今回は掲示板形式ではないです。全編掲示板でやれる人ホント凄い……。
pixivで青学の人が運び屋COこと瑞穂シオを描いてくれました。トリニティに行くとエ駄死認定されそうなくらいセクシーです。
リンク貼っていいのかわからないのでpixivで「瑞穂シオ」を検索してみてください。
夢を見ている。
「もう大丈夫だからね……。もう少しで青学の病院だよ…………。
あそこのお医者さんは凄くてね……絶対大丈夫だから頑張るんだよ……」
とても暑くてとても寒くて乾いた苦しい場所から連れ出してくれたあたたかいヒト。
ゼイゼイと荒い息の音がする。ドクドクと私の中の大事な何かが流れ落ちる音がする。
それを補うように、あたたかいヒトからあたたかい何かが流れ込んでくる。
目も開けられない。声も出せない。これは過去を無くした私にとっての最初の記憶。
「元気になってよかったねぇ。もう家族に連絡は取った?
……わからないって……えっ、自分の名前も?
ちょっ、ちょっと待ってね。そういうのに詳しい人連れてくる!」
「キュメちゃん、とりあえず住所が決まるまでウチに泊まる?
ベッドは自由に使っていいよ。遠慮しなくていいって。
……ベッドを譲る代わりにこの寝袋だけは絶対譲らないからね」
「そんなに落ち込まなくて良いってキュメちゃん。
やり始めでミスしない人なんていないって。
一人前って認定するまではこんなの教えてる側の責任だってば」
「ハイ、チーズ。うん、うまく撮れたね。
キュメちゃん入社1か月記念だね。でもキュメちゃん拾ってからは3日くらいズレてるんだよね。
来年の1周年記念は会った日と入社日の両方残そうか」
「キュメちゃん遅刻だね。……子どものネコ探しを手伝って遅れた?
はぁ、キュメちゃん。なんでそんなうなだれてるのさ。
誰かを助けたんなら胸を張って人助けしましたって言いなよ。助けちゃってごめんなさいなんて態度は助けられた人に失礼でしょ。
そうそう胸を張って〜そうそう、うおっそれはさすがに張り過ぎ……。
でも今度からはモモトーク辺りで先に連絡してね。心配するから。
あと5分遅かったら事務所閉めて探しに行くところだったんだよ?」
「今年の社員旅行は青学自治区内の海になりました。拍手〜。
パトラッシュ号にラッシュマリンモードが追加されて、私はそのテストしてるから好きに遊んで来ていいよ。
下見に行って軽く探ったら海中に神秘の反応があったからね。テストがてら宝探ししてくるよ。
……キュメちゃんも一緒に乗りたい? うーん、密着すればなんとかいけるかな」
夢は自身の記憶を整理するものらしい。それなら生きてきた大半の記憶を失った私にとって、夢はシオちゃんとの思い出を巡る旅だ。
もうすぐ夢が終わる。夢の内容は夢から覚めればすぐに忘れてしまう事だけど、この夢が楽しかったという印象だけでも残ってほしいな。
ジリリリと鳴るレトロな目覚ましを止め、ぐっと体を起こす。
私も朝に強い方ではないけど、私の比にならないくらい朝に弱い友だちを起こすためにもガンバらなくては。
制服に着替え、カバンを持って家を出る。いけない。護身用のクラッカーを忘れるところだった。
一度も鳴らしたことがないので中の火薬がシケってないか心配だけど、これも一応シオちゃんからのプレゼントだ。
家を出て隣のインターフォンを鳴らす。いつも通り反応がない。合鍵でシオちゃんの部屋に入る。
「おはようシオちゃーん。朝だよー」
目覚ましの鳴るなか、枕に顔を埋めるシオちゃんに声を掛ける。起きてはいるんだけどギリギリまで布団から出たがらないのがシオちゃんの悪癖なんだよ。
しょうがないので背中から抱きしめて一気に立ち上がる。胴体の伸びた猫のような体勢になりさすがにシオちゃんも諦めた。
「おはようキュメちゃん。いつもすまないねぇ」
「イヤだねぇシオちゃん。それは言わない約束だよ」
くだらないやりとりをしてからシオちゃんが制服に着替えてる間に朝ごはんの準備をする。
寝間着のおしゃべりインコマンTシャツから制服に着替えただけで一気にデキる女感が出るからシオちゃんはずるいと思います。
2人で並んで登校してクラスの前で別れる。キヴォトスでは授業はBDと教科書による自習。ただでさえそんなに良くない頭を酷使してオーバーヒート中。数式ってなんだろう。神秘ってなんだろう。
お昼休みに学食でシオちゃんと一緒にご飯を食べる。
今日のシオちゃんは午後から事務所に行って配達を始める予定だ。学習の進捗具合によって授業を省略できるらしいです。なので朝から配達する時は次の日をまるっと授業を受けたりフレキシブルに動けるってシオちゃんは言ってる。
気を取り直して午後の授業もがんばる。主に寝ないように。
学校が終わって運び屋COの事務所について4時頃からお仕事開始のお時間です。
伝票の整理、各種手続きの事務仕事と運び屋COに荷物を持ち込んできたお客さんへの応対。シオちゃんが帰ってくるまでは1人で回さないといけないから大忙し。とはいえ青学の人はみんないい人だし私がすぐ動けない時でも笑顔で待ってくれる。うう、不甲斐ない。
「がんばってるねキュメちゃん。はい、これ差し入れだよ」
金髪の青学生がお菓子の詰め合わせをくれる。周りから『団長』と呼ばれてるこの子はいつも美味しい物をくれるからたぶん良い人だと思う。
「は~い。従業員のナンパはお断りしてまーす」
団長さんの背後からライダースーツを着たシオちゃんがニュルリと団長に絡む。おかえりなさい所長。
「コブラツイストはヒドイだろ。こら、身長差考えろ!」
青学生同士特有の距離感でシオ所長が団長さんとじゃれ合う。良いなぁ。たまにこんな雑な距離感が羨ましくなるよ。
お互いに変な組み合い方をしてややこしい体勢になったのでブレイク。いつもの光景といえばいつもの光景かな。
「今日はちゃんと仕事の依頼で来たんだってば。
新しい戦車を受け取って私たちの拠点に持ってきてほしい。
ちょうどウチのシマを荒らすカタカタだかスカスカとか言うヘルメット団にカチコミに行くのと被ってね」
「了解。明日?
パトラッシュ号に自動運転でついてこさせれば帰りも楽かな。
あ、アビドス砂漠越えるからあれ使うか」
わかった。リュックサック型水筒だよね。あれも長く使ってるやつだから壊れてるところないかチェックしとくよ。氷入れるなら今のうちに冷凍庫に用意しとく?
「うん、お願い。……なんだよ団長。変な顔をして。
防弾繊維、断熱構造、圧倒的大容量で意外と役に立つんだぞ。砂漠でだけは」
「ああ、いや。たぶん知らないんだろうなぁと思っただけだよ」
「砂漠で暑くなったら頭から冷水かけると気持ちいいぞぉ。
いつでもよく冷えた水で乾杯できるしね」
「うーん、真の邪悪ってのは無自覚なんだよなぁ」
「キュメちゃん。はい、プレゼント」
終業時間になって事務所を閉める時にシオちゃんから突然渡される。
これは、大きなリボンとメガネ?
「最近キュメちゃんが青学生の話題になったからね。
キュメちゃんが可愛いのは確かだけど悪目立ちは良くないからちょっとしたイメチェン道具だよ。どうかな?」
「じゃあシオちゃんに結んでほしいな」
慣れない手つきで下ろしていた髪をシオちゃんがリボンで纏めて伊達メガネをかける。鏡で確認するとたしかに印象が変わるね。
「メガネはブルーライト軽減でパソコンの仕事がしやすくなる加工で、リボンは芯のアルミで知らない相手からの神秘干渉を阻害する効果だってさ」
前半と後半で効果の信頼度が違いすぎないかな?
シオちゃんから貰った物なんだから着けるに決まってるけどさ。
2人で一緒に夕飯を食べてゲームで盛り上がってアニメで泣いていい時間になったらシオちゃんが帰る。
今日はいつも通りの1日。
大切な人と大切な場所ですごす大切な1日。
青学ですごすそんな穏やかな1日が私は好きです。