深い奈落の底で(旧化け物にアクションに時々ほのぼの) 作:咲鋼
俺は後ろに飛び乗り、蜘蛛の目のところに思いっきり包丁を突き刺した。痛みから蜘蛛は暴れ始めたので、振り落される前に降り、下にいるエーベルに声をかける。
「エーベル、だいじょう……うわっ」
蜘蛛は痛みがやっと引いたらしく、心なしか残った目に怨念が込められている気がした。
「こっちは大丈夫だ!お前はどうするんだ!?」
「俺はこいつを引き付ける!だからさっさとそこから移動しとけ!」
「あ、ああ!わかった!」
(よし、これでどうにかなったか……ッ!)
とっさに身の危険を感じ、無理やり後ろにとんだ。
ガチン
血で赤く染まった化け物の口が空を切った。軽く体は打ったが、足や腕をくじいたりはしていないからよしとしよう。
(さて、どうするか)
どうにかこいつを振り切れるようならよかったが、さっきの様子を見るに距離は離せないだろう。それなら倒すしかないが、エーベルが鉄パイプで叩いたところには傷一つない。よほどの威力でなければ、効かないだろう。しかし、ここにいてもいつ後ろから別の化け物が来るかわからない。だから………
「まずは逃げる!」
全力で走り、どうにか逃げようとするが……
(速い!)
よほど恨みを買ったのか、全速力で追ってきた。路地からはどうにか抜け出したが、
(くそッ、右側には広場があって多くの人がいるから、隠れることもできない!)
このままこいつを野放しにすれば今日だけで何千人、いや何万人ほどの人が食われる。だから、どうにか逃げ続けて、どこかで殺すしかない。
(……その前に食われそうかな)
他人事のように、少しづつ距離を縮めてくるを見ながらそう思っていると、
ゴゴゴゴゴ
(じ、地震!?)
急に地面が揺れ始めた。それまで頼りにしていた地面は不安定になり、俺はバランスをとれずに転んだ。その痛みに耐えながら、後ろを確認すると
フゥーーーーー、フゥーーーーー
化け物が俺の目の前にいた。せいぜい二十㎝ほどだろうか、1秒もあればあっさりと頭を食いちぎられるだろう。ナイフを構え、どうにか抵抗しようとするが、
パキッ、パキッ
そのナイフの刃を口に入れた瞬間、木の枝を折るかにように割れ、粉々にされた。
(…………もう、だめか)
唯一の武器も壊され、完璧に心が折れた。そうすると、不思議なことに体の力も抜け、ただ寝そべるような状態になった。ガチン、ガチンと、巨大蜘蛛はこちらの恐怖心をあおるように歯を鳴らすが、意味がないとわかると、獲物を食べるためにその口をゆっくりと近づけてきた。
(エーベル、無事かな。父さんも無事だったらいいな)
その間、俺には走馬灯が見えていた。両親のこと、エーベルのこと、授業の内容。いろんなことが頭に浮かんできた。でも、最後に見えたのは………
(……エンリさん)
ヒュンヒュンヒュン
ザク
奇妙な音がした。例えるならナイフを人に刺したような音。自分の腹か頭があの鋭い足で貫かれたのか、と思ったが、痛みがない。もしかしてもうすでに死んでいて、痛みがないのかと思った。
でも………
ゆっくりとまぶたを開ける。開くまぶたはあるようだ。そして目を開くと、斧が蜘蛛の頭に突き刺さっていた。蜘蛛の下から這い出て、周りを見渡すと…
あの綺麗な青髪を持った、初恋の少女がいた。
誠に、誠に!お待たせして申し訳ございません!
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奈落
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奈落2
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奈落(有料)
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