第1節:柱稽古・あらすじ①
ついに始まった柱稽古。
その内容は、柱より下の階級の者が柱を順番に巡り、稽古をつけてもらえるというもの。
基本的に柱は継子以外に稽古をつけなかった。
理由は単純、忙しいから。
柱は警備担当地区が広大な上に鬼の情報収集や自身のさらなる剣技向上の為の訓練、その他にもやることが多かった。
しかし、竈門禰豆子の太陽克服以来、鬼の出没がピタリと止んだ現在。
嵐の前の静けさとも言える状況であったがそのお陰で、柱は夜の警備と日中の訓練にのみ焦点を絞ることができた。
柱稽古は基本的に、一般隊士全員が対象となる。
しかし、例外的に二名のみ、一部もしくは全ての柱稽古が免除され、その代わり別の稽古を行うことになった。
そのうちの一人、竈門炭治郎。
彼は現在怪我で療養中だが、産屋敷家当主・産屋敷耀哉の指令により、水柱・冨岡義勇の説得を行った。
昼夜問わず冨岡に話しかける炭治郎。
ついに冨岡が折れる形となり、炭治郎の言葉により柱の自覚を持つに至った。
◇
第2節:自分の気持ち
蝶屋敷にある仏壇の前で正座をしたまま、蟲柱・胡蝶しのぶは項垂れていた。
「ふーふううう・・・」
「師範、お戻りでしたか。私はこれから風柱様の稽古に行って参ります」
廊下から声を響かせたのは、しのぶの継子、カナヲだった。
その声に気づいたしのぶは、背筋をピンと伸ばす。
「そう」
「師範の稽古は岩柱様の後でよろしいですか?」
「私は今回の柱稽古には参加できません」
「え・・・ど、どうして」
「カナヲ、こっちへ」
しのぶが手招きをする。
するとカナヲは、部屋の中に入ってしのぶの前で正座をした。
「あの・・・あの、私はもっと師範と稽古したいです」
カナヲは、恥ずかしそうに、頬を赤らめる。
それを見て、しのぶは優しく微笑んだ。
「・・・カナヲも随分自分の気持ちを、素直に言えるようになりましたね・・・いい兆しです。やはり良い頃合いだわ」
「?」
「私の姉、カナエを殺したその鬼の殺し方について、話しておきましょう」
◇
第3節:来訪者(珠世視点)
静かな夜だった。
窓を開けておけば、街の喧騒は聞こえず、涼しい夜風だけが入ってくる。
このまま誰にも邪魔をされず、本を読み耽ることができる。
そのはずだった。
──────ふわり
小さな音と、大きな違和感。
本から窓へと、視線を移す。
そこには。
鴉が窓に足をかけていた。
「こんばんは珠世さん。物騒ですよ夜に窓を開け放っておくのは。でも今日は本当に月が美しい夜だ。初めまして吾輩は、産屋敷耀哉の使いの者です」