【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間   作:むにゃ枕

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14 やはり私が強化人間なのはまちがっている

 ノイエ・リリーはアーガマ級の二番艦である。

 海賊の排除による商圏の拡大。ティターンズの妨害が少なく、連邦軍の大規模受注を続けることが出来たこと。コロニー落としが起きなかったため、地球圏の経済が成長していること。

 これらの要素により、アナハイム・エレクトロニクスにはアーガマ級を早々に進水する余裕が有った。

 

 アナハイム・エレクトロニクスには、ティターンズを経済的に追い詰め排除するオプションも有った。しかし、それは、悠長すぎる選択である。ティターンズのスペースノイドに対する攻撃は、経済を萎縮させることにも繋がり兼ねない。

 ティターンズのような不都合な組織が伸長するのは、アナハイムにとって不利だった。エゥーゴは便利な駒だ。駒はアナハイムに利益を齎すように使わなければならない。

 

 フォン・ブラウンのドックにて、リリアンはミレイ曹長に詰められていた。

 

「リリアンちゃん、慣熟訓練後のガーベラ・テトラ・カスタム・ツヴァイ、なんか全天周囲モニターがおかしくなってるんですけど……何したんですか? センサー弄りました? アナハイムのエンジニアさんが、せっかくガンダムっぽくツインアイにしてくれたのに」

 

 リリアンが口を開こうとするが、ミレイはそうさせなかった。

「あ、喋んなくて良いです。データ見るんで」

 

 ミレイが、フライト・データ・レコーダーの異常挙動を割り出す。機体も本人も基本的に異常な挙動しかしていないが、ミレイはそれに慣れてきていた。

 

「やっぱ、全天周囲モニターがおかしくなってますね。ちょっとデータの遅延と抜けが出てるんですけど。これ、左右のセンサーのすごい微小な差異を合わせようと、マニュアルでセンサーに介入してくれましたね。だから、INSがそれを不具合と探知して、直そうとして全天周囲モニターの挙動を変化させたんですね。はぁ~、これもう普通のジム系のバイザーにしましょう。多分、特注ツインアイにしたからですよ。これ」

「アッハイ」

「反省してください。じゃあ、もう行って良いですよ」

 

 ガーベラ・ツヴァイは完全にジム頭になってしまった。そのせいか、青い差し色が入ったジムⅡの装備増強カスタム機体のような見た目になっている。

 リリアンはガーベラ・ツヴァイよりガルバルディβの方がカッコいいと思っている。しかしガーベラ・ツヴァイは強化人間向けにカリカリにチューンアップされており、リリアン専用機なのだ。

 

 こんな劇ヤバ機体の代替パイロットなど存在しない。専用機が、ぱっと見ジムⅡっぽい機体。ツインアイを壊したリリアンの自業自得だった。

 

 

 

 アーガマ級強襲巡洋艦の二番艦。ノイエ・リリーはエゥーゴの戦力である。乗組員も正式な連邦軍籍を持っている。もっともティターンズや、厳格な連邦軍人はそれを正式な軍籍と認めないだろうが。何せ、似たような名前のジオン軍人が一年戦争時の戦争犯罪人にいるのだから。

 

「リリアンナ・ステッド准尉、くれぐれも勝手な行動はしないように。ティターンズの艦隊が鎮圧に動いているのは事実だが、我々から攻撃するのは危険極まる」

「虐殺はルールで禁止スよね?」

「虐殺だと? まさか、ジオンでは有るまいし。ティターンズがそれを行うとでも言うのか? 奴らは曲がりなりにも連邦軍の一部隊だ。守るべき市民を殺すなど有り得ん」

 

 ブレックス准将は、視察としてノイエ・リリーに乗り合わせていた。そこで、リリアンナ准尉が格納庫にある機体に乗り込もうとしたところを止めたのである。

 ノイエ・リリーは反連邦デモを行っているサイド1、30バンチの鎮圧に向かうティターンズ艦隊を追跡し、ハラスメントを行っていた。単艦で行うには勇気ある行動だが、ノイエ・リリーには火の粉を払える能力が有った。

 

「ブレックス准将、静観するだけでは事態は変わりません。我々に課せられた任務の裁量は広い。幸い、リリアンナ准尉は特別です。彼女の機体は一瞬ではジムⅡと判別できません。やらせてみても良いでしょう」

「レクトル大尉、貴官がそういうなら……うむ。出撃を許可する」

 

 戦端を開かないよう、隠密裏に放たれたガーベラ・ツヴァイ。サブフライトシステムにより、加速していく機体をティターンズは捕捉していなかった。

 

 ティターンズ艦隊が、サイド1近郊の宙域に接近する。サイド1守備隊もティターンズに対して黙ってはいない。交渉が行われるも、それは破局が見え透いたやり取りだった。

 守備隊のジムが撃墜されたことをきっかけに、戦端が開かれた。守備隊は、ティターンズにより駆逐される……かと思われた。

 

「そこの色違いのジム、どこの所属だ?」

「間に合ったな」

 

 青いジムが、誰何してきたティターンズ機をビームライフルで墜とした。

 

「新手だ。青だがジム改かジムⅡだ。囲んで落ッ、ぐォ゙ッ゙」

 

 隊長機の遺言はそれになった。速すぎる機動にMS隊が翻弄される。更には、エゥーゴの艦による攻撃が始まったことで、ティターンズ艦隊の動きに乱れが生じた。

 

 

「MS隊、何をしている! あの青ジムに構うな! 守備隊を狙え!」

 

 時間はティターンズにとって必ずしも味方ではない。サイド1駐留艦隊の救援要請に応じる連邦軍艦隊が、そのうち現れるとも限らない。また、エゥーゴの艦が一隻いる以上、増援が現れる可能性もある。

 

「ガス注入艇を出せ」

「は? バスク大佐、危険すぎます。エゥーゴも守備隊も残っているのですよ。鎮圧してから行うべきです!」

「たわけ! エゥーゴの増援が来たらジリ貧だぞ! 御託はいい! やれ!」

 

 結果として、バスクの読みは正しかった。しかし、結果は出なかった。ガス注入艇は青いジムがスペースデブリへと変えてしまった。サイド1守備隊の救援要請に応じた連邦軍艦隊が介入し、停戦が為されたため、エゥーゴの艦は悠々と引き上げていった。

 

 そして、反連邦色が強いメディアを中心にティターンズの毒ガス攻撃疑惑が持ち上がるのであった。

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