【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間 作:むにゃ枕
ソロモンを光が焼いていく。レクト技術大尉は、呆然とその光景を眺めることしかできなかった。勝手に戦区から逃げ出したリリアン機を追った。それがレクトの命運を分けたのだった。
「ソーラ・レイか……連邦も完成させていたのか」
「ぬあ〜ん、疲れたも〜」
「リリアン、助かった。礼を言う」
「ボルガ博士、お許しください」
「お前が気に病む必要はない。戦争は数だ。個人の力が無力なこともある」
「クーン」
「残存部隊と合流する」
レクトの部下は恐らく残っていない。区画もろとも焼かれたのだ。キシリアの突撃機動軍に属するレクト隊だ。所属の違う部隊からはよく思われていなかった。生き残ったとしても優先的に救助されるかは不明だ。
「悪ぃ。やっぱ辛ぇわ」
「そうだな。弾薬補給が必要だ。一時帰投する」
「言えたじゃねぇか」
弾薬を受け取り、再び戦場へと戻ろうとするレクト。リリアン機は、撤退のハンドサインを示した。
「何故だ? まだ戦線は落ちていないぞ」
「ヤメロー!! シニタクナイー」
「あー、強化人間のカンか? わかった。味方の支援に徹する」
二機のゲルググは、片脚の吹き飛んだザクや死に体のリック・ドムなどを敵の手から華麗に救う。
「やれやれ。らしくないな。味方の救助など」
「ヌッ! フッフッフッ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
「なんだ?」
一機の敵機体によって、味方がどんどん消える。漆黒の宇宙に白い機体色が目立った。
「ジムか? いや、敵の特殊機体だな」
敵機体との距離が、どんどんと縮まっていく。猶予はもはや無いと踏んだのだろう。リリアン機は人外の機動で突撃した。
レクトのゲルググは追随し、援護を図ったが一瞬で被弾し継戦能力を失った。
「ぐっ、リリアン。すまない」
レクト機にトドメを刺そうとする敵機体。その射線上に、リリアンは割り込んだ。
「トゥー! へァー!」
「なんだ? このパイロットは?」
ビームコーティングを施したシールドが、ドロドロに溶けていく。リリアン機はそれを捨てビーム・ナギナタを構える。
中距離に差し掛かったところで、ビームライフルごと右腕がなくなった。
「ふぇぇ」
リリアン機は、ビーム・ナギナタを引っ提げて突撃した。明後日の方向へ。
「逃げるんだよぉぉお!!」
「なんだったんだ? アレは?」
射程外へと逃げていくゲルググを見て、アムロはそんな感想を漏らした。
漏らしたといえばリリアンも漏らしていた。死の恐怖に尿を。正直、リリアンは調子に乗っていた。
しかし、現実は非常である。リリアンはクソ雑魚だった。だから逃げ出した。
「ママ〜(Queen)」
撤退。リリアンの脳内にはその文字しか無かった。逃げるが勝ち。そう。逃走とも言う。
「どけ、俺はお兄ちゃんだぞ!」
「こちらソロモンコントロール。G02機、当該宙域で待機と言ったはずだぞ」
「開けろ! デトロイト市警だ!」
「s152bに待機しろ。管制に従え」
「もう助からないゾ♡」
「メーデーだと!? メーデーを出すな!! G02機ふざけているのか?? 他機を優先して収容している。管制に従え」
「
管制を無視して、リリアンはムサイ級の格納庫に入り込んだ。待機していた他機は無視した。MS操縦の腕を活かした畜生ぶりを発揮したのだ。
ムサイ級の整備兵や管制員は当然激怒した。手順をガン無視した機体の搭乗員に掛ける慈悲は存在しない。仲間を大事にできない奴はシーマンシップの敵である。
「馬鹿野郎!! どんな奴が乗ってるんだ!! ハッチを開けろ!」
「ぬわーん。疲れたもぉぉぉ」
開かれたハッチの中の人影は小さかった。中年の整備員は一瞬彼女を小柄な女性兵士かと思ったが、すぐにその小ささに愕然とすることになった。
少女が着ていた見慣れないノーマルスーツからは、コード類が機体システムに接続されている。更には新型であろう機体には特殊装備が盛り込まれていた。技術者の端くれである彼らは、自分たちが極めてセンシティブなものに触れているということを薄っすらと察した。
「なぁ、お嬢ちゃん怪我はないか?」
「
「頭を打ったとかじゃないよな??」
繋がれたコードをうっとおしそうに、外す少女。手足をぷらぷらと動かし、ゆっくりとハッチから出る。
「先輩、風呂入ってさっぱりしましょうよ?」
「あー、シャワーを浴びたいってことで良いんだよな?」
「おっ、そうだな」
「ミレイ伍長、この子をシャワー室へ連れて行ってくれ。ボディチェックも頼んだ」
整備員の下っ端であるミレイは困惑した。しかし異性が少女のボディチェックをするのはどうかという判断なのだろう。医療の心得は無いが、軍隊は男社会だ。彼女以外に同性で手が空いている人間はいなかった。
「ん、銀行を襲う」
「え? どういうこと?」
彼女は自身のノーマルスーツを指差している。通常のものとは違い、ゴテゴテとしており、着脱が面倒くさそうだった。
「脱がせてってこと?」
「そうだよ(便乗)」
「わかったわ」
ノーマルスーツの下は見た目よりも筋肉が付いている。そして汗とアンモニア臭がした。
「あの、自分でやらない?」
「
「わかったわよ」
リリアンは内心で鼻の下を伸ばしていた。表情は余り動いていない。疲れたし、美人にお世話されるの最高とか思っていた。
下着までミレイ伍長に脱がさせ、身体も洗わせた。なんという暴挙だろう。