第1節:村上&炭治郎 対 猗窩座(炭治郎視点)
再び、両者は真っ直ぐ正面から衝突を開始した。
だがさっきよりも、村上さんの動きが速い。
「弧の呼吸・壱ノ型──────閃空」
見惚れるほど見事な横一文字状に放たれる太刀筋。
それを猗窩座は紙一重で回避した。
──────かに見えたが、首の皮から少量の血が噴き出す。
猗窩座は上半身を傾けたまま後ろに飛び、空中で体勢を整えて着地する。
しかし、村上さんはすぐに追撃を開始した。
「盾の呼吸・弐ノ型──────守護断進」
下部の刃の部分を向けた盾を、村上さんが投擲──────!
凄まじい速度と精度で、猗窩座の身体を貫く。
とはいえ、少し右に逸れた──────いや、猗窩座が向かってくる盾を側面から殴って反らしたのか。
肩から胸がバックリ避けた猗窩座だったが、急速に回復を始めていた。
だが、回復しきる前に村上さんが動く。
投擲の次は近距離戦。
右手に日輪刀を握り、前方に跳ねた。
上段の構えから、一気に振り下ろされる刀身。
さらに敵の肩の傷を抉る。
しかし猗窩座も黙ってやられるわけではない。
前かがみになった村上さんに対し、顔面を狙った正拳突き。
それを、村上さんは見事回避したが、頬が切れ、鮮血が舞った。
(速い!どちらも・・・!だけど、村上さんの上がった速度に猗窩座はすぐ順応した・・・長期戦になれば永遠に体力が続くわけじゃない人間は圧倒的不利・・・!そもそも無惨を倒すことが目的なんだ。一晩かけて猗窩座を倒すわけにはいかない。早くしないと珠世さんも・・・)
考えただけで、ぞっとしてしまう。
ここまで、いろんな犠牲の上で繋いできたのに、すべてが台無しになってしまうなんて、そんなこと絶対にあってはならない。
(急げ!早く倒せ!急がないとみんな死ぬ。みんな・・・)
俺は自分に必死に言い聞かせた。
嫌な考えがよぎっては、懸命にかき消す作業が始まる。
(落ち着け!!"透き通る世界"だ。俺が入らなくても、村上さんが入れば勝てる。これは分の悪い賭けじゃない。きっと勝てる。だから・・・)
俺は、村上さんの相手に夢中になっている猗窩座の背後に忍び寄ると。
(ヒノカミ神楽──────炎舞)
うなじ目がけて、日輪刀を振るう。
しかし、猗窩座は横目で俺をすでにとらえており、片手の指の握力だけで、刀身をピタリと止めて見せた。
「胴ががら空きだぞ炭治郎!!」
猗窩座はそう言って、吸いつくような、不可避の一撃を俺の腹部目がけて叩きつけようとした、次の瞬間。
俺は、人一人分の高さまで飛んで、それを回避した。
すると、猗窩座の手のひらから俺の日輪刀が解放される。
(来た──────透き通る、世界・・・!)