「お祈りの時間だオラァ!」
「待ってたぜェ、この”
「ぶっ殺してやんぞ東洋人!!」
暴力教会に罵声と銃声が響き渡る。これもまたロアナプラにおいては日常の一コマだろうか。
なんて事を考えながら応戦する。
あ、マガジン抜けねぇ。おのれプライヤチャット……! いや自業自得だね仕方ないね。
「遂に寿命かー」
右手のトーラスに黙祷を捧げ、銃撃の途切れた瞬間飛び出すと、全力で投擲。相棒その1は坊主頭の鼻っ柱をへし折り、最後の仕事を成し遂げたのであった。
「ヘイ
「あそこの燭台使っていい?」
「ふざけんな」
解せぬ。こちとら大真面目だってのに。
「どの道マガジン抜けないんじゃ鈍器にしかならんのよね。まさか言われてその日になるとは思わなかった」
「前から思ってたのだけど、尋常じゃないわね」
「人の皮を被ったゴリラだからねー」
推定握力500kg超で、直径5cmの鉄パイプも捻じ曲げるらしい。知らんけど。
「所でアホンダラ共とは知り合いかい? ウチに鉛玉ブチ込んで来るところ見ると新参みたいだけど」
「坊主頭は昨日見た気がするよーな」
相棒その2のマガジンを換えながら、シスターヨランダの問いに答える。あぁこっちも次装填は無理かも分からん。残り13発でケリを付けないと……。
昨日の内にやっとくんだったなあのクソ坊主頭。
「手足の2~3本は覚悟しとけよスキンヘッドゴルアァ!!」
おっと思わず口が滑った。失敗失敗。
「珍しいわね」
「そういう日もあるさ」
デカい声出すのも随分久しぶりである。
それにしても、流石は暴力教会の大シスター。派手な
しかしまー、昨日の今日で報復に来るとは思わなんだ。二人のシスターには悪い事したな……きっちり始末しとけば良かったと、改めて思う。
小礼拝堂はステンドグラスも長椅子もすっかりズタボロである。修繕費はクソ共から剥ぎ取る事にしよう。幸い、死体はまだ一つもない。足りない分は体で払ってもらえばいい。
尚、ここで言う『体で払ってもらう』ってのは臓器売買の意味である。新鮮なモツは、需要もお値段も高いのだ。
「なるべく殺さん方向で頼むよロージィ。売り物が減っちゃうから」
「理由がエグ過ぎるんだよアンタは」
エダの悪態って何か脳裏にバオさん浮かぶな。何でだろ?
「難しいけどご主人様の頼みなら」
「そういうプレイかい?」
「まーそんな感じです」
揶揄うヨランダさんに笑って返す。弾幕の合間を突きながら反撃してるけど、どうにも寿命が近いのか狙ったとこに飛ばねーんだが。相棒その2もいよいよ投げ捨てる時か?
「ロージィ、インベル片方貸してくれる? 突っ込むから3人ともフォローお願い」
腰を浮かせると同時に投げ渡されたインベルを右手で受け取り、いざカミカゼ。
「野郎舐めやがって!」
「ヤっちまえ!」
それはこっちのセリフである。
ふと併走する影に目を向ければ、そこにはうちの猟犬さんの姿が。
「右は私が」
おいフォローどうした。いや的が二つなら確率は2分の1だから正解か?
それにしても、牙を剥くって表現がピッタリの形相だなロージィ? 見え隠れする犬歯が何かエロい。
「頼んだ」
言いながらジグザグに走る。リボルバーから吐き出された鉛玉が頬や肩口を掠めるけれど、知ったこっちゃない。死ぬ前に殺せば勝ちである。
「いや生かさず殺さずだった」
言いながらインベルと相棒その2をブン回す。
狙う過程をすっ飛ばす様に、的に向かって銃口を滑り込ませるイメージ。引鉄を絞れば、後は吐き出された弾丸が噛み千切ってくれるって寸法だ。
ね、簡単でしょ?
