後書きとどっちがいいか試行錯誤中です。
肉体よりも私の中身へと響く爆風。
グラグラと歪む視界。倒れ込んだその周囲で私に向けられる銃口の気配。
ああ、私、失敗しちゃったんだ。
力の入らない身体とは逆に思考だけが加速する。
私のヘイローがここで壊されれば、その罪は確実にナギちゃんへと着せられる。トリニティにとってはただの歴史であるアリウスの生徒が私を害するなんて話より、ナギちゃんがパテル派の私を呼び出して謀殺したって話の方がよほど通りがいいから。
ティーパーティーの三頭政治が実質的に独裁に変わって、でもナギちゃん自身に独裁する意思がなければトリニティのパワーバランスは間違いなく不安定になる。たぶんそれが
裏切りとその狙いがわかったのにもう何もできない。
ゴメンねナギちゃん。全部押し付けることになって。
ゴメンねヤハちゃん。ヤハちゃんを巻き込むつもりはなかったの。
ごめんなさい『先生』。ナギちゃんとセイアちゃんをお願い。
目を閉じて覚悟を決める。
ゴメンねセイアちゃん。全部私のせいだった。ナギちゃんが青学から助けてくれるまで無事でいて。
覚悟していた痛みも衝撃もなく、金属の擦れるような連続音に目を開ける。
「みーちゃん、怪我はないですか?」
ヤハちゃんが私を抱きかかえるように
でもおかしい。
続けて撃ち込まれるアサルトライフルによる銃撃もスナイパーライフルによる狙撃もヤハちゃんが背中で受け止める。広げきった翼とそこからこぼれて舞う羽根すらも弾丸をはね返す。
いくらなんでも硬すぎる。
グラグラと揺れる視界のまま思考が口からこぼれ落ちる。やだなぁこれじゃ、これじゃまるで。
「まるでヤハちゃんが青学生みたいじゃない」
自分が言った言葉を理解するのに1秒はかかった。庇うのをやめてこのままヤハちゃんに投げ捨てられてもおかしくはない暴言だった。
重くなってきたまぶたを上げてヤハちゃんの顔を見上げると困ったような顔をしていた。トリニティに入学する際に私やナギちゃんの呼び方を変えると伝えてきた時のように。
「我らはどこにでもいるし、どこにもいない」
えっ。
「正解ですよみーちゃん。私が本当の裏切り者です」
その言葉を理解するより先に私の意識が遠く遠く落ちていく。
「私たちが、気持ち悪くてごめんなさい、ミカ様」
寂しそうな、悲しそうなヤハちゃんの顔。ヤハちゃんが、そんなかお、することないのに。
私が意識を保てたのはここまでだった。
抱え込んだミカさんに万が一にもに銃弾が当たらないように翼を広げてゆっくりと私に向かって歩くヤッちゃん。
「ヒフミ、コハル、隙ができた」
「ヤハタちゃんの援護をしましょう」
「ああもう手榴弾いくわよ」
ヤッちゃんを守るために動いてくれるアズサちゃんたち。
"ナギサ、奥の子がミカを狙ってるよ"
「ありがとうございます。この距離なら撃てます」
戦場全体を
「
「サクラコ様
「このまま逆らう奴らみんなぶった斬ってやりましょうや!」
「どうして……私はなにも……」
アリウスを引きつけ、鎮圧してくれているシスターフッド。
この戦場で動けていないのは私ひとり。かつては才女などと呼ばれながらも何ひとつ動けていない私だけ。
わかっていました。ヤッちゃんが青学生のスパイということも、青学生の子は高潔な信念ではなく当然の善意で誰かを守るということも、誰かが傷つきそうな時に
それでもスパイという立場も損得の計算も投げ捨ててためらいなく身を投げ出すヤッちゃんを見た時、思い知らされました。
「ハナちゃん。ミカ様をお願いできますか?」
申し訳なさそうにヤッちゃんが頼み込む。
本当なら受け取りたくはない。受け取ってしまえばヤッちゃんが青学へ帰ってしまうのがわかっているから。でも、それでも。
「預かりますよヤッちゃん。さきほど、助けに動けなかった罰だと思っておきます」
「なんかゴメンねハナちゃん」
もしもあの時立ち止まらずにヤッちゃんと一緒にミカさんを庇いに飛び込んでいれば何かが変わっていたかもしれません。
ヤッちゃんは気絶しているお姫様を寂しそうに見つめる。そして私から視線をそらしながらつぶやく。
「あはは、それなりに楽しかったですよ。ハナちゃんたちとのお友だちごっこ。
うん、ずっと続けたかったくらいに」
「はい。私もとても楽しいですよ。みんなと出会えて。ヤッちゃんと友だちになれて」
言外に補習授業部は青学のスパイとは無関係であるというアピールをこめた決別の言葉。私たちがスパイと関係が深いと見られれば当然取り調べられることになり、最後の追試に間に合わなくなってしまいます。
トリニティらしいやり方で、青学生らしい気の使い方をするヤッちゃん。
手が届きそうなのに、絶対に届かない星のよう。
アリウスの制圧も終わり、全員の意識にほんの少しの緩みが生まれたタイミングでヤッちゃんが腕を上に上げる。その腕に何処からか伸びてきた
「ヤッちゃん!」
ヤッちゃんの行き先を視線で追うと体育館の2階に外部から
「まさか、いえ、青学ならあり得るのですか?
