第1節:不屈(村上視点)
(・・・!視界が・・・)
刀身が赫くなったことよりも。
今は、酸欠で失神しかけていることの方が重大だ。
(敵の・・・前だぞ・・・このままだと・・・やられ)
──────ミシリ
猗窩座の脚が、めり込んだ。
(食らった・・・横腹に・・・モロに・・・!)
内臓が、飛び出るかと思ってしまうほどの苦痛。
そして次の瞬間には、壁に叩きつけられていた。
「ご・・・ぼっ・・・」
血が、塊になって口からあふれ出る。
そして猗窩座はというと、自身に刺さった刀を抜こうともせず、身体を強張らせながら、竈門の方へ歩いていく。
(猗窩座の動きが鈍くなってる・・・まだ、勝機はある・・・!)
それを見て、オレは再び立ち上がる。
「待て・・・!戦いは・・・終わって、いない・・・竈門は絶対に・・・殺させない・・・!」
途切れ途切れで、恰好が付くはずもない。
そんなオレの言葉に、猗窩座は立ち止まり、こちらを振り向いた。
◇
第2節:懐古強襲(猗窩座視点)
不屈の精神。
どんな苦境に立たされても決して折れない。
『俺たちは侍じゃない。刀を持たない。しかし心に太刀を持っている。使うのは己の拳のみ』
目障り・・・だ・・・
『狛治さんもうやめて』
放せ。手を放せ。
誰だお前は。
『もうやめにしましょう。向こうにいきましょう』
駄目だ。
俺は奴らを殺さなければならない。
『どうしてですか?』
俺は強くならなければいけない。
邪魔をする奴は殺す。
『どうしてですか?どうして強くなりたいのですか?』
それは、強くなければ持って帰って来られないからだ。
──────親父に、薬を。
◆中略◆
よくも思い出させたな。あんな過去を。
人間め。
柔く、脆い、弱者。
すぐ死ぬ。
壊れる。
消えてなくなる。
◇
第3節:ヤケクソ(炭治視点視点)
(気絶してた!!戦闘中に・・・!!)
早々視界に飛び込んできたのは、未だ両足で立っている猗窩座の姿。
(頭が!!頭が再生しかけている!!ぐあああ頚を斬ったのに!!)
さらに猗窩座は、今まさに両腕に力を籠め、技を出そうとしていた。
それを止めるべく、俺は全身に走る激痛を全て無視して立ち上がる。
「やめろ──────っ!!」
(何度でも頚を斬る!!勝つんだ、村上さんと二人で、猗窩座に!!)
両手で刀を握り、ヒノカミ神楽を繰り出そうとした、その瞬間。
──────スポン
(刀がすっぽ抜けた!!握力が・・・手に力が入らなくなってた!!かああ!!)
こうなったらヤケクソだ。
俺は拳を強く握り、猗窩座の顔を殴った。