【朗報】私の呪具が五条家の家宝に! 【悲報】私が五条家の家宝に! 作:かりん2022
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「入学祝い贈呈式はもう終わったんだよなぁ……」
「なんや、後輩差別せんといて。自分も斬魄刀欲しい」
悦子の前には直哉。ピカピカの一年生。編入生である。
直、今年は京都校1年生は0名。おそらく来年も0名で東京校が生徒数が多くなるだろう。全ては悦子がばら撒く斬魄刀のせいである。ただいま京都校から物言いが入っている。
「うーん。まあ、しゃあないわね。代わりに五条派閥に入りなさいよ」
「王悦ちゃんは五条派閥なん?」
「旦那様とお嫁さんの派閥違ったらまずいでしょ」
「悦子、五条のハートゲットしてから言いな」
硝子からのツッコミにぐぬぬする悦子。
「自分にしとかん?」
「冗談はさておいて。斬魄刀は作ってあげてもいいけどさ。さりげなく同級生庇ってあげてよ。あいつら五条派閥と見做されて等級違いの依頼振られて死にそうなんだよね。具体的には産土神とか」
「えらい具体的やな。それぐらいだったらええわ」
「契約成立♪」
そうして、悦子の斬魄刀の持ち主は、静かに増えていった。
研究は進み、そして10年後。
計画は始動する。
「宿儺の指を斬魄刀に封印しちゃえば良くね? 計画!!!」
ワーワー! どんどんぱふぱふ♪
「その作戦に必要なもの! その1 前髪!」
「勘弁してくれ……」
夏油はアクセサリーをジャラジャラさせてグロッキーだ。
そう、一番使い勝手のいいのは夏油なのだ。
夏油の斬魄刀が一番需要がある。誰にでもいい顔するし、術式も有用。すなわち、夏油は大量の斬魄刀作成に追われている。呪力を吸わせるのだが、これが中々大変なのだ。
宿儺を直接斬魄刀に吸わせるのは危険だが、夏油というワンクッションを置くことで有用かつ邪悪でない斬魄刀を作る計画である。
もちろん、夏油のメンタルケアは万全を期している。
もはや斬魄刀があればいいので、お前は心身ともに健康で監禁されててくれレベルである。それはそれでストレスが溜まるようだけれども。
夏油が凹んでいたので、夏油斬魄刀が出動した場合と五条くん本体が出動した場合の被害総額の差額を見せてあげたら絶句していた。あと五条くんに説教してた。
五条くんは強いけど、範囲攻撃しかできないからね。それ現実でやったら大破壊だからね。仕方ないね。
そんなわけで実験である。
傑シリーズに負担をかけるのは五条くん嫌がるから、実験に協力してくれるのは直哉くんである。
フル装備の直哉くんに宿儺の指に傑シリーズをブッ刺してもらって、いざ実験開始。
おや、指の様子が……?
「うわぁっ」
「いっつ!!!」
いつの間にやら、直哉は知らない場所に飛ばされていた。
まじで知らない場所である。
とにかく傑シリーズを確保する。傷ついているが、なんとか自己修復可能な範囲だ。呪力を優しく注いでいたわる。
目の前には腰を抜かした少年。確か、この子は。
「宿儺の檻?」
「あんた誰?」
「禪院直哉や。忘れたんか?」
「いや、間違いなく初対面っすけど」
直哉はじっと見る。王悦ちゃんのアクセサリーをつけていない。
「恵くんと野薔薇ちゃんはどしたん?」
「恵? 隣の部屋にいるけど?」
【妙な呪具を持っているな、貴様】
「並行せかーい♪」
思わず死んだ目、跳ねた声で言う。
異世界転生に憧れるが実際に行きたくはない、あれである。
「並行?」
「や、呪術の実験して、大失敗して飛ばされてしもたみたいや。王悦ちゃん……王城悦子ちゃんっておる?」
「誰それ?」
「先輩や。うーん……絶望的やなー」
そこで、特級相手の任務が振られた。
当然、そこにいた特別一級術師が請け負う事になったのである。
「す、すみません、直哉さん」
「ええよ。特級相手に新入生がいってもどうもならんやろ」
そうして任務完遂。
確かに特級だが、指あっての強化なのでハズレである。
あれでは傑シリーズに取り込む価値もない。
「なんや身にならん任務やったなー」
「も、申し訳ありません!」
「こっちの話や、気にせんといて」
ジャラジャラしたアクセサリーを綺麗に呪具にしまってさらに封印具にしまう。
武器を片付けるのは不用心だが、悟くん対策である。
傑くんシリーズを持つにあたって、揉めに揉めまくったのである。
あれをもう一度繰り返したくはない。
そもそも、呪具は基本見せない方がいい。
