村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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無限城
第23話:無限城へ


第1節:爆炎(村上視点)

 

吹きあがる黒煙。

 

焦げたような匂い。

 

(産屋敷邸からだ・・・お館様・・・!)

 

オレは、一目散に走り出した。

 

 

第2節:無限城へ(村上視点)

 

焦燥感に体を押されるまま、オレは走り続けた。

そしてついに、産屋敷邸"だった場所"に到着した瞬間。

 

目に入ったのは、焼け野原だった。

 

「お館・・・様・・・」

 

(この様子だと、お館様はもう・・・)

 

諦観の念を抱きながら、辺りを見渡していると。

 

「テメェかァアアア!!お館様ィイ!なにしやがったァア──────!!!」

 

「お館さまァ!」

 

「お館様!」

 

不死川の怒号を皮切りに、甘露寺、伊黒さんの声が続けて響いた。

さらには、時透や胡蝶も到着。

 

そして、焼け野原の中心で、鬼と思われる男と対峙していた悲鳴嶼さんがこちらに気づくと──────

 

「無惨だ!!鬼舞辻無惨だ!!!奴は頚を斬っても死なない!!」

 

その単語が発されたその瞬間。

オレを含む、柱たちはほぼ同時に、"男"の姿をとらえた。

 

無数の黒い枝で地面に縫いとどめられてなお、禍々しく強い殺気を放つ若い男。

 

(!!!・・・この男が・・・!鬼舞辻・・・)

 

「無惨!!」

 

一拍遅れて飛び込んできた竈門の声と同時に、柱たちは型の構えに入った。

 

「霞の呼吸──────肆ノ型」

「蟲の呼吸──────蝶ノ舞」

「蛇の呼吸──────壱ノ型」

「恋の呼吸──────伍ノ型」

「水の呼吸──────参ノ型」

「風の呼吸──────漆ノ型」

「弧の呼吸──────壱ノ型」

「ヒノカミ神楽──────陽華突・・・」

 

柱たちの渾身の一撃が、無惨に浴びせられようとした、まさにその時。

 

無惨は、ニヤリ、と笑った。

次の瞬間、何十枚と敷き詰められた障子が地面のあちこちで開き、オレや竈門、そして他の柱たちも飲み込まれていった。

 

「これで追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!目障りな鬼狩りども!今宵皆殺しにしてやろう!」

 

「地獄に行くのはお前だ、無惨!」

 

竈門がそう啖呵を切ったのが、壁越しで聞こえた。

それが最後。

 

オレは、重力のままに下へ落ちていった。

 

 

第3節:仇(しのぶ視点)

 

(血の匂いがする)

 

この、おかしな城に落とされた後、私は廊下をひとり歩いていた。

建物の中だというのに、板張りの廊下の左手には、蓮の花が咲く水場が広がっている。

 

(ここはどこ?)

 

右手には、美しい文様の飾り彫りがほどこされた板戸が延々と続いていた。

その向こうから、物音がする。

 

私は、用心しながらそっとその戸を引き開け、中を覗いた。

 

中は──────広い、とても広い不思議な部屋だった。

床には水が張られ、蓮の花が沢山咲いている。

 

その上を、縦横に、板で出来た橋が渡されていた。

 

稲妻のようにジグザグに組み合わさった板の橋の、その上には。

十数体の、血まみれの死体が横たわっている。

 

死体はすべて女で、全員がおなじ、白いゆったりとした長衣を着ていた。

部屋の中央当たりの橋の上、その死体に囲まれて、一人の男が座っている。

 

ボリボリ、ボリボリ、と死体をかじる音が響く。

 

「ん?」

 

長い、白橡色(ごく薄い茶色)の髪をしたその男は、私の気配に気づいたのか、ぐるり、と振り向いた。

口元は人の血で真っ赤だった。

 

「あれぇ?きたの?」

 

虹色の瞳。

左目には"上弦"、右目には"弐"の文字。

 

「わぁ。女の子だね!若くて美味しそうだなぁ。あとで鳴女ちゃんいありがとうって言わなくちゃ」

 

その鬼の顔。

 

それが、視界に飛び込んだ瞬間。

私は、姉・胡蝶カナエの最期の言葉を思い出した。

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