光学迷彩を備えた無音ヘリ。おそらくはレーダーへのステルスも」
ナギサさんがその正体を予想する間にサーチライトに7つの影が生まれる。7つ? まさか。
「私のような下っ端スパイに七武生が複数人がかりとは。大げさじゃないですか?」
「我々がエデン条約に手出ししないのは我らがカールがエデン条約への不干渉を命じてのこと。その動向を監視するのは我らがカールの命に背くことにはなりません」
ヤッちゃんを釣り上げた青学生はおそらく噂に聞く七武生。思わぬ大物にトリニティ生全員が警戒します。
"あなたたちは?"
「アナタが噂に聞く『先生』ですか。我らがカールから失礼のないように伝えられております。
我らは七武生。敵地のど真ん中でスパイだと自白した同胞を救出しに来ました」
目配せも合図もなく、一糸乱れぬ動きで7つの影が同時に『先生』へとお辞儀をする。
「我々に『先生』と敵対する意思はございません。これにて失礼させていただきますよ」
フッとサーチライトが消え、同時にヘリコプターの姿も見えなくなる。追うこともできないまま私たちは立ち尽くすことしかできませんでした。
211:名無しの青学生
要は釣り合いの問題だよ
同じ力で引き合えば綱引きは中心が動かないだろ?
出てる音の逆位相で同等の音をぶつける演奏をすれば無音になる
212:名無しの青学生
おはガンホーガンズ
213:名無しの青学生
何度聞いても頭のおかしい理論
214:名無しの青学生
やっぱトライガンは……最高やな
215:名無しの青学生
実は完全に無音とまでいかなくても実用化されてるぞ
ノイズキャンセラーとか聞いたことない?
216:名無しの青学生
マジかよ
ファンタジー理論だと思ってたわ
217:名無しの青学生
つまりあのステルス光学迷彩無音ヘリ、音をかき消すためにミクさんがめちゃくちゃ頑張って演奏してる?
218:名無しの青学生
まさに電子の歌姫!
いや、ボーカロイドか
219:名無しの青学生
拙者、初期の異名が再登場するシーン大好き侍
義によって助太刀いたす
220:名無しの青学生
今回参加した七武生ってミクさんと保守の人形使い?
やっぱ1人で複数人の動きできるの便利だよな
221:名無しの青学生
かーっ、カールの命令が無ければなー
ホントはエデン条約に注目してたんだけどなー
あまりにも白々しいうえに取ってつけたような自白でバレてないか心配
222:名無しの青学生
カールくん「えっ、ワイなんか言ってたっけ」
223:名無しの青学生
カールくんがこんな時間に起きてられるわけないだろいい加減にしろ
224:名無しの青学生
カールなら俺の隣で寝てるよ
225:名無しの青学生
妄言……とは言い切れんのよね
研究成果を覚えようとするとすぐ寝落ちするから
もうすぐ次のゲマトリア暗黒会議があるから今度こそ頭に詰め込んでおかないと
226:名無しの青学生
よう頑張っとるとは思う
それはそれとして俺らの生命線の姿としてはあまりにも頼りない
227:名無しの青学生
一夜漬けだけじゃなく普段から意味不明な情報を暗記させられるカールくんに哀しき現在
228:名無しの青学生
いつ先生と対面することになるかわからんからちょっと体を絞らせるか
クロコの襲撃に備えて体力は付けたほうがいいし
229:七武生
ところで888
今何してる?
230:名無しの888
メソメソ泣きながらモモトークとか写真のバックアップとってスマホ初期化中
青学じゃなくてトリニティの外れに着陸したんだけど何かあったん?
231:名無しの青学生
うーん未練たらたら
232:名無しの青学生
これはミカにキモがられる
233:名無しの888
キモいのは俺ら全体の話だからな?
一応青学を代表して俺が謝罪しといたけど、どれだけ誠意が伝わったかわからん
でも確認しに行ってミカに罵倒されたら俺の心が折れてしまう
234:名無しの青学生
なるべくトリニティに近寄らないようにしとけよ
知り合いに舌打ちされるとメンタルダメージデカいからな
235:七武生
そうもいかない
この後888には追試で合格点をとってもらう
というかそうしないと連帯責任で補習授業部全体が退学だ
236:名無しの青学生
そういや追試の話だったね
でもスパイバレしてるし退学扱いなんじゃないの?
