MOMIJI SOULS   作:失敗作のカルボナーラ

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第九話 選ばれた妖怪(不死)…これが? その二

 篝火でメソメソしていた白狼天狗と、その篝火の近くに腰掛けているだけの男が目が合った。

 

「…」

「…」

 

 お互い無言である。しかしてお互いの表情は全く違った。

 

 白狼天狗はいつの間にかいたその男の存在に驚きつつも、自分が今さっきさらした間抜けな所業を見られたことに段々と顔が紅潮して、だがそれと同時に此の男が敵ではないかという不安感に襲われ顔から血が引いてく、という器用な技を為し、おかげで顔色に変化はなかった。結局その男がいたことに驚愕して若干口が空けて呆けた様な顔をしている。

 

 逆に男は不死院から運ばれてきた新人が駆け出す前に高いところが怖い大鴉にめんどくさがられてぶん投げられるという醜態をさらした挙げ句、今度は少し時間が経ってからようやく自分の存在に気付いてポカンとしたアホ面晒す新人に呆れを通り越して此奴大丈夫かと心配になった。そのせいか、男は鼻の付け根あたりを摘んで色々考え込む羽目になった。なお男にとって、新たな不死を気に掛けるなど始めての体験である。だからこそ、男を更に苦悩させる。

 

「…見てたんですか?」

「…見てたもクソあるかよ。大鴉に運ばれて来た奴等の中でぶん投げられたのはお前が初めてだ」

 

 白狼天狗の問いに男は返す。

 すると、

 

「忘れてください」

「…」

 

 抱えた膝に顔を突っ込んで、後ろに伸びているその尻尾でその上から覆い隠すようにしながらくぐもった声で椛は男に言った。

 

「なかなか、忘れられねぇだろうな」

「そ、そんなぁ」

「第一、お前が高いところが怖いだの何だの騒がなければよかったんだ」

 

 ほとんどのロードランに辿り着く不死というのは皆ある程度の覚悟が決まっている者たちだけだ。だから大鴉に雲の上に運ばれたとてそうそう驚くことはない。むしろロードランに潜むおどろおどろしい化生共と凶悪な罠の数々の方がむしろ巡る不死たちの心を疲弊させる。

 

「あの一幕だけ見ても、この地に来れた奴等の中でお前は特別臆病だって良く分かる」

「ひ、ひどい」

 

 雲の上まで引っ張り出され、挙げ句ぶん投げられたとはいえど、雲の上を通るのまでは皆が通る道。ぶん投げられたのは、驚きすぎて暴れた自分のせいだというのが結論だった。そんなんじゃこの先やってけねぇぞというのが男の心情である。

 

「ま、呪われた時点で終わりだがな」

「え?」

「お前も、不死の使命だ大義だとか、そんなところだろ」

「!そうです」

「…まぁ、いい。丁度暇してたところだ。使命について教えてやるよ」

「!!ありがとうございます!」

 

 最初の情けない有り様から一変、今度は勉強熱心な学生の様な雰囲気に変わった。

 それから使命について、二つの鐘の在り処を男は椛に教えた。

 

「一つは此処の上にある不死教会。もう一つは最下層の病み村ですか…」

「どこもかしこも曲者ばかりだ。気をつけな」

 

 柄にも無い忠告が口から出たことに男は少し驚いたが、呆れを通り越して心配になった影響だろうなと納得した。

 

「ありがとうございます。あまり詳しく使命について知らなかったのでホントに助かります」

「…別にいい。暇してたところだしな。ほらいけよ。使命を果たすんだろ」

「あ、その前にもう二つ程聞きたいことがありまして」

「なんだ」

 

 久しぶりの暇つぶしはもう十分だと思っていたので、男は若干面倒臭がった。

 

「別に全然むずかしいことじゃありません。こんな紙を見たことありませんか?」

「ん?」

 

 そう言うと椛はポケットからスペルカードを取り出し、男に見せる。

 

「…さぁな」

「見たことあるんですか、無いんですか、白黒はっきりさせてください」

「疑うってのか?」

「生憎信用できそうな風体じゃないので」

「おい?」

「で、どうなんですか?」

「ねぇよ」

 

 サラッと失礼なこと言われたが、男は律儀に返した。

 

「んで次はなんだ?」

「ああ…ソレなんですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの鴉狩りたいんで弓と矢貸してもらえませんか?」

「もう一度言うがアレはお前のせいだからな」




あぁ、なんか会話が思いつかなくって短いよう…
次から椛ちゃん視点に切り替わります。ちゃんといじめます。
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