第1節:弱い(猗窩座視点)
『生まれ変われ、少年』
弱い奴が嫌いだ。
弱い奴は、正々堂々やり合わず、井戸に毒を入れる。
醜い。
弱い奴は。
辛抱が足りない。
すぐ自暴自棄になる。
"守る拳"で人を殺した。
師範の大切な素流を血まみれにし、親父の遺言を守れない。
そうだ。
俺が殺したかったのは。
◇
第2節:感謝の匂い(炭治視点視点)
(まずいまずいまずい!!刀が飛んでった。殴ったくらいじゃ止まらない!!猗窩座はあの夜使った滅式を出そうとしてる!!村上さんを連れて攻撃圏外に・・・!!)
村上さんを抱え込むように、隣の部屋まで転がり込む。
その最中で。
俺が見た、猗窩座の表情は、とても穏やかだった。
ドガガガガガガ
凄まじい打撃音が連続して響き渡る。
対象は猗窩座自身だった。
血まみれで、骨まで見えるほどの傷を負っている。
(どうして自分を攻撃したんだ?どうして・・・)
一瞬、猗窩座から感謝の匂いがした。
どうして笑った。
そんなことを考えていると、猗窩座が誰も居ないはずの方向へ、歩き出した。
身体は再生し始めている。
そして、数歩歩いたところで、足を止めた。
◇
第3節:ありがとう(猗窩座視点)
親父・・・もう平気か?苦しくねぇか?
『大丈夫だ狛治。ありがとうなァ・・・』
ごめん親父。ごめん。
俺やり直せなかった。
駄目だった・・・
『関係ねぇよ。お前がどんなふうになろうが、息子は息子。弟子は弟子死んでも見捨てない。・・・天国には連れて行ってやれねぇが』
師範・・・
『強くなりたいのではなかったのか?お前はこれで終わりなのか?猗窩座』
そうだ俺は強くなる。強くなりたい。
頸を斬られたから何だ?
勝負?
関係ない皆殺しにしてやる。
俺はまだ強くなれる。
約束を守らなければ。
『狛治さんありがとう。もう十分です。もういいの。もういいのよ』
『猗窩座!!』
「ごめん、ごめん!守れなくてごめん。大事な時に傍にいなくてごめん!約束を、何ひとつ守れなかった・・・!!許してくれ俺を許してくれ頼む!許してくれ・・・!」
『私たちのことを思い出してくれて良かった。元の狛治さんに戻ってくれて良かった・・・おかえりなさい、あなた』
・・・
ただいま親父。戻ったよ。
師範、恋雪さん。
ただいま。
◇
第4節:眠る(村上視点)
猗窩座の身体が完全に灰になり、空気中に消えていく。
その光景を見たとき、竈門もオレも、揃って息を吐いた。
「消えた・・・終わっ・・・た・・・はやく・・・次は・・・珠世さんの・・・ところに・・・」
頭をゆらゆらと揺らしながら、竈門は言葉を絞り出す。
が、その直後、床に倒れ伏してしまった。
「竈門・・・」
オレもさすがに限界だった。
少し・・・眠りたい。