第1節:助太刀(炭治郎視点)
技と技の激突があった。
凄まじい衝撃と共に、土埃が激しく巻き上がった。
・・・状況が、見えない。
中はどうなっている?
俺は、煉獄さんの身の安全をただ祈った。
すると。
「杏寿郎との戦いを邪魔したな?」
土埃の中から最初に聞こえた声は猗窩座のものだった。
だが、それに対する返答は無い。
ピリピリとした緊張感が漂い、場所が離れた俺たちまでも刺してくる。
沈黙が続いた。
そうしている内に、土埃が晴れていった。
「・・・村上さん!」
煉獄さんを助けたのは、村上さんだった。
右手には盾、左手には日輪刀を握っている。
良かった。無事だった。
「助かった村上。お前が来なかったら致命傷を負っていた」
「いえ、上弦とあそこまでやり合える煉獄さんは流石です」
そんなやり取りをする柱たちに、猗窩座は青筋を立てた。
「久々に気分が良かったんだが、お前が来たせいで興が削がれた。もしこれで弱かったらどうしてくれる?」
猗窩座はそう言うと、勢いよく前へ飛び出した。
柱と、上弦。
再び両者は、激突した。
◇
第2節:村上&煉獄 対 猗窩座
鬼殺隊側は二人。
ましてや柱だ。
優勢でなければおかしい。
にもかかわらず。
鬼は余裕の表情を崩さないまま、煉獄と村上の攻撃を捌き続ける。
「思ったよりやるようだな!その盾はなんだ?見たことが無い呼吸だ!名前を教えてくれ!」
「オレは村上鋼だ。上弦の鬼、お前はここで倒す」
「そうか!俺は猗窩座。鋼、お前も鬼になれ!」
「ならない。オレは蕎麦と白米が好きだ。それが食べれなくなるなんてまっぴらごめんだ」
「そうかならば殺すしかないな!今日はなんて日だ嘆かわしい!素晴らしい才能の者を二人も殺さないといけないとは!」
猗窩座はその言葉の後、姿勢を低くして村上の懐に潜り込む。
「破壊殺・脚式──────冠先割」
強力な蹴り上げ。
しかし、村上はそれを盾で防いだ。
にもかかわらず。
直後、村上は口から血を流した。
衝撃を防ぎきることができなかったのだ。
「村上!」
煉獄が村上の安否を確認する。
すると村上は、口元の血をぬぐいながら蹴り上げられた身体を着地させる。
「いえ、大丈夫です。あと少し、"上弦の攻撃"をこの目で見たいです」
「・・・!・・・そうか!ならば俺はそれを補助しよう!二人なら可能だろう!」
「助かります」
柱二人は、同時に鬼へ刃を振るう。
対する猗窩座はというと。
「破壊殺・砕式──────万葉閃柳」
真下に向けて、一撃を放った。
すると猗窩座の拳を中心にして地面が放射状に砕かれる。
直撃は免れたものの、柱二人は身体のバランスを崩した。
そこに。
「破壊殺──────鬼芯八重芯」
重く鋭い八連撃が放たれる。
それを、村上と煉獄はそれぞれ、盾と日輪刀で防ぐ。
だが、ここで練度の差が出た。
村上は受ける面を間違えたのか、彼の日輪刀は真ん中から折れてしまっていた。
一方煉獄は、なんとかしのぎ切る。
「・・・ここまでだな」
その台詞を放ったのは、まさかの煉獄だった。
それに対し、猗窩座はカッと瞳を見開いた。
「杏寿郎!やっと鬼になる決心がついたか!」
「いいや違う。村上を休ませる」
「何を言っている?鋼はそこまで弱者じゃないだろう!なあそうだろう?鋼!」
猗窩座の問いかけに、村上は首を横に振る。
そしてそのまま踵を返した。
それを見た猗窩座はワナワナと震え始めた。
「失望したぞ鋼!まさかそんな腰抜けだとは!まだ日輪刀が折れただけだろう!」
猗窩座の挑発のような言葉に、村上は何も反応しない。
村上は何歩か歩いた後、煉獄の方を振り向いた。
「待っててください。必ずオレが戦況を変えてみます」
次回、村上の過去。