村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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第19話:竈門炭治郎 対 影浦雅人

第1節:竈門炭治郎 対 影浦雅人(炭治郎視点)

 

(ぜんっっっぜん攻撃が当たらないぞこの人・・・!)

 

影浦さんとの稽古開始から、半日ほど経過した。

にもかかわらず、俺は一度も攻撃を当てられていない。

 

なんなら、影浦さんから数えきれないほど木刀を叩きつけられ、身体中アザだらけだった。

 

(蛇のような変則的な攻撃・・・俺の防御を簡単にすり抜けてくる・・・!)

 

影浦さんは、伊黒さんの継子で、蛇の呼吸の使い手だった。

 

さらに。

休憩時間にチラッと耳にした、"感情受信体質"というもの。

 

村上さん曰く。

"自分に向けられた他人の意識や感情を肌で感じ取ることが出来る。"

とのこと。

 

つまり、影浦さんに攻撃を当てるためには・・・

 

(・・・ッっと!?)

 

・・・危ない!

考えごとをしていたら、危うく目と鼻の先に景浦さんの木刀が迫っていた。

それを紙一重で回避し、一旦後ろに下がる。

 

(辛い、苦しい・・・こんな強い人に攻撃を当てるなんて、本当に俺に出来るのか・・・?)

 

弱音を吐きそうになる。

だが、影浦さんの体質は、俺の心に一瞬差した影さえ、受け取ってしまう。

 

「どうした竈門ォ!早く見せてみろよ。"透き通る世界"ってやつをよ」

 

煽り立てる影浦さん。

これがこの人の優しさなのだろう。

 

俺は影浦さんに気を使わせてしまったこと悔やんだ後、すぐに気持ちを切り替え木刀を構える。

 

「すみません!時間はかかるかもしれませんが、必ず影浦さんに攻撃を当ててみます!」

 

「ケッ・・・あんまり待たせるなよ?」

 

「・・・ハイッ!」

 

この日の稽古は日が暮れるまで続いた。

 

 

第2節:初日の稽古の後(炭治郎視点)

 

結局、一度も影浦さんに攻撃を当てることができなかった。

 

稽古が終わり、俺は今は盾屋敷でお風呂に入っている。

 

(痛い・・・沁みる・・・!)

 

思わず悶えそうになる。

早く出たいが、疲れも取りたい。

 

(影浦さん、強かったな~・・・村上さん、申し訳ないな・・・俺の稽古が長引いたせいで、村上さんは影浦さんとあまり稽古できていなかったようだし・・・にもかかわらず、お風呂まで貸してくれるなんて、良い人だな・・・とはいえ、長湯するのは申し訳ないので、そろそろ出ようか)

 

お風呂から上がり、服を着て廊下に出る。

寝床も貸してくれるらしいので、明日のためにも布団へ直行だ。

 

そんな中、中庭から何かがぶつかり合う音が聞こえた。

 

俺は急いでその音の方向へ向かう。

すると。

 

「今日は一段と前のめりじゃねえか、鋼!」

 

「まぁな、あまり稽古が出来ていなかったからな。でも竈門の姿を見ておくのも、大事だと思ってる」

 

「ケッ・・・!そんなに大層なモンなのかよ?"透き通る世界"ってのは」

 

そう言葉にしながら、村上さんと稽古をする影浦さんの動きは、俺と稽古していた時より、別人のようだった。

 

(・・・速い・・・これが柱級の隊士同士の戦いなのか・・・!)

 

俺はなんとか、二人の戦いから盗める技術が無いか、目を凝らして観察する。

 

そんな中。

 

「隊士みんなにパンケーキを振舞っていたら遅れちゃったわ!ごめんなさい」

 

なんと、盾屋敷に現れたのは、甘露寺さんだった。

彼女の声が中庭に響くと、村上さんと影浦さんはピタリと静止し、声のする方へ顔を向けた。

 

「ケッ・・・おせーよ甘露寺」

 

「柱稽古お疲れ。甘露寺」

 

影浦さんが咎め、村上さんが労う。

甘露寺さんは顔の前で手を合わせ、甲高い声をずっと響かせていた。

 

それにしても。

(なんだか、意外な組み合わせだな・・・)

 

そう思っていたのは、俺だけではないようで・・・

 

「甘露寺と稽古か・・・何気に初めてじゃねーの?伊黒さん抜きで会うことなんてまずねーし、二人で稽古なんてしようもんなら、伊黒さんからなんて言われるか」

 

「オレも一緒だ。だが、痣が出た柱との稽古はこれと無い機会だしな。ちなみに明日は時透が来ることになってる。日替わりだ」

 

「そうかよ。どっちも天才チャン、天才クンじゃねーか。つーかよく伊黒さんの許可が出たな」

 

「伊黒さんの説得は時間がかかったよ。でも、オレはどうしてもこの二人が良かった。もちろん、不死川さんや悲鳴嶼さんより経験の面では不足だ。でもやっぱり、甘露寺も時透も本当に才能がある。だからこそオレは、竈門よりも早く、この二人が"透き通る世界"に入ることもあり得ると思ってる」

 

俺はその言葉を聞いて、少し複雑な気持ちになった。

 

(・・・うん、そうだよね。甘露寺さんと時透くんは凄いもんね・・・)

 

村上さんはさらに続ける。

 

「ただ、竈門も食らいついてくるはずだ。オレは今日の稽古を見て、確信したよ。あいつは絶対強くなる」

 

村上さんの言葉が、胸に沁みる。

 

明日も頑張ろう。

俺はそう思いながら、寝床へ向かった。

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