な時に不在だった父親や、それを不在にさせた堕天使全体を―――母親を奪った堕天使と五大宗家を恨んでいるのか?」

 

「ええ。五大宗家も守ってほしい時に居なかった父も、その父を私達から離したグリゴリも許せません…ッ」

 

「その思いはライザーの時のレーティングゲームで堕天使の力を使わなっかった―――いや、そういった想いの連なりから使えないんですよね?」

 

「ええ。何度か使おうとしましたがどうしても、母様が殺された時や母様を殺した者達の言葉がフラッシュバックして力が出せないんです。「お前が生まれたせいで朱璃は死んだ」「お前は生まれたこと自体が罪なのだ」「異形と交わった人間は存在してはいけないのだ」そんな言葉が頭から離れないんです…ッ」

 

朱乃さんの表情が恐怖に歪む。

 

これもまた、異形世界にある理不尽の一つ。

日本は差別が他国と比べて少ないが、異形世界に関わる人間社会に関しては差別の巣窟だった。

 

ある時から姫島家の当主が変わったことがきっかけで、旧態依然としていた五大宗家は急激に変わっていった。

 

そのお陰で選民思想などは無くなり、異形世界の理不尽から理不尽に抗えない者たちを守る守護者として活動している。

 

ただ、朱乃さんが生まれた時期が違えば母が救われた未来もあったかもしれない。

 

もしくは、自分が生まれなければ母も死なずに幸せに生きたかもしれない。

 

そんな未来を奪ったのは過去の姫島家と、実質母親を見捨てるような事をした父であるバラキエルと、その父を自分達から離したグリゴリ。

 

そりゃ、堕天使が嫌いになって自分の中にある堕天使の力も使いたくも無いし使えなくもなる。

 

特に子供の時のトラウマは、大人になってもずっと引き摺る事が多いしな。

 

「私はバラキエルに助けられながらも、自力でその場から離れて逃げました。いえ、その時点でバラキエルや堕天使も日本の異形に関わる全て嫌い逃げました。そして逃げるのも限界になったある日に―――」

 

「部長に拾われ悪魔に転生したって事ですね」

 

「はい。悪魔に転生するのもリアスの提案を受けて、自分の中にある姫島の血と堕天使の血が悪魔に転生する事によって解決するのでは? そういう思いで受け入れました。でも、その結果、生まれたのは自分の血を呪い続ける堕天使と悪魔の翼を持ったおぞましい生き物なんです」

 

朱乃さんは自嘲しながら話を続ける。

 

「恩人でもあるリアスの将来が決まったゲームに、特攻である光の力―――堕天使の力も出せず女王と相打ちしかできなかった裏切り者。まさに神を裏切った堕天使の血を持つ私なんて、いても良い存在じゃ―――」

 

俺は朱乃さんが言い終える前に、彼女の肩を掴んで話を止めた。

 

ダメだ…これ以上朱乃さんに言葉の続きを言わせちゃいけない。

 

「それ以上は言っちゃいけない。その続きを言ったら朱乃さんは大切に思っている母親まで貶す事になります…ッ」

 

「い、イッセー君……」

 

「確かに朱乃さんが自分の生まれを呪ったり持っている力が使えないのは仕方がありません。ですが、自分を生んで大切に育ててくれた母親に、いて良い存在じゃないとか……そんなことを言うのは悲しすぎますよ…ッ」

 

「そ、それは…。でも私は恩人であるリアスの将来を賭けたゲームで力を―――」

 

「部長は…そのことを責めたんですか?」

 

「そ、それは……でも………」

 

「部長は朱乃さんの事情を全て知った上で自分の眷属として、自分の大切な親友として家族として受け入れています。俺は短い間ですがリアス・グレモリーという存在を見てきました」

 

俺は朱乃さんの瞳を真っすぐ見て話を続ける。

 

「彼女は俺が出会ってきた悪魔の中で一番若く、そして年相応なところもある。だけど、仲間に対してはどの悪魔よりも真摯に、真正面から受け止め自分にできる精一杯をする人です。そんな人が親友の消えないトラウマをちゃんと受け止めていますよ」

