村上鋼と影浦雅人は鬼を狩る   作:白澄星火

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村上の精神世界の中の描写が入ります。
荒船さんも本当にチラっとだけ登場します。


第6話:おはよう

第1節:魘夢

 

「どんなに強い鬼狩りだって関係ない。人間の原動力は心だ精神だ。"精神の核"を破壊すればいいんだよ。そうすれば生きる屍だ殺すのも簡単。人間の心なんてみんな同じ。硝子細工みたいに脆くて弱いんだから」

 

汽車の上で風にあたりながら、男はそう独り言ちる。

 

 

第2節:黒い影

 

"あの人"から渡された縄は、特別な能力を行使することができた。

それは、繋げた者の夢の中に侵入できるというもの。

 

信じられないと思う。

でも実際、私は今、布で包まれた大きな板を抱えた短髪の男の夢の中に居る。

そこは、どこかの屋敷の敷地だった。

 

(・・・!・・・危ない。本体がいる)

 

中庭に入ろうとした瞬間、視界に入ったのは、木刀を構える短髪の男と、彼を指南する茶色い髪の男。

 

(気づかれないようにしないと・・・)

 

私は踵を返すと共に、足音を殺して、"夢の端"まで急ぐ。

 

(あった。"壁"だわ。早くこいつの"精神の核"を破壊して、私も幸せな夢を見せてもらうんだ)

 

私は、その"壁"に錐を突き立てる。

すると、布のように空間が破け、壁の向こう側が現れた。

 

(大きな・・・本棚?それに、なんなのこの膨大な量の本は・・・)

 

見渡すと、四方八方に巨大な本棚がそびえ立っていた。

その中心には、黒い人影がひたすらに筆を動かしている。

 

(そんなことより、"精神の核"を・・・)

 

私は"壁"の向こう側の世界を歩く。

ただ、"精神の核"を探すと同時に、影へと視線を向けるのを忘れなかった。

 

探索と警戒。

二つの動作を交互に行う。

とても非効率だが、私にとっては必要なことだった。

 

・・・どれだけ、視界を動かしただろうか。

 

相変わらず、黒い影は手を動かし続けている。

 

特に何も起こらないため、少しだけ緊張感が解れていた。

 

そう、私は"警戒"を怠り、"探索"に集中したのだ。

 

そしてついに、本の隙間から、"精神の核"を見つけた。

それと同時に、何かを忘れているのではないか、と思った。

 

私は反射的に振り向いた。

 

──────"ソレ"はピタリと筆を止め、私のほうを見ていた。

 

目も、鼻も、口も無い。

例えるなら、底の無い穴。

 

私は"ソレ"を見た瞬間、身体が引っ張られるような感覚に陥った。

 

 

第3節:おはよう(炭治郎視点)

 

『目覚めろ!目覚めろ!』

 

誰かが俺に語りかける。

 

『目を覚ませ!』

 

この声は・・・

 

「ああああああああ!」

 

飛び跳ねるように上半身を起こす。

 

そしてすぐさま、首に手を当てた。

 

(・・・大丈夫。生きてる)

 

首がつながっていることと、汽車にいること。

全てに安堵を覚えた。

 

(・・・そうだ!)

 

俺は禰 豆子を探す。

 

(正面にはいない、どこだ)

 

上半身をひねり、後ろを向く。

するとそこには・・・

 

「禰 豆子!大丈夫か・・・!」

 

妹に手を伸ばす。

その瞬間、自身の手首に焼き切れた紐がぶら下がっているに気づいた。

 

(微かだけど鬼の血の匂いもするぞ・・・そうだこれ・・・!)

 

俺は懐から切符を取り出す。

 

(やっぱりこれも微かに鬼の匂いがする。切符を切った時に眠らされたんだな。鬼の細工がしてあるんだ。これだけの微量の匂いでこれ程の強い血鬼術を・・・)

 

考えを巡らせている中、汽車内の状況に心臓が跳ねた。

 

「煉獄さん!、村上さん!、善逸!、伊之助!」

 

みんな意識を失っている。

事態の深刻さを痛感した俺はすぐに、椅子の下に隠してあった日輪刀を取り出した後、改めて状況を整理した。

 

(手首を縄で繋がれてる・・・)

 

煉獄さん、村上さん、善逸、伊之助それぞれと縄で繋がれているのは、知らない乗客だった。

それを見た俺は、"この縄を日輪刀で断ち切ると良くない"という直感が働いた。

 

「禰 豆子頼む!縄を燃やしてくれ!」

 

汽車の中で、炎があがった。

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