「はい終了」
倒れて呻く7人のクズを見下ろしながら独り言つ。
「まだ始まってもいないわ」
言われてみればその通りである。
「くぁwせえdrftgyふじこおlp;!」
坊主頭が喚きながらリボルバーを構えた。銃口の先にはロージィが。
意識するより早くインベルを手放し、そのまま手を取っていた。彼女はまだ気付いていない。
引鉄が引かれるのとほぼ同時に、俺は彼女を引っ張った。
時間が酷くゆっくりと流れる。吐き出された弾丸と、彼女の間に体を割り込ませた。
呆けた顔のロージィと視線が合った。悲痛に歪んで行く彼女から視線を反らす。
ゆっくりと弾丸が俺の頭に飛んでくる。トーラスを顔の前に翳す。何とか間に合った。
耳を劈く衝撃と、額と左手に感じる痛み。額を濡らす生温かいナニカ。
役目を果たした相棒その2が手を離れた。そして硬い床が近付く。視界が白く染まった。
音を立てて転がる体。衝撃で再起動する意識。冷たい床の感触に、生を実感する。
ロージィの絶叫が響いたけれど、どっこい生きてる床の上と言う奴である。
「流石に死ぬかと思った……」
言いながら床から体を起こす。
近くに転がってたトーラスを見ると、銃身が見事にへし折れていた。離れた所にはひしゃげた弾丸。
「こっわ」
口から零れたのはたった3文字。そこに込められたのはもっと沢山の……それこそ俺が生きて来た今日までのアレコレぐらいあった。信じられんが、生きてりゃこんな事もあるらしい。
「何だよ……お前何なんだよォ!?」
化け物を見る様な目で坊主頭のツレが叫ぶ。
「シマヅの血舐めんな首取るぞボケナスが」
言いながら立ち上がる。流石にまだフラつく……と、背中に柔らかい感触。
「このザマだけれど生きてンよ。大丈夫」
ロージィに先んじて口を開くと、シスターヨランダに視線を向ける。
「色々お話もあるでしょ、シスターヨランダ。俺達は後回しで構いませんから、コイツらから寄進してもらって下さいよ」
「……そうさせてもらうかね。エダ、手当してやんな」
「ヤー、シスター。二人ともついてきな」
サンキュートーラス、フォーエバートーラス。
そしてくたばれ坊主頭共。
何かこの場とシチュエーションにお似合いな言葉があった様な……。
あー、あれだ。
「
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「頭蓋骨が無かったら死んでた」
「ベレッタコピーに感謝しときな。得物に当たってなけりゃ召されてたよアンタ」
天に召されるってより、この世から滅されてたの方がしっくりくるな?
手渡された消毒薬に、これまた手渡されたガーゼを浸して頬やら肩やら額やら、弾丸の掠めた箇所を雑に拭っていく。
「痛くないのかい?」
「痛いけれど生を実感する」
「オーケーアンタが生粋のドМなのは分かったよ。主もサムズアップでお認めになるだろうさ」
本日の主は赤字に違いない。
何せ別荘の一室が鉛玉で穴だらけになった分、出費も嵩むことだろう。
「因みにトーラスはライセンス生産だからギリギリ合法」
「ブラジル現地のベレッタ社工場を買い上げたのが始まりだったかしら」
「その話、今する必要あんのかい?」
どーだろーね。
いやま、口を開いてる方がいくらか気が紛れるしね? 痛みは生きてる証だけれど、心身のアラームでもあるのだから、無けりゃ無い方がいいに決まってるのだ。
あとどっちかてーと、される側よりする側のが好みである。
「残りの始末しないとだけれど……得物がなぁ」
「アンタなら手頃な石がありゃァ十分ヤれるだろ」
ふむ? 確かに南米にいた頃は、弾丸の入手に苦労した時期に
相棒達は今日召されたわけだし、そこら辺から見直すのもアリかも知れない。
「何閃いたって顔してンだよ」
「実際にそうした事があるんじゃないかしら」
「そいつァワイルドだ」
考えに耽っていたら、そんな風に言われた。ロージィは何でそれ知ってんだ? 話した事無かった様な……。
とまれかくまれ。
「昨日着いたばっかだってのに、やる事だけ増えてくのはなんなんだろなー」
「主の与え給うた試練って奴じゃないかい? 気張りなよ
悪い笑みを浮かべたエダに無言で肩を竦め、ポケットからタバコを取り出す。
火を点け、紫煙で灰を満たしていく。微かなバニラフレーバーにもすっかり馴染んだなー。
自然と口角を上げた俺に訝し気な視線を向ける二人に、咥えたタバコを揺らしてみせる。
「いやま、退屈とは無縁の場所で何よりだな、ってね」
紫煙を吐き出した俺は、そう呟いた。
飼い主:早くも得物を失ったものの、さらっと属性が盛られた。あんまり色付けたり盛り過ぎると面倒になりそうだから今後は自重したい。因みに頭蓋骨は誰もが持っているモノなので誤解無き様に(誰でも知ってる定期)
ロザリタ:牙を剥いた時にチラリと見える犬歯がセクシー。次回あたり盛大に湿る気配あり。
エダ:口の悪さに定評があるけれど、彼女もまた皮を……いやこちらは仮面と言った方が適切な気がする。地頭は良い人なので洒落た言い回しを沢山させて表現したいけど、彼女と作者の語彙力どっちが上かはちょっと言えない。
ヨランダ:現場にいたのにほぼ出番無かったので、以降は出番増やしたいと思ってる。具体的にはマダム・フローラと同じぐらい。
七人のボケナス:何処ぞの傘下組織に所属させようかと思ったけど、ロアナプラで一旗上げるつもりで即座に姿を消す事になった悲しき存在。彼らは経済動物の如く、魂以外を余すことなく金へと変換されるのであった、アーメン。