村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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第32話:ありがとう

第1節:弱い(猗窩座視点)

 

『生まれ変われ、少年』

 

弱い奴が嫌いだ。

 

弱い奴は、正々堂々やり合わず、井戸に毒を入れる。

醜い。

弱い奴は。

 

辛抱が足りない。

すぐ自暴自棄になる。

"守る拳"で人を殺した。

 

師範の大切な素流を血まみれにし、親父の遺言を守れない。

 

そうだ。

俺が殺したかったのは。

 

 

第2節:感謝の匂い(炭治視点視点)

 

(まずいまずいまずい!!刀が飛んでった。殴ったくらいじゃ止まらない!!猗窩座はあの夜使った滅式を出そうとしてる!!村上さんを連れて攻撃圏外に・・・!!)

 

村上さんを抱え込むように、隣の部屋まで転がり込む。

その最中で。

 

俺が見た、猗窩座の表情は、とても穏やかだった。

 

ドガガガガガガ

 

凄まじい打撃音が連続して響き渡る。

 

対象は猗窩座自身だった。

血まみれで、骨まで見えるほどの傷を負っている。

 

(どうして自分を攻撃したんだ?どうして・・・)

 

一瞬、猗窩座から感謝の匂いがした。

どうして笑った。

 

そんなことを考えていると、猗窩座が誰も居ないはずの方向へ、歩き出した。

身体は再生し始めている。

 

そして、数歩歩いたところで、足を止めた。

 

 

第3節:ありがとう(猗窩座視点)

 

親父・・・もう平気か?苦しくねぇか?

 

『大丈夫だ狛治。ありがとうなァ・・・』

 

ごめん親父。ごめん。

俺やり直せなかった。

駄目だった・・・

 

『関係ねぇよ。お前がどんなふうになろうが、息子は息子。弟子は弟子死んでも見捨てない。・・・天国には連れて行ってやれねぇが』

 

師範・・・

 

『強くなりたいのではなかったのか?お前はこれで終わりなのか?猗窩座』

 

そうだ俺は強くなる。強くなりたい。

頸を斬られたから何だ?

勝負?

関係ない皆殺しにしてやる。

 

俺はまだ強くなれる。

約束を守らなければ。

 

『狛治さんありがとう。もう十分です。もういいの。もういいのよ』

 

『猗窩座!!』

 

「ごめん、ごめん!守れなくてごめん。大事な時に傍にいなくてごめん!約束を、何ひとつ守れなかった・・・!!許してくれ俺を許してくれ頼む!許してくれ・・・!」

 

『私たちのことを思い出してくれて良かった。元の狛治さんに戻ってくれて良かった・・・おかえりなさい、あなた』

 

・・・

 

ただいま親父。戻ったよ。

師範、恋雪さん。

 

ただいま。

 

 

第4節:眠る(村上視点)

 

猗窩座の身体が完全に灰になり、空気中に消えていく。

その光景を見たとき、竈門もオレも、揃って息を吐いた。

 

「消えた・・・終わっ・・・た・・・はやく・・・次は・・・珠世さんの・・・ところに・・・」

 

頭をゆらゆらと揺らしながら、竈門は言葉を絞り出す。

が、その直後、床に倒れ伏してしまった。

 

「竈門・・・」

 

オレもさすがに限界だった。

少し・・・眠りたい。

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