【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間   作:むにゃ枕

1 / 24
UC0079
01 もう終わりだよ猫の国


 ジオン公国軍の敗色が濃厚となってきた、UC0079、12月某日。1隻のムサイ級軽巡洋艦がソロモン宙域付近の宙路を航行していた。

 ソロモン宙域から地球への航路はジオン軍にとっては危険な場所だった。連邦軍のパトロール艦隊がうろうろしている場所にムサイ級が単艦で突っ込む。自殺行為とも捉えられる行動だ。

 

 「リリアン、やれるな?」

 「やりますねぇ! やりますやります」

 

 白い肌に短く切り揃えられたブラウンの髪。表情は固く、言葉に抑揚はない。リリアンと呼ばれた少女は強化人間だった。

 強化人間としての欠点である精神不安は彼女にはほとんど無い。その代わり感情や表情の変化に乏しく言語面で異常が見られた。そんな彼女の実宇宙での実践試験がこれから行われるのだ。

 

 「レクト機、先に出るぞ」

 

 研究員のレクトがエスコートを兼ねて、ムサイから発艦する。極秘で行われる実践試験だ。つまらない事故でリリアンを失いたくはなかった。

 

「ア~イキソ、イクイク」

「リリアン、どうだ??」

「バッチェ冷えてますよ!」

「そうか。私に随伴しろ」

 

 レクトは優秀な男だった。研究員としては当然。新鋭機であるゲルググの操縦を難なく熟せる程のMS搭乗員としての腕も有った。

 二つで一つの生き物のように、二機のゲルググは機動していく。スラスターの炎が漆黒の宇宙に流線を描く。

 

「ここまで想定通り。問題はないな。リリアン、自由飛行をしろ。余り無茶な機動はするなよ」

「誰に向かって口聞いとんじゃお前?」

 

 ひらりと、リリアン機が舞う。それは、レクトをして追随するのがやっとの動きだった。しばらくして冷や汗を垂らしたレクトが口を開いた。

 

「もういい。テストは終了だ。帰投する」

「はぁ、つっかえ 辞めたらこの仕事?」

「お前の動きに、私が付いていけない。流石は強化人間だけある。素晴らしい性能だ」

「そう……(無関心)」

 

 ムサイへの帰投中、アラートが発令された。

 

「サラミス級二隻が、高速接近中! 距離3000。恐らく捕捉されています」

「チッ。だが、良い実戦の機会だ。リリアンやるぞ。落とされるなよ」

「キヴォトスでは淫夢は流行ってるってハッキリわかるんですね」

「何を言っている??」

「枕がデカすぎます!」

「まあ良い。やるぞ」

 

 神速といって良い速度だった。リリアンのゲルググは通常の速度ではない。

 

「バカが。リリアン、先行しすぎだ」

 

 レクトが通信を入れるが、リリアン機は聞く耳を持たず猪突する。

 

 ゲルググのビームライフルが瞬く。レーダー上のジム二機がLOSTへと変わる。

 隊長機と思わしきジムは、ビーム・スプレーガンをばら撒き、重度な被弾を避けながらゲルググへと近付く。

  

「動くと当たらないだろ!」

「よくも! 部下を!」

「えぇ……(困惑)」

「なっっ!? 子供なのか!?」

 

 一瞬の交差の後にはコクピットを的確に潰されたジムだけしか残らなかった。

 

 護衛を失ったサラミスは、必死に弾幕を張っていた。それも虚しく一隻が艦橋をビームに貫かれる。炎が真空に呑まれたのか、辛うじて爆沈してはいない。

 

 沈黙したサラミスを盾にする角度で、リリアンはもう一隻に突っ込んだ。残存艦は僚艦の残骸など、お構いなしに猛烈な対空砲火を展開する。

 その甲斐有ってか、リリアンのビームライフルに直撃弾を与えることができた。

 

「どうしよう! ゲームのカードを落としちゃった」

 

 瞬時にライフルを捨て、ビームナギナタを構える。モノアイが映すのは死の恐怖に怯えた艦橋クルーの表情だ。

 

「デトろ! 開けロイト市警だ!」

 

 ビームナギナタが、サラミスの艦橋を切り裂いた。爆沈するサラミスから離脱するゲルググ。

 

「ティーダのチンポ気持ち良過ぎだろ!」

「オープン回線で何を言っているんだ??」

「そうだよ(便乗)」

「もういい。お前にはその方面では期待していない。だが、戦果は挙げた。それも非常に優秀なものをな。素晴らしい。キシリア様に良い報告ができる」

「すっげぇ白くなってる。はっきり分かんだね」

「帰投する。そしてその口を開くな」

「ん、おかのした」

 

 

 キシリアへの報告を終えたレクトに言い渡されたのは、ソロモンへの派遣だった。実験の戦果を見せた。それは良い。しかし、レクトは戦果を見せすぎたのだ。

 

 リリアンがすぐにでも実戦で通用すると証明してしまった。

 

 レクトのラボに来たのは、陰険な佐官だった。

 

 「レクト技術大尉、ソロモンへの出向命令だ。リリアン准尉の戦果に期待するとの言葉を預かっている」

 

 苦虫を噛み潰したような顔をレクトは浮かべていた。レクトは軍人だが、研究がメインであり、戦闘部隊員ではない。

 

「リリアン、ソロモンへの出向だ。足は先だってのムサイ。私のチームは前線送りだよ」

「おっ、そうだな」

「上には、もう時間が無いようだな。負け戦だよこれは」

「とんにく」

「私は、強化人間に何を愚痴っているのだろうな。こんな白痴に」

「チンポにゃ!」

 

 レクト技術隊が赴いたソロモン。地獄の釜が開く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。