 

「…本当…かしら?」

 

「じゃなきゃ、オカルト研究部で一番扱いに困る俺に仮眷属やオカルト研究部への勧誘なんてしませんよ。言っておきますけど、俺は自分の活動で異形勢力の一部からは相当恨まれています。そんな呪物レベルの存在を平気で引き入れようとする蛮勇ではない度胸。親友のトラウマくらいとっくに受け止めています―――()()()()() ()()()

 

俺が襖越しに話しかけると、リアス部長が真剣な顔つきで襖を開いて部屋に入って来た。

 

「り…リアス…いつから―――」

 

「貴女がバラキエルと姫島家の血を引く母との間に生まれた子からかしら?」

 

「そこから…。という事は私がライザーのレーティングゲームで堕天使の力を使わなかった事も―――」

 

「全部聞いたわ。だからそれを知った上でまずは親友として言わせてもらうわ―――私はレーティングゲームの事は気にしてない。寧ろ、ライザーの女王と引き分けにして倒してくれたことを誇りに思っているわ」

 

部長の言葉に驚く朱乃さん。

 

「でも、私は―――」

 

「あのね? 子供の頃のトラウマ、それも家族を失う事がどれほど乗り越える事が難しいか私も知っているの。貴女を眷属にした時から、少しでも貴女が抱えるトラウマをどうにかしようと調べたりした時からね」

 

「そんな昔から…」

 

「ええ。今の私じゃ無理だから悪魔として平和に過ごして貴女が抱えるトラウマを軽くしようとしたわ。それと初めての人間の友達だから楽しく過ごしたいじゃない?」

 

「リアス…」

 

「朱乃。私は貴女が抱える全てを受け入れているわ。もちろん貴方に宿るバラキエルの力が使えるようになるのも嬉しい。でも、無理して使って貴女が壊れる方が嫌。それにバラキエルの力が全てじゃない。強くなれる別の方法も探せばあるはずよ」

 

「良いのですか? 私は自分の我が儘で貴女の将来を棒に振るところだったんですよ?」

 

「その程度受け止めるのが眷属の主であり、なにより親友ってものでしょ? だから気にしないで」

 

部長は朱乃さんを優しく抱きしめた。

 

そして、朱乃さんは今まで部長に抱えていた罪悪感からか涙を流していた。

 

「リアス…私!」

 

「良いのよ」

 

それから部長と朱乃さんは数分ほど無言で抱擁を交わした。

 

 

 

 

 

 

さて、部長と朱乃さんの抱擁が終わった。

 

「まあ、レーティングゲームや貴女のトラウマは気にしないで頂戴。でも、私が唯一許せないのは相談先が私じゃなくてイッセーだって事かしら? 付き合いは私が一番長いのだけれど」

 

「それは……」

 

「まあ、部長も気になるところですが、相手が恩人で親友の部長だからこそですよ。もし、部長が朱乃さんの様な罪悪感を朱乃さんに抱いていたら、抱いている本人に相談します?」

 

「そ、それは……無理ね」

 

「でしょう? これ以上はこの話はナシで、いつも通りの学園の二大お姉さまと親友同士であり王と女王の間柄に戻りましょ。俺はそんな二人が仲良くしている光景を見るのが好きですから!」

 

俺はグーサインを出しながら若干カッコつけて言う。

 

「そうね。ありがとう、イッセー君」

 

朱乃さんが心の底から微笑んだ。

 

リアス部長も朱乃さんの様子を見て、安堵の微笑みを見せた。

 

なんだかんだ、朱乃さんの過去を聞くだけかと思ったら、朱乃さんの抱えていた部長への罪悪感を解決してしまった。

 

でも朱乃さんが抱えている母の死へのトラウマ。

それによる父と堕天使に対する嫌悪。

 

これもきちっと決着をつけていかないとな。

 

ま―――

 

「うふふふ」

「あははは」

 

今は朱乃さんと部長が楽しそうにしているので良しとしようか。




次回から会談が始まります。

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