【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間 作:むにゃ枕
エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの艦隊が睨み合うサイド2。戦端は開かれていないが、緊張は持続していた。そんな中、アクシズ指導者ハマーン・カーンがエゥーゴにコンタクトを取る。
会談のセッティングは驚くほど速やかに終わった、エゥーゴ有利な条件をハマーンが吞んだからだった。
アクシズとエゥーゴの会談は、エゥーゴの艦艇であるアーガマで行われることとなった。エゥーゴのネモやリック・ディアス。更にはカミーユのZZガンダムが見守る中、アクシズのMS隊が接近する。
アクシズのMS隊は白で統一されていた。先頭の大型MSがハマーンの乗機なのだろう。大型MSの量産機であろう機体12機が、脇を固めていた。
アクシズ側の希望で、アーガマまでのエスコート役はクワトロ・バジーナ大尉が行う。金色のMSに続き白の大型MSが追従する。
「シャア。久しぶりだな」
「その声、ハマーンか……」
「お前が帰ってこないから迎えに来た。シャア、私のシャア。何がしたい? 連邦政府の崩壊か? サイド3の独立か? 私のアクシズが全てをしてやろう。お前が、私の夫になれば地球圏は意のままだぞ」
百式との接触回線で、ハマーンの猫なで声がクワトロに伝わってくる。
「ナタリーは生きているのか?」
「意識は戻らない」
「……そうか。シャア、このMSが気にならないか? お前が残したデータを元に設計した機体だ。キュベレイ・ヴァイス・ブラウト。それがこの機体の名だ」
キュベレイ・ヴァイス・ブラウトは特徴的なMSである。サイコミュユニットは、ドム系のデザインを踏襲したかのように、腰部に有る。また、背部サイコミュユニットは、頭部と一体化し曲線を描いている。長いベールの付いたウェディングドレスを着た花嫁のようだった。
クワトロの残したスケッチであるゲー・ドライの面影もあり、MAとも思える程の巨大さを誇る。
「趣味が悪い機体だ」
「つれないことを言うな。シャア。お前の花嫁としてふさわしい機体だろう?」
「…………アーガマのハッチに着艦する」
はっきり言ってクワトロはハマーンの声すら聞きたくなかった。だが、会談の席を外すわけにはいかない。
ハマーンはクワトロの腕に自身の腕を絡ませ、アーガマの会談会場へと向かった。自信の表れか、護衛はいない。クワトロは、腕を外そうとするがハマーンの執拗さと、組織を背負っている重圧に負け、好きなようにさせていた。
ブレックスらエゥーゴの重鎮はハマーンの到着を待っていた。そして、入ってきたのは、クワトロの腕を抱いている色ボケ女だった。アムロの軽蔑の視線がクワトロに刺さる。
ハマーンは、クワトロから手を離す。しかし、自由にはさせず、そのまま壁際に追いつめる。
「シャア。私の隣に座れ。お前はアクシズの人間だろう?」
「断る。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナだ」
「いいや。違う。お前はシャア・アズナブルだ。そしてキャスバル・レム・ダイクンでもある。ジオン・ズム・ダイクンの息子、ジオンの象徴だ。連邦軍でのお仲間ごっこは楽しかったか?」
「ハマーン! 黙れ!」
「黙らんさ。お前の中に眠るジオンの血が、必ずお前を私の元に連れてくる。シャア。お前はジオンだ。私の元に来い!」
ブレックスらは、この痴話喧嘩を前に何をすることも出来なかった。アムロを除いては。
「黙れと言っているんだ! ハマーン!!」
「お前がここに居るのは、スペースノイドのためなのか? 単なる自己満足だろう。お前はこんな場所にいるべきではない。さあ、私と来るんだ」
「ハマーンと言ったか、あんた失礼すぎるんじゃないか? シャアがここに居るのは、自身の選択の結果だ。外野がどうこう言うべきことじゃない」
「お前っ! 私とシャアは結ばれるべき人間だ! 他人は引っ込んでいろ!」
ハマーンの思念がアムロを襲った。だが、アムロ・レイにとってはそれはそよ風のようなものだった。一年戦争時にソロモンで感じた、壊れた強化人間の思念。その強烈な体験がアムロを変えていた。
幼稚さと孤独、そして渇望の混ざったハマーンの思念。それを、アムロは受け流した。アムロのシャアに対する好感度は、またしても下がった。
「ハマーン。それは恋じゃない。妄執だ。君は、自ら進んで孤独へと陥った。信頼できる部下も友人もいないのは、自分の行いのせいだ。他人に押し付けるのをやめろ。愛されることだけを求めるのはよせ。君は破滅するぞ」
ハマーンの瞳が憎悪に染まる。
「シャア、しっかりしろ。お前はエゥーゴのクワトロ・バジーナなんだろ。ナタリーさんもお前の帰りを待っている」
「そうだな。すまない。助かったよ、アムロ」
「よせ。らしくない」
「シャアァッッ!! お前は私よりソイツを選ぶのか!? クソッッ!! 来い! キュベレイ!!」
キュベレイ・ブラウトが量産型キュベレイを連れ、アーガマをあとにする。アクシズとエゥーゴの交渉は完膚無きまでに決裂した。
同時刻。パプテマス・シロッコによって、ティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマンとティターンズ司令官オットー・ペデルセンが殺害された。シロッコは指揮系統を掌握し、ティターンズを指揮下に収めることに成功する。