第1節:強さの意味(村上視点)
『もしみんなに危機が訪れた時、"鋼が強くてよかった"って言うと思うよ』
・・・
(・・・夢・・・か)
列車の影で、乗客と共に仮眠をとっていたオレは、ふと目を覚ました。
「・・・行くか」
◇
第2節:上弦の力・柱の力(炭治郎視点)
村上さんが去り、煉獄さんは猗窩座と一対一で戦っている。
煉獄さんは強い。
でも。
少しずつ、確実に消耗している。
最初は額を切られ、次はわき腹に指を突き立てられ、そしててついに片目を抉られた。
しかし未だ衰えぬ太刀筋。
「炎の呼吸・壱ノ型──────不知火」
もはや執念が煉獄さんを動かし、鬼を袈裟斬りにしてみせた。
だが。
飛び退き、煉獄さんと距離をとった猗窩座は、平然と佇む。
「死ぬな杏寿郎」
傷を回復させながら、猗窩座は鬼への勧誘を続けた。
対する煉獄さんは何も答えない。
肩で息をし、至る箇所から血を流す姿は痛ましかった。
(煉獄さん・・・煉獄さん・・・煉獄さん・・・)
「生身を削る思いで戦ったとしても全部無駄なんだよ杏寿郎。お前が俺に喰らわせた素晴らしい斬撃も既に完治してしまった。だがお前はどうだ。潰れた左目、砕けた肋骨、傷ついた内臓。もう取返しがつかない。鬼であれば瞬きする間に治る。そんなもの鬼ならばかすり傷だ。どう足掻いても人間では鬼に勝てない」
そう言い張る猗窩座。
だが俺はそれを否定するためにも、そして煉獄さんを死なせないためにも、動かないと・・・でも・・・
(手足に力が入らない。傷のせいもあるだろうがヒノカミ神楽を使うとこうなる。助けに入りたいのに・・・!)
俺は、自身の不甲斐なさに打ちひしがれていた。
そんな時。
「竈門、嘴平。待たせた。そして、悪いが竈門。日輪刀を貸してくれ」
「・・・村上さん・・・!」
炎はまだ、消えてはいなかった。
◇
第3節:間に合った(村上視点)
オレは竈門の日輪刀を手に取り、すぐに煉獄さんの元へ駆けつけた。
「・・・煉獄さん・・・すみません」
・・・オレのせいだ。
一人で戦わせたから、こんなことに。
戦いの最中だというのに、ずしりと心が沈む。
しかし、オレの心中を慮ってか、煉獄さんは微笑みながら
「何も気にすることはない。待っていたぞ村上」
「・・・はい!」
心が少し軽くなった。
そしてなぜか、煉獄さんの姿が来馬さんと重なって見えた。
オレは目を拭い、まっすぐ猗窩座を見る。
上弦の参──────猗窩座。
当然だが、まったく疲労の様子が無い。
なんなら、その表情は、少し嬉しそうですらあった。
「やっと戻ってきたか、鋼!さあ続けよう!戦いの続きを!」
猗窩座はそう言った後、両方の拳を後ろに引き──────
「術式展開・破壊殺──────」
とてつもない殺気。
これから、大技が来るのが嫌でも分かった。
対するオレは、盾を右手に構え、防御偏重の姿勢をとる。
隣の煉獄さんはというと──────
(──────!・・・熱さを感じるほどの気迫。そうか、煉獄さんも・・・)
「炎の呼吸・奥義──────」
煉獄さんの構えを見た瞬間。
オレはとっさに、盾と日輪刀の持ち手を交換した。
そして。
「弧の呼吸・壱ノ型──────」
「滅式!」「煉獄!」「旋空!」
三者の攻撃が交差する。