エレンの尻尾を触りたい!   作:かゆ、うま2世

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エレンの尻尾に包まれたい!

「はぁ〜〜〜〜〜………」

「ため息デカ。どしたの?」

「いや…………はぁ………………」

 

 

目的達成から数日。いまだに絆創膏が貼ってある頬とか色々あるけれど、そんなものは重要でも何でもなくて

今俺にとって一番重要なのは、長年の目的を失ってしまった事である

 

 

「俺はもう開拓を終えてしまったから………なんか、こう」

「………燃え尽き症候群ってやつ?」

「そう!まさにそれ!」

 

 

尻尾を触るという長年の目的を達成してしまった今、俺の心にはぽっかり穴が開いてしまった。充実していた日々とはおさらば。ただ自堕落に息をするだけの日々を探している

 

 

「気休めにもならないかもだけど、触る?」

「さわゆ……」

 

 

あれ以来、エレンは尻尾を触らせてくれるようになった。一回触られて吹っ切れたのだろう。最近は今みたいに自分から触らせてくれる事も増えてきた

 

 

「やわ」

「感想が小学生」

 

 

しかし、やはりというべきか、エレンの尻尾は素晴らしい。あの鮫肌を触ると心が洗われるような、そんな気がするのだ。そして何より────

 

 

「触れている間は人間に戻れる気がする……気がする……」

「変なの」

 

 

触る

素晴らしい行為である。物理的な接触は心理的な接触を触発し、数字では表せない心の距離も縮まる

人に触れるということは、心に触れる……

 

…………ハートに、触れる

 

 

「エレンー」

「何?」

「おっぱい触らせむぐっ」

 

 

顔真っ赤にしたエレンに0.1秒で口を塞がれた。いやー凄い早業である。全く動きが見えなかったね!

 

 

「もがもが」

「急に何言い出すの本当に!」

「もご」

 

 

いや本当に顔が真っ赤である。なんか目もぐるぐるしてて可愛い。教室で結構なでかい声だったから焦ってるんだろうな

 

 

「ぷはっ。前は自分から触らせようとしてくれたじゃないか。ちゃんと覚えてるぜ。腕組んで、『こっちに、して……』ってやったの…………ああ待ってまずい。尻尾で首を絞めないで命が消える」

「もう!本当に、もうっ!!」

「あがが」

 

 

まずった。どんどん締め付けが強くなっていく。ああでも、尻尾に絞められて終わるというのは、俺の人生的には最上級の終わりではなかろうか

 

 

「ならええか」

 

 

起きたら保健室だったわ

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「好きです!付き合ってください!」

 

 

告白、されました

 

 

「………えっと、2組の高嶺さんだよね?」

 

 

顔と名前は覚えてるけど、それだけ。言葉遣いとか所作を見るに、多分真面目ないい人なんだろう。けど

 

 

「ごめんね、俺はやめといた方がいいと思う」

「な、なんでですか?」

「君は人の尻尾を永遠に追いかけている男に惹かれるタイプ?」

 

 

もし、あり得ない話だがもし今俺に彼女ができてもエレンの尻尾を追いかけ回している自信がある。彼女がいるのに他の女の人追いかけ回すのはダメだろ、色々と

 

 

「そういう訳だから、ごめんね。俺なんかよりもっといい人見つけな」

 

 

勇気を出してくれた彼女には悪いが、断らせてもらった。今でもエレンの尻尾が頭から離れないのだ さて、それではそろそろ帰ろうか────

 

 

「待ってください!!」

 

 

ぐい、と袖を掴まれる。思ったよりも力が強かった。俺、貧弱の極み

 

 

「本当に!本当に好きなんです!私じゃ、ダメですか……?」

「うーん……さっき言ったこと以上の答えは出せないよ、俺」

「ど、どうしてもダメですか!?」

 

 

さらにずい、と顔と体を押し付けてくる高嶺さん。なんか、雲行きが変というか。こう……妙な………嫌悪感?