新入生の持っている、ちゃちい呪具を見ると尚更である。
こんなのがスタンダードな世界に浅打ちを見せたらどうなるか。自明である。
とはいえ。
やはり気になるのは気になるので。
帰ってすぐに、虎杖を訪ねたのだった。
直哉を警戒してか、恵と野薔薇もいる、ちょうどいい。
「宿儺の檻……せや、虎杖くんいうたか」
「はい! あの、依頼代わりに行ってくれてありがとうございます」
九十度お辞儀でお礼を言う虎杖くん。礼儀のできた子やね。
「そんなんええよ。それよか、お兄ちゃんたちはもう取り込んだん?」
「へ?」
「まだなんやな。既に宿儺取り込んどるし、当然か……。君はな。呪物を取り込むことに長けとるんや。自分らの世界では、死んだ呪胎九相図を取り込んどる」
「そうすると強くなれる?」
興味あるみたいやな。
「せやで。あとな。呪物を取り込まされて寝込む事件が増えとるから、恵くんのお姉さん気をつけとき。襲われた時あったし。恵くん、宿儺の器やし」
「なんですか、それ。知ってることがあるなら教えてください! 津美紀、寝込んでて。それに俺が器ってどういうことですか」
こっちは手遅れのようで、残念。
「自分も詳しい事は知らん。厄介やけど、呪物の中にその手の専門家がおるらしいから、最悪、呪詛師が一斉に受肉させた時にその呪物に頼むんやな。なんや、そいつだけうまいこと受肉させて対処させたい言うてたけど、難しいって話してたの聞いたことあるわ。自分は興味なかってん、それ以上は知らんのや。堪忍な。あっ 代わりに! 宿儺の檻が受肉しても主導権を持ったままでいられて、宿儺の器が主導権を宿儺に奪われる言うてたな。ただし、いっぺんにいくつも取り込むと主導権奪われるから油断禁物らしいけど。自分の世界では虎杖くん、宿儺取り込ませるかどうか悩んでたわ」
「……誰がそんな話してたんですか?」
「そうよ。虎杖が取り込む前に知ってたってこと?」
「王悦ちゃんや。王城悦子。呪物の専門家で一個上の先輩。マッドなんやけど、頼りになるんや」
ペラペラと話して、言いすぎてしまったかと口を閉じる。
「王悦ちゃんに関しては、自分、こっそり会いたいんやけど、協力してもらえるかな」
「伊地知さんに頼んでみます」
そして、思いついた。思いついてしまった。思いついてしまったら我慢ができる直哉ではない。
「あと、自分、宿儺についての研究の手伝いしとってな。これ、虎杖くんが肌身離さず持っててくれると嬉しい」
「アクセサリー?」
「せや。自分が帰る時に返してくれたらええ。壊さんようにな。抜いてみ?」
小さい剣のアクセサリーのブレスレット、その剣の部分を引き抜くと、大きくなった。
「うわぁっ すげ!」
「呪力を吸う性質のある武器や。向こうだと受肉させてへんから、できなかった実験やな」
「いいなー。お洒落じゃない、その剣」
ここで、更に欲が出た。出てしまった。
「野薔薇ちゃんも持つ? 自分が帰る頃に返してくれたらええよ」
「呪具を貸してなんの徳があるんですか」
「呪力を吸う言うたやろ。吸う呪力によって性質が変わるんや。これも研究の一種やな」
「帰れなかったら?」
「その時は、適度に育ったら返してもらうで。せや。二つ渡せば、困らんやろ。返してもらうのは一つでええ。片方を普段使いに、片方を自分に返すように大事に持っておいてくれればええよ」
「俺もください。あと、五条さんにチェックしてもらってもいいですか?」
「ええよ」
こうして、呪具を見せないと言う決意虚しく、早々に呪具をばら撒いてしまったのである。
次の日。
「悪いね、直哉! あ、並行世界の直哉だっけ? 宿儺の研究してるんだってね、わかってることがあれば色々教えてよ。それと……ずいぶん面白い呪具を学生に渡したみたいじゃん。あれ、そっちのこの子が作ったわけ? 他にも呪具持ってる? 見せてほしいなぁ」
「ええと……」
五条に質問を山と投げつけられ、直哉はすっと目線を下げる。
「私はどうしてここへ連れて来られたんです……!? なんなんですか、みなさん! 私をどうするつもりなんですか! エッチなことをするつもりですね、薄い本みたいに! 薄い本みたいに!」
震える女の子に、直哉は戸惑った。
こんなはずではなかったのだが。
まあいい。
要は傑シリーズだけバレなければいいのだ。
マシュマロ
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