237:名無しのティーパーティースパイ
実はただ裏切り者というだけじゃ退学にはならんのよ
最速で退学するには最低でも888が自分で退学届提出してトリニティ内で色々承認する必要がある
追試までに退学させるのは間に合わない
聖典でも退学処理の簡易化のためにシャーレを補習授業部に噛ませた経緯がある
238:名無しの青学生
あー、前世での国外追放処分相当だから手続きが重いのか
でもシャーレに一枚噛んで貰ってるなら先生の強権で何とかならんか
239:名無しの青学生
先生「888、お前を補習授業部から追放する!」
240:名無しの青学生
先生はそんなこと言わない
241:名無しの青学生
解釈違いです
242:名無しの青学生
伝家の宝刀は抜かないことに意味があるからな
243:名無しの888
つまりコッソリ試験会場に乗り込んで追試受けてササッと青学に帰るのか
またヘリ使う?
244:七武生
あのヘリ一応切り札のひとつだからな
短期間に何度も使うのも追試終わるまで待機させるのもよろしくない
というわけで足を手配した
245:運び屋CO
今回はワゴン車の『スピードワゴン号』で送迎するぞ
ついでに荒事もありそうだからたまたま遊びに来てた日雇いバイトも連れて行く
246:団長
今回はメットなし
一般青学生バイトの瀬戸内と申します
間違っても団長と呼ばないように
247:名無しの青学生
はい団長
248:名無しの青学生
単独でキヴォトスをうろつけるCOに団、瀬戸内を加えるのは過剰戦力じゃないか?
249:七武生
トリニティ内での青学スパイへの反発があるからな
下手すると「混ざれば種にあらず」と試験会場に殴り込まれる心配がある
888にならダース単位で鉛玉ブチ込まれても笑い事で済むが、テストの解答用紙に撃ち込まれると無回答扱いで最終追試を落としかねん
250:名無しの青学生
あー、「キモいんだよ青学生」とパテル派とかが爆発するか
251:名無しの青学生
単純に政治的嫌がらせでヒフミやコハルを退学させるという線もある
252:名無しの青学生
何が酷いって解答用紙が損壊された例が前回の追試にあるんだよな
温泉開発部の爆破に巻き込まれて解答用紙焼失(0点)
253:名無しの888
どの面フレンズとして追試受けなきゃならんか
補習授業部のみんななら会うなりリンチされる事にはならんとは思う
254:七武生
あくまでも最悪の仮定の話だからな
ティーパーティーに殴り返される事を考えればそんな鉄砲玉みたいな真似はそうそうやらんだろ
255:名無しの青学生
探知能力持ちの雇い主と嫌がらせ戦術に慣れたバイト
大抵はなんとかなるか
256:名無しのティーパーティースパイ
懸念と話はナギサに通しておく
タイミングを逃して今回は自爆に恵まれなかったが次こそは
257:名無しの青学生
先に派手にスパイバレした奴がいたからな
フォローのためにももう少し残ってもろて
258:名無しのオータム
ちなみにうちのメルリー先生は同時期に青学に帰った関係性での捏造カップリングとか大好物だからね
259:名無しの青学生
恐ろしいことを言いやがる
260:名無しの青学生
良かったなティーパーティースパイ
888と絡む事にならなくて
261:名無しのティーパーティースパイ
オエェ
262:名無しの青学生
よし嫌な話からは目を逸らそう
263:名無しの青学生
COと団長が乱入者を排除するってことはあれのチャンスか
「この先は清廉で潔白な者以外は立ち入り禁止だ。俺たちは入れない」
264:名無しの青学生
良いよねスプリンガルド
265:名無しの青学生
でもその先って888とか53とかいるんでしょ?
清廉も潔白も無いんだよ
266:名無しの青学生
つまりこうか
「この先は清廉で潔白な者と関係者以外は立ち入り禁止だ。俺たちは入れない」
267:名無しの青学生
まぁ送迎者は割と部外者
268:名無しの青学生
逆に関係者じゃないのに入り込んでる清廉で潔白な者はなんなんだよ
スピードワゴン号を盾にしながら正義実現委員会と睨み合う。というか話は通ってるので牽制するフリをしてもらっている。
そんな中フラリとこちらに近付いてきたトリニティ生がひとり。なんじゃろな。
「ねぇ、そこを通してもらえるかな」
いやぁ、しばらくはこの先を通すなって言われてまして。すみませんねぇ。
ん? どうした
「マズいぞシオ、こいつは
クソっ! なんでこんなところに!」
こんにちは。キュメです。
今朝からシオちゃんが急な仕事で出て行っちゃったけど、帰ってきたら遊びに行こうって約束してくれました。
さっきシオちゃんのカップにヒビが入ってたから一緒に買い物に行こうかな。
次回の更新の予定は
・交渉決裂! がんばれ逆鱗タップダンサーズ
・打ち破れ! 悪夢の青学コンビネーション
・新たな刺客! 『イシス
の3本立てとなっています。
では次回『トリニティの裏切り者 ロスタイム編』
じゃんけん ポン。えへへー。
活動報告にセトとイシスについてのコラムを書きました。
素人の雑語りですがナゴミがイシスな理由はわかると思います。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=340033&uid=285258