【完結】インターネットミームしか喋れないTS強化人間   作:むにゃ枕

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05 ジオンっていつも内ゲバしてない???

 アクシズの技術力を結集した試作MAゼロ・ジ・アール。その巨体が、連邦艦隊へと迫っていた。孤立したハマーン・カーンを救うために、シャア・アズナブルが駆っているのだ。

 

 アクシズへの攻撃を目的とした地球連邦軍艦隊は、練度と機材でアクシズを上回り、その目的を遂げようとしていた。

 練度に劣るアクシズ兵は、次々とMSを落とされていく。辛うじて、戦線が支えられているのは、ベテランの努力があるからだった。リリアンとレクトのゲルググもその一翼を担う羽目になっていた。

 

「まったく、いつも味方の尻拭いをしているな」

「ケツ舐められたこと有んのかよ? 誰かによ?」

「リリアン、少しは慎みというものを持てないのか?? 私はお前が心配だ。自分の娘がこうなったらと考えると……いや、よそう」

「クゥーン…」

 

 ジム・コマンドは高性能なMSだ。アムロ・レイから得られたデータを反映した高性能なアシストシステムは、ジオンの猛者をして射撃戦を困難にさせる。だが、強化人間にはそんなお題目は通用しない。

 リリアンから伸びるコードは機体システムと接続され神経反射を強化する。バーニアを大型化したゲルググカスタムは、機動性、射撃能力、未来予測といった全ての面でジム・コマンドを凌駕した。

 

「補給に戻るぞ。敵の戦力にも限りは有る。このまま押しきれるだろう」

「ゾス!」

 

 防衛戦は、ハマーン・カーンとシャア・アズナブルの活躍により、アクシズの勝利に終わった。勿論、一般将兵の努力も有ってのことだ。戦術、あるいは戦略を一人で変えられるまでの兵器はまだ、この時代には存在しない。

 しかし、戦闘を一人で変えられる存在はいた。強化人間だ。リリアンはその性能を存分に発揮した。ジム・コマンド10機を単独撃破、共同戦果は6機にも及ぶ。控えめに言って化物だ。

 

 アクシズの内部勢力は複雑怪奇であり、各勢力がこの少女を己の陣営に入れようと必死になって……いなかった。

 シャア・アズナブルの睾丸打撲事件や、ハマーン・カーン、スカート略奪事件は、彼女の危険性を存分に各勢力に伝えていたのだ。

 

 

 とある情報隔離がされた部屋で、軍人らが話していた。

 

「エンツォ大佐。リリアン准尉とレクト大尉はどうするのです? 彼女らは多大な戦果を挙げました。我等の陣営に組み込めるのでは?」

 

 アクシズ内の過激派である戦争継続派の首魁、エンツォ・ベルニーニは、溜息と共に首を横に振った。

 

「あの強化人間は制御できん。戦果を挙げているからこそ見逃されているが、素行が悪すぎる。飼い主のレクト大尉は、強化人間に情を移しすぎている。そうでなければ処分しているだろう。

 先日も、マハラジャの娘を裸に剥こうとしたらしい。強化人間に理性を求めるべきではないのだろうな」

「しかし、あの能力は魅力的です」

「ならば、強化人間を用意すれば良い。幸い、研究能力を我々は保持している」

 

 エンツォの部下にざわめきが広がる。強化人間の前例がアレ(リリアン)なのだ。そうなるのも仕方がない。

 

「そろそろ時間だな。私はこれから会議だ。穏健派の無能とは顔を会わせたくないのだかね」

 

 会議室の扉が開き、エンツォが席に座る。アクシズのお歴々が苦い顔をしてそこに座っていた。その中にはレクトとリリアンの姿も有った。

 

「さて、エンツォ大佐も来たことだ。会議を始めるとしよう」

 

 司会役は穏健派のハインツ少佐だ。議長であるマハラジャは、エンツォを良く思っていない。アクシズの現戦力はかつてのジオン全軍と比べればお粗末なものなのだ。それを認識しているマハラジャは感情に流されることをしない。 

 

「司会役を務めるハインツだ。今回の議題は、アクシズ内で発生した性暴力事件とデラーズ・フリートへの対応だ。

 事件の概要は皆様御存知だろう。被告はリリアン・ブーステッド。彼女はシャア大佐への傷害事件も引き起こしている。年齢が13と幼いことや、強化されており責任能力が不明だったことから見逃されてきたが、二回目となれば看過することはできない。保護者のレクト・レイド大尉。貴官はどう考える?」

 

 針の筵の中、レクトは冷や汗を垂らしながら口を開く。

 

「リリアンは、ハマーン様に害意を持っておりません。彼女は強化人間であり善悪の区別が曖昧です。また、動機に関してもハマーン様と無意識に感応し、精神が不安定になっていたようです。

 リリアンは先だっての防衛戦で、多大な戦果を齎しました。どうか、このことを考慮して頂きたく」

 

 実際の所、リリアンは短いスカートでふわふわしていたハマーンを剥きたかっただけだった。未成年で同性だし、強化人間だしヘーキヘーキ。死刑になっても一回死んでるし、まぁ良いやと思っていた。無敵の人である。

 ただ、子どものイタズラだし、そんな大事になるとは思っていなかったので、少し焦ってはいた。

 

「リリアン・ブーステッド准尉は性的暴行、暴行の罪で不名誉除隊だ。レクト・レイド大尉、申し訳ないが貴官も監督不行届で不名誉除隊とする。両名からアクシズの軍籍を剥奪し宇宙追放刑(死刑)とする」

「ミ゜(絶命)」

「分かりました。しかし、リリアンは幼い少女です。彼女の命だけでも……」

「まぁ、話は最後まで聞け。我がアクシズは、連邦との条約が有り、デラーズ中将の決起には表立って加勢できない。しかし、強化人間が高速シャトルを奪いMSを持ち逃げしてしまう。そしてシャトルの行き先は茨の園の座標が入力されていたということがこれから起きるかもしれんな……」

 

 レクトはリリアンの頭を無理やり下げさせ、深々と最敬礼を行った。

 

「寛大な処置に感謝します」

「さぁ、私にはなんのことか分からんな」

 

 アクシズ内部の過激派への上手い対処だ。これで、過激派は穏健派への批判材料を一つ失ったのだから。

 一連の芝居を見ていたエンツォは内心で臍を噛んだ。

 

 アクシズ内部には不和が燻っている。

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