 

 

「もし付き合ってくれたら、私………」

 

 

そう言って、自分のシャツのボタンに手をかけ────

 

 

 

 

 

「────あぁ、いたいた」

 

 

聞き覚えのある声が、割り込んできた

 

 

「ごめん、話終わった?なら返してもらっていい?コイツ、今日はあたしと用事あるから」

 

 

当然用事なんて無い。俺が困ってるのを見抜いて助け舟を出してくれたのだろう。エレンはそういうヤツだ

 

 

「あー、そういう事だからごめんな!さよなら!」

 

 

助かったとかのレベルじゃない。文字通り救世主である

 

 

「ちょ、ちょっと…!そんないきなり……!」

「………断ってんのに付き纏うの、どうかと思うよ。それにさー、コイツ、あたしの尻尾にしか興味無いから」

 

 

俺の手を握って、腰に尻尾まで巻きつけてくる完全密着モード。ちなみに今初めてやってくれた。距離感が近くて大変可愛い

 

 

「んじゃ、いこ」

「あ、あぁ……」

 

 

強引に、引きずられるようにしてその場を離脱した。高嶺さんは追ってこなかったが、去り際の時に見た彼女の目は……なんだか怖かった

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「いやー、助かったよエレン。断りきれなくて………」

「べつに。てか、気づいてなかったの?」

「?何が?」

「あれ、確実に嘘告」

「嘘告!?」

 

 

嘘告。つまりは嘘の告白。そんなんあるのか………女子高生怖い……

 

 

「………校舎の陰から見てたじゃん。男子二人。アイツ、やたらとあんたにくっついてたし、変な因縁付けて金でも巻き上げるつもりだったんじゃ無いの?」

「そう………」

「真面目に聞け………あぁもう、危なっかしい…」

 

 

いやね?危なかったのもわかるし、エレンの心配もよーくわかるんだよ。俺がエレンの立場ならそれはもう滅茶苦茶心配する事だろう

でも、でもね?

 

 

(尻尾ちっっっっっっっか!!??)

 

 

手のひらで触れるのとはまた違う、ひたすらに『保護されている』という安心感を覚える。腰に巻きつけて身体を密着させてくるなんて当然初めての経験だ。平静を装ってはいるがもう気が気じゃない

 

 

「あの……エレンさん?」

「何?」

「いやー……えっとその…」

 

 

流石に『めっちゃ尻尾巻きつけてきてるけどどうしたん?』なんて聞けるほど俺の精神は太くない

 

 

「はぁ?さっきから変だし警戒心は薄いし………ほんと、あたしが何とかしないと…」

 

 

…………これは、あれかな?

無意識で巻きつけちゃってて、気づいてないパターン?

 

 

「……ん。何変な顔でニヤけてんの?」

「いや……その…」

 

 

うーん、何か、うん

道行く人達の視線も痛いし、ここは鋼の精神で言うべきだろう。うん、頑張れ俺

 

 

「あの、エレンさん」

「だから何?言いたい事があるならはっきり………」

「その、尻尾………」

 

 

文字通り、エレンが固まった

ゆっくりと、音もなく巻きついていた尻尾が離れて、ゆっくりエレンの顔が真っ赤に染まっていく

 

 

「……っ〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 

声にならない声を上げながら俯いてしまったエレン。可愛いね。尻尾垂れてしまっているのが感情を表していてキュートである

 

 

「……えっ、と」

 

 

口元に手を当て、真っ赤な顔でしっかりと俺を見つめて

 

 

「その…………ごめん」

 

「あんたの事、守らなきゃって思って。自分でもこんなことしてるなんて気づいてなくて……」

 

「……本当に、ごめん」

 

 

うーん

なるほど

 

 

(こんな一面もあったんだな………)

 

 

悪い事したと思ったら素直に謝れる女エレン・ジョー。高めの評価がさらに爆上がりである。顔は逸らされてるけど

 

 

「うんうん」

「…………何?」

「可愛いヤツだって待って待って死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!」

 

 

尻尾締め付けレベルマックスである。褒めただけなのにね!

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