村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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善逸VS獪岳は、原作通りの予定なので会敵後は省略します。


第24話:それぞれの敵

第1節:獪岳

 

「いるんだろ。出てこい」

 

善逸は、目の前のふすまに向かって言った。

 

「そこにいるのは分かってる」

 

源氏ふすまと呼ばれる、中央に明かりとりの障子をはめ込んだ、しゃれた建具が、スラ、と軽い音をたてて開いた。

 

「口の効き方がなってねえぞ。兄弟子に向かって」

 

ふすまにかかった手には、鋭い鬼の爪。

 

「少しマシになったようだが──────相変わらず貧相な風体をしてやがる」

 

現れたのは、若い男の鬼だった。

右目には"上弦"、左目には"陸"。

 

遊郭の戦いで炭治郎たちに倒された堕姫と妓夫太郎にかわり、成り上がったのだろう。

 

「久しぶりだなァ、善逸」

 

首元と手首に勾玉の飾りを付けた鬼は、にんまりと笑いながら、善逸の名を呼んだ。

対する善逸は、鋭い目で、その鬼を睨み据える。

 

「獪岳──────鬼になったお前を、俺はもう、兄弟子とは思わない」

 

 

第2節:救援

 

時は、少し遡る。

 

蟲柱──────胡蝶しのぶ。

上弦の弐、童磨と会敵するもの、毒が有効打にならず、じわじわと嬲られ、消耗しきってしまっていた。

 

血まみれの身体で、板の橋の上に膝をつく。

その後ろからは、童磨が歩み寄ってくる。

 

「ごめんごめん、半端に斬ったから苦しいよね」

 

とどめを刺そうと扇を掲げる童磨。

しかし、しのぶがゆっくりと立ち上がると。

 

「え?立つの?」

 

へらへらと笑っていた彼が呆然と動きを止めた。

 

「立っちゃうの?えー・・・」

 

ひきつった表情を浮かべる童磨。

それをしのぶは、睨め付けた。

 

すると童磨は、困惑したような口調で言葉を続けた。

 

「君、ホントに人間なの?鎖骨も肺もあばらも斬ってるのに、君の体の大きさ・・・その出血量だと、死んでてもおかしくないんだけど・・・」

 

その童磨の指摘は事実。

次の瞬間、しのぶの口から、ゴフッ、と血がこぼれた。

 

もう立つことだけでも精一杯なのだろう。

結果は、誰の目から見ても明らかだった。

 

しかし、そんな絶望的な状況に、一筋の光が差した。

 

「しのぶちゃん・・・!」

 

「胡蝶・・・!」

 

甘露寺と伊黒の声が響く。

その方向に、ほぼ同時にしのぶと童磨が顔を向けた。

 

しのぶは声を上げない。

だが、表情には安堵が見えた。

 

童磨は、相変わらず軽薄な表情を浮かべている。

 

「わあ、女の子がもう一人かあ、今日は良い夜だ」

 

「・・・甘露寺に指一本でも触れてみろ・・・次の瞬間、お前の命は無いと思え。触れなくても殺すがな」

 

「おっと、怖い怖い。そんな君は男なのに肉付きが良くないねぇ・・・可哀そうに」

 

「うるさい、そう言うお前はうすらデカくて不気味だ」

 

伊黒はそう言った後、横に立つ甘露寺と一瞬アイコンタクトを取り、頷き合った後、再び敵の方を向く。

 

刀を構える伊黒。

敵も、相手の実力の高さに気づいたのだろう。

真剣な面持ちで、二対の扇を構えた。

 

静寂が、場を支配する。

 

そして。

弾かれるように、伊黒の身体が前に出た。

蛇のような軌道で、すぐに敵の背後へ。

 

目を見開く童磨。

だが、取り乱すことなく、振り向きざまに扇をふるう。

 

鋼がぶつかり合う音。

それが、何度も響き渡った。

 

「やっぱ君、強いね。さっきの柱より数段も」

 

「よく喋る鬼だ。うるさいからすぐ静かにしてやる」

 

「う~ん・・・俺が何かしたかい?あ、もしやさっきの小さい方の女の子、君の想い人だったかい?それだったら悪いね・・・え?」

 

童磨がその言葉を言い終える前に、一瞬、体が固まった。

その視線の先。

 

先ほどまで、しのぶが居た場所には誰も居ない。

なんなら、甘露寺さえも。

恐らくは、救護班の元へ向かったのだろう。

 

「今更気付いたか?愚図が。それと、胡蝶と俺との間には何もない」

 

「あっ、じゃあ桃色の髪の子かい?」

 

童磨はそう言いながら、太刀筋も、伊黒自身さえも見ずに、攻撃を回避する。

対する伊黒は、額に青筋を走らせた。

 

「俺と甘露寺が・・・?甘露寺を馬鹿にしているのか?お前は・・・!」

 

「え・・・えぇ~・・・君、会話にならないねぇ・・・」

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