第1節:急襲(炭治郎視点)
ガガガガガ!!!!!!
何かを勢いよく削るような、連続音。
俺と義勇さんは警戒を強め、その場で立ち止まる。
「何だこの揺れは!!」
「ぎ、義勇さん!」
「止まれ!!落ち着け」
すでに刀を抜いていた義勇さんは、片手で俺を静止した。
俺もすかさず抜刀し、あたりの気配を探る。
(また誰かが戦ってるのか!?また誰かが死んでしまうのか!!)
冷汗が噴き出す。
(・・・いや、違う。揺れの中心が、こちらに近づいてる?・・・この匂いは・・・)
近づいてくるなにか。
それが発する匂いと、気配。
俺は、覚えがあった。
いいや、忘れるはずがない。それは──────
「上だ!炭治郎下がれ!」
義勇さんの叫びとともに、天井が割れた。
ドオン!
裂けた畳や板切れとともに、炭治郎の目の前に振ってきたのは。
「久しいなァ」
青白い肌に、赤い髪。
金色の瞳。
「よく生きていたものだ。お前のような弱者が!竈門──────炭治郎!」
身体中に帯のような紋様が浮き上がった──────上弦の参!
拳を構えて突っ込んできた、その鬼の名を。
「猗窩座ァァアア!」
◇
第2節:肉塊
ドクン、ドクン・・・と、脈動が虚空に響く。
無限城の最奥。
深い深い吹き抜けの、その途中に。
巨大な肉の塊は蔓延っていた。
周りの壁に肉の支柱を伸ばし、空中に浮いたその塊には、半ば身をうずめたような状態で、珠世がとらわれている。
そして、この肉塊の中には。
無惨が解毒をしながら、時が来るのを待っていた。
◇
第3節:産屋敷邸の状況
産屋敷邸の縁側に座り、新しく就任した鬼殺隊の主を護衛する、宇髄天元、煉獄杏寿郎、煉獄槇寿郎の三名。
本来であれば、両目を失明した杏寿郎がこの場に居るのは危険だった。
しかし、愈史郎の血鬼術"紙眼"により、一時的に目が見える状態になっていた。
「・・・父上とご一緒する任務など、いつぶりでしょうかな?」
「・・・お前らしくない。集中しろ杏寿郎」
槇寿郎は、息子の言葉をはぐらかすように言った。
対する杏寿郎は、深々と頭を下げる。
「失礼しました。父上が再び剣を握るお姿が、懐かしくて、つい」
杏寿郎の頬が少しだけ緩む。
それを横で見ていた宇髄は、おもむろに口を開く。
「輝利哉様はご立派なことだ。父を亡くされた心痛も癒えぬ中、鬼殺隊の指揮を執り、己の使命を果たさんとしておられる。なあ煉獄さんよ」
「・・・そうだな。年端もゆかぬ子どもたちが、これほど我が身を奮い立てているのだ。私も煉獄家の名に恥じぬよう、命を賭してお守りする」