村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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第36話:甘露寺蜜璃 対 結晶ノ御子

第1節:甘露寺蜜璃 対 結晶ノ御子(甘露寺視点)

 

(四体の氷像で限界だったのに、今度は六体!!さすがに無理!!!)

 

津波のように押し寄せる敵の血鬼術を相手に、私はただ逃げ回るだけ。

 

(もう無理・・・!でも伊黒さんも心配だわ!)

 

私がもっと強ければ、助けに行けたのだけれど・・・

 

そんな葛藤を抱いていると。

 

氷像の背後に、本来そこにあるはずの無い長い髪がさらりと揺れたのが見えた。

 

(蝶の形をした髪飾り・・・でも色はしのぶちゃんのとは違う・・・)

 

逃げながらも観察を続けていると、氷像同士の隙間から顔がチラリと見えた。

 

(あの娘はたしか、しのぶちゃんのところの・・・・カナヲちゃん・・・!)

 

増援であるのと、見知った顔の隊士であることにほっと胸を撫でおろす。

そんな私をよそに、真剣な表情のままカナヲちゃん。

 

ジグザグに動いて遠回りしているように見えるが、どうやら氷像六体の死角に潜り込んでいるのだろう。

とんでもない観察力だ。

 

(すごい・・・本当に目が良いんだね・・・そういえばしのぶちゃんも嬉しそうに言ってたっけな・・・)

 

そんな風に、師範が誇るほどの継子である彼女。

どんどん氷像へ近づいていき、ついに刀を振り下ろした。

 

しかし。

刀身が氷像に当たる直前、六体のうち二体が一気にカナヲちゃんの方へ向かっていき、氷の蔦や氷柱を飛ばした。

それに対し、カナヲちゃんは振り下ろしていた刀をピタリと静止させ、敵の攻撃を回避する。

 

(どうして!?さっきまで全然気づいてなかったのに・・・いや、もしかして・・・)

 

私は、"本体"の様子を一瞥する。

すると、薄笑いをした鬼の表情が、一瞬だけ映り込んだ。

 

(ずっとこっちを見てた・・・!?伊黒さんと戦いながら、氷像の補助もしてたってコト・・・!?どれだけ出鱈目なの!!)

 

でも。

 

(今、カナヲちゃんの方に三体、私の方に三体・・・)

 

攻撃するなら、今だ。

私は、氷像の攻撃が当たるギリギリの場所まで踏み出すと。

 

「恋の呼吸 参ノ型──────恋猫しぐれ」

 

幾重にも重なる斬撃を高速で繰り出す。

すると、三体の氷像の内、一体の腕が砕け、飛んでいく。

 

(やった・・・!攻撃が当たった!噓みたい!)

 

久しぶりに、確かな手ごたえを感じる。

それと同時に、伊黒さんとカナヲちゃんの安否を確認するため、視線を動かす。

 

(カナヲちゃんは・・・なんとか敵の攻撃を回避できているわね・・・伊黒さんは・・・)

 

私は、本体の鬼の相手をしている伊黒さんの方を見た。

その瞬間、彼の様子がいつもと違うことに気づいた。

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