【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間   作:むにゃ枕

19 / 24
19 動いてないのに暑いよ〜

 エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの艦隊が睨み合うサイド2。戦端は開かれていないが、緊張は持続していた。そんな中、アクシズ指導者ハマーン・カーンがエゥーゴにコンタクトを取る。

 会談のセッティングは驚くほど速やかに終わった、エゥーゴ有利な条件をハマーンが吞んだからだった。

 

 アクシズとエゥーゴの会談は、エゥーゴの艦艇であるアーガマで行われることとなった。エゥーゴのネモやリック・ディアス。更にはカミーユのZZガンダムが見守る中、アクシズのMS隊が接近する。

 アクシズのMS隊は白で統一されていた。先頭の大型MSがハマーンの乗機なのだろう。大型MSの量産機であろう機体12機が、脇を固めていた。

 

 アクシズ側の希望で、アーガマまでのエスコート役はクワトロ・バジーナ大尉が行う。金色のMSに続き白の大型MSが追従する。

 

「シャア。久しぶりだな」

「その声、ハマーンか……」

「お前が帰ってこないから迎えに来た。シャア、私のシャア。何がしたい? 連邦政府の崩壊か? サイド3の独立か? 私のアクシズが全てをしてやろう。お前が、私の夫になれば地球圏は意のままだぞ」

 

 百式との接触回線で、ハマーンの猫なで声がクワトロに伝わってくる。

 

「ナタリーは生きているのか?」

「意識は戻らない」

「……そうか。シャア、このMSが気にならないか? お前が残したデータを元に設計した機体だ。キュベレイ・ヴァイス・ブラウト。それがこの機体の名だ」

 

 キュベレイ・ヴァイス・ブラウトは特徴的なMSである。サイコミュユニットは、ドム系のデザインを踏襲したかのように、腰部に有る。また、背部サイコミュユニットは、頭部と一体化し曲線を描いている。長いベールの付いたウェディングドレスを着た花嫁のようだった。

 クワトロの残したスケッチであるゲー・ドライの面影もあり、MAとも思える程の巨大さを誇る。

 

「趣味が悪い機体だ」

「つれないことを言うな。シャア。お前の花嫁としてふさわしい機体だろう?」

「…………アーガマのハッチに着艦する」

 

 はっきり言ってクワトロはハマーンの声すら聞きたくなかった。だが、会談の席を外すわけにはいかない。

 ハマーンはクワトロの腕に自身の腕を絡ませ、アーガマの会談会場へと向かった。自信の表れか、護衛はいない。クワトロは、腕を外そうとするがハマーンの執拗さと、組織を背負っている重圧に負け、好きなようにさせていた。

 

 ブレックスらエゥーゴの重鎮はハマーンの到着を待っていた。そして、入ってきたのは、クワトロの腕を抱いている色ボケ女だった。アムロの軽蔑の視線がクワトロに刺さる。

 ハマーンは、クワトロから手を離す。しかし、自由にはさせず、そのまま壁際に追いつめる。

 

「シャア。私の隣に座れ。お前はアクシズの人間だろう?」

「断る。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナだ」

「いいや。違う。お前はシャア・アズナブルだ。そしてキャスバル・レム・ダイクンでもある。ジオン・ズム・ダイクンの息子、ジオンの象徴だ。連邦軍でのお仲間ごっこは楽しかったか?」

「ハマーン! 黙れ!」

「黙らんさ。お前の中に眠るジオンの血が、必ずお前を私の元に連れてくる。シャア。お前はジオンだ。私の元に来い!」

 

 ブレックスらは、この痴話喧嘩を前に何をすることも出来なかった。アムロを除いては。

 

「黙れと言っているんだ! ハマーン!!」

「お前がここに居るのは、スペースノイドのためなのか? 単なる自己満足だろう。お前はこんな場所にいるべきではない。さあ、私と来るんだ」

「ハマーンと言ったか、あんた失礼すぎるんじゃないか? シャアがここに居るのは、自身の選択の結果だ。外野がどうこう言うべきことじゃない」

「お前っ! 私とシャアは結ばれるべき人間だ! 他人は引っ込んでいろ!」

 

 ハマーンの思念がアムロを襲った。だが、アムロ・レイにとってはそれはそよ風のようなものだった。一年戦争時にソロモンで感じた、壊れた強化人間の思念。その強烈な体験がアムロを変えていた。

 

 幼稚さと孤独、そして渇望の混ざったハマーンの思念。それを、アムロは受け流した。アムロのシャアに対する好感度は、またしても下がった。

 

「ハマーン。それは恋じゃない。妄執だ。君は、自ら進んで孤独へと陥った。信頼できる部下も友人もいないのは、自分の行いのせいだ。他人に押し付けるのをやめろ。愛されることだけを求めるのはよせ。君は破滅するぞ」

 

 ハマーンの瞳が憎悪に染まる。

 

「シャア、しっかりしろ。お前はエゥーゴのクワトロ・バジーナなんだろ。ナタリーさんもお前の帰りを待っている」

「そうだな。すまない。助かったよ、アムロ」

「よせ。らしくない」

 

「シャアァッッ!! お前は私よりソイツを選ぶのか!? クソッッ!! 来い! キュベレイ!!」

 

 キュベレイ・ブラウトが量産型キュベレイを連れ、アーガマをあとにする。アクシズとエゥーゴの交渉は完膚無きまでに決裂した。

 

 同時刻。パプテマス・シロッコによって、ティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマンとティターンズ司令官オットー・ペデルセンが殺害された。シロッコは指揮系統を掌握し、ティターンズを指揮下に収めることに